『無理って方は……ブラウザーバックを推奨します』
1話目 落ちた先には……『上』
春が告げる桜の木が花弁をちらつかせながら、校門から入ってくる生徒たちを歓迎している。
生徒たちは、明日から春休みが待っていることに胸を弾ませ、親しい友人と今後の春休みの過ごし方について、話し合っていた。
そんな生徒たちを、屋上から見下ろしながら、一人の少年《
「朝からうるさい奴等だなぁ」
天気が良く、雲ひとつない晴天な青空。こんな日は、屋上で寝るに限る。太陽の光を体全体に感じながらも、丁度いいタイミングで風が吹くため、程よい体温を保つことができた。
そのまま瞼を閉じようとした矢先に、一際目立つ二人の生徒が、校門から入ってきた。
一人はやや長めの髪型をした、金髪の男。名前は《シンク・イズミ》。もう一人は、金髪ツインテールをした女。名前は《レベッカ・アンダーソン》。
二人はよく一緒に登校しており、金髪なためか、他の人よりもかなり目立つ。
「真ッ金々カップルか……眩しくて目がイテェ……寝よ」
夜天は今度はしっかりと目を閉じた。案の定、すぐに眠りにつくことができた。
朝のためか、思っていたよりも、早くに起きてしまった。夜天はコンクリの上で寝ていたため、背筋がジンジンと痛む。
「~~~ッン!」
立ち上がり、両腕を上に目一杯に上げる。
それと同時だった。
強い風が吹いた。タイミングは最悪、夜天のバランスが崩れ、背筋を伸ばしたまま、塀から離れてしまった。
「やっべ、この高さは流石に死ぬな」
しかし、夜天は諦めず、背筋を伸ばすのをやめ、懐を漁り何かを探し始めた。だが、落ちる速度は
「あっ間に合わねぇ……」
夜天が死を受け入れた時だった。二階の窓から、バク宙をして現れた、朝の金髪カップルの一人、《シンク・イズミ》が……。
「よっ!」
「えっ?」
いきなり空から降ってきた夜天に挨拶されたシンクは、当たり前のように驚いた声を上げた。さらに、驚く展開が二人を襲った。
いつからいたのか、二人が落ちる真下に、犬が立っている。別に犬がいるのに、驚いたのではなく、その犬の下に刺さっている短剣を中心として、魔方陣みたいなのが、展開されていたことに、夜天とシンクは驚いていた。
「えっ?!」
「へっ?!」
二人とも間抜けな声を出しながら、その魔方陣の中心に吸い込まれるように落ちた。
落ちた先はよくわからない空間だった。辺りを見渡しても、一緒に落ちたシンクと、これを起こした犯人かもしれない犬以外は、何も見えない。
「……取り敢えず自己紹介、柊 夜天と申します」
「あっこれは御丁寧に、僕はシンク・イズミです」
呑気に二人は、自己紹介を済ませると、それを合図に、何もなかった空間から脱し、視界が開けた。
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