私はあの女が嫌いだ   作:yudaya89

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 もうすく最終話になります。



第44話「野心」

 

 試合終了3日後

 

「諸君おめでとう。連合高に圧勝できて私はとても安心した」

 新学期が目前という事で試合後練習はせず休日とした。

「隊長?」

「何だ?赤星」

「それではこのままの予定でいくんですか?」

「無論だ。このまま予定通りのメンバーで育成を行う。しかし途中で資格なしと判断された場合新たに選出する。選ばれて喜ぶのはいいが、くれぐれも油断はするな?」

「「「はい」」」

「よろしい。では各自練習を開始しろ。新学期前でいつものように練習は出来ないが、各々感覚を鈍らせないように」

 

 

 

 

 その後俺は逸見、赤星、直下を呼び

「逸見は新人選出を家元と共に行ってください。赤星は例年の間引きを。気になる人間が居れば報告をお願いします。直下は隊長候補生以下数名を集め、第2会議室で待機して下さい。以上です」

 

 去年まで全て俺が行っていたが・・・流石にキツイ。今年は分担してもらう。特にめんどくさいのは逸見だ。何せ今年は家元だけではなく・・・あの緒方様もお忍びで来ると事前に連絡があった。

 

 

 

 

 

 

  まかせたぞ!!逸見!!!

 

 

 

 

 

 

 第2会議室

「忙しいところ集まってもらってすまない。諸君は候補生という事で、来年度の全国大会前にあることをしてもらう」

「あること?」

「そうだ。まず大会前に練習試合を全8回行う予定だ。勿論我々も出場する。4回目の試合終了後より3年生は別メニューとし、1年、2年生で試合を行ってもらう」

「テスト・・・という事ですか?」

「そういうことだ」

「あ、あの?」

「何だ?水樹」

「1年生の情報は?」

「1年生の特待生の資料を逸見副隊長がまとめる予定だ」

「・・・今の3年生との練習と1年生との練習、どちらを優先したらよろしいでしょうか?」

「1年生との練習を優先しろ。但し事前に報告は行ってもらう」

「3年生との間に溝が出来ませんか?」

「そんな人間は居ない。居るなら報告しろ」

「わかりました」

「他に質問はあるか?」

「「「・・・・」」」

「では解散。水樹はここに残れ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「水樹?」

「何でしょうか?」

「隊長出来るか?」

「わかりません。ただ霧島隊長のようになれるように努力はします」

「わたしのように?」

「はい」

「そうか・・・水樹?」

「何でしょうか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   「野心はないの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?」

「水樹を見ていると、ただ単に隊長の「仕事」をしているように見える」

「仕事ですか?」

「そう。隊長とはなんだ?」

「皆を指揮するもの、導くもの、勝利を齎すものではないのでしょうか?」

「水樹・・・・」

「あの・・隊長?」

 

 

 

「お前・・・私を見ていて・・そんな程度しか分からないのか?」

 

 

 

「え、あの・・」

 

 

 

 

 

 

 

「水樹・・・悪いがお前を隊長候補から外させてもらう」

 

「た・・隊長!!!!」

 

 

 

 水樹、悪いが野心が無いのは今の黒森峰の隊長としては不適応な人間だ。

 

「水樹、今すぐ他の候補生に連絡し、再度集合するように伝えろ」

「・・・はい」

「2000には集まるようにと。以上だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 20:00

「諸君、再度集合してくれてありがとう。諸君に聞きそびれたことがあった。諸君が黒森峰を率いる事になったら何をしなければならないか?聞かせてくれないか?」

「強者で居る事でしょうか?」

「それは当たり前のことだ」

「「「「・・・・」」」」

「わからないか?水樹」

「・・・わか・・りません」

 

 

 

 

 

「今の黒森峰より強くなることだ」

 

 

 

「今のままではダメだと霧島隊長は言うのですか!!?」

「当たり前だ」

「何故でしょうか?」

「大洗の事例を挙げると・・・どう思う?」

「確かに・・・」

「大洗の事例も考えられるし、他の要素も考えられる。そういう事を考慮している。それに

 

 

 

 

 

  戦車道にとって強さの停滞とは退化と同義だ。だから常に上を目指さなければならない!」

 

 

 

 

 

「「「「「・・・」」」」」

「水樹・・・私が「野心が無いか」を聞いた意味がわかったか?お前はこれから黒森峰を強くしていかなければならない。だから私のようにではなく、私より更に高見を目指して精進するが、正しい答えだ。水樹?」

「・・・はい」

「私を超えられるか?」

「超えて見せます!!」

「他の者は?」

「「「超えます!!」」

「ならば超えられているか確認する試合をしよう。練習試合終了後に1戦。そして全国大会終了後に1戦、計2戦模擬戦を行う。それに諸君が勝利することで、証明される。絶対強者だと言うことが」

「それだけでしょうか?」

「何?」

 

 

 

 水樹

 

 私の人生は頼まれる人生だった。小学校は優秀だから学級委員長に、そして生徒会長に。中学で始めた戦車車がたまたま私に合っていた。そのまま隊長を頼まれ、生徒会会長を頼まれ・・・でも・・・そんな自分を高校では変えようと思った。でも同じことの繰り返しだった。入学前の試合・・あの時だって、中学で名前が知られてたから隊長を頼まれた。でも・・・今は違う。私は頼まれていない。

 

 

 今、生まれて初めてあの隊長の座が「欲しい」と思った。だからここまで言われて黙っているわけにはいかない。そう思った時私は霧島エリ隊長にケンカを売っていた。

「それだけでしょうか?」

「何?」

「それだけでしょうか?」

「何を望む?」

「隊長の口からある言葉が欲しいです」

「どんな?」

「もし私達がかったら『霧島エリ率いる黒森峰より今の黒森峰のほうが強い』と」

「そんな事か?」

「そんな事って!!隊長はわかっているんですか?今の黒森峰は!「もし私なら」!?」

「もし私なら勝った時点で『霧島、いい腕をしているな!今から私の部下になれ!!』と言うな」

「いいんですね?」

「勿論」

「わかりました」

 

 

 

それからは忙しかった。一年生の特待生のテスト結果の際に緒方様が来ていたことでテスト生及び在校生がカチカチに緊張してしまい、再テストとなる異例の自体が発生した。それの連絡、日程やらを私が組む事になった。それが終わったら次は新入生の入隊テストだ。例年より戦車道を受講する人間が多く、去年みたいにゆっくり出来なかった。4月のくせに暑かった。

 

 

 そしてその結果をまとめるのを疲労で倒れた逸見の変わりに私がまとめる事になった。

「赤星?」

「何でしょうか?」

「やめていいか?」

「ダメです」

 

 

 100人近い受講者の合否を決定し、合格者の資料をまとめるには私には無理だ・・・

 

 

 

 それにしても最近少し疲れやすいし、食欲もない。たまにふらつく事もある・・・疲労か?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




BABY_DRIVER・・・面白い

自分のGDBはもう少しで復活!!

修理代はいくらかは知らない!!

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