「………と言うわけで、すぐに街を離れたいんだ。」
芦原さんの保釈金を出したことはバレてないとか、そんな希望的観測よりすぐ街を離れる方が手っ取り早い、情況や能力の説明と情報交換を行った。芦原さんの最後の一服と言うスキルだが戦闘に置いては全く役に立たない、何せ、
最後の一服
前世で吸った事のある煙草を前世から召喚できる。召喚の際には、その代金を消費する。
これである。どうしろと言うのだ。炎熱無効の俺にはなんの意味もない。条件反射で避けそうだが、まあ、素で強そうなので問題ないだろう。適当な小銭を渡す。
「芦原さん、これだけあれば足りますかね？」
「ん？なんや、………これ、金か？汚ったないなー、それより、何の金や？」
「それはですね。最後の一服って言うスキル実際に見て確認しておきたくて、」
「………あー、なんや、あん時は、無性に吸いたかったな、そういえば、こっち来てから一本も吸うってへんな、」
そんなことを言っているといつの間にか小銭を渡した反対側の手に煙草の箱が握られていた。いつの間に、
「あれ？いつ買ったんですか？その煙草、」
「あぁ？いや、そんな………何でや？！」
あんたのスキルだろうが！
ツッコミたかったが、小銭の減りを見ると一箱分減っている。後芦原さんの魔力（俺の中ではMPと読んでいる）も減っている。ついでに召喚魔法も習得している。1だが、ちなみに何故そんなものが見えるか言えば、真理のお陰だ。他にも体力、装備耐久値（一杯あるとまあまあ目障り）精神攻撃耐久値（増えたり減ったりの法則が意味不明）、そして、存在値、これだけは時間が掛かるのが課題だが、
《芦原 輝一が召喚師になりました》
…………はい？
《召喚を一定回数行った事により職業がつきました》
気が付いたら渡した小銭は全て、煙草の箱に変えられていた。約20箱程だろう。そんなに出してどうする？
「誰か火貰えるか？」
「まだ少し制御が甘いが出せるぞ、………フレイム」
「おう、おおきに、」
煙草くわえたまま顔を近付けて、火をつける。暑くないのだろうか？それとも、早く吸いたいという気持ちが勝ったのか、その後は満足そうに吸った煙を空に向けて、吹いている。ただ、俺は今魔法を使ったが魔力が、全く減っていない。最初は無限スゲェとか思ったが、何というか不気味過ぎるわ、ゲームみたいにゲージで見えるのだが、結界等で防御もしてるので、ゲージに動きが全くと言っていい程ない。何か別の何かを消費しているのでは無いだろうかと不安になる。
「………どうや、一本」
「いや、俺は吸わないしいいよ、」
まあ、悩むのは逃げてからでいいか。芦原さんの服装なんかを変えたり、武器も必要だろうし。手早く準備をしよう。
スキルの説明には、何かが欠落していることがある。広場の噴水の縁に腰掛けながら、そんなことを考えていた。例えば冒涜だ、生命の冒涜は、触れた対象から存在値を奪ったり出来るのだが、生物は生きている場合可能だが、死んでいる、死体からは吸収出来ない。そして、全て吸収された生物は息絶え、死体が残る。その他だが、（剣にしか使ったことはないが）効果については実感がないが、使ったものについては消えてしまうようだが、データが足りないため断定は出来ない。
「自分の能力を把握しないとな、」
何ができて、何が出来ないのか、これを確かめて置くことは大事なことだ。特に俺や向日葵のようにスキルを奪うことができる場合、地道に鍛えた能力とは違い、いきなり力が手に入るが、身に付くかは別問題、使いこなせず振り回されるなど、もっての他だ。まあ、俺の場合は使えないスキルは別のスキルのポイントに還元して、振り分け直す事も出来るが、
「お待たせしました。」
「………準備できた。」
「何から何まで、すまんな」
「皆さん揃ってるみたいですね。」
………芦原さん、いつの時代のヤクザですか？着流しとか着てさぁ、目立つわ！口には出さないが、
「みんな揃ったな、ここでは目立つから少し街を離れた所か、どっかの建物の屋上にいきたいんだが、反対あるか？」
「………何故屋上か外の二択なんですか？」
「人目に付かないのと、移動手段の都合上な、」
「こっちにもヘリコプター、なんかがあるんかいな、」
「…………有るには有るが、アレをヘリと呼ぶにはなぁー」
魔導制御板の付いたヘリに見える箱だし、アレは、
「俺が結界を使えるって説明したと思うけどそれで行こうと思う。」
やることは簡単、大きな結界を張り、その中に入り、結界を動かして目的地まで行く。指導を頼まれてたあの街に、確かミレって名前だったか？ナビ頼むわ、代行者、