この世界、あと5年で文明が滅びます。   作:白紫 黒緑

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恐ろしき害虫(スティンクバグ)

…あれ、いつまにか寝てたようだ、体を起こすと改めて体の痛みがよくわかる。中指と人差し指の関節と手首が、ヒリヒリと言うかジンジンと言うか………まっ、顔洗ってくるか、ん?なんか横に違和感が、

「マスター…………」

「ご主人殿…………」

エーデルワイスが裸で俺のとなりで寝ているのは一旦置いておこう。何故、向日葵も同じ状態で横に寝ているのか?うん、まず昨日の最後の記憶を思い出してみよう、エーデルワイスに体を作って、それで抱きつかれて、それから…………記憶がねぇぞ、おい、

「すいませんー、藤白です。北川さんいますか?」

ヤベェ、マジヤベェ、状況が状況だ、えーと、間に合えーーーー!!!結界で向日葵とエーデルワイスを被い隔離、その直後藤白が入ってきた。なんとか間に合ったか、ほっとして立ち上がる、そのとき気づいた、俺なんで全裸?

「あ?」

「あ、すいません。起きたばっかりですか、」

「あ、ああ………」

まだ少しパニックだが、なんとかごまかせた。

「すぐに片付ける」

「じゃあ外に出てま…………」

俺の服を探すべく、恐らく向日葵が掛けたであろう薄い掛け布団を動かした。そこから向日葵の下着らしきものが、しかも上下、

「………」

「………取り合えず、タイム、」

藤白は無言で部屋から出ていった。誤解を解けるか正直自信がない。ただ、現状を知らないことにはどう説明して良いかわからない。とにかく服を着る。しかし、いくら探しても上の服がない。これも含めて事情聴取だ。結界を張り、隔離していた二人を出す。

「起きろ、正座」

「「…………」」

「起きてるのはわかってる。藤白の声が聞こえた時、向日葵は右眉、エーデルワイスは肩が不自然に動いたよな、」

少し殺気を出す。ちなみにエーデルワイスの方は嘘だ、千里眼を使えば両脇の二人を同時に視認できるが、向日葵の方を見ていたのでこっちしかわからないが、殺気を受けた二人の反応は速かった、跳び起きるとすぐさま正座した。

「まず、服を着ろ、で昨日俺が寝ている間にあった事を順を追って話せ、」

エーデルワイスの着替えと髪形を整えると、改めて正座させる。向日葵はなんか羨ましそうな目で見てたがセルフな、初着替えだから手伝ったんだしな、

「聞きたい事はいろいろあるが、俺が寝てから順を追って説明しろ。」

話をまとめるとこうだ、俺はエーデルワイスを受け止めた後、そのまま寝たらしい。で、なんやかんやであの状態だそうだ、なんやかんやは、このまま寝たら風邪を、だとか、こう言うときは裸で(以下略)という大義名分程度の言い訳だ。

「あれ、俺の上着は?」

「それは…………」

「これが破った」

「ちょっと!これってなんですか!それにあなたが手を離さないからでしょう!」

「だって、私、服無いもん。」

「持って来たじゃないですか。」

「………目がヤバかったし、上着の安全を考えて、死守すべきと判断、キリッ」

「ああー、もう良い、別に上着の一着ぐらい、引っ張って破ったんだな。」

さてと、どう言い訳したものか、

 

何とかいろんな誤解を解くことができた。それは良いとして、

「その格好はどうした?」

「一応もしもの為の防具です。冒険者ぽいでしょう?」

所々鉄板がついた軽装、だがヒョロヒョロの奴が着てるとなんかな、頼りなさそうだな、勿論言わないが、

「弱そう」

そう言うこと言わない………

「おい、誰が弱そうだって!」

ほら、要らないのが絡んできたよ、藤白とは対照的なムキムキの強そうな半裸の男がいた。あくまでも強そうという評価なのは背中のデカイ斧からだ、ちなみに重さは関係ない、ビッチリと背中に固定されている。これでは咄嗟に構えることができない、斧の側面には土がついている。力任せに降り下ろしたのだろう。柄にもヒビが、その癖今、攻撃しにくい至近距離までつめているし、何がしたいのこいつ?馬鹿なの?それとも武器なんて要らない的なことですか?殺気で追い払うか、

「話しかけないでくれるかな、」

最近わかったが、この殺気には指向性をつけることが出来る。距離は30メートルと狭いが、その範囲内なら選んで一人だけ強力な殺気で殺すことも出来る。がこの男は退かない。うざい、帰れ、危機感知等が余りに低いと致死量当てて死ぬまで気づかないらしい。そしてなんか喚きながら斧に手を伸ばす。その距離で斧使うとかホント何がしたい訳?

「ぐはぁ、」

当然待ってやるつもりはない。蹴る。とにかく蹴る。

「あの………」

藤白がなんか言ってる気がするので止めに踵落とし。気絶したので放っておく、

「弱そうじゃなくて、弱かったな、」

「その人………昨日防具を買うとき近くにいた人です。その後短剣を売って貰いました。」

お前が蒔いた種か、

「その短剣、見せてくれ、」

「はい?」

納得していないようだが見せてはくれた、何てことのないただの短剣、問題はこれをいくらでというところ。

「貴重なものらしいですけど金貨三枚で売ってもらいました。」

頭抱えたくなってきた。斧持ってるじゃん、そんな奴が何故、短剣を…………もういいわ、この手の奴が纏まった金を持っているとは思えないし、手っ取り早くスキルを恵んでもらうとしますか(笑)。一応代行者に持ってるか確認してもらおうか。

《銀貨が12枚と銅貨3枚と殆どゴミに等しい服と斧だけです。》

君も辛辣だね。代行者さん、まあ、とるに足らないということです。で、私のステータスはこうなった。

 

 

名前 北川 龍登

種族 #%5*;¥

 

パーソナルスキル 真理ノ瞳 万能結界 冒涜

 

スキル 芸術10 指導8 鑑定5 武芸3 隠密1 人形作成10 義体・義肢作成10 風魔法10 火魔法1

 

耐性 炎熱無効 低温耐性5 雷撃・突風耐性5 衝撃耐性5 闇魔法耐性5 聖光魔法攻撃耐性6 精神攻撃耐性5

 

称号 爆死 稀代の人形師

 

武芸3

剣術7 体術7 棒術3 格闘術2 斧2 扇1

 

斧しかスキルなかった、張りぼて感が否めない。更に武芸がレベルダウン、後火魔法と隠密、これはクライスラから拝借しました。返すつもりはありません。(無断借りパク)

「お前はこうならないためにどうする?」

「え!僕ですか?………すいません。戦い方って教えてもらえます?」

「はぁー………、まずまともな武器からな。」

こいつにはまず、人を疑うことから覚えて欲しいところだが、鑑定みたいなスキルを身につければ少しはマシになるだろう。

 

はいっ、と言うわけででやって来ました平原、藤白には、メイス(金属製の棍棒)を持たせた、で素振り中、武器の素振り何て意味があるのかと言えば、藤白にとっては一番大事な基礎である。始めに筋力の向上、次に武器の振り方を覚えさせる。取り合えず武器に振り回されない程度には使えるようにしておきたい。

「あの、何で僕鈍器なんですか」

そこから聞くか、いろいろ言いたい事はあるが………

「これで俺を刺してみろ。」

短剣を渡す。あの男が売った短剣、削ぎ取りナイフだ、ゴミだ。

「あ、やっぱ、ちょっと待って、」

ナイフを消毒、何がついてるかわかんないしな。

「よし、来い」

「えっ!あの、どう言うことですか、」

「早くしろ」

おどおどしていたが、ナイフと俺を交互に見て、汗をうかべ、ナイフが揺れる。

「無理だろ、だからメイスの素振りなんだよ、筋トレと武器に慣れる事が大事だ、」

まあ、藤白に刃物はハードルが高い、ナイフは使いやすいが、その分リーチがないため返り血を浴びる。精神的な負荷を減らす意味ではこっちの方がいい。さてと。こっちは火魔法の練習といこう。

「フレイム」

 

しかし、なにも起こらなかった、恥ずい。おい、素振りしろ素振り、向日葵とエーデルワイスは首を傾げる。

《使用者、北川 龍登には、火魔法の適正がありません。》

えーと、それはあれですか?スキルは取得できるけど使えはしないって事ですか?

《本来は取得する事もできませんが、強欲のようなスキルを使い、習得することは出来ます、が適正がなければ使うことが出来ません》

じゃあ他に使える属性は?

《風魔法以外の適正がありません》

だから、イーゼルは風魔法だけを渡したのか、ちなみに藤白の適正は?

《聖属性の適正が最も高いです。他の適正も使えない程低くないです。最も低い闇魔法適正も一般平均の三倍です。》

ふーん、平均ってどういう平均なんだ、どういう方法かで大きく話が変わってくる。

《人の平均です。数値化すると火23水15風13土27聖9闇3です。》

こう言うことだ。平均の三倍と言えば多いと聞こえるだろうが、元が小さければ意味がない。これでは聖属性と並ぶ程度、そしてこの平均の対象、多分この街だよな。

《正解です》

なあ、もしかしてだけど、人は闇魔法の適正ってその他と比べると全体的に低いだろう。

《確かに低いです。ですが稀にかなり強力な者が産まれる場合もあります》

どこで調べたその情報?まあいい、藤白の適正を数値化するとどうなる?

《火50水70風66土52聖116闇9です》

多少闇魔法使えないくらい跳ね返すアドバンテージがあるんじゃないですかね、代行者さん?

《あなたの適正次の通りです火0水1風19土2聖ー闇ー》

おい!?聖と闇どうなってんの!?なんか怖い!!他の適正どうでもよくなるくらい不安なんですけどこの表示は?

《測定不能です》

最初からそう言ってください。ビビっただろう。と言うか低いな魔法適正。風でも平均少し越えたぐらいだ、火魔法に至っては0ときた。使えない訳だ、これは、

《使えない訳ではありません》

と言いますと、0でも可能性がない訳ではないと?小数点より下に数字があれば完全な0じゃないが限りなく0なら諦めるよ。他を伸ばすし。

《冒涜を使って適正を書き換えれば、使用は可能です》

冒涜すげぇな、唯一の欠点は自分以外への使用は対象に触れる必要があることだけか、それ以外はほぼ万能と言えるだろう。では少し養分を蓄えにいきますか。存在値が大きくて楽に倒せる生け贄を所望する。代行者よ、別に俺が動く訳ではない。はっはっはっ、

《こちらはどうでしょう》

ん?こいつは、まさか!

《一体一体は少ないですが、数が多く、強さに反して存在値が大きいです》

 

スティンクバグ

スキル 悪臭ー 逃げ足1

 

へぇー、スティンクバグっていうんだー………カメムシじゃね?俺が嫌いな害虫ベスト3位に食い込んでくる強者だ、(1位はG)こいつの厄介な所は、遭遇率の高さと臭いだ、ちょっとした隙間から屋内に侵入し、あの青臭い臭いを放ち、自分の臭いで気絶する虫だ。が、それは元の世界の話だ、今視界に捉えている虫は猪位はある。尚且つ、赤いのや、青いの、黄色いの、明らかにヤバそうな紫、オーソドックスな緑色と茶色

よく言えばカラフル、有りのままを言うなら地獄、その内デカイGに遭遇しないといいがな、


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