アンブレラの研究員が異世界へ 作：自信が無いんだもの
ベルモット好き
さて、あの余計な一言を言ってしまった次の日の話でもしようか。
次の日、私はウイルスを置いてない方のマンション……いわゆるダミーの方で生活をしていたのだが。午後1時位だったかな？…に、いきなり部屋の扉が開いてね。黒ずくめの人間――あとから調べてわかったがコードネームは「ベルモット」と言うらしい―が家に入ってきてな。部屋の鍵を開けていた記憶なんて無かったものだから少し驚いたよ。
そしてそのベルモットとやらがいきなり拳銃を向けてきて、色々と質問された。
少しの間質問に答えていると、どうやらあの時の、モールの人質だった演技女性だった様だ。
ふむふむ、なになに…要約すると私が何者かって質問という感じだろう。
うーむ……私が何者か、難しい質問をするものだな。だがまあ無難に研究員とでも答えておけばいいだろう。そう思い、「ただのしがない研究員さ。」と答えたのだが、納得してくれるはずも無く――……
頭に拳銃を押し付けられたので、このままでは撃たれるのも時間の問題と思った私は強硬手段にさせてもらった。
そのマンションの窓――18階から飛び降り、危機を脱出したのである。
さて、なぜ私がこうも元気に生きているかというと、私はＴ-ウイルスの適合者だ。
もっと詳しく言うと、Ｔ-ウイルスそのものを取り込んだ訳では無い。だから知能の低下も見られないし、ましてやゾンビなんてこともない。
私が取り込んだものはＴ-ウイルスとワクチンを合わせてウイルスを弱体化したものだ。故に感染力は無く、知能の低下や身体能力の強化、身体の腐敗もないという訳だ。
なら何故取り込んだのか？その理由は、少なからずメリットがあるからだ。
この弱体化させたウイルス―L-ウイルスとでも呼ぼう。このＬ-ウイルスは摂取したとしても身体的な影響は無いに等しいが、一つだけあるにはあるのだ。それは自己治癒力、自己修復力、などが少し強化されるのである。
これといって目を見張るほどの再生力は無いが、それでも通常の3倍程の再生力を手に入れられる。
例えば全治6ヶ月の傷を負ったとしよう。それが2ヶ月と少しで治る。という訳だ。
流石に致命傷などは死んでしまうが、何年掛かろうと治るものはある程度早く治る。
と、言うわけで18階からならば頭から落ちなければ大丈夫だろうと思い飛び降りたというわけだ。
案の定、下半身はなかなか見苦しい事になってしまったが、３ヶ月もすれば完治するだろうし、1ヶ月安静にしておけば車椅子での移動も可能だろう。
しかし、問題はまだある。むしろここからが本題だ。何故かあの日以来執拗に黒の組織―と言うよりベルモットに付け狙われてな。組織自体は私が死んだと思っているらしいが(飛び降りてすぐに裏の知り合いに頭の潰れた遺体を持ってきてもらい自分とすり替えた)ベルモットには死んでいないことがバレており、結構な頻度で会いにこられるのである。
そして最低でも1ヶ月は安静にしておかなければならないので逃げるに逃げれないと言う厄介と共に、
不機嫌にさせると拳銃を向けてくるのが悩みだ。
そして1度何故組織に私が生きていることを報告しないのか聞いたところ「ふふ、秘密よ」といって言って教えてもらえなかったので謎である。
私としては殺されるくらいならウイルスに感染させてやる位の意気込みはあったのだが、ベルモットを見るに使う機会はなさそうだ。
しかし本当に厄介だ、なんせウイルスの存在がバレるかもしれないのでなかなかウイルスを置いている方のマンションに行けないのだからな……
「はぁ…全く、君は私に何を求めているんだい？何のメリットも感じられないのだが…。」
ベルモットの行動にメリットを見いだせないので聞いてみた、すると「あら、私は少し貴方に期待してるのよ？なかなか腕の良さそうな科学者ですもの」と言われた。
「君は私に何を求めているんだい？」
「秘密よ。」
「君は秘密が多いな？」
「A secret makes a woman woman.」
そう言ってウインクをしてきた。
「…そうかい。わかったよ。」
そう言って私は大きくため息を吐いた。
ああ…全く持って面倒なことになった。
※ネタバレ要素あり(アニメでは多分まだ)
ベルモットは宮野家(灰原と灰原の両親)を嫌っています。その理由は詳しくは明らかになっていませんが、宮野家の研究していた薬を投与され、体が20～30代のまま成長しなくなったから、らしいです。
なのでオリ主なら治せるんじゃ？と言うほんの少しだけの期待を胸に―という感じですね。