遂に夜天さんはこの領域まで踏み込んでしまった。
どこまで上がり続けるか見ものですな!
塔の上で何か異常事態が起こったらしく、急遽結界を解除、その大部分の霊力を夜天は取り込むと、エクレとシンク、二人を抱え少しでも霊力の消費を押さえるため脚に輝力をためると一気に放射し上に飛び上がる。
その時、輝力の集まりが悪い気がする、しかし今は気にしている暇がない、急いで向かわねばならない衝動で一端置いとく。
「そろそろ着く...なッ!?」
もうすぐ塔の上に着くと知らせようとしたとき、夜天たち三人の頭上を大きな影が飛び込んだ。
「なんだあれ」
「しらないけど、でも一瞬姫様の姿を見た気がする」
「なにっ!? それは本当か!?」
「シンク、そっちの姫は任せる。あのデカ物を止めて姫を守ってこい」
「うんわかったよ。浮き岩が足場になってる。トルネイダーでいけばたぶん追い付くはず!」
「待て勇者、私もつれていけ!」
エクレの言葉にシンクは言うと思ったといった顔でうなずきエクレを抱えてトルネイダーと言う乗り物を顕現させるとそれに乗って発進した。
「さて、猫姫の付き人の...ルージュさんだっけ? 取り合えず簡易だが癒しの符を渡しとく、それを猫姫の一番深手のところに当てろ」
すぐ近くにいたメイドのルージュに一枚の紙を渡すとすぐにシンクの元に向かおうと振り返った。
「おい、勇者の友人、貴様は何度言えばわかる。ワシのことは閣下と呼ばんか...」
「指摘できる体力あるなら今はその怪我を直すのに集中しろ、そうだなこの件が片付くまでに起き上がれるようになったら考えなくもないぜ!」
「ふん、言われずともすぐに直して見せるわ。...それまで任せても構わんか?」
「......お前らしくもない、弱気になるな。それに俺はお前を手伝いに来てやってるんだぜ? 今さら任す任せるとか言わなくとも、答えは決まってんだろ」
夜天の言葉を聞いたレオンは短く笑ったと「そうじゃな」っと短く返事を返しそれから何も言葉を発しなかった。きっと気絶をしたのだろう。
夜天はルージュに見送られながら脚に札を当て紋章を浮かび上がらせてから一気に駆け出しシンクの元に向かう。
「のこり霊気を考えて大技を出せてもあと三回と言ったところか、それにしてもあの魔物までの距離じゃシンクたち届かないんじゃないのか?」
夜天の予想は当たっていた。シンクとエクレが乗っているトルネイダーは浮き岩が見付からず下降していた。あのままでは二人とも地面に激突運が良ければ骨折、悪ければ死んでしまう。二人の危機と感じた瞬間、夜天はスピードを早める、それは幸か不幸か、エクレが身投げしていた。
正確には自分を犠牲にしてトルネイダーにエクレの紋章砲を当て飛距離を稼いでいた。シンクの方はエクレのお陰で魔物にたどり着けるだろう、なら助けるならエクレの方だな。
ありったけの力を脚に入れバネの要領でエクレに飛び込む。そのスピードは第三惑星に匹敵するスピード、地面に激突する前にエクレを腕に抱き寄せることに成功した。
「身投げとは恐れ入ったなエクレ。フロニャルドの加護が薄くなってるんだぞ? 死ぬ気か?」
「貴様が後ろから来ているのを見つけてな、何とかしてくれると思っていた。一か八かの賭けだったが、夜天、貴様は来てくれたじゃないか信じていたぞ」
「そんな信じられてもな、そんなことよりもエクレ、今から魔物の目の前まで進む、エクレはここで待っていろ」
「私も連れていけ! きっと役に立つ。それに姫様をお守りするのが親衛隊長の務めだ。イヤと言ってもお前の体に引っ付いてでもついていくぞ!」
「...そんなに俺のことが好きか?」
「な、なにを言ってるんだ貴様は!?」
「冗談だ。それにしてもあのデカ物、邪念が一部にしか感じないんだよ、先端部分だけにその邪念が集中している。多分だがあのデカ物は一部が本体でのこりは入れ物といったものだと推測してるんだが」
エクレはキョトンとした表情をしていた。わからなくても仕方がない、邪念という念は、見るのではなく感じるものだ。元から霊力の高い夜天ですら邪念が強くなければ感じることが出来ないほど、凡人ならなおのこと。
そうこうしているときに空から聞き覚えのある声が耳に届く。それはビスコッティの天才少女であられるリコッタことリコが、姫の乗り物であるハーランの上に乗って登場した。
「リコ、着たのか!」
「はい! 空から見ていたとき、エクレが落ちていく姿を目にして急いで飛んできたであります」
「リコナイスタイミングだ。エクレをのせてすぐに飛び立て。たぶんハーランが必要になるだろうからな」
「わかったであります! エクレ後ろに乗るでありますよ」
「しかし、夜天お前はどうするんだ?」
「あの怪物の動きを止める」
「待て、倒すんじゃなく、動きを止めるのか?」
夜天はエクレの言葉を肯定する。
「さっきも言ったがあの怪物の本体は別のところか、もしくは別のなにかに取り付かれているかのどちらかだと思ってな。そのため手を出すにも出せない状況だから取り合えず動きを止めようと思ったんだよ」
「しかし、止めるだけでは解決はしないであります。やはりここは倒すしか...」
「そうだ夜天! リコの言う通り、ここで倒した方がいだろ!」
「はあ...。いいか犬とリス、あれが本体じゃなかった場合、もしかしたら倒した瞬間に国ひとつを破壊するほどの爆発が起こるかもしれない。または取り込まれているほうなら倒した瞬間にその取り込まれたやつが死ぬかもしれない。俺にとって誰か死ぬことは勝ちと思わねぇ。それが例え敵であろうともな! それを踏まえてだ、動きを止めて考える、もしくはシンクに全部任せる」
「最初の方はよくわからないのでありますが...」
「ああ...ただ...。確かに死者が出ることは許されない。仕方ないからお前の策に乗ってやる、感謝しろよ夜天!」
なぜか偉そうにするエクレに夜天はヘラヘラとした表情で応答とは言いがたい返事を返す。
そのあと作戦通り、エクレとリコはハーランの上に乗り天の上に舞っていった。
その姿を見送ったあと、夜天は林のなかを走っていく、案外早く化け物の追い付くことが出来た。それにしても近くで見れば見るほどホントに図体がでかい。実際現状止められるのかと不安になっている夜天であった。
化け物の背中の上では火柱を上げながらシンクが犬姫を助けているところだった。いや、犬姫はすでに救っていた。二人は化け物の頭部、夜天が行こうとしていた場所に向かっていた。
夜天が止めるといったがあれは嘘だ...頭部に禍々しいオーラを感じていたのが気になり、それを確かめにいくための嘘だった。それに前は相手の攻撃が激しくなると思っての判断、わざわざ危険を冒す真似はしたくないからだ。
「やっぱり前の方に何かあるみたいだな...やっぱそう簡単にはいかせてくれないか、こっちまで警戒されてるとはな...」
夜天の足がピタリと止まり、前の光景に舌を打つ。
半透明で無数に浮遊する、まるで狐の幽霊のようなやつがわんさかと行く手を阻む。
「今はお前らの相手してる暇はないんだが、まあいいや。相手してやるからかかってこいよ狐さん。この世界に来て久し振りの本気だ、光栄に思えよ?」
夜天がクイクイっと挑発をすると、狐の幽霊は一斉に夜天に襲いかかる。
夜天は懐から一枚の真っ黒の神を取りだしそれを前に突き出す。
その瞬間、夜天以外のすべての時間がスローになる。夜天の周りに謎の発光体が地面から宙に舞う。
「愚弄、愚者の退魔師が願い経つ祀る。闇よりキタリ天の方舟、一筋の光を導き悪鬼を滅っせ。今宵は神月、君臨の供物はが我が身を捧げよう。今一度問う。我が身我が心を捧げ、その姿を顕し願う! 降臨せよ...」
『“
感想が来ていて嬉しい限りです。
そんなあなたにお知らせ!
近々特別編を予定!
急遽キャラ募集を行います。
名前、性格、主な武器、特徴など
書き込んでもらえれば出させてもらいます!
~注意~
・書き込みは活動報告ににてお願いします!
・多いときは選別!
・他二次作のキャラは場合によりますがほぼNG
以上