夜「そんなもんどうでもいいってやつは、ここをすっ飛ばして本文までいってくれ! んじゃあ最初の質問、戦ってなんだ?」
エ「戦は国交手段でもあるが、同時に国や組織を挙げてのイベント興行でもある。今回はガレットと戦ったが、もっと規模の小さい、村同士や団体同士の内戦があるな」
シ「村対抗の競技大会兼…お祭りみたいなもの?」
エ「まぁ、そんな言い方も…出来るか」
夜「じゃあ次の質問、戦はどうやったら始められるんだ?」
エ「戦の興行を行う際には、興行主が参加費用を集めて、それを両国がそれぞれに献上する。そして、戦を行い戦勝国が約6割、敗戦国は残りの約4割を受け取る。これは大陸協定で決められた基本の割合だ。分配した費用の内最低でも半分は参加した兵士への報奨金へと当てられる。この割合も協定で決まっている。
そして残り半分が戦興行にいる国益だ。病院を建てたり、砦を造ったり、ホームのために働くものを養ったりと国を守る為に使われている」
夜・シ「そうなんだ~」
エ「他に質問はあるか?」
夜「エクレって戦のときっていつも服破けんのか?」
エ「なんの質問してるんだ貴様は!」
シ「あはは………そ、それじゃあ質問がないようだからこのまま本編をどうぞ!」
夜・エ「何勝手に進めてる!」
「「死ねぇぇぇ!!」」
エクレールが先手をとった。
2本の剣をクロスさせて、夜天の体の中心に突進。刃は夜天の身体を斬りつけた……が。
「偽者?!」
エクレールの刃は、夜天の身体を斬りつけていたが、その感触は全く感じさせなかった。
斬りつけられた夜天は、その姿を無数の紙に変え、床に散らばり、その偽者の夜天の後ろで本物の夜天がエクレールに向かって、数枚の紙を投げつけた。
「そんな紙切れでなにができる」
「なにができるって、さっきの偽者を作れるけど?」
夜天の答えを無視して、エクレールは飛んでくる紙を一枚一枚切り落としていく。
切り落とされた紙は、力なく地面に落ちる。
夜天も負けじとまた紙を数枚投げ飛ばした。
今度は、斬られる寸前で、夜天は指パッチンをした。
すると、斬られようとした紙は光を放つと、見えない壁を作り出し、エクレールの攻撃を弾いた。
さらに斬りつけられ、床に散らばった紙も一斉に光始めると、金色の糸で紙から紙へと繋がっていく。
そして、エクレールを囲って出来上がったそれは、鳥籠を連想させる形をしていた。
「な、なんだこれは」
「結界だよ、相手を捕まえるためのね」
エクレールは、その場から脱出を試みたが、剣で斬りつけても、見えない壁のようなものがあり突破することができなかった。
「無駄だよ、その結界はどんな攻撃も吸収する。もちろん、外からの攻撃も受け付けない……が……その結界を作った術者は例外だ!」
「……まさか!?」
「そのまさかだよ! 一気に裸にされるか、ポロリで済ませるか、いや……選択の余地はねえ! その柔肌を俺に見せろや!」
夜天が、投げた札は結界の中にすり抜けた瞬間に今までよりも強烈な光を放つと、大爆発を起こした。
結界のなかで煙が渦を巻きながら、少しずつ晴れていく。
男性の視線は結界の中に釘付け、シンクも顔を赤く染めているが、目は結界の中に向けていた。
「……って、あんなのくらってエクレールは大丈夫なの!」
「俺もそこまで鬼じゃない、ちゃんと手加減くらいしている、それにこの辺りは多分獣玉に変身できると思うしな」
夜天の言葉はその通りのものだった。
煙が晴れると、中から獣玉に変身しているエクレールの姿があった。
男性諸君は裸になったエクレールが現れると期待していたのだろう、期待を裏切られ全員が冷めた目をしていた。
~エクレール通常形態~
「私が……私が……負けるなんて」
「まあまあ、そう落ち込むな」
「哀れむよな目で私を見るなぁ!」
エクレールは、夜天に負けたことがどうしても許せないらしく、怒りの目線をこちらに向けてくる。
「……自信があるのはいいけどな、お前は相手を知らないのに突っ込みすぎなんだよ」
「貴様だって私のことを知らないだろ!」
「だから偽者を作って様子を見たんだろ? そこでお前はなんの躊躇なく斬ったところを見てだな、向かってくるものは全部斬ると思ったんだよ。そんであの策を思い付いた」
エクレールは、何か気に入らない顔をしているが、真剣に夜天の話を聞いていた。
そんな姿を見た夜天は、エクレールがどんな奴なのか少しわかった気がした。
「まあ、あれだな、お前はこれから伸びるタイプだ、今日のは喧嘩から始まったけど、今度は訓練でまた一緒にやろうぜ!」
エクレールの方に向き直ると笑顔で手を差し伸ばした。
エクレールは顔をうつ伏したまま、差し伸ばされた手を握り返した。
夜天は、しっかりと手を握ったのを確認すると、座り込んでいるエクレールを立たせた。
「今日は負けたことは認めるが! 次は私が勝つ!」
「ああ! でもな、次も俺が勝つ」
クスクス笑い合う二人。すると、エクレールは急にモジモジさせながら、チラチラとこっちを見てくる。
「どうした?」
「えっと……訓練の話しなんだが……約束だぞ!」
「俺は嘘や嫌がらせはするけど、約束は絶対護る男だ、だから安心しろ」
「ならいい! それと、特別に私のことは《エクレ》と呼んで構わないぞ!」
そう言うと、夜天の反対側に向きを変えると、そのまま走っていった。
振り向き様にみたエクレの顔は、何故かほんのりと赤く染まっていた気がした。
「柊くんも案外隅に置けないねぇ」
さっきまでずっと夜天の後ろで、黙って立っていたシンクが、ニヤニヤした顔で夜天の顔を覗き込んできた。
「それはどう言うことだシンク?」
「先が長いみたいだ、頑張れエクレール」
「おいシンク! 俺の質問に答えろよ!」
ケラケラと笑いながらエクレの後を追うシンクと、その後ろからシンクの言葉の意味を一生懸命知ろうと考えながら、シンクを追っかける夜空。
そして着実に、姫様誘拐を目論む三つの影が、近づいていた……。
今日は一日中暇だったので、2話分書けました。
このままスムーズに進むように頑張っていきたいな!