前回、翔鶴さんに鎮守府の案内をしてもらった私。
司令室を訪ねると提督さんがいないことに気がつきます。
赤城さんの話ではどうやら提督さんは工廠にいるとのことめした。提督さん、いったい何しに行ったのかしら?
side上条
よっ!上条さんだ。
俺は今工廠に建造しに来てるんだが…。
「う~ん…。どうすっかなぁ…」
絶賛悩み中なのだ。
「あ、提督、いらしてたんですね。どうしたんです?そんなに唸っちゃって」
そこにひょっこりと明石が顔を出した。
「おぉ、明石、いや、建造をしようと思ってるんだがどの艦種を狙おうかと悩んでてさ…。」
それを聞いた明石は何かを閃いたようにポンッと手を叩いた。
「それなら提督、大形建造をしてみては如何でしょう?」
その言葉に俺は首を傾げる。
「なんだ?その、大型建造ってのは…」
俺のその質問に明石は待ってました!とばかりに説明を始める。
「大型建造というのは通常の建造では創れない艦娘を建造することが出来る建造方法です。一般的に有名な大型艦娘ですと『大和』等が挙げられますね」
「へぇ、あの戦艦大和まで艦娘になってるのか。よし、そんじゃ面白そうだからその大型建造ってのやってみるか」
「分かりました!それじゃあこの用紙に記入をお願いしますね」
そう言って一枚の紙を渡してくる明石。
俺はそれを受け取って目を通すと固まった…。
「あ、あの、明石さん?」
「はい?どうしました?急にさん付けで呼ぶなんて」
「いや…この紙、なんで記入欄が四桁になっているんでせう…?」
「あぁ、それは大型を造るんですから資材が多くいるんですよ」
平然といい放つ明石に俺は戦慄した…。
これはヤバイだろ…。こんなに資材使ったら艦娘が増える前に資材が底を付いちまう…。
「一回だけにしておくか…。」
俺は紙に適当に数字を書き込んでいく。
燃料:4000
弾薬:7000
鋼材:7000
ボーキサイト:2000
高速建造材:使用
「これでいいか?」
記入した用紙を明石に渡す。
明石はそれを受けとり確認すると…。
「はい、オッケーです。それじゃあ妖精さんお願いしますね」
『マカセテ!』
そう言うと妖精さん達は工廠の奥に消えていった。
「建造が完了するまで少しかかりますから待っていてくださいね」
「あぁ、それはそうと明石さん?少し聞いてもいいでせう?」
「なんですか、せうって…。何を聞きたいんですか?」
俺は資材の在庫が書いてある紙を明石に見せて言う。
「この大型建造高速建造材10個も使うのかよ!」
「はい、使いますね」
「なんで先に教えてくれないの!?」
まだ在庫に余裕があったから良かったけどさ!
「教えるよりやってもらった方が覚えやすいでしょう?」
「それで資材が減ってたら元も子もねえじゃん!!」
それでも素知らぬ顔をする明石に俺はため息をつく…。
「はぁ…。まあいいか、後は普通に建造したいんだけど、これでいいか?」
俺は先程の用紙とはまた別の用紙を数枚取り出し明石に渡す。
「通常の建造ですね?分かりました。こちらも高速建造材を使用するんですね?」
「あぁ、頼むよ」
「分かりました。それじゃあ妖精さんお願いしますね」
『ハーイ!』
するとさっきとはまた別の妖精さんが現れると奥に消えていった。
「私は受付にいますから何かあれば声をかけてください」
それだけ言うと明石はその場を去っていった。
「はぁ…。不幸だ…」
一人になってから俺は一言呟くのだった。
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建造が始まって待つこと数分…。
俺が完了するのを待っているととつぜんこえをかけられた。
「やっぱりここにいらしたんですね。提督」
「赤城さんの言ったとおりでしたね、ふふっ」
その声に振り返ると翔鶴と鹿島がこちらに来ていた。
「おぉ、二人ともどうした?」
「いえ、司令室にお邪魔したら赤城さんがここだと言っていたので
「なるほどな…。」
と、そこに妖精さんが一人現れて教えてくれた。
『スベテノケンゾウガカンリョウシマシタ!!』
「お、出来たのか、それじゃ二人ともまた後でな!」
「はい、それじゃあ鹿島さん、行きましょうか」
「はい!翔鶴さん」
俺は二人と別れ奥へと入っていった。
「よし、まずは一人目…。あの大型建造の部屋から…」
ゆっくりと扉を開けるとそこにいたのは…。
「私が、戦艦長門だ。よろしく頼むぞ。敵戦艦との殴り合いなら任せておけ。」
長髪の武人肌の女性だった。
なんか出会ったばかりの頃の神裂を思い出すな…。
「俺は上条当麻、一応ここの提督をやってる。よろしくな、長門」
俺は長門に手を差し出す。
「あぁ、よろしく頼むぞ。提督」
長門もそれに応えて握手してくれた。
「さて、次の所にも挨拶してこなくちゃな…。長門、悪いんだけどもう少し待っていてくれ」
「分かりました…。」
その返事を聞き、俺は次の部屋へと向かった。
「さて、次の部屋、オープン!」
二つ目の部屋の扉をゆっくりと開ける…。そこにいたのは…。
「航空母艦、加賀です。貴方が私の提督なのね?それなりに期待はしているわ…。」
赤城姉に良く似た青い弓道着を身に付けた女性だった。
ってか、声がインデックスのやつに似てるんだが、なんでだ?
インデックスもこのくらい大人しけりゃ可愛げがあんのに…あの大食らいめ…。
「…私の顔に、何か付いていて?」
俺が思考の海に浸かっていると加賀のそんな声が聞こえてきた。
「あ、あぁ、悪い悪い…。ちょっと見惚れちまってた…。」
「…そう」
ん?あれ…どうしたんだ?加賀の奴…。
言葉は冷静なのに顔が赤くなってる気がするんだが…。
「ひょっとして、体調悪かったりするか?」
「え?いえ、特には…。どうしてそう思うの?」
「いや、顔が赤いから熱でもあるのかと思ってよ」
そう言うとバッ!と顔を両手で隠す加賀…。
「えっと…大丈夫か?」
「大丈夫よ…。何も問題ないわ…。」
平然と言う加賀に俺はなんとか納得することにした。
「分かった。とりあえず、他のところに行ってくるから少し待っててくれ」
「分かったわ…。」
そう言うと俺は三つ目の部屋に向かった。
「ここが三つ目…。さて誰がいるか…。」
ゆっくりと扉を開け中に入っていく…。
「扶桑型戦艦姉妹、妹の方、山城です。あの…扶桑お姉様…見ませんでした…?」
黒髪長髪の女性がいた。
「悪い…。ここにはまだお前の姉ちゃんは居ないな…。」
「そうですか…。姉様がいないなんて…。不幸だわ…。」
あからさまに落ち込む山城に俺は戸惑う…。
というより、コイツ俺とおんなじこと言ってるぞ。
元気付けようと声をかけようとするが…。山城が放つ負のオーラに負けて俺は口を開けなかった…。
心のなかで謝罪すると俺は最後の部屋へと向かった。
「さて、最後は誰だろうな…。」
出来れば山城の姉ちゃんだといいんだが…。
扉をゆっくりと開ける。そこにいたのは…。
「扶桑型戦艦姉妹、姉の扶桑です。妹の山城共々よろしくお願いしますね…。」
山城が先程言っていた艦娘がいた…。
助かったぁ…。アイツの対処どうしようかと思ってたからな…。
「あぁ、よろしくな!扶桑…。それじゃあ全員に挨拶したことだしお前達の寮に案内するから着いてきてくれ」
そう言うと俺は最後の部屋を後にし他の者達と合流すると寮に向かっていくのだった。
上条さんだ!
新艦娘達を寮に案内して1週間。
そこに大本営から手紙が届いて…。
次回、上条艦隊、出撃します!
幻想殺しと艦娘が交差するとき、物語は始まる!