この世界、あと5年で文明が滅びます。   作:白紫 黒緑

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お久し振りです!兄貴!とか、心の中で思った。

まだ、眠い目を擦りながら洗面所を目指し足を進める。実は5時ぐらいだったりする。まだみんな寝てる。だが、職業柄と言うべきか早く起きるのは癖のような物だ、顔を洗い、今日の予定と、今後の技能修得についてのプランを代行者と話し合う。昨日聞いた通りだと、属性魔法以外にも魔法はある。錬金術、陰陽術、風水術、死霊術、幻惑魔法、他にまだあるが今知っているのはこれだけ、特殊なものは魔眼系、精霊魔法、召還魔法、それと、異世界人特有の魔法等がある。特殊なものは置いといて、錬金術を勉強しようと思う。

《錬金術を修得するためには火魔法と土魔法の適性が必要です》

 

適性上げるか、何するにしても金属は必要になることが多い。俺の場合は特にそうだろう。冷たい水は一発で目が覚める。………飯食いに行くか、っと思ったが、机の上に料理があった。置き手紙もある。

 

『朝起きられる自信がなかったのでつくりました』

 

ありがたいな、今にやけているだろうな、ほっこりした気持ちになりながら、改めて料理を見た。………どうしよう。右半分が見れない。恐らくこの左右で向日葵とエーデルワイスの作った物の違いだろうが、左は見た目普通、右は黒のモザイク、原材料もわからないくらい炭化している。と言うか、あいつらどこから食材調達してきた?

「いただきます。」

まず、左から、スープを暖める間にサラダやパンを食べる。ドレッシングは作ったものだろうか?あまり酸味がない気がする。うまいのだが、馴染みのない味だ、作り方が気になる。スープは文句なし、シンプルながら食後には満足感のある味だった。………さて、次だ、まず物体1………炭だ、物体2………炭です。物体3、パリッパリの………炭でした。感想どうしよう。結構真剣に悩んでいると、服の裾を引っ張られる。

「炭………食べた?」

エーデルワイス?お前じゃないのはわかったが、もう少しオブラートに包もうか?

「スープは特に美味しかった。ありがとう。」

頭を撫でるととても嬉しそうだ、癒されるわー、背中に凄く視線が刺さるが………感想どうしよう、しかし、手触りもいいし、ずっと撫でてたいなー、うん、…………………ん?

「お前、催淫使ってるだろ、」

当人はどこ吹く風と、嬉しそうに撫でられている。まっ、いっか、

「…うぅ~~~~~~~」

向日葵が飛び付いてきた。多分焼きもち、頭を撫でてやり、何とか料理の感想についてを誤魔化す。と言うか起きられてるじゃん、気になったんだろうけど、微笑ましい限りだ。

 

今日はいい一日になりそうだ。天気もいい、藤白もだいたい一時間後に起きた。

「それにしても驚きました。僕魔法の適性高いんですね。」

「闇属性魔法以外なら難なく習得出来るだろう。」

魔法は強力だ。だが、魔力が無くなれば使えなくなるし、近距離なら、武器の方が有利になるだろう。理想としては取り回しのよいナイフや拳銃なんかがいいのだか、刃物は無理、銃は存在さえ不明、仕方ないので筋トレだ、

「話が合えばイーゼル被害者の会でも作るか」

エドガーの所に行って、そいつがどんな奴かにもよるが、可能なら情報共有と一緒に行動するのもありだが………今悩んでも仕方ない。

 

名前 芦原 輝一

パーソナルスキル 最後の一服

スキル 剣術5 短剣術4 威圧5 風魔法6 格闘術5

耐性 物理攻撃耐性8

称号 戦い抜きし者

 

「遅かったやんけ、」

刑務所からしゃばに出できたヤクザを迎えに来た気分だな、うん、左目の下の傷ヤベェな、おい!

「坊主、横におるんが北川か?」

「はい」

これは素早くこちらの交渉に持ち込むべきか?縛りになりそうなワードは避け、当たり障りがない会話、共感できる話題も添えて、

「はい、僕が北川です。しかし、お互い災難でしたね。僕も空に放り出されまして、送られて早々死ぬところでしたよ。」

「ホンマやで!あの糞アマァ~~………」

 

はい、自主規制入ります。

 

「………、キッチリ落とし前つけたらぁ!」

怒りを露にする芦原さん、ちなみに三人の教育上宜しくなさそうなので、万能結界で囲って音を遮断しておいた。が、口パクで物凄い形相で何か言ってたら、それはそれで怖いよな。エーデルワイスが俺の後ろに回った。

「ああ、嬢ちゃん怖がらしてしもたな………」

まあ、反応を見る限り、根からの悪人では無さそうだ。俺の経験則では、裏表のない人だな、藤白については度を越えた世間知らずだ、

「気にしないでくれ、人見知りなんだ、」

実際街中でも、害意ある視線を敏感に感じ取り、俺の後ろに怯えながら隠れたりする。おまけも付いてくるが………、俺ならその害意の内容も何となく分かるが、不快感が込み上げるばかりだ、神に高所に出される理不尽さより、よっぽど腹立たしい。ヤバ、思い出したら、威圧が漏れそう。

「………北川さんよぅ、あんた、前は何しとったんや?」

やべ、漏れてた。警戒されたか、称号からもわかるように、戦闘の経験者だ、もっと注意すべきだった。

「………あなたは何を?」

「見ての通りや、堅気の仕事やない、せやからわかるんや、雰囲気とかでこっちか、そうでないかがわかるんや、けどな、あんたは、………訳がわからん、気のせいかもしれけど、一瞬こっち側の雰囲気がな、」

雰囲気ね、勘だろうけど、………隠すほどの事でもないし、言うか、若干不安だけど、

「…………教師、美術の」

「…………………………はぁ?センコウ?」

その呼ばれ方は、腹立つけどそうだよ。

「………なんで死んだんや、交通事故とかか?」

「火の無効化が関係してるんですか?」

「爆死だとよ、ボランティア活動の引率でいったら、空港出てすぐのバスで自爆テロだ、それに巻き込まれた、」

俺が嫌いなものは、………結構あるが、エゴイストは一際嫌いだ。自己中、アホ、偽善者と三拍子揃っている。ここに空気を読めないが加われば、ゴミの完成である。別に思想を訴えるのは構わないが、押し付けがましい態度や姿勢、テロのような暴力もとい、自爆、巻き込まれる人の身になってほしいものだ。まあ、誤認の多い偽善者や、自己中はどう足掻いても無理だが、

「………はぁ、」

こっちも完全に理解できるとか、のたまうつもりもない。一番危険なのは過信だ。

「…………そうだな、また後で改めて話をしよう。」

あとはエドガーに金貨と人形を渡すのみ、何事もなければいいのだが、もう無理なのはわかっている。千里眼で確認したが、まだ、居座っている。ときより周りを見渡すが、その目は欲に眩んでいる。こっちとしては、渡すもの渡してさっさと帰りたいのだが、

「どうかしたんですか?」

「なんや、辛気くさい顔しおって、」

「…………行くか、」

「ご案内致します。」

使用人がいるからだ、こういうのは挨拶に来てほしいと言う意図があるからだろう。

 

扉の前まで来てしまった。ため息を吐きたい気持ちを押さえ込みながら、ノックをする。ここは使用人がする所なんだが、あっちと礼儀作法が違うかも知れないし、まず、そんなに詳しくない。

「失礼します。」

軽い感じでやってしまったが大丈夫だろうか?ドアノブを捻る。藤白と芦原さんは置いてきた。今は向日葵とエーデルワイスをつれている。正直、こいつらも置いて行きたかったが、頑として引かなかったので連れていかざる終えなくなった。

「頼まれていた人形を持ってきました。」

隔離しておいた人形を机の上に置く。そしてその横に、袋(金貨入り)を置いておく。そしてさっさと退室、

「待ちなさい!」

…………とは、行かなかった。因縁付けられる可能性もあったので、完全無視で行きたかったのだが、あ~、めんどくさい、無論、表情には出さない。

「なんでしょう?」

ドアノブもう掴んでたのに、そんなことを考えながら振り返る。木っ端改めて、クリホードは、一言で言えば雑誌のモデルみたいな奴だ、素材はな、服装なんかをみればわかるが、完全に装飾過多、ハッキリ言って目障り、洗練がなされていない、何でも付ければいいと言うものではない。出来るなら今すぐ目を逸らしたい。一回、咳払いする姿は、俺にとっては鳥肌ものだったと言っておこう。

「そちらは私の客人で、キタガワ殿です。」

エドガーナイス!これですんなり帰る流れに持っていける。と思ったが、

「…………それにしても、美しい。」

このバカが、俺に殿まで付けてるんだぞ。しかも、客として呼んだとまで、エドガー見てみろ。呆れてものも言えないって顔してるぞ、旅商人に見える格好を選んでこれだ、相手の接し方や、権力など少しでも探れや、だが、このままなにもしないと、俺の横をすり抜けていくだろう。

「これは、これは、クリホード"殿"では、有りませんか、わざわざ"遠い所"から、どの様な御用向きで、エドガー"様"のお屋敷へ」

トゲだらけの言葉と共に彼女達に伸ばされていた手を掴み、握手に持っていく。そして、自分の体を壁にして進行を遮る。視界的な意味でも、さて、どう来る?

「そんなことより、そちらの方は?」

至近距離であからさまにため息の一つでも吐いてやろうかと思ったが、それとは別の有効打を打つ方が効率的なのでそっちを進めよう。

「二人とも、………ちょっと外で待っててくれるかな。」

「…………わかりました。」

こう言うとき笑顔で向き合うべきだが、それだとごねるので、声色は明るく真顔で言った。渋々ながら了承してくれた。あんまりこういう顔は見せたくないよね。全く、さて、二人とも部屋を出たところを確認してから、思考を切り替え、薄い笑みを浮かべて振り返る。

「あの子達は護衛でもあるので、手を出さないでもらえますか?」

「護衛………ですか?」

「私はさまざまな場所を行き来しているのですが、自分の身を守る程度の実力はあっても、荷物まで回らないので、それで、」

「そ、そうですか、………」

「では、私はこれで、………」

「少しよろしいですか、人形の説明をお願いしてもよろしいですかな、」

「………実際に見てもらった方が早いですね。一応説明書は袋の方に入れておきましたが、少し魔法を使います。」

机の上の人形を手に取り、反対の手に火を出す。加減はある程度出来るようになったので、問題ない。

「フレイム」

その火で人形を炙る、二人とも唖然としていたが、人形には一切焦げ跡も火も付かない。それどころか火が人形を避けている。

「効果は所有者を守る魔法、それ以外でも守ってくれます。魔力は所有者の物を貯めておくことも出来ますし、自然と貯まりもします。魔力が無くなれば所有者が魔力を供給すれば効果は持続します。他は救援関係が二つ有ります。300メートル圏内に思念を飛ばす機能と、あとは光魔法の初歩のフラッシュを使えるようにします。」

人形に付けられた機能は、魔力貯蔵、結界、念話、光魔法の刺繍、防御重視の構成だ。

「最後のは適性次第ではありますが、喜んでもらえれば何よりです。それではこれで………」

止められる前に外に出る。

「失礼しました。」

さあーってぇ………、逃げるかぁ、代行者案内頼むぞ、


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