この世界、あと5年で文明が滅びます。   作:白紫 黒緑

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神?との遭遇
壮絶な人生でした。


 

 

 

 

ー痛い、

 

 

 

 

体を起こそうとするが足が動かない。辛うじて開く左目で周りを見る。まず目に付いたのは血だ、自分が倒れている所を中心に血溜まりができている、立てないので腕に力を入れるが右腕は何か破片が刺さっており、その先の指や手首はぴくりとも動かない、左手で自分の体を引きずる。アスファルトに擦り付けられ、体がすりおろされるような感覚とともに熱を発する。

「………!」

周囲から呻き声と激を飛ばす声が聞こえるが、どこか遠くの事のようにはっきりと聞き取ることができない。

「……………ぅ」

赤い塊を目指して左手を伸ばすが、全身から力が抜けていき眠りに落ちるように視界が暗転する。抗いようのない死が訪れたのだと彼は悟った。

 

 

 

ーのだが………

 

「まず、最初に謝らせてください、申し訳ありませんでした。」

瞬きするほどの間もなかった。死を受け入れた後、痛みがなくなり、視界が広がり、そこにいた女性が頭を下げた。状況が飲み込めない、周りを見回したところ地獄ではないようだ。

「……えーっと、あのー、」

「怒るのも無理はありません! ですが! どうか!」

「状況が飲み込めません。」

「落ち着いてください!」

「落ち着くのお前だろう!」

「ひぃぁぁ! ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい!……」

「………」

聞きたいことがたくさんあるのだが会話が成立しない。ここは何処か、あの後どうなった? そして、彼女は何者なのか、答えを知っているであろう彼女は、土下座をしながら念仏のように謝罪の言葉を口にし続けている。

「あの………」

「※繰り返し謝罪中」

………埒があかない、取り敢えず判断する情報が欲しいが会話のたびにこうなられたらいつまで掛かるか、それに人の話を聞かない奴は嫌いなので、怒気をぶつけて冷静になってもらうことにした。

「………おい」

「ひっ!」

床に付いていた顔が上がると涙目になっていて、表情に関しては怯えている。心が痛むが怒気はそのままに質問をする。

「まず、お前は何者でここは何処だ」

「えぇ、あっ、ええーと、ええ、あぁぁ、わ、私はあなた達の世界とは別の世界を管理する十席の末席のイーゼルです、一応豊穣神として信仰されて、……あっ、別に神とか名乗って調子に乗ってる訳ではないのでどうか! 許してください! お願いし……」

「で、ここは?」

「えっ、あぁぁぁ、えーと、えー………ここは私が異世界の人と会うために作り出した空間なんですが………狭かったですか! すぐ広くしますのでどうか! 許し……」

「いい、広くしなくても………あの後どうなった? 俺はどういう状態だ」

「ええーと、それについては、………言えることは貴方が死んだということしかお教えすることができません」

状況としてはイーゼルは異世界の神様らしい、この空間はイーゼルが作った、イーゼルは自分の死について知っているが、俺が死んだこと以外は教えることができない。らしい、新たに生まれた疑問をイーゼルに聞く。イーゼルも落ち着いてきたので怒気を消す。

「なんで、俺は異世界の神様の前にいるの? 何で最初に謝ったの?」

「えぇと、実は私達がいる世界に魔王が生まれたんですが………」

「それを俺に倒せとか?」

「いえ、そうではなく」

「え?」

 

魔王いるんだよね?その世界、それで呼ばれたんじゃないの?勇者がどうこうとか、そういう感じじゃないの?

「魔王はまだいるんですけど………」

「魔王以上の問題かー、しかも魔王生きててそれ以上とか何?」

ゲームとかで魔王と言えばラスボス、そんな奴がいる世界で何かしなければいけないらしいが、魔王より厄介事とかと言うと世界その物が壊れるから直せとか維持しろとかか、ファンタジーの小説でも読んだことあるが、そういう世界はかなりの惨状で住んでる人間がそれに気づいていなくて悪化している。直接手を出せないからヨロシクーみたいなことか?

「貴方と同じようにこちらの世界に呼んだ方達がいるんですが………実はその方達のことでして」

「話の筋が見えないな」

「えっ、ああ、すみません、本当に言いづらいんですけど、………問題のある人を捕縛または、殲滅してほしいんです」

 

間を置いてはっきりとそう言った。

 

「お断りだ」

「それは無理です」

俺の答えに間髪容れずに返してきた、多くを守るために少を殺す、上立つものは選択を迫られる機会は多くある。選ばなければ全てを失う、時に犠牲を最小にする方法を選び、その業を背負わねばならない。この残念な神も神として上に立つ力を持っているようだが、この要求は飲めない。言うまでもないが問題があるとは言えど元は同じ世界の人間だ。それを殺す可能性を含めたものを了承できない。まず、無抵抗に捕まってくれる可能性がない、こっちが殺されかねん。こちらの意思が固いことを伝える意味とこの判断に対する怒りを込めて睨む。

「…………」

「も、」

「も?」

「申し訳ありませんでしたー! 何か気に障ることがありましか! 私が神を名乗ることですか?!………はっ、まさか、わ、私の存在その物ですか! すみません! ごめんなさい!許してください! 靴の裏でも舐めるんで命だけはー!」

「落ち着け!」

 

調子狂うわー、やっぱり残念な神だ、

 

「………さっき無理って言ったけど?あれは、どういう意味だ?」

「そ、それは……、もうこっちの世界に送ることしかできませんという意味でして……」

詳しく聞くと、強い後悔、執着などを持つ人は魂とかがバラバラになりにくいらしい。普通の人だと持って一瞬で、とても運べないらしいが、たとえバラバラになりにくいと言えど片道分ほどしか持たないようで、元の世界には、戻せないという意味らしい。

「つまり、あっちに行くのは確定、ってことか」

「はい、それと今のままだと後5年で全ての文明が滅びますから、一人二人でもいいので対処してもらってもいいですか?」

 

そんなんで何か変わるのか?

 

「5年で滅ぶ世界に行けと………、具体的にはどういうふうに滅ぶんだ?」

「経済の破綻から各地で紛争が起きて、それを鎮めようと彼らが力業で強引に鎮めるの繰り返しで人口が一定を下回った時が、約5年後と考えています」

「一度減ったものを元に戻す力はない、というところか。あっちの世界にいる奴は」

「無から有は生まれません。彼らの行動には生産性がなく、隣国から奪うなどの方法を取るものが多いですが、無限ではないですし、何もない所から奪うことはできません」

 

どんな奴送ったんだ………

 

「経済の破綻を防ぐのを第一に、人としてアウトな奴を……そういえば捕まえた後どうするんだ?」

 

捕まえたとしても逃げられては意味がない。

 

「それについてはご心配なく。特殊なスキルを渡すので、今の貴方のステータスを確認してもらえますか?」

「どうやって?」

「ステータス、と念じてください」

言われた通りにしてみると、視界に半透明な文字が浮かびあがる。

 

名前 北川 龍登

種族 #%5*;¥

 

パーソナルスキル 真理ノ瞳

スキル 芸術10 指導8 鑑定5 武芸3

耐性 炎熱無効

称号 爆死

 

なにこれ、種族バグっとるし、称号爆死って……、パーソナルスキルって何?

 

真理ノ瞳 内訳

真理 全ての情報を開示し、嘘、間違い、幻覚等を見破る。(但し、視界内に限る)

 

千里眼 距離、遮蔽物、方角を無視し、自分の観たいものを見ることができる。

 

代行者 並列して情報の処理ができる疑似人格、なお、代行者の得た知識は共有することができる。(他者に付与することもできる)

 

未来視 集めた情報から未来を予測する、情報が不足している場合、発動しない。(情報の処理にはかなりの負荷がかかる)

 

で、爆死は? 別にネットで何かやらかした訳ではない。

 

爆死 爆発に巻き込まれ、死亡した者が得る称号。

効果 炎熱無効

 

炎熱無効 炎、熱、火魔法によるダメージを受けない。

 

あー、そういえばしました。爆死、微妙なとこだけど………炎熱無効有り難いけど爆発に巻き込まれる前に欲しかったわー、後名前が不名誉だわ、あと魔法?

「どうかしましたか?」

「何でもない………」

 

問題しかない気がする。

 

「では、万能結界を付けますね。…………何か希望は有りますか?」

 

万能結界って何? コレでどうやって捕まえた後の処理ができんの?

 

万能結界 内訳

万能結界 指定した場所等に結界または、障壁をはる。様々な条件に対応する。

 

神聖 穢れを焼き払う、罪が重いと死ぬ、なお、罪の量刑はスキルの保有者に委ねられる。(利益の優先、自分本意な考え等、身勝手な意思を持ち発動すると罰が下る)

 

隔離 結界に捕らえた物等を現世から隔離する。(捕まえた者はこのスキルで送る)

 

問題のある奴を結界で隔離、何となくわかった。希望としては………

「魔法と耐性が欲しいかな、火耐性以外で」

「耐性はできますけど魔法はちょっと………風魔法だけならできますけど」

「それでいいよ、頼む」

 

作戦と言うほどのものは無いが命大事に、その次が結界を使った強制送還である。

 

「他に有りますか?」

「後はそっちの世界の情報だが………」

「えっ、あぁぁぁ! すみません! 忘れてました! 最初に説明しなきゃいけなかったのにー! えーっと、あのー、えー………」

「落ち着け!」

「あああああ! すみません時間もありませんでした! すぐに送らないと!」

「まっ――」

 

こうして北川 龍登、俺は異世界に行った。

 

 

パーソナルスキルに冒涜が追加されました。

 


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