私はあの女が嫌いだ   作:yudaya89

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第14話「決勝」(後編)

 

「何かこの学園に御用ですか?」

「いえいえ、学園ではなく、彼方に用事があるんですよ」

 

 その女子生徒はエリカより少し背が高く、黒髪が綺麗で、ケイと同じぐらいの胸の大きさの

 

「ノンナ先輩」

 

 

 

 

 ノンナと俺は近くの喫茶店へ向かった。もちろん道中は双方終始無言だった。

 

 

 喫茶店へ到着、コーヒーを注文後

「私に聞きたい事とは何でしょうか?」

 ノンナが先に切り出した。

「最近のプラウダに関してお聞きしたいことがあります」

「それを私が答えるとでも?」

「勿論答える必要はありません」

「それで何でしょうか?聞きたい事とは?」

「最近プラウダの隊長さんに何かありましたか?」

「いえ、隊長はお元気です」

「そうですか。例えばですが、隊長が「急遽交代した」や「もしくは副隊長が作戦へ意見を出した」などはありますか?」

「それはお答えでいません」

「なるほど。決勝戦が10日後に迫っていますが、流石にそのような事はありませんよね。でも私気になるんです」

「何が気になるのでしょうか?」

「隊長さんの事が」

「先ほどから我が校の隊長の何が気になるんですか?」

 流石にノンナが苛立ち始めた。いい傾向だ。

「率直に話します。今のプラウダの隊長は飾りですね?」

 ノンナの雰囲気が変わった。

「粛清しますよ?」

 通り名の「ブリザードのノンナ」に相応しい雰囲気だ。勿論これで終わらない。

「見えないんですよ。今回の大会でプラウダ高が行った作戦からは今の隊長の姿が見えない。どんな人でも必ず癖があるんです。でもそれが今までの戦いからは見えない。癖どころか姿も見えない」

「それはあなたの勘違いなのでは?」

「そうかもしれませんね」

「話はそれだけですか?」

「そうです」

「ところで」

「何でしょうか?」

「なぜ私なのでしょうか?」

「どういうことですか?」

「なぜ私にこの話をするのでしょうか?」

「そうですね~。まぁ一言で言えば」

「いえば?」

「秘密です♪」

 彼女の機嫌がますます悪くなった。今かな?

「そうそう、先ほどいった今の隊長の姿が見えないといいましたよね?」

「ええ」

「今の隊長は、赤髪でノンナ先輩より少し背が高く、プライドは少し高め。そして少し大人びている」

「そうですね」

「しかし私が感じたのは」

 さて、何がでるかな?

 

 

「プライドが異様に高く、何かコンプレックスを抱えている。周りに認めて欲しくて堪らない。そう・・・簡単に言うと

 

 

 

 

 

  

 

 

       メンドクサイくそがき」

 

 

 

 この瞬間全てが変わった。先ほどからノンナから発せられていた苛立ち等がなくなり、代わりに「殺意」が私に向けられた。そう、その反応が欲しかった。カチューシャを尊敬、信仰しているノンナの前でカチューシャを馬鹿にするような言葉を発するとどうなるかぐらい分かる。でも流石に怖いな。これは決勝戦私は狙われるな。

「まぁプラウダ高の生徒が違うというのなら私の勘違いでしょうから、気になさらず軽く流してください。そろそろ定期便の時間なので私は失礼します。あ、ここの代金は私が持ちます」

 そういって伝票を取ろうとした瞬間、ノンナに手を捕まれた。俺の手をつかむ強さはかなりヤバイ。

「客人に代金を出さすのは我が校の恥です。こちらで清算しておきます」

 分かったから放せよな。

「分かりました。ではお言葉に甘えます。それでは失礼します」

 そういって俺は喫茶店を出た。俺が出た瞬間彼女の口がロシア語で何かを呟いているのは分かったが、内容まで知りたいとは思わなかった。

 

 

 

 俺は黒森峰までの定期便に乗り込みデッキでコーラを飲みながら先ほどのノンナに関して考えた。カチューシャが裏にいることは確定した。多分今の隊長とカチューシャの作戦がミックスされて決勝戦に用いられる可能性も出てきた。この情報はかなり重要だ。そしてその戦いで俺はノンナに狙われる事も分かった。多分5両ぐらいで俺を潰しにくるだろう。何故なら最後俺を見る目は殺意しかなかった。もしもあれが決勝戦の対戦校の副隊長でなければ、人が多い喫茶店でなければ・・・俺は殺されていただろう。俺はここに来て自分が何に喧嘩を吹っかけたかを後悔した。だが

「それがどうした?」

 喧嘩を売られたなら買う。これは前世からの俺のスタイルだ。

「かかってこいよデコッパチ。お前のデコに我が校の紋章を焼印してやるよ」

 

 

 

 

 帰還後

「何か有効な情報はあるか?」

 隊長室に入った瞬間に隊長殿から質問された。俺はプラウダの情報とそれから考えられる情報を伝えた。

「我が校対策か?」

「それで間違いないかと。しかし今の作戦内容を少し変更するだけで良いと考えます」

「なぜだ?」

「今から変更するのはかなりのリスクが生じます」

「そうだな。偵察ご苦労。報告書を明日までに提出しろ。それとお前と西住みほは本日付けで副隊長だ。逸見は副隊長補佐だ。これは本家への承認ももらっている。意義異論は認めない。わかったか?」

「・・・」

「返事は?」

「霧島エリ、副隊長拝命承ります」

「うむ。下がってよし」

「はい。失礼します」

 

 

 

 

 

 

 今日が今まで(前世込み)でもっとも最悪な日になった。殺される感覚と殺したい感覚、両方味わえる日はそうそうないだろうな!!!

 

 

 

 

 決勝戦

 

 

 当初我々黒森峰学園が有利に事を進めていた。プラウダ高の車両を5両を撃破した。しかし隊列が少し延びた所を狙われ我々は3つに分断された。被害は5両失う形になった。流石がカチューシャ。少しの隙をも狙ってくる。

 西住まほ隊長率いる部隊  6両

 西住みほ副隊長率いる部隊 5両

 霧島エリ副隊長率いる部隊 4両

 

 原作通りまほとみほがプラウダを挟撃する手筈とすると無線で話していたが、ノンナ率いる5両の戦車に強襲を受け、その上原作通り、大雨となった。無線は通じず、部隊の挟撃をサポートできない状態になった。

「くっそったれが!!あのアマ!!」

「副隊長どうしますか?」

「集合地点は何とか無線で拾えたが、時間が分からない。さっさとこのゴミ共を始末しないとどうしようもない!!」

「しかし!!この雨では!!」

「分かってる!!おい!!10号車、18号車、20号車!!聞こえるか!?」

「「「何でしょうか!?」」」

「ここで潰すぞ!!気合入れろ!!」

「「「「ヤヴォール」」」」

 今日俺はいつも乗っているパンターではなくティーガーII に乗車していた。もしパンターならかなり状況的にヤバイかもしれないが、ティーガーII なら問題ない。余裕で装甲は抜ける。こればかりはみほに後で礼を言わないとな。

 

 

 

 

 刻一刻と時間が過ぎる。相手はこちらの足回りの破損を狙っているみたいだが、今の状況は大雨。地面は泥濘のため足回りへのダメージは少ない。おまけに操縦士のスキルがかなり高く、殆どミスがない。俺はずぶ濡れになりながら外の状況を先輩達に伝える。そして1両、また1両と撃破していく。

 

 

 相手を2両まで減らしたところで俺は

「相手の車両の後ろに回りこめますか?」

「今の状況なら可能です」

「なら合図で回り込み開始お願いします」

「了解」

「20号車!!そっちは任せた。必ず撃破しろ!!

『了解!!10号車!回り込め!!』

 

 

 そしてノンナが砲手をしている車両に対し、原作の最終回で四号がした敵車両の後ろへの回りこみを指示した。車両は横を向き俺の狙ったところへ回り込み

「発射!!!」

 そして敵車両は白旗を揚げた。

「よし!!次は」

 

 俺は次の指示を出せなかった。完全な油断か?それとも偶然か?敵プラウダ高車両が横からティーガーII へ突っ込んで来た。俺は空中に放り出された。通常は放り出されないように手足で体を固定している。しかし大雨で足元が濡れていた。そして次の指示を伝えるため片手を離していた。これらの要因が重なった事で俺は外に放り出された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は仰向けで地面に寝転んでいた。足は・・・駄目だな。左足が曲がっていけない方向に。でも動く。ということは首は大丈夫だな。手は・・・左肩から先の感覚がない。右は・・・問題ないな。しかし肋骨が何本か逝ったな。肺に刺さっていないことを祈ろう。そうこうするうちに

「副隊長!!」

「触るな!!おい何でもいい!!雨をさえぎるものを!!」

「大会本部に連絡を!!」

「大丈夫ですか!!」

 うるさいな!!

「おい」

「副隊長・・・?」

「じょ・状況報告」

「え?」

「二度言わせるな。状況報告」

「え・・・あの、敵5両撃破。こちらは10号車が撃破され、20号車がエンジン破損、ティーガーIIも足回りの破損でリタイヤです」

「分かった。では・・今からT地点・・急行するぞ」

「しかしその体では無理です!!今から救護班「聞こえなかったか?」・・え?」

「私を乗せてT地点・・急行。時間・・・行くぞ」

「副隊長!!」

「これ・・命令だ。次は・・・無い」

 俺は痛みに耐えながらも命令する。多分折れた肋骨が肺に刺さってるみたいだな。しゃべりにくい。たが、

「行くぞ。運べ」

 今の俺の体がどうなっているかなど、どうでもいい。負けるわけにはいかない。挟撃は向こうにばれている。原作通りならT地点へ急ぐしかない。原作通りにこのまま負けるわけにはいかない。俺の夢を壊されるわけにはいかない。残った18号車に俺は装填士に運ばれながら戦車に搭乗した。

 

 ティーガーIIは撃破されていたが、撃破前に俺は落下したため、ルール上他の車両への乗車は可能だ。

 

 

 

 

 

 

 

「もっと急げ」

「これが最高速です!!」

 泣きながら叫ぶ操縦士。

「もうすぐT地点です!!」

 泣きながら報告する通信士。

「砲手・・交・・・代」

 泣きながら黙って交代する砲撃士。流石にもうそろそろ意識がヤバイ。

「お願いします。もうやめてください」

 泣きながら懇願する装填士。

「私が・・・砲撃す・・いま・・で・・いち・・はやく・・しろ」

 右手が無事でよかった。

 

 

「みえ・・・・砲・・・」

 もう声が出ない。目も霞む。でも右手は動く!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あとから話を聞いたところ。俺は3発砲弾を打ち。原作でみほを討ち取った敵戦車2両を撃破したそうだ。1発は装甲で弾かれたとの事だ。敵車両が砲撃する前に撃破したため、原作の増水した川に車両が転落するという事件は発生しなかった。

 

 

 そして我が校は10連覇という偉業を成し遂げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 試合終了後周りが喜びに慕っている中霧島副隊長が率いていた部隊の隊員達のみ何か様子が可笑しい事に気付き始めた。誰も笑わない、喜ばない。逸見副隊長補佐が話しかけると

「居ないんです。どこにも」

「そう何処にも」

 無表情でそう呟く隊員達を見た逸見はただ事じゃあないと感じ、隊長報告した。そして

「居ない。何処にも、どうして・・・」

「何で・・・いない・・・」

「誰が居ないんだ!!」

「副隊長・・・」

「みほ!!!」

「お姉ちゃん!!エリちゃんが居ない!!」

「何があった!!!」

 黒森峰は10連覇を達成した余韻に浸ることなく、霧島エリ副隊長の捜索を行うことになった。その後何とか状況を聞きだした関係者はすぐに自衛隊へ協力を仰いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 試合後

 霧島エリ副隊長の車両および同伴していた車両隊員の証言。

霧島副隊長は3発の砲撃を行った後、

「2両はこのままみほのと合流の後指揮下に入れ。私が負傷したことは黙っていろ。私をここで下ろせ。これは命令だ」と言い放った。また「私のことを聞かれても撃破されたと答えろ」とも言い放ったと。そして「自分自身」で車両から降りたそうだ。

 

 それを見ていた隊員は

「何であの状態で戦車から降りられたのか分からない。絶対にあり得ない。もう何がなんだか分からなくなり、副隊長に敬礼しながら西住副隊長の下に向かった」

 

 

 流石にこれを聞いた学校関係者はカウンセリングが必要と思われたので専門家を招き治療を行った。

 

 話を聞いた専門家曰く

「隊員達は一種のパニック状態になっていたかも知れない。状況が状況だけに。しかし・・・霧島エリさんの状態は私には判断つかない。ただ可笑しいところがありまして、

①彼女はあの時点でしゃべれるはずがないというところですね。肺に肋骨が刺さっている状態でここまでしゃべれるのは可笑しいです。それもハッキリとしゃべている時点で。

 

②隊員達は皆揃ってこういいます。「副隊長は戦車から「自分自身で」飛んで降りて着地した。いつも通り両足で」・・・

 無理なんですよ普通なら。彼女たちの話からこの時点で霧島エリさんの足があさっての方向を向いているのは分かります

 

③そして下車した場所より100mはなれたところで彼女は回収されていた。

あの状態で歩くことはまず不可能です。歩くたびに激痛が走っていたはずですから。

 

 

  以上の事から事件の発覚が遅れたのは、異様な状況下での霧島エリの考えられない言動により、隊員達は一種のパニック状態もしくは催眠状態になったことが原因と考えられる」

 

 

 

 

 

 

 

 




E3攻略中。

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