この素晴らしい世界に龍玉を!   作:ナリリン

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タイトルを見てお察しの通りの話です。オリジナルです


第十話

ウィズとの一件があった日から数日。

 

カズマ達といつもの様にギルドで食事をしていた時だった。

 

ふとカズマが。

 

 

「なぁヒデオ。お前チートでサイヤ人になったんだろ?」

 

 

特典について聞いてきた。

急にどうした?

 

 

「ん?あぁ。混血らしいが、見ての通り尻尾もあるし、身体能力も他の奴と比べて高い。それがどうかしたか?」

 

「あぁ。尻尾があるんなら、満月を見たら大猿になるんじゃないかって思ってな。実際の所どうなんだ?」

 

 

どうやら、サイヤ人(尻尾付き)は月を見ると大猿になる現象が、俺にも反映されているのかどうかという事らしい。

それは俺も前から気になってたな…。

 

 

「満月の日は念のために外に出歩かないようにしてるからなー。本当になれるかどうかは分からん。仮になれても理性が保てるかどうか…」

 

「なるほど。万が一があったらヤバいもんな。強さはともかく、巨大な猿ってだけでも脅威になりうる。もし街中で変身して、街が壊滅したりしたら目も当てられないしな」

 

「今日がその満月の日なんだが、どうする?変身してみるか?ヤバいかもしれんが」

 

 

とんでもないことを言う。少し酔っていたので、この時の俺は恐らくアホだったのだろう。

加えてカズマも酔っていたようで、乗り気になっていた。

 

 

「流石にここではマズイだろ。幸い今はまだ夕方位で月も出てないし、街から離れた所でやってみるか?」

 

「そうするか。行くのは今からでも構わんが、念のために変身するのは日が登るギリギリ位にするか。それまではテント張って寝とくか」

 

「そうだな。よし行こう!アクア、めぐみん、ダクネス。俺達、今からちょっと街の外れの丘にでも行ってくるから、昼頃になっても帰ってこなかったら迎えに来てくれ。んじゃ、行ってくる」

 

「いってらっしゃーい。くれぐれも気をつけるのよー」

 

 

アクア達の見送りを背に受け、俺とカズマの命(主にカズマ)を懸けた実験が始まってしまった。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 

 

 

街外れの丘。時刻は夜9時頃。

 

 

「おーいカズマー。月は出てるかー?」

 

 

テントの中からカズマに問う。

周りにはツマミと酒瓶が転がっている。まだ飲むぞー。

当然酔いは覚めていない。

 

 

「あぁ。今は雲で隠れてるが、バッチリ満月だ。後は待つだけだな。あ、そうそう、ヒデオ、替えのパンツ持ってきたか?」

 

 

こちらもまだ飲んでいる。酔いは覚めていない。

 

 

「あぁ。服は変身前に脱げばいいが、流石にこの歳で外でフル〇ンはやべーからな。破けるだろうと思ってちゃんと持ってきたぞ」

 

 

 

 

 

 

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 

 

 

数時間後。

 

「…」「…」

 

 

俺たちは、酔いつぶれて寝ていた。

 

 

時刻は深夜2時頃。

 

 

 

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 

 

 

更に数時間後。夜明けも近い。

 

 

尿意をもよおし起きる。寝る時に邪魔だと、上着とズボンを脱ぎ捨て、シャツとパンツだけになっていたので、外の冷気が肌に直撃する。

 

 

「うぅ。寒いな。何でこんな所に来たんだっけ…」

 

 

酔いは覚めていたが、普段よりもかなり飲みすぎた様で少々記憶が飛んでいるようだ。

意識も少々不安定で、普段は気を付けて絶対にしない筈の事をしてしまった。

 

 

「あー。月が綺麗だな…」

 

 

月を見上げてしまった。

 

ドクン。心臓の音が聞こえる。

本能が呼び覚まされるような感覚。初めてなのにどこか懐かしい、遺伝子の奥に刻まれた記憶が掘り起こされるような感覚を感じていた。

 

 

「マズイ…!ウッ!」

 

 

瞬間、我に返る。まだ寝ているカズマを誤って踏み潰さないように、異変が起きていると確かに感じ取れる体を無理矢理動かし、丘を転がっていく。

 

 

「ハァ…ハァ…。うぐッああぁぁぁ!」

 

 

体が段々と大きく、そして野性味を帯びていくのがわかる。

着ていたシャツは裂け、地面に落とす影も大きく、そして濃くなっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして俺は完全に大猿へと変身した。

 

 

 

 

 

 

 

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 

 

「グォォォォォォ!」

 

 

俺(大猿)は雄叫びをあげ、ゴリラがよくやるドラミングをする。凄まじい轟音が辺りに響く。

 

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

雄叫びで飛び起きる。

 

 

「っ!?な、なんだ!?」

 

 

急いでテントから飛び出し、周りを確認すると、丘からほんの少し離れた所に大猿(ヒデオ)を視認した。

 

 

「アレは…。ヒデオ…か?」

 

 

そう呟くと同時に、ヒデオがドラミングをした。轟音が耳にダメージを与える。

 

 

「うるさっ!耳いてぇ!あいつ、理性吹っ飛んだのか…?やたらと野性味溢れるが…。まぁあと一時間もしないうちに夜明けだし、街には被害は出ないだろ。あー。眠い。ふぁ〜」

 

 

呑気なことを言っているが、まだ自分が大ピンチの可能性があるということに気付いていない。

寝て起きたばかりなので、まだ脳が覚醒しきっていなかった。

 

 

 

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 

 

あれ。案外理性がある。混血のお陰か?

 

予想外に無事で驚く。

ただ、気を抜けないので下手に身動きを取れる状態ではない。しかし、ほぼ安全なのでカズマを呼んでみることにした。

 

 

「おーい。カズマー。起きろー。着替え持ってきてくれー」

 

 

普通の声のつもりなのだが、予想以上の爆音が発せられる。

 

 

「起きてるぞー。つーか声でけぇ!!うるさい!!耳いてぇよ!」

 

 

案の定カズマの耳にダメージを与えたようだ。痛そう。

 

呼びかけがあったことに安心し、着替えを持って丘を降りてくる。

 

 

「ほら、持ってきたぞ」

 

「サンキュー。しかし、案外いけるもんだな。大猿化。気を抜いたらトんでいきそうだけど」

 

 

先ほどの反省を生かし、小声で話す。

 

 

「くれぐれも気を抜くなよ?俺が死ぬ。今はどんな気分なんだ?」

 

 

カズマが感想を聞いてくる。

 

 

「んー。いまいち分からんが、なんかデカイって感じがするな。あと毛むくじゃらでなんか温い」

 

 

語彙力のなさ。

 

 

「ほーん。なぁ、肩に乗せてくれねーか?高いところからの景色を見たい」

 

「ん。いいぞ」

 

 

カズマの要求に手を差し出す。カズマはそれに乗り、俺の肩に乗る。

 

 

「おぉー。なんかこう、単に高い建物から見た景色とはなんか違うな」

 

「あぁ。なんか今なら世界を滅ぼせそうな感じがしてきた」

 

「物騒なこと言うんじゃねーよ。そろそろ日の出だ。このまま見たい」

 

 

 

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 

 

 

日が登り、段々と元の大きさに戻っていく。丁度いい高さになったところで、カズマは飛び降りる。

元の大きさに戻ると、そそくさと着替えをする。

 

 

「帰るか」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 

 

「いやー。今日はいい収穫だったな。ヒデオが大猿になれて、コントロールも出来る事がわかったし」

 

「使うにしても、かなり制限があるけどな」

 

 

今後大猿化をどう活用するか、そんな話をしながら街へと帰る。

 

 

 

 

 

後日。ギルドの掲示板に、こんなクエストが追加されていた。

 

 

『アクセルの街近辺の丘に現れた超巨大な猿の生態調査、討伐。報酬は百万エリス。なお、生け捕りの場合は10倍支払います』

 

 

この張り紙を見たカズマにからかわれたのは言うまでもない。

 

 




原作を買わねば…。それと2期はよ。

追伸。卵が片手で割れるようになりました。

ヒデオって書こうとするとビデオになる…。何故だ

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