私はあの女が嫌いだ   作:yudaya89

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「女の子が生まれたら「エリカ」にする」と嫁に言いました。


第21話「選出」

 

新体制への移行も順調に進み、並行して毎年黒森峰で恒例となっている「篩」にかける者の選定も進めている。現在レギュラーは殆どが2年生で構成されている。しかしハッキリ言って数名周りに置いて行かれている者もいる。旧体制で何とかレギュラーを勝ち取ったみたいだが、これから入ってくる新入生にも同じレベルの人間はいくらかいるだろう。

 

 今私はチーム内での紅白戦を車長育成のため、連日行っている。勿論整備の方からかなりのクレームは来ているが、エリカに任せてある。勿論エリカからも小言を言われるが、右から左に流している。車長育成には兎に角経験が必要だ。適切な指示、毎回変わる人員への対応、それに信頼が必要だ。そして今日も私は紅白戦後に各車長に何がよかったのか、悪かったのかを聞き取る。勿論副隊長のエリカも中に入っている。

「2号車車長、今日撃破された原因は?」

「12号車、偵察を行う上での大切なことはなんだ?」

「逸見副隊長、なぜ敵6号車、9号車の居場所を的確に連絡できなかった?」

 ミーティングルームでは今日も俺の質問(尋問)が続く。

 

 

 

 特待生の試験が行われる5日前、私は「篩」を掛ける者のリストを手にし

「エリカ?」

「何?」

「今年もこの時期が来た。先輩達には悪いが・・・「篩にかけるぞ」」

「じゃあ私が行っ「いや私が行く」どうして?」

「私が選んだからだ」

「わかった」

 俺は静かに部屋を出た。そして一人ずつ部屋に行き、明日第2ミーティングルームに集まるように伝えた。

 

 

 

 

 

 

 翌日

 

「今日諸君らに集まってもらったのは選んで貰うためだ。「残る」「去る」かを。しかし結果によってはこの2つの選択肢ですら選べない可能性もある。過去多くの先輩達がこの篩で「去る」を選択していった。勿論中には「残る」を選択し、黒森峰10連覇に貢献した先輩もいる。先に諸君らに伝えておこう。3両だ。「残る」を選択できるものは3両に搭乗しているメンバーだけだ。勿論中には周りの足を引っ張っているとみなされ、「去る」を強制的に選ばされる場合もある。車両搭乗メンバーは追って伝える。以上だ。解散」

 

 まるでリストラの通知をするみたいな気持ちだった。(残念な事に作者はそのような経験はしたことない。勿論逆もない)

 

 

 

 

 

 

 

 

 3日後

 

 

「おはよう。1年生の諸君。まず君たちに謝らなければならないことがある。試験日が予定していた日にちより大幅に延期されたことだ。原因は私にある。理由は去年の黒森峰の体制が一部変更になったことだ。まぁ隊長、副隊長が1年などとは、黒森峰開校以来初めてだったからな。さて脱線したが、本日はわが校の生徒と模擬戦を行ってもらう。ちょうど6対6で模擬戦は可能だ。各自頑張ってくれ。ではまた後程」

 

 1年生へ軽く挨拶をすましたあと、俺はエリカ、家元がいる部屋に向かった。この試合は空中からヘリでリアルタイムに撮影し、両チームの通信や車両位置が分かるようになっている。

「霧島です」

「どうぞ」

「失礼します」

 俺と家元は相変わらず仲は悪い。俺は家元から離れた位置に座り、「篩」が始まるのを待っていた。私は篩のメンバーの中で数名期待している者がいる。「赤星」「直下」「赤木」の3名だ。赤星、直下は原作メンバーだが、今のこの世界では少し周りに比べ見劣りしている部分が多い。何かきっかけがあれば花が咲くと信じて、篩のメンバーに入れた。これが吉と出るか凶とでるか・・・

 「赤木」は去年試験中にエリカと同級生が喧嘩しているのを「止めないの?」と言った特待生メンバーだ。選ばれた理由は「1軍に選ばれなかった」からだ。今の彼女は簡単に言うと、ただの金食い虫だ。授業料、寮代が2/3免除は特待生だけだ。それが理由だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 試合はぎりぎりで在校生の勝利だった。赤星、直下、赤木はいずれも車長だった。試合開始後、1年生チームが奇襲するも、逆に1両撃破される。しかし道連れと言わんばかりに1両撃破。この車両の者たちは最後まで新体制へ反対していたものだ。実力は残念だったが。

 試合は少しの間膠着状態だったが、赤星、直下率いる2両が崖よりの奇襲。この間に赤木の車両が横から攻撃し2両撃破する。しかし直下の車両が足回り破損でリタイア。

この時点で在校生残存車両4両、1年生残存車両3両。しかし1年生が再び奇襲。今回の奇襲は今までと違い、池の中に車両を半分沈め、水草で残りを覆うという戦法を取った。3残存3両でこの戦法を行い、在校生の車両2両を撃破。この車両は偵察しているところを襲撃された。残念だがこの2両の者達は残念だが、選ぶことができないな。何せあれだけ教えた「偵察」の意味を理解していないのだから。これで2対3で1年生が有利。

 残った赤星、赤木の車両は、偵察していた者が発した言葉を聞いた瞬間に現場に急行した。これは大正解。そして「エンスト」していた2両を撃破。そして逃げる1両をゆっくり追い詰めた。そして1年生チームの残存車両はガス欠にて走行不能。これにより在校生の勝利で試合終了となった。

 

 

 試合を見届けた俺はまず1年生のところに向かうことにした。

「エリカ」

「なんでしょうか?」

「1年生のところに行ってきます。あなたは各車両を整備班へ運ぶよう皆に伝えてください。その後隊長室へ来てください」

「わかりました」

 俺は1年生のところに向かった。あの水中戦法は中々だ。しかし使いどころが難しく、メリットよりデメリットの方が大きい。しかしあの状況では大いに有効だ。そう考えながら1年生のところに着いた。

 

 

 

「諸君お疲れ様。中々面白いものが見れて私は嬉しい。しかしそれ以上に悪い点が多く見受けられた。今後それを直していく。それと再度確認するぞ?ここは黒森峰女学院だ!実力主義で半端者は絶対に上には行けない!今日戦った者達は上に行けなかった者達だ。あれが我々の実力と思わないように!。それと今日ここにいるものは特別推薦枠の人間だ。だが関係ない。実力がないものはどんどん切り捨てる。覚悟しておくように。以上だ。遅くなったが入学おめでとう」

 

 

 

 

 

 

 次は在校生だ。先ほどの試合で「選べる者」と「選べない者」を区別した。在校生も知っている暗黙の了解だ。私に名前を言われた者は「選べない」=「戦力外通告」。要は退部だ。そして

 

 

「在校生の諸君お疲れ様。よく頑張ったと言いたいところだが、残念な事に全員が「選べる」わけではない。では今から言う者は部屋に帰って休んでくれ」

 俺は名前を呼んでいく。私に呼ばれたものは、目に涙を浮かべ、下を向いて出ていく。一人ずつ退室してから次の者を呼ぶ。最後の一人が退室し、残ったのは12名だった。

「12名は「選べる」事になった。何を選ぶかは各々に任せる。どうするか答えが出たものは私の所に来なさい。期間は4日だ。では解散」

 

 

 

 

 

 そして12名は全員残ることを選んだ。

 

 

 

 1週間後新1年生が入学式を終え、一般入試で戦車道を希望する人間のテストを逸見隊長に任せ、私は練習試合の予定を組むことにした。練習試合の申し込みはこちらが希望しなくても、勝手気に向こうから申し込んでくる。新体制へ移行しどうなったかの最終テストにちょうどいい。10両、15両、20両での練習試合を各校と行うことにした。勿論それまでにレギュラーメンバーを決定するつもりだ。

 

 

 

 

 「一か月後より他校との練習試合を行う。10両、15両、20両での練習試合を各2試合行う。それまでに再度レギュラーメンバーを選出する。勿論10両の中に選ばれたものがレギュラーだ。勿論今のレギュラーから選出されるのを期待している。そして1年生は死ぬ物狂いで這い上がってくるように」

 

 

 全員の顔を見てから

 

 

 「では始めよう」

 

 その言葉で選出は始まった。

 

 

 

 




嫁「エリカって聞くと、家なき子の「エリカが例えてあげる」ってセリフしか出てこないからダメ」と言われました。

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