私はあの女が嫌いだ   作:yudaya89

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後編です


第9話「決断(後編)」

 3日後

 全体ミーティングにて

西住みほ 隊長代理

逸見エリカ及び霧島エリ 副隊長代理

 

 この2つが言い渡された瞬間その場に居たほぼ全員がざわめいた。当然の反応だ。全国大会を数日後に控えた大事なときに、隊長及び副隊長の変更、そして隊長はともかく副隊長の2名までもが1年生という前代未聞の人事である。勿論この人事に異議申し立てがあるのは当然のこと。しかし俺は其処までしっかり読んでいる。そしてこの場で異議を唱えるものが現れる事も・・・

「西住まほ隊長!!」

「今はみほが隊長だ」

「いえ、私は認めません!!なぜ実績のないものが隊長代理となるのでしょうか!?」

 うん、絶対思うよね?でもな、実績=強さ では無いのだよ?因みにこの人たちは、みほへの嫌がらせを繰り返し行ってきた。しかし彼女達の実力はある。勿論気持ちも分かる。

「私の人事に異議があると?」

 まほが軽く睨みつける。怖い怖い。

「正式に異議申し立てを申請します!」

「理由は?」

「私たちは今年で最後です!今年は10連覇が掛かった大会です。なのにまほ隊長は自分が忙しいと理由で指揮をせず、妹に代理をさせるのですか?「まほ隊長」の妹というだけのものに!!なぜです隊長!!」

「確かに!!何故経験豊富な綾波元副隊長やパンター小隊長の大下ではないのですか?」    (※大下綾・・・パンター小隊3年、まほが居なければ副隊長に就任していた。綾波元副隊長と並ぶ実力を持っている。)

「分かった」

「まほ隊長?」

「ならばどうすれば「みほ隊長代理」を認めてくれる?」

「私は彼女を認めることは出来ません!!」

「私もです!!」

「同じく!!」

 殆どの3年生から「みほ隊長代理」は支持を頂けませんでしたか・・・まぁ計算通りですけどね。

「じゃあ仕方ありませんね?先輩方は準決勝まではゆっくりして下さい」

 俺がそう発言した瞬間、その場の全員が俺を見た。

「何だと!!?」

「霧島!お前何様だ!!」

 うわぁ、ガラ悪!!

「いやね?だってもう「みほ隊長代理」は就任しています。「まほ隊長」は今回の全国大会に決勝戦しかメンバー入りしない。これは西住本家も承諾している事です・・・分かります?決定事項なんです」

「本当ですか!!」

「本当だ」

「ね?そこで先輩方に少しだけ時間を頂きたいと思います」

「どういうことだ?」

「先輩方は言った。「実績が無い=弱い」「妹というだけで隊長に就任」「無能な妹」と。では彼女の力だけで準々決勝まで勝ち上がります。それで実績になりませんか?」

「なるほど、彼女の実績作りと言うわけか?」

「その通りです」

「ダメだ」

 マジか?

「準々決勝?決勝まで勝ち進め!」

「流石に台数が揃いませんと・・・」

「それを何とかするのが実績じゃないのか?」

「・・・確か「ちょっと!!霧島!!何勝手に話進めてるのよ!!」ちょエリカだま「あんたみほの気持ちをほったらかしにするんじゃないわよ!!」」

「あんたが勝手に話すすめんじゃないわよ!!隊長はみほよ!!」

「はぁ~「みほ隊長代理」?如何ですか?何か言いたい事はありますか?」

 俺は彼女に尋ねる。勿論彼女はアニメ同様オロオロしている。目線も誰とも合わせない。全員の目線が彼女に集まる。予めみほにはこうした事態が発生してもいいように対策をしておけといっておいたが・・・どうするか?これは俺がどうにかする問題じゃあない。みほ自身が解決する問題だ。

「・・・」

「どうした「みほ隊長代理」?出来ませんか?」

 少し動揺が収まったか?

「・・・」

「何か言ったらどうですか?」

 

 暫く沈黙が続き、みほは相手の顔を見た。

 そして

 

 

 

 

 

 

「分かりました。決勝まで勝ち進みます」

 それを聞いた3年生及び2年生の一部から

「じゃあ出来なかった場合は?」

 なんて答える。

「そ、それは・・・・」

 流石にそれは答えられないよなw・・・なら仕方ない。

「エリカ?」

「何よ?」

「覚悟ある?」

「みほは?」

「・・・あるよ」

 なら仕方ない。

「分かりました。ならもしも負けたら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            

 

              責任とって「死」にます。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 隊長室にて

 

 

「あんた・・・バカでしょ?」

 エリカが呆れたように俺に言い放った。仕方ないじゃん。

「エリカ~機嫌直してよ」

「うるさい!!」

「でも霧島さん、あんなこと言って大丈夫?」

「え?」

「冗談だよね?」

「え?本気だよ?死に装束も3人分、切腹用の小太刀も発注済だよ?」

「「え?」」

「だって「覚悟ある?」ってきいたじゃん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・みほ?」

「エリカさん・・・」

「絶対勝つわよ!」

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全国大会1回戦

黒森峰女学園VSコアラの森学園

 

残存戦車

 黒森峰女学園  10両

 コアラの森学園 00両

 

 黒森峰女学園の勝利

 

 

 

 2回戦

 

黒森峰女学園VSマジノ学園

 

 黒森峰女学園  10両

 マジノ学園   00両

 

 黒森峰女学園の勝利

 

 

 俺たちは順調に勝ち抜いた。しかし次の対戦相手が厄介だ。どうしてかって?これを見ろ!!

  

 

 

 

 

 

 

 準決勝

 黒森峰女学園VS聖グロリアーナ女学院

 

 アールグレイ隊長率いる強豪高の聖グロリアーナ女学院との対決。10両 VS 15両となる。西住まほと並ぶ天才相手に、数不利、経験不利と条件は最低。だが俺には勝算がある。

 

 アールグレイ隊長の特徴は、簡単に言ってしまえば、純聖グロリアーナといえる。

重装甲の戦車を活かした浸透強襲戦術。敵の攻撃を正面から受け止めつつ、じわじわと侵攻していくスタイルを完璧に行える。それは隊長としての信頼や命令の信頼性が無ければ出来ない。そしてOGへの影響も大きい。今回クロムウェル巡航戦車を試験導入したという情報を手に入れた。アニメではこの戦車をダージリンが来年、正式導入する予定だったはず。実はその前に試験導入されていたかは知らないが・・・

 そして西住まほを多少なりとも意識している。それは抽選の時にまほと話しているのをみて思った。多少といったな?訂正しよう。かなり意識している。プライドが高く、お嬢様で純グロとすると、俺の考えてた作戦は通用するだろ。お嬢様には真似できない「下品」で「見っとも無い」作戦だからな。しかし俺には分かる・・・・・・次の試合の開催地が。いや訂正しよう。わかるじゃない・・・予測できる。

 

 

 

 

 

 

 

 




 次回聖グロとの試合です。

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