私はあの女が嫌いだ   作:yudaya89

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 そっと見守ってください。


第2話「口が悪い?ほっとけ」

 あれから20日後。俺あてに黒森峰から書類が送られてきた。戦車道特別推薦者は規定枠の200倍以上の応募が有ったが、俺はその枠に入れてた。規定枠30人・・・どこかの大学かな?とりあえず一安心したところに担任から

「規定枠30人?違う違う。そこから10人に絞るから。通知入ってなかったか?」

「え?」

「西住流師範との面接、戦車の実技、その他諸々するからな。」

「辞退してもいいですか?普通の入試枠で入りたいです。」

「いいけど・・・せっかくだし、試しに受けてみろよ?受かれば3年間授業料と寮費タダだぞ?」

「ん~~~。タダ・・・か・・・ん~」

「・・・お前見たいなのは初めてだ」

 ため息混じりに言われた。

「まぁ受けてみます。多分落ちますけどね」

「真面目に受ければ受かるさ」

「いつも真面目です」

 担任との話が終わり家に帰り、再度封筒の中身を確認した。あ、「戦車道特別推薦2次案内書」が入っていた。内容は

 

1、西住流師範、西住しほ先生との面接

2、戦車における実技

3、戦車における模擬戦

4、受験生対黒森峰在校生

 

以上4項目を実施。服装は各学校指定制服。実技では各校のパンツァージャケットを着用する事。日程は5日間を予定。

 

「なるほどね。そうそう開催日は・・・・え?明日?」

 

 

「あ~大丈夫大丈夫。こっちで登録しておいたから」

「え~~~~」

「お前の事だからな?こうなるんじゃないかって」

「さっき話していたときに言ってくれれば!!」

「いや~すまんな!!」

「兄貴のバカ!!」

 そう俺の担任は実の兄貴である。霧島幸一 25歳 え?年が離れてないかって?こういう兄妹も居るんだよ。(作者と兄は10才差である)

「お兄ちゃんと呼べ!」

「拒否権だ!!」

「ありがとうは?」

「うぅ・・・ありがとう」

「ヤッ~~~ホ~~~!!」

 は~、いつか蹴り飛ばす!!

 

 

 

 黒森峰高校

 

「霧島エリです。よろしくお願いします」

「西住しほです。今日から5日間頑張ってください」

「はい!」

「では面接を始めます。そんなに時間はかかりません。」

「はい」

「ではあなたにとって戦車道とはなんですか?」

「はい。「自分がこれから先死ぬまでに遣りたい事が全て詰まったもの」それが戦車道です。」

「どういうことでしょうか?」

「例えばクルマの運転をしたい、射撃をしたい、釣りをしたい、チームプレイの競技をしたい、戦術ゲームをしたい、・・・いちいち全てをするは時間の浪費が激しいですが、これを全て戦車道で出来ます。運転も、射撃も、釣りも、戦略も。全て詰まっているのが戦車道です。」

「それだけでしょうか?」

「いえ、もう一つあります。」

「それはなんですか?」

「それは「戦い」です」

「どういう意味でしょうか?」

「剣道、柔道、その他スポーツはあります。これらは昔戦いでした。剣道は剣術で人と人との斬り合い。柔道は元々日本の戦国時代に、組み打ちで敵をたおす実戦的な武術から発展した「柔術」どちらも「人殺し」に用いられてきました。しかし今はルールが設けられスポーツと成り下がりました。金儲け、見世物・・・それに一体何処に「戦い」を感じますか?感じませんよね?しかし戦車道は違う。どんな環境でも実施する、相手を倒すまで終らない、ルールは殆ど無い、そして模擬弾といっても「弾」を打ち合う。これを「戦い」と言わず何といいますか?これほど実戦向けの競技がありますか?ありませんよね?だから私は戦車道をしています。」

「・・・わかりました。これで面接を終ります」

「ありがとうございました」

 

 

 

 

 

 終った・・・♪さぁあとは実技して帰ろう。

 

 

実技にて

「あ~車長以外は出来ると思います。」

 

 

 

 

模擬戦

「「「「よろしくお願いします。」」」」

「貴方達5名でⅣ号戦車で戦ってもらいます。以降このメンバーで模擬戦を行ってもらいます。」

 各々の自己紹介を行い、誰が何をするか決定した。この面子は綺麗に分かれた。しかし問題がある。それは

「あんたあの霧島エリ?」

「どの霧島エリかはしらないけど、その霧島エリだと思うわよ?」

「なぁ!!あの「千里眼の霧島」「鷹の目」でしょう!?」

「ん~多分」

「多分って!まぁいいわ。砲撃手頼んだわよ」

「わかった。それと少し聞いていい?」

「何よ?」

「向こうのチームに同じ学校の人居るよね?」

「ええ」

「どんな人?」

「西住みほ。西住まほの妹よ」

「「「!!!」」」

「そんな~」「勝てないよ」「向こうのチームになりたかった」

「何言ってんのよ!!」

「あんたより西住流の指揮のほうが勝てるっていってるのよ!!」

 2人のいい争いがヒートアップしてきた。同じチームになる他のメンバーも止めに入り始めた。しかし言い争いはむしろ両者に加勢が入った事で燃え上がった。

「とめなくていいの?」

 気の弱そうなメンバーが私に声をかけた。

「いや、もう少し鎮火してから、今入ると飛び火する」

「そっか」

 

 

 

 

 

 そろそろかな?

「ねぇ?」

「何よ!!」

「西住みほってどんなこ?」

「え?」

「どんな子?あなた友達でしょ?ここに来る時仲良く喋ってたしね」

「えっと、普段はおっとりしてて、頼りない、危なっかしい子よ。でも戦車になれば人が変わるわ。」

「優秀?」

「そうね」

「貴方より?」

「そうよ!!!!」

「分かった。じゃあ過去の彼女の戦術、覚えている範囲で教えて全部」

「な!無理よ、あと30分しかないのよ?どうやって戦略を立てるの?」

「こんな言い争いしている暇があるなら教えて。それとも覚えてない?なら仕方ないわね。まぁ西住みほの金魚のフンって言われてもしかたないよね?」

 煽る煽る。彼女を見ると無茶苦茶怒ってた。

「なら言うわよ!!!まず中学一年・・・・・・」

 かなりの早口で彼女は語り始めた。回りの人間も聞いていた。彼女の記憶力は凄まじく、中学1年から3年までの3年間の戦力、戦術を語った。必要な部分を彼女なりにまとめていた。これは日ごろ彼女は西住みほに勝ちたいと努力している証拠だった。このことで先ほどまで言い争っていた他のメンバーの表情も驚きを表していた。

 

 

 

20分後

「はぁはぁ、これで、はぁ、いいかしら?」

「ありがとう。うん。勝てる。じゃあ今から簡単に戦術を言うね。」

「はぁ??」

「今回の模擬戦は4対4の撃滅戦。メンバーが足りないから黒森峰の在校生が両チームに1人ずつ。ここまではあまり関係ない。でも今この現状で彼女とあなたとの差がはっきりしている。」

「それは?」

「信頼」

「え?」

「あなたとあなたは今まで言い争いをしてきた。でも私の一言でこの人が努力家で自分よりも指揮能力が高い事を認識した。他の人も。自分も努力しているがこの人よりしていないことを認識した。ここに居る全員。」

「「「「「「「「・・・」」」」」」」」

「沈黙は肯定なりね。」

「でもみほに信頼が無いってどういうことよ?」

「彼女はすごい。西住流だから。それは信頼じゃあない。必ず実戦でボロがでる。私たちは其処を攻撃すればいい。頼りなさそうな人間が戦車に乗ったら人が変わった。だからこの人は信用できる。そんなのありえないでしょ?」

「確かにそうね。えっと名前は」

「逸見です。逸見エリカ」

「逸見さん。先ほどは失礼な発言をしてしまい、申し訳ありませんでした」

「私も金魚のフンだなんて、申し訳ありませんでした。逸見さんの努力を踏みにじるような事も言いました。」

 エリカと言い争っていた2人が頭を下げた。

「こちらこそごめんなさい」

 エリカも頭を下げる。これで即席のチームでもなんとかなる。そこに

「準備はいいか?」

「あ、いえ・・あの」

「もう少しいいですか?」

「ダメだ。黒森峰では時間内で話し合いを終らせるのが通常だ。話し合いは終っていないのか!?」

「そ、それは・・・」

 逸見は上級生の威圧感に完全に怯えていた。言い返したいが言い返せない。しかたない

「いえいえ。もう勝つ算段は終ってます。」

「ほう~勝つと?」

「はい」

「ではなぜ早く言わない?」

「あと5分で勝率が「100%」の戦術が出来上がるところでしたので」

「本当か?」

「は、はい」

「そうか・・・では特例で5分待つ。しかし本当に勝てるのか?西住流に?」

「楽しみにしていてください。」

「分かった」

 上級生は歩いていった。

 

 

「どういうつもりよ!!あんな自信満々に「勝つ」なんて!!」

「勝てるよ」

「どうやってよ!!」

「あなた優秀でしょ?西住流相手でなければ?」

「それがどうしたっていうのよ!!」

「なら勝てる」

 

 

 

 

5分後

「ではそろそろ始めるぞ」

「はい」

「楽しみにしている」

「観ていてください」

 

 

 

 

 

「「「「「「「「「「「「「「よろしくお願いします」」」」」」」」」」」」」」

 

4対4の殲滅戦方式の模擬戦が始まる。開始の砲撃が鳴り響き、両チームの戦車が移動を開始した。そして開始から3分して

 

「Bチーム、Ⅳ号1号車、戦闘不能」

 西住みほが乗るⅣ号から黒煙があがり白旗が上がった。目に見えぬところからの砲撃。あとは簡単だった。即席チームの弱点はここだ。頭が居なくなれば脆い。頭を先に潰したチームがこの勝負の勝者だ。その後霧島、逸見がいるAチームが4-0で勝利した。

 

 

 

「あ、あの」

「何?」

「霧島エリさんですよね」

「そうだよ」

 模擬戦が終わり、飯を食い、風呂に入って、髪を梳かしているときに声を掛けられた。

「初めまして西住みほです」

「よろしく」

 逸見を交えて今日の模擬戦のことや、雑談に花を咲かせた。

 

「え?この30人って書類選考で決まったんじゃあないの?」

「はぁ?」

 まわりのメンバーからそんな声が所何処とで聞こえた。

「えっと、書類選考で100人まで絞って、そこから中学時代の成績とかから更に絞り込むの。そして黒森峰の隊長と家元で更に絞り込むの。」

「へ~~だから西住まほが来たのか~」

 その発言をした瞬間、まわりの空気が変わった。主に在校生から。

「ちっ「ねぇ?今の話教えてくれない?」」

 在校生が話しに入ってきた。

「貴方のところに西住まほが来たの?」

「来ましたね」

「じゃあなた確定じゃない?次期隊長直々のお誘い?よかったわね♪」

 周りの人間の雰囲気が変わった。そう俺の合格は確定していたのだ。そんな人間と仲良くは出来ない。

「私のところには書類しか来なかった。」「私も」「私も」

「あなたと妹さんは合格でしょ?じゃあ残り8枠に誰が入るんだろうね?明日活躍しないと、「絶対」無理ね~。じゃあ残りのみんな、頑張ってね」

 あ先手を取られたね。これは

「やられちゃったね~」

「そうですね」

「どういう事?」

「なぁ逸見?あと8枠に入らないとダメ。Bチームは今日活躍なし。Aチームはより活躍しなくてはいけない。じゃあいつ活躍する?明日でしょ?明日は何?在校生との模擬戦。」

「そういう事!!さっきの在校生これを狙って!!」

「そう、あの人も必死なの。今1軍は全国大会の真っ最中。多分9連覇は確定。でも自分は母校で来年の新入生との模擬戦相手。勝ってあたりまえ、負ければ最低。そんな状況。」

「でもそれは、あの人の実力じゃない」

「そう、人を陥れてても勝ち上がりたい・・・嫌いじゃない」

「あなた・・・」

「ケンカを売られたら買うわよ。それにあの程度の煽りなんて意味ない。」

「どうしてですか?さっきの在校生の言葉でみんな、私達を敵視してるし」

「大丈夫。それとみほ?」

「なんでしょう?」

「今ここに居たメンバー全員?」

「いえ。30人中16名でした」

「どうして知ってるの?」

「覚えてますから」

「だろうね~じゃあ今日中に全員に知れるね」

「だったら早く対策しないと!!」

「逸見~何慌ててるの?」

「あんた!!何暢気にしているの!!あんたが言ったじゃないの!!信頼がないチームはただの雑魚だって!!」

「逸見うるさい!!」

「何ですって!!もういいわよ!!どうせあんたは確定だもんね!!だからそんなに落ち着いてられる!!そうでしょ!!私達のことなんかどうでもいいんでしょ!!もういいわよ!!」

 逸見は出て行った。

「まるで機関銃だな」

「エリカさん、あれが無ければ・・・」

「まぁ、大丈夫、大丈夫」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日

 

模擬戦開始20分前

在校生と、テスト生との模擬戦前の顔合わせ

「あら~合格確定の2人じゃない?おはよう」

「あ、先輩じゃないですか?おはようございます」

 在校生を見ると全員顔が笑っている。多分彼女がリーダー格だな。バカだね。

「処で後ろのメンバーがあまり元気ないみたいだけど?大丈夫?今から「活躍」しないとダメなのに~」

「だよね~?ダメだよ?ちゃんと眠れた?」

「西住さんもちゃんと寝れた?あまり顔色よくないね~。指揮に影響するんじゃないのかな?指揮がちゃんと出来なくて誰か「無駄」に撃破されるんじゃあないのかな?」

 在校生は周りを見回す。

「いやいや、大丈夫ですよ。みんなコンディション「今から」上がりますから~♪」

「え~どういう意味かな??」

「いやね?さっきから先輩達の言動がおかしいからね?訂正しますね。実は我々30名は黒森峰に「合格」しているんだから」

 その瞬間その場に居た全員から声が上がった。勿論みほからは声は上がっていない。そもそも思い出してよ。確かに書類選考したよね?ここまでは試験だ。でも次に来た書類はなんて書いていたかな?逸見君」

「えっと確か、「戦車道特別推薦2次案内書」だったわ」

「何処に「試験」って書いてるの?書いてないよね~。実はこれには裏があるんですよ先輩。実は30名のうち10名が授業料免状、寮費免除。でも残りの20名はそれらが1/3になるんです。そして、30名全員が一軍予備というか、今の3年生が抜けた場合の最優先枠に入れるんです。約8台分ね。勿論そこでも篩いがけがあるけど、其処に残れば1軍入り。まぁ30名中毎年平均5人だけど。それでも2軍には入れる。よって入学確定なのは30名全員よ?」

「そんなの嘘よ!!」

「そうだそうだ!」

「そりゃそうですよ。ここに居る先輩たちは一般入学。一般入学にはそんなの無い。だからあんなセリフを出してしまった。」

「・・・」

「そして先輩たちは2軍でもその補欠。分かりますか?今先輩達の前に居るのは「黒森峰1軍候補生」ですよ」

 その言葉でみなに火がついた。諦めていた表情に火が灯っていく。

「嘘よ!!そんなの嘘よ!」

「当たり前ですよ。そんな事を言えばみな適当にするでしょう?みなの本来の実力を見るために試験をしているんですよ?勿論適当にしたら落ちますよ?」

 皆のやる気が出来たのが後ろを見なくてもわかる。さて畳み掛けるかな?

「さて先輩そろそろ模擬戦が始まりますよ?こちらには西住みほを筆頭に、先の模擬戦で西住流に勝った「逸見エリカ」がいます。」

「そんな人間相手に勝てるんですかね~。中学生に負けたとなれば、1軍入りどころか2軍入りなんてありえないですよね~。勿論「3年まで」2軍の補欠~。そうそう言い訳できないように先に言っときますね。こちらの隊長は逸見エリカです。西住流は今日はお休み♪」

「舐めるなよ!!」

 在校生からの殺意が私に向けられる。

「え~だって、心理戦も出来ない4流指揮官率いる黒森峰なんて黒森峰じゃないですしね~。そうそう今までこういう模擬戦で在校生は「負けたこと」が無いらしいですよ?今日負けたら先輩達、中学生に負けた黒森峰メンバーって事になるんですよね?先輩達の戦車道終了ですよね~」

 

 

 

 

 模擬戦

「あんな事言って!!あんたどうするのよ!!」

「いつも通り頑張れ~」

 

 

 

 模擬戦は8対8の殲滅戦で行われた。テスト生の隊長は逸見エリカ。開始5分で在校生チームの2両が長遠距離砲撃に晒されて撃破される。

 

 逸見エリカ指揮の下電撃戦を実施し、1両撃破されるが、在校生チームの2両を撃破。しかし残りの4両はしぶとかった。しかし逸見の指揮能力もすごかった。原作ではそんなに指揮能力がいいと思えるところがなかったが、よくよく考えたら名門校の副隊長をみほの後釜だったとはいえ勤めているという事は優秀なんだろう。そして3両残してテスト生の勝利で模擬戦は終了した。

 

 そうそうなんでこの制度の事を知ってるかって?兄貴に聞いた。

「戦車道特別推薦2次案内書?試験じゃないの?」

「試験じゃないさ。でも適当にすると落ちるぞ?」

「どんな制度よ?」

「それはな・・・・・」

 

 とまぁこんな感じに情報を手に入れてたんですよね。言うつもりなかったけど、仕方ないよね。なんで最初に教えてくれなかったのか?と尋ねたところ

「教えたらお前適当にするだろ?」だって、否定出来ない所が悔しい!!

 

 

 




長文になりました。
前編、後編に分けたほうがいいと言う意見があれば
分けます。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。

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