まあそんなのどうでもいいや、ちょこちょこ書き留めていたDog Daysを久しぶりに更新!
楽しみにしていた人、お待たせしました!
テレビ中継している液晶に勇者シンクとエクレにリコが率いるビスコティ軍が真っ直ぐと、ガレット領に進軍してきているのをぼけーっと眺めている夜天。
そのとなりには仁王立ちでレオ閣下が夜天と同じく宙に浮く液晶画面を見つめる。
「シンクたち来てるけど、そこのところいいのかな? こう応戦とかさぁ?」
「なら貴様が行け、わしとはじめてあったときに使ったあれを使えば一瞬じゃろ?」
「まあそうなんだけどね、あれって結構体力持ってかれるから、多勢に無勢、ボッコボコのフルボッコにされちまう。主にエクレに…」
「ならよいもうそろそろこちらの勝利じゃからな」
「...姫さんの身柄を確保ってことか? それなら期待しない方がいいぞ」
なんだと? と言いたげな顔でこちらを睨んでくるが、夜天の言葉の意味が、すぐに液晶に写し出されているシンクとエクレとリコ。その中の一人が姿を変えた。
「砲撃専門のリコが前線に出るなんてこと、悪手にも程がある。少し考えればわかることだ」
リコの姿は煙を巻き上げ煙が晴れると、その姿はリコではなく、ビスコティの犬姫。ミルヒオーレ姫だった。
「まあ、そんなことはいいんだろうけど。本来の目的には支障はないだろし、シンクとエクレの足止めは任せとけぇ」
そう言葉を残すと五階建てはある建物から夜天は身を投げた。一枚の紙を足に滑らせながら。
「我が足に強靭な力...」
その瞬間、紙を滑らせた足に紋章が刻み込まれる。その足で地面から落ちると、地面は抉れ、小さなクレーターを作った。
下で待機していたガレット領の猫兵は落ちてきた夜天を見て固まってしまった。
「夜天君が出てきたよエクレ!」
「見ればわかる! あの裏切り者は私が相手する。貴様は姫様と一緒に行け! 姫様に何かあったら...わかってるな勇者!」
「わかってるよ、でもその前に!」
『烈空十文字!』
夜天の姿を確認したシンクとエクレは同時に紋章を出すと十字型の紋章砲を飛ばす。
しかしその攻撃は、夜天の投げた一枚の紙によって煙幕となって簡単に防がれてしまった。
だがそれも計算のうち、煙幕は夜天の視界を奪って、ミルヒオーレとシンクを行かせるための策だった。
だがそれを見越してか、ミルヒオーレが通った場所はシンクたちだけを見えない壁によって妨げられてしまった。
「ひめさま!?」「シンク!?」
「まさか、夜天貴様!」
「おう俺だ! 猫姫は一対一を望んでたからな、それを邪魔をさせないためにここでお前たちを食い止めさせてもらう。ここを通りたければ俺を倒してから通るんだな! ……この台詞一回言ってみたかったんだよね」
夜天が紋様がついた足で前に踏み込むと、一瞬でエクレの前に姿を現す。警戒をしていたエクレだったが、夜天の動きをとらえることができず懐に潜り込まれたことに気づいたのは、夜天に攻撃されたときだった。
上手くエクレの懐に入り込むとシンクのところまで、夜天はエクレを蹴り押すよう、飛ばした。
急にエクレが飛んできたため、シンクは交わすこともできず、エクレに巻き込まれ二人して結界の壁に激突した。
「エクレとシンク...マジで来ないと、ブッコロだぜ?」
「くっ勇者、早いところあいつを倒して姫様のもとに向かうぞ!」
「オーライ。今度は二人の共同作業だね」
「勇者様! 我らも微力ながらお手伝いします!」
「おうおう、一人相手に多勢はズルくないか?」
「問答無用!」「行くよ夜天くん!」
ざっと見て20人弱はいる兵は槍やら剣やらを手に持って襲いかかってくる。
シンクとエクレの姿は見つからない辺り、隙をついて一撃で決めに来ているのだろう。それならわざと隙をつくって誘きだしてやる。
自然に隙を作りつつしかし確実に兵をさばいていく。だが兵は尽きることなく何度も突進を繰り返せば夜天に捌かれる。その繰り返しで、一行にシンクとエクレの姿が現れない。
『目的は体力を削ることか? いや、そんなことを考えるようなやつじゃない、なら...何か準備をしているってことか』
夜天がそんな思考を巡らせていると、不意に背中に異様な感覚が、いや違う。後ろにシンクの持っているパラディオンが格子状になって突き刺さっておりこれ以上後ろに下がれなくなっていた。
「逃げ場が...これが狙いだったのか、にしてもパラディオンの性能半端ないな」
「烈空一文字!」
いつの間にか目の前が開けその先で紋章砲を打ち出すエクレの姿があった。
エクレの放った攻撃は真っ直ぐと夜天に向かってくる。しかし夜天は札を投げ相殺する。だが黒煙が結界内に満遍なく広がる。
「目眩ましか、俺相手に考えてるな」
「ハアァァァ!!」
エクレが前からの奇襲、すぐに夜天は応戦を仕掛ける。互いに一歩も譲らない攻防の入れ替わりを繰り返す。しかし、エクレだけが夜天とやりあっておる、シンクやその他に兵たちは一行に向かってこない。
「そろそろ煙も晴れるころ...ああ、なるほどな。エクレ、お前、はなっから俺を倒すことが目的じゃなく結界の破壊が目的だったのか」
「気づいたところで遅い、外側は強くても中からなら壊せるはずだ!」
「内側も外側と同じ壊せると思ってるのか?」
「思ってなかったらこんなことしない、煙を晴らすのに密封では晴れないからな」
「......
夜天の言葉にエクレが微笑で答える。煙で穴を探し、見つければシンクの紋章砲で壊す。全く、考えたな。
でも残念。
「俺がそんなへまをすると思うか? 空気の出入り口は確かに存在する。けどな、結界事態は触れたものを無力化する作りになってるんだ。前に実戦してやったろ?」
エクレの表情が歪む。考えて必勝法立ったのだろう、しかしそんな作戦も簡単に撃ち破られてしまった。
「烈空一文字!」
「あまいは小娘!」
夜天は距離をとるエクレに疾風のごとく背後に回ると、一枚の札とともにエクレを押し込む。
「我が呼に答え砂土を奮え。豪石の仁、捕縛!」
祝詞を唱えるとエクレにつけた札が神々しく輝くと、砂土がエクレの体を這うように拘束していく。
「お前は少しここで待ってろ」
「まっ待て! ひとつ聞かせろ! 何故裏切った」
「...裏切ってない。むしろお前らのためでもある」
エクレは夜天の言葉を理解できずにいると、一人の少年が夜天に襲いかかる。
「エクレ大丈...夫でもなさそうだね、助けた方がいいかな」
「私に構うな! それよりも今は夜天を倒すことに専念しろ」
「今度はシンクが相手してくれるのか、少しは楽しませてくれると嬉しいな」
「勇者シンク、僭越ながらお相手つかまつります。僕も夜天君とは一度手合わせしたかったんだ」
一瞬の沈黙が通りすぎると、夜天とシンクはその間を詰めてぶつかり合う。
「出し惜しみは無しだ“白虎・断雷槍”。こっちは本気だ、シンクも本気でこい!」
「言われなくても本気でいくよ! “烈空十文字”」
雷を帯びた槍とシンクが放った紋章砲がぶつかる。しかし、琥珀の手にした槍はシンクの攻撃を意図も容易く切り落とす。
「流石夜天くん。でも僕も負けてられないよ!」
「いや、俺の敗けだわ。やっぱり使ったことのないものは無闇に使ったらダメだな力を全部吸い摂られた...」
夜天はその場に倒れ込み、持っていた槍は四散一枚の紙に変わり、エクレを拘束していた土も小山をつくって力なく積もる。
「どういうことだ夜天。あのままいけばお前の勝ちだったろ」
「白虎・断雷槍。親が使ってたものだったらしくてな、ダルキアンに渡された霊符なんだ。けど使ったことがなくてさ、ちょうどいいから使ってみるか! って勢いで使いましたら、思いの外霊力の吸収が多く俺の力をすべて吸い尽くされてしまい、今指一本すら動かすことがままならない状態でござる」
「それだけ強力なものとも言えるのか、だが後味は悪いが私たちの勝ちであるのは間違いない。早いとこ姫様のところに向かうぞ!」
「なに言ってるんだ? 行かせるわけないだろ。現に結界は壊れてない、どうやって出るつもりだ? それにお前らが行ったところでどうこうできるものじゃない」
エクレがムッと不機嫌な表情を浮かべる。
「...どうして裏切ったかって聞いたな。エクレなら知ってると思うが星詠み、って聞いたことがあるだろ?」
エクレは首を縦に振る、しかしシンクは首をかしげておりなんなのかはいまいち理解していないようだ。
「まあその星詠みで猫姫がそっちの犬姫の未来を詠んだんだ。んでその結果が悲惨で、その未来を止めてやろうと猫姫のツンデレ作戦が行われたわけ」
「待って、その悲惨な未来っていったい何がわかったの?」
シンクの問いかけに夜天は一瞬口をつぐみ明後日の方向に目をそらす。しかし、エクレが夜天の胸ぐらを掴み、無理矢理起こし上げると怒り任せに振り、夜天の頭の中をシェイクさせる。
「わかったわかった。言うから揺するのは止めろ! 吐く別なのを吐かせるつもりか...」
「いいからさっさと言え! 姫様に何が起こるんだ!」
「言ってもいいが、心身ともにしっかりともて。かなりショックなことだからな」
夜天の真剣な表情に二人は息を呑み込む。長く感じる沈黙のなか夜天は口を開いた。
「......犬姫、ミルヒオーレとその勇者、シンクの死の姿だ...」
驚きの声をあげる前に、レオ閣下とミルヒオーレ姫のいる塔の上から獣のような雄叫びが響いた。
また遠い旅に出ますゆえ、更新が遅くなるぞい。
最後に読んでくれた人に一筆。
「天使の3Pめちゃ面白い」
まあどちらかと言うとRWBYが今来てるかな!
それではまた長々とお持ちくださいな!