龍が如く 幻想郷に集まりし英雄達   作:ガリュウ432

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間が空いてしまったことをお詫び申し上げます。
さて、この話で第三部『紅魔』が終了します。
そのため今回はいわゆる章ボスになります。相手は・・・、
まあ秘密です。


6章 「裏で手を引く者」

ー翌日ー

 

ー紅魔館 庭ー

 

「さて、同行者の話だったな。」

 

「ええ。」

 

朝食を終えて、出発前に同行者を同行させてくれる話の結論をだしてくれる見たいだ。

 

「美鈴。」

 

「お呼びでしょうか!」

 

「彼らの異変調査の同行者として行きなさい。いいわね。」

 

「かしこまりました。えーと、品田さんとタツさん、それと橙さんですね!よろしくお願いします!」

 

「うん。よろしく。」

 

「しっかりやるようにな。美鈴。」

 

「勿論です!」

 

「さてと・・・、品田。あいつの式の式がいる目の前で言うのもなんだが・・・。ひとつ忠告しておく。」

 

忠告・・・?

 

「どういうこと?」

 

「簡単なことよ。・・・八雲紫をあまり信用しすぎない方がいい。」

 

「?」

 

「え・・・?」

 

橙ちゃんも驚く。無理もないか。

 

「橙と言ったわね。・・・考えてご覧なさい。賢者とあろう者が、多数の外来人に異変解決を求めている。・・・妙だとは思わないかしら?」

 

確かに昨夜、俺は異変の概要についてレミリアに説明したが・・・。たしかに不思議だ。

 

「紫様曰く、『切り札』を守るためによんだと・・・。」

 

「だとしても、よ。外来人が来ることがあっても、多すぎるわ。・・・ま、これ以上言うといらぬ不安を招くわね。でも品田、あまり信用しすぎない方がいいのは事実よ。」

 

「ええ。一応頭に置いときます。」

 

「・・・ところでタツはどうしたんだ。」

 

「・・・え?っ!?あれ!?タツ!?どうしてそんなにぐったりしてるの!?」

 

「ゼェ・・・ゼェ・・・ッ!?カハッ!」

 

想像以上にしんどそうだ。

 

「霊力をどこかで使ったんですか?」

 

「いやっ・・・そういうっ・・・わけっ・・・では・・・!?」

 

バタンッ

 

「ちょっ!?タツ!!」

 

いかん、これは重症だ。

そっと抱き上げたその時、突然タツが何かを拒むように暴れだした。

 

「あぁあああああああぁああああああああ!?アタマニ!!アタマニナニカガァアアアァアアア!?」

 

「タツ!!タツ!!」

 

ちがう!これは霊力の使いすぎなんかじゃない!!

 

「タツさん!?まって!落ち着いて!!」

 

「アアアアアアァァアァァアァア!!??」

 

ガクンッ

 

「・・・!!タツ!」

 

ヒュー・・・、ヒュー・・・

 

「・・・よかった息はあるみたいだ。」

 

「・・・そうか。しかし何だったんだ。」

 

「お嬢様、さきほど何かを拒むように暴れていましたが・・・。」

 

「・・・ああ。恐らく催眠の類だ。」

 

そうレミリアが呟いたその時、

 

ズドッ!!

 

「がぁっ!?」

 

「うわぁ!?」

 

突如タツを中心に衝撃波が起こった。近くにいた俺と橙ちゃんが吹っ飛ぶ。

 

「・・・。」

 

「あいっててて・・・。」

 

「うぅ・・・。あ、品田さん・・・。タツさんが目を覚ましたみたいです。」

 

「ああよかった。目を覚ましたんだね。タツ、出発するy」

 

ドンッ

 

「っぶなぁ!?」

 

突然タツから発された弾幕。間一髪で避けられたが危なかった。

 

「・・・シナダタツオ・・・。センメツ・・・タイショウ・・・。」

 

「品田辰雄・・・殲滅対象・・・!?」

 

どういうことだよ!?

 

「ちょっタツ!!冗談にしてもタイミングがあるでしょ!あとタチが悪い!」

 

しかしタツは耳を傾けず臨戦態勢をとる。

 

「品田!タツはもう謎の催眠状態になってるわ。・・・少し荒っぽくなってもいいから目を覚まさせてあげなさい。」

 

レミリアからの指示。

 

「・・・ああ分かったよ!後悔しても知らないからな!タツ!来い!」

 

「・・・・・・!!」

 

狂乱の弟子

タツ

 

・・・催眠状態にあると言っていたな。・・・ひょっとしたらこの魔除けの刀が通用するかもしれないが・・・。霊か妖術系による催眠状態の場合だけかな。

 

「・・・物は試しだよな。」

 

魔除刀 桜吹雪を取り出し構える。

 

「メッセヨッ!!!」

 

何者かに操られているタツはいつものタツからは考えられないほど素早く、品田でさえも見切ることが困難な攻撃を繰り出してきた!

なんとか間一髪で刀で受け止めることが出来たが、バランスを崩してしまう。

 

「ぐっ・・・!!」

 

「マダマダァッ!!」

 

右斜めしたからの横腹への攻撃。

品田をそれを肘打ちで打ち返す。

拳と肘のぶつかり合い。割とどちらも痛い衝撃だ。

 

「ガッ・・・!?」

 

「うぐっ・・・!少し痛いけどっ・・・!その隙を確実に狙うッ!!」

 

思わぬ拳への衝撃に耐えられなかったタツの緩んだガードを逃がさずに、一閃で斬る。

 

ズバァッ!!

 

「ガアアアアァアァアァッ!?」

 

「ビンゴ!どうやら霊か妖術系の催眠なことは違いないみたいだ!」

 

「ということは品田、分かるわね?」

 

「もちろん。できるだけ傷つけずに催眠だけとっぱらえってことだろ?レミリア。」

 

「その通りだ。・・・大事な弟子、救ってやれ。」

 

「・・・言われなくとも。」

 

「グウッ・・・!!キサマァアアアアア!!!」

 

グアアッ!!

 

なっ!?雷神刀!?まさかそれを使ってくるとは!!

 

ガキィッ!

 

バリィッ

 

「ぐああっ!?くそ・・・っ!!」

 

雷神刀の電流が桜吹雪を伝ってこっちに流れてくるようだ・・・!

下手に鍔迫り合いをしてしまうとジリ貧で俺が先にやられてしまう・・・。手に痺れを感じ、思ったように動かせない。

 

「クラエッ!!」

 

真っ直ぐに突き出したサイドキック。

品田は麻痺の影響で動かせず、モロに食らってしまう。

蹴りの勢いは凄まじく、紅魔館の壁に激突した。

 

「がはっ!?・・・ぐうっ・・・。催眠をうけてるとはいえ・・・っ、強くなったね・・・っ、タツ・・・!」

 

「オオオオオオオッ!!」

 

すかさずタツは追撃に入る。

 

「・・・ぐっ・・・甘いよっ!!」

 

蹴りの影響か麻痺が緩まった品田は間一髪で避ける。

そして、首根っこをつかみ、そのまま身体を押してバランスを崩させ、刀で斬りかかる。

 

「ッ・・・!タヤスイッ!!」

 

「そっちは引っ掛けだ!」

 

避けた方向に拳を突き出す。腰の捻りで威力をできるだけ底上げしている。

 

「ガッ・・・!!」

 

「そこだァっ!!」

 

ズバァッ!!!

 

「グアアアアァアァアアアアァ!?!?」

 

よし!2発目も入った!

・・・だが、ダメージ自体はタツの体に入ってしまう・・・。

 

(このまま攻撃を続けたら、タツの体が持たない・・・。『霊本体が出てきたところを叩く』しかないのか・・・?)

 

「グ・・・。キサマァ・・・!」

 

しかし、充分に効いているようで、タツの身体に痺れがくる。

 

「・・・チャンス・・・!でも、これ以上斬る訳には・・・。」

 

その瞬間、品田は閃いた様子で目を見開く。

しかし、直ぐに眉を顰める。

 

「女の子の体に、打撲の傷をつけるのは気が乗らないけど・・・。『これしか無さそうだ』・・・!」

 

そう品田は呟き、刀を『180度まわす』。

そう、峰打ちの形にしたのだ。

 

「刀身に魔除の力があるから、峰でも問題は無いはずだ。・・・タツ・・・、今までよりも別のベクトルで痛いけど・・・。ガマンしてくれよ!」

 

峰を相手に向けて振られた桜吹雪は、タツの左腕にヒットし、ガヅンッと鈍い音を鳴らす。

その刹那、タツから何かが抜けていく。

 

「霊・・・ッ!」

 

タツに取り付いていた霊はそそくさと逃げ帰るように、空へ飛ぼうとする。

 

「品田!やつを逃がすな!」

 

レミリアが、品田に対して叫ぶ。

やつを逃がすと二次被害の恐れがあるからだ。

 

「分かってるさ!これでっ!トドメだァッ!!!!!!」

 

品田は刀の柄の部分を『槍投げの要領で持ち、持ち前のコントロールと肩力で思い切り刀を投げ飛ばした!!』

 

ドスウッ!!!!!!

 

「ギャアアアアアアアアアアッ!!?!!?」

 

ドシュウウウウウ・・・

 

「悪霊退散ってね!」

 

ーMISSION COMPLETEー

タツに憑いている悪霊を祓え

 

「う、・・・ぐ・・・。」

 

「タツ!大丈夫か!?」

 

品田は倒れかけたタツをだき抱える。

橙も心配そうにタツを見つめる。

 

「う・・・、うぇっ!?し、品田さん!?」

 

「良かった、なんともないみたいだね。」

 

「は、はい・・・、な、なんともないですけど・・・、この体勢はすこし・・・。」

 

「?ああごめんね、腰に悪いね。」

 

「そこなんですか・・・?」

 

橙が明らかに違うというような口調で言う。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ー博麗神社へと続く道ー

 

紅魔館でタツに簡単な手当をして、博麗神社へ向かう。

同行者として増えた美鈴が不思議そうに呟く。

 

「・・・しかし、タツさんは『丈夫』ですねぇ。妖怪とはいえ、刀に2回切られてここまでピンピンしてるのも珍しいですよ。」

 

それについて聞かれ、タツは頭を掻きながら

 

「私、師匠のところで修行してた時、師匠に体の丈夫さだけは褒められてましたから。」

 

「霊力の扱いは下手なのにね。」

 

「ちょっ!!そこは関係ないじゃないですかぁ!品田さんっ!!」

 

「どうかなぁ?俺はわかんないけど、体力と霊力に関係はあるかもよー?」

 

「あはは、ないとは言いきれないかもしれませんね。」

 

笑いながら美鈴が言う。

 

「ま、何はともあれタツさんが無事でよかったです!」

 

橙がタツに向かって笑顔で語りかける。

 

「ええ!先輩も、ご心配をおかけしました!私、これからも頑張ります!」

 

「はい!一緒にがんばりましょう!!」

 

・・・2人が最初あった時どうなるかと思ったけど・・・。

いい先輩と後輩の関係を築けてるみたいだ。

しかし、タツが霊によって操られたこと・・・。つまり霊をとりつかせたヤツがいる、ということになるな。これは何か手がかりになりそうだ。紫さんに伝えた方がいいかもしれないな。

・・・そういえば、他の人達はどんな感じなんだろうか・・・。

無事を祈って、今はひとまず博麗神社に戻ろう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

暗い空間の中で女が2人座っている。

そして、唐突に一人の女が呟く。

 

「・・・まさか、魔除刀を持っているとはね。霊を取り付かせて操るのは楽だけど、弱点が多いのよね。」

 

「だから言っただろう。慣れない方法で操るんじゃないって。」

 

「まあそう言わないでくれよ。実際、足止め程度にはなったんじゃない?」

 

「・・・だといいんだがな。よし、そろそろ私たちも準備をしよう。」

 

「ああ。外来人なのに強大な力を持った化け物が来るそうだからね。・・・行きますか。」

 

その2人の女は立ち上がり、向かってくる外来人の相手をすべく、準備に取り掛かった。

 

 

第三部 『紅魔』 〜完〜

 

to be continued…




ー次回予告ー
「・・・そういや、出る前に秋山のやつが言うてた俺らのことを狙うてるやつがおるってのは・・・。」

「まあ、そうと見て間違いないだろう。私達は一応異変解決に向けて動いているが、相手方も黒幕がわかっていない。そんな状況でちょこまかと動いていたら警戒せざるを得ないだろうな。」

「なるほどのう。・・・ところで藍、目的地はどこや?」

「この山のてっぺんだ。・・・お前は飛べない以上、徒歩になるが構わないか?」

「構わんで。雪山やないぶんまだマシや。」

「・・・天と地ほどのさ後あるなおい・・・。」

次回 第四部 『風神』

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