私はあの女が嫌いだ   作:yudaya89

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第35話「決勝戦(前編)」

まず原作通りエリカの部隊を斥候として向かわせた。エリカには「1両は確実に撃破せよ」及び「追撃は不要」と命令しておいた。我々の車両では追撃するには不安要素がありすぎる。プラウダを想定した編成では大洗の車両速度には勝てず。重量級戦車にある、足回りの弱さなどが上げられる。例え整備班により足回りを強化しているとはいえ限度がある。ならば相手のペースに合わせる必要はない。こちらのペースで1両づつ撃破する。しかしそれでは西住流、いや黒森峰とはいえない。

 

 

『エリカ状況を』

『先に偵察に出した車両からは、作戦通りに相手は動いている。今の速度であれば1分後には相手に砲撃をこちらが先に仕掛けられるわ』

『了解』

 

 原作では三式中戦車がなぜかバックして、フラッグ車を守るんだっけか?あれ・・・忘れた。

 

 

『エリカよ、三式中戦車1両撃破したわ』

『了解。合流するよ』

『ええ、でもこの三式中戦車・・・何かおかしい動きだったわ』

『何?』

『私はフラッグ車を撃破するつもりで砲撃したわ。でも急に後退してきた三式中戦車が盾になってフラッグ車を守ったの・・・』

『確かにおかしいと思います。余程状況を解析したと考えます。余程優秀な車長が乗っているかと』

 赤星、エリカが考察する。

『しかし結果的に良かったのでは?序盤で危険な車両を撃破できたと思えば』

 直下が返信する。

『確かに。ならばもう一つの新戦力のポルシェティーガーも要注意ですね』

『ええ』

 

 あ~そういう風にもとれるんだ。まぁ・・・ネットオタクが現実の戦車をほぼ初めて動かしてて、決勝戦までに操縦経験が少なかった。そのため操縦に手こずっていた。そして普通ではあり得ない走行中にバックに入れて後退した・・・なんてここで言っても「は?」って思われるだけだろうし・・・・多分そんな感じだったと思う。

 

 

 

  内緒にしておこう。

 

 

 

 

 

『現在大洗は予測通り我々の追撃を逃れるため、山中を越えています』

『了解、偵察継続して下さい。後現在山中を越えている車両は?』

『そちらから見えると思いますが、ヘッツァーが見当たりません』

『射程に入ってるわよ?どうする?』

『射撃は不要。それより我々を待ち伏せしているヘッツァーを見つけ出してください。私の指示があるまでは攻撃は禁止です』

 

 原作でポルシェティーガーを引っ張りながら山中を越えているところだ。どうせ煙幕を使われるのだから、射撃は不要だ。それよりヘッツァーを見つけ出す。個人的に色々したいし・・・

 

『直下?』

『はい』

『ヘッツァーがその辺のブッシュにいると思う。6両で囲みなさい』

『しかし・・・ヘッツァーに対して・・・過剰では?』

『・・・直下?』

『りょ・・了解しました』

 

 編成から直下の小隊がヘッツァーが居るであろうブッシュを取り囲む。

『取り囲みが出来たら、ワザと包囲に穴を。方向は我々の進行方向に』

『了解しました』

 

「砲手?出てきたヘッツァーの足回りに打ち込みなさい」

「了解です」

『他の車両の発砲は禁止します』

『『『了解』』』

 

 原作で直下のヤークトパンターの足回りを撃破していた。ヘッツァーだったが、我々の包囲に気付き慌てて逃げ出した。ワザと逃げやすいように包囲網に甘いところを作っていたため、案の定そこから出てきた。

「足回りに」

「了解」

 私の指示通り砲撃が行われ、足回りが見るも無残に破壊された。修復はほぼ無理と判断できる。さらに俺は指示を出す。

「砲身を打ち抜きなさい」

  

  

 

 

 足回りを破壊され、砲身も使い物にならなくなったヘッツァーは煙を上げながら停車していた。狙い通り白旗は上がっていなかった。撃破判定が上がるギリギリを狙った。そして俺はヘッツァーの隣にティーガーIを停止させた。

 

 

 

 

「初めまして大洗の生徒会長角谷杏さん」

「・・・霧島エリ」

「ごめんね、こんな状況で声かけて」

「いやいや。で?何かよう?」

「そうね・・・今の状況どう思う?」

「どうって・・・」

 角谷はヘッツァーを見る。

「まぁダメって感じかな?」

「そうだね。ヘッツァーはもう修理無理ですね。足回りも吹っ飛んでるし。砲塔も途中から無くなってるし。まぁ替えがあれば何とかなるかもしれないね」

「で?」

「ん?」

「そんな状況の私らに何かよう?」

「そうそう前から聞こうと思ったんだけどね

 

 

 

 

  お前みほを脅したか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 角谷

 

先ほどまで人を馬鹿にしたような笑顔で私を見ていた霧島エリの雰囲気が変わった。

 

「もう一度聞くぞ?お前戦車道にみほを強制的に入れたのか?」

 ダメだ。嘘もホントの事も言えない。どちらにしても私らに向いている砲塔が火を噴くのは明確だ。

「しかたなかったんだ!!」

 しまった!!河嶋!

「角谷?」

「あ、あの時の事は西住ちゃんには悪かったと思ってる」

「そうか」

 もう無理だ。

「まぁ仕方ないね。廃校を目の前に救世主、黒森峰の元隊長が転校してくればね~。縋るしかないし、まぁ手段を選んでる場合じゃないよね」

 なんだ?何が言いたい?

「処で・・・もう終わり?」

「え?」

「もう足掻かないの?」

「・・・」

「全部人に押し付けて、この勝負に負けた場合、もっとも悲惨な目に遭うのはみほじゃないかな?なんたって大洗の隊長でしょ?責任を取るための隊長・・・生徒会に強制的に戦車道に入れられて、挙句もっとも責任を負う隊長に就任。負ければ廃校・・・で?生徒会長は何を負うの?」

「・・・」

「だんまり?そうそうそういうの私嫌いだから。みほに其処まで責任追わせる状況を作ったのはお前だよな?そのお前が何も責任を負わないなんて私は許さない。負けた時、みほに「西住ちゃん、ありがとうね」なんて訳のわからない言葉を掛けるお前を私は許さない。もしお前が何も負わないなら私はお前の未来を消す」

 まっすぐ私を見る霧島に対し何も言えなかった。いや違う。霧島が正しいから何も言えなかった。

「但し」

「え?」

「みほの戦車道を見つける機会を作ったお前には感謝している。その礼はする」

「??」

「忘れるな。全責任は役人と約束したお前が負え」

 

 

 そういって西住ちゃんたちが向かった方向に進んでいった。

 

「会長?」

「河嶋」

「すみません」

「いや、いいよ。さぁ修理しよう」

「分かりました」

 

 

 

 確かに西住ちゃんが言ったとおり私は撃破されなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 原作の流れを忘れているみたいなので
 再度見直すことにしました。

 

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