この素晴らしい世界に龍玉を!   作:ナリリン

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第4話 この新入りに洗礼を!

 

 

 

「ヒデオがパーティーに入ったわけだが、早速ジャイアントトードを狩りに行こう」

 

「ジャイアントトード?」

 

 

 名前からするとでかそうなカエルだが……。そんなのを狩る必要なんてあるのか?

 ……いや、待て。確かバッタは人間の大きさに換算すると軽くビルを飛び越えるくらいの跳躍力をしていると聞いたことがある。カエルだってぴょこぴょこみぴょこぴょこしてるくらいだし、ビルとは行かなくてもかなり跳ぶんじゃないか? そして凄まじい筋力で獲物を……というパターンなのかもしれない。

 

 

「あぁ。この辺りに居るモンスターの中で最弱でな。お前の実力を測るのと、何故か金が尽きたから金稼ぎを兼ねてな」

 

「……食いすぎたのは悪かった」

 

「こうしてパーティーに入ることになったんだし必要な投資だと思うことにしたから気にするな。俺も気にしてない。ちなみに言うとお前が食いまくってたカエルの唐揚げはジャイアントトードの肉だ」

 

「やっぱり気にしてるだろ」

 

「してない」

 

 

 こいつ実は根に持つタイプなのか? いや、考え無しに食いまくった俺が悪いんだろうけど……。なんにせよ、何故かこいつは金欠だ。チート持ちのはずなのになんでだ? 余程扱いづらいものなの?

 

 

「……なぁカズマ。お前がこの世界に来る時に持ってきたモノってなんだ」

 

「……言っても信じるか?」

 

「大概のことなら信じてやるよ」

 

「わかった。……アクアだ」

 

「は?」

 

 

 今こいつなんてった?

 

 

「だからアクアだって。さっき女神って自己紹介した奴」

 

「……マジで?」

 

「おう。信じられないか?」

 

 

 まさかこいつが天使さんの言っていた女神を連れていった転生者だったとは。ならなおのこと金欠なのはおかしい。女神を連れてくなんて下手したら最強レベルのチートのはずだ。

 

 

「いや、天使さんに前の転生者は女神を連れていったって聞いたから信じるのは信じるが……。それにしても考えたなカズマ。女神を連れていくなんてマジモンのチートじゃねぇか」

 

「俺も最初、本当ににはじめの方はそう思ってたんだがな……現実はそう甘くなかったよ」

 

 

 ヤバい、嫌な予感がする。カズマの虚ろな目がそれを物語っているし、チートがあるのに金欠なのも相まって余計怪しい。……俺はとんでもないパーティーに入ってしまったのではないか?

 

 

「お、おい、冗談はよせよ。地上に居るとは言え仮にも女神だぞ?」

 

「冗談ならどんなにいい事か。もしアクアが役に立ってたらお前の食事を止めたりなんてしなかったよ」

 

「……マジか」

 

「マジだ」

 

 

 ……やっぱりパーティーに入るのやめようかな。いや、まだ役に立っていないだけかもしれない。能力に制限があったり、反動がやばかったりして扱いにくいだけかもしれない。燃費が悪くて使いにくいだけかも知れない。力はあるけど戦いはてんで素人なだけかもしれない。

 

「……ちなみに、どのくらい役に立たないんだ?」

 

 

 役に立たないだけならばなんとかなるはずだ。俺達で役に立つように動かす事が出来れば……。

 

 淡い希望を持ったが、それはすぐに粉々に砕かれた。

 

 

「役に立たないどころか……いや、カエル戦で囮になってくれたな。役には立ってるのか」

 

「……その程度なのか? 女神なのに?」

 

「その程度なんです。女神なのに」

 

 

 カズマはこの世界に来て1ヶ月と言っていた。その1ヶ月でカズマがこんな顔をする程とは……。

 

「……原因は? 戦うのが下手とか、妙に臆病とか……」

 

「……誠に恥ずかしいのですが、ひとえに頭の悪さです」

 

「マジか」

 

「マジです」

 

 

 よし、パーティー入りはやめよう。ろくな事になりそうにない。

 

 

「……カズマ、悪いんだがパーティーの」

 

「おっと、その続きは言わせねぇぞ。お前は今の状況をわかってないみたいだから教えておいてやる。俺はお前に飯を奢った。そしてお前は大量に食った。これはお前の大食いに集まったみんなも見てたし、店員さんだって知ってる。日本人なら義理と仁義を通せよ?」

 

「この野郎……!」

 

 

 マズイ。この状況は非常にマズイ。

 まず、俺はサイヤ人とはいえ転生したばかりで戦い方なんて全く知らない。どっかの主人公みたいになんちゃら流体術なんて学んでないし、隠れていた才能があるわけでもない。ただサイヤ人にしてもらって高い身体能力があるだけだ。そんなぺーぺーの俺がソロで活動して行けるほどこの世界は甘くないだろう。

 更に、ここは駆け出しの街。つまりはこの辺りのモンスターがこの世界で初めに相手にするレベルのモンスターなのだ。そんな場所でソロで活動できない強さの奴の評価が最低だったらどうなる? 臨時パーティーでさえ組めなくなるのは目に見えている。ここで俺は評判を落とすわけには行かない。

 

 ……まさかこいつ、ここまで計算して……!?

 

 

 

 △▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

「今回のクエストは五匹のジャイアントトードを狩ることだが、実力と人数で考えて一人ずつ戦うというわけにもいかない。なので、基本的に固まって戦う。仲間がカエルに食われても怖気付くな。アイツらは一口がでかい反面、食うのはかなり遅いし、捕食中は足が止まる。誰かが食われても焦らずにそのカエルにとどめを刺すんだ」

 

「なるほど……。有効な攻撃手段は? 職的に格闘スキルしか取れなかったんだが。剣もあるけど切れ味悪そうだし……」

 

 

 スキルポイントで近接格闘スキルと受け身のスキルを覚えたが、レベルが低い今の状態だと打撃だけでは致命傷を与えられないだろう。かと言ってあまり上手くない剣術で動く相手に当てられるとは思えない。当てるためには止まって貰わないといけない。

 誰かを食べている時は動きが止まるらしいし、誰かを囮にするのが得策か?

 

 

「打撃は無意味と思ってくれ。切れ味が多少悪くても頑張れば倒せる。くれぐれも打撃で応戦しようとはするな」

 

「了解」

 

 カズマは前にアクアとめぐみんを囮にしてクエストを完遂した事があるそうだ。そのせいか知らないが、カエルのクエストを受けるとカズマが言った時の二人の顔は凄かった。女の子がそんな顔をしていいのかと思えるくらいの酷い顔面だった。

 

 しかし、めぐみんはやると決まったらやる質なのか、無理やりカエルの出る草原に連れてこられてからは文句を言うのをやめてやけに気合が入った様子を見せている。

 

 

「カエルごとき、我が爆裂魔法で粉々に消し飛ばしてやります!」

 

「まだやるなよ? いざと言う時に使ってもらうからな」

 

「…………わかりました」

 

「今の間はなんだ」

 

 

 アクアの件があり、もしやと思いめぐみんについて聞いてみたところ、案の定使い勝手がよろしくなかった。一日一発限定の最強魔法。当たれば大体の相手は死ぬらしいが、一発しか撃てない上に、撃ち終えた後は動くことも出来ないお荷物と来たもんだ。

 俺はマジでとんでもないパーティーに入ってしまったみたいだが、これしか道がない。

 ……うだうだ言うのはもうやめだ。過ぎたことを言ってても仕方が無い。

 

 そして、肝心のアクアだが。

 

 

「……目標をセンターに入れてゴッドブロー、目標をセンターに入れてゴッドブロー、目標をセンターに入れてゴッドブロー……」

 

「……なぁカズマ。こいつ本当に大丈夫か?」

 

 

 虚ろな目でシャドーボクシングをしている。中々腰の入った良いパンチを打っているので、格闘系上級職としては少し気になるところだが。

 

 

「大丈夫だ。作戦に支障はない」

 

「すげぇな。今の言葉で余計不安になったぞ」

 

 

 アクアはめぐみんと違って二度カエルに喰われたらしいし、トラウマになっていてもおかしくない。かなりの馬鹿らしいのでやらかさないかが不安だったが、この分だと余計なことはやらなさそうだし大丈夫かな。

 

 

 

 

 そう思っていた時代がありました。

 

 

 

 

「おいカズマ! 全然大丈夫じゃねぇじゃん! 普通に突っ込んで普通に喰われたぞあいつ!」

 

 

 カエルを見るなり、『今までさんざん私をこけにした挙句ヌルヌルにしてくれたわね! 積年の恨み、今日こそ晴らさせて貰うわ! 喰らいなさい! 女神の愛と悲しみの蹴り、ゴッドシュートを!』などと叫んで猛スピードで一匹のカエルに突っ込んで凄まじい勢いの蹴りを見舞い、そして喰われた。ちなみに前の二回とも同じ様に勝手に突っ込んで勝手に喰われたらしい。というかゴッドブローはどうした。

 

 

「作戦に支障はないっつったろ。というか作戦通りだ」

 

「……はっ! お前まさか……!!」

 

「おう、そのまさかだ。こんなの囮がいないとやってらんねぇからな。誰を囮にするか悩んでたんだが、案の定アクアになったな」

 

 

 こいつ鬼すぎる。

 

 

「おいおい、そんなドン引きしないでくれよ。いずれお前だって俺の気持ちがわかる日が来るって」

 

「くそぅ、なんか納得してしまう自分がいる……」

 

 

 既にアクアへの評価は相応のものになってしまっているような……。

 まぁそれはいい。しかしいくら喰うのが遅いとはいえ、流石に放置ってわけにもいかないだろう。

 

 

「なぁカズマ。流石に放置ってのは可哀想じゃないか? 早い目に助けといた方が……」

 

「そうだなぁ。使える駒は多い方がいいし、カエル倒してアクア回収するか。よしヒデオ。見といてやるから行ってこい」

 

「……俺が行くのか」

 

「お前以外に誰が行くってんだ。万一お前が喰われても勝手がわかっている俺がいれば何とかなるはずだ。逆は厳しいかもしれないしな」

 

「何か釈然としないが………まぁいい。行ってくる!」

 

「おう、いってら……速っ!」

 

 

 身体能力と筋力値に任せて思いっきり地面を蹴り、カズマを置き去りにしてアクアを咥えているカエルの元へ一直線に駆けて行く。

 その速さはさながらトップアスリート。いや、それ以上かもしれない。幼少期悟空で100m8秒5。青年のサイヤ人であるなら、鍛えていなくともその持って生まれた身体能力だけでそれと同等、それ以上の速度が出せてもなんら不思議ではない。

 

 いくら離れていても止まっているカエルに追いつく程度の事は造作もなく、あっという間にカエルのところに着いた。

 

 

「待ってろアクア! 今助けてやるからな!」

 

 

 そうは言ったが、食ってる間だけ足が止まるそうなので、申し訳ないがアクアにはまだ喰われてもいてもらおう。

 

 

「せいっ!」

 

 

 あまり切れ味の良くない剣を鞘から引き抜いて跳躍し、カエルの脳天に振り下ろす。角度と筋力のおかげか一撃でカエルの脳天を砕く事が出来た。

 

 

「ゲッ……」

 

 

 小さな呻き声と共に地面に倒れ伏したカエルは二度と起き上がることは無かった。

 

 さて、アクアを捕食していたカエルは無事倒す事が出来た。しかし、そうのんびりとはしていられない。いつ他のカエルが出て来てもおかしくないので、なるべく早くアクアを救出する必要がある。

 カエルの口からはみ出ているアクアの両脚を掴み、一気に引き抜く。ぬるり。

 女の子の脚を掴むのはセクハラとか言われそうだが、背に腹は変えられないし何より頭から食われたアクアが悪い。

 

 

「おいアクア。大丈夫か?」

 

「ま、また食べられた……女神の私がまた……フフフフ……」

 

「よし、口はきけるみたいで安心した。さ、いつまでもここにいる訳にはいかない。立って歩いてくれ」

 

 

 会話が成立しなくとも目が虚ろで何故か笑っていても生きていればなんとかなる。そう思う事にして、早くこの場から離脱しようとしていたのだが。

 

 

「ヒデオ! 後ろだ!」

 

「っ!?」

 

 

 カズマの警告を受け、咄嗟にヌルヌルのアクアを抱えてその場から跳躍する。見ると、先程まで立っていた場所にカエルの舌が迫っていた。

 危ねぇ……!

 

 

「噂をすればなんとやらってやつか? 出てくるタイミングに悪意ありすぎだろ」

 

「ふ、フフフ……女神なのにカエルに食べられそうになった……私は女神なのに……フフフ……」

 

「で、アクアはまだ上の空か。……生臭いなコイツ。置いて帰ってやろうか」

 

 

 咄嗟の事で服が汚れる事など気にせずアクアを抱えて飛んだのが仇となったか、抱えた右側が既にヌメヌメしている。それと生臭い。

 

 さて、今の状況を整理しよう。

 カエルに襲われ間一髪避けたのはいいが、剣は鞘にしまっている上に利き手が塞がっているので抜く事も出来ない。仮に抜けても邪魔になるだけだろう。

 更に、アクアが行動不能のお荷物になっている。ヌルヌルして気持ち悪いし、生臭いし、そこそこ重い。

 そして、カエルは俺とアクアを食おうと今にも飛びかかってきそうだ。

 

 

 この状況での最善策は。

 

 

 ………逃げるか。

 

 

「アクア、暴れんなよ!」

 

「フフフフフ……」

 

 

 未だ正気を取り戻していないアクアを肩に担ぎ直し、全力でカエルから遠ざかる。

 

 

「うぉぉぉぉお!!」

 

 

 しかし、カエルも俺達をそう易々と逃がしてくれる訳では無い。ズシンズシンと巨体を跳ねながら追い掛けてくる。

 その動作一つ一つはゆっくりだが、一歩がでかい上にアクアを担いでいるのでなかなか引き離せない。それどころか段々距離を縮められている気がする。何とかしてカエルの足を止める必要がある。

 だが、どうしようもできない。

 

 カズマに援護を求めようとチラ見してみたが、あっちはあっちで新しく出てきたカエルの対処に追われているようだ。ざまぁ。

 それはともかく、背を向けて逃げているせいで振り向いた隙に食われるだろうし、かといって逃げ続けてもいずれバテて食われる。

 何とかして方向転換と迎撃が同時に出来ないか?

 投擲物があれば出来そうなんだが……。剣は抜けないし、抜けても投げだと効果は薄いだろう。砲弾のような重量のある物体が欲しいが、生憎そんなもの持ち合わせていない。

 

 

 ……いや、待て。一つだけあるんじゃないか? 効果はあるかはわからないが、重量があって投げられる体制にすぐ移行出来るモノが。

 

 

 ………ちょうど俺の肩にはアクアがいる。

 

 

 なんという僥倖っ……! 悪魔的作戦っ……! カズマの事を言えないっ……!

 

 

 やる事は決まった。こいつを投げよう。

 カズマいわくステータスは馬鹿みたいに高いらしいし、カエルにぶん投げたくらいでは死なないだろう。

 そうと決まれば早速行動だ。流石に人をぶん投げるのは骨が折れそうなので、走っている勢いをそのまま乗せなければならない。

 そのためには。

 

 

「回転ッ……!!」

 

 

 足を踏み出す方向を一気に変えて、急ブレーキでエネルギーを回転に乗せてねじれを生み出しながらカエルの方に向く。

 そして。

 

 

「喰らえカエル野郎! トルネード投法だぁぁ!!」

 

 

 全エネルギーをアクアに託し、カエルへとぶん投げる。その勢いは人を投げたにしては凄まじく、サイヤ人の筋力だからこそなせた技だ。

 

 

「ウフフ……あれ、私空を飛んでるわ。……そうよ、女神なのに空くらい飛べなくてどうするのよ! ウフフフふっ 」

 

 

 笑いながら飛んでいったアクアは、見事カエルの口に吸い込まれて行った。

 

 

 アクアは犠牲になったのだ。クエストの犠牲にな……。

 

 

 回避と足止めとお荷物整理を同時に出来た。かなりいい仕事したんじゃないか?

 これで安心してカエルを狩れる。

 

 

「よーし、アクア。今助けるぞ」

 

 

 

 △▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

「『エクスプロージョン』!!」

 

 

 アクアを無事回収し、折角ということでめぐみんに最後のカエルに爆裂魔法を叩き込んでもらった。

 現時点で人類が出せる最大火力の攻撃手段と豪語するだけあって、その威力は凄まじいものだった。カエルは消し飛び、大地は抉れ、天をも揺らす。

 

 

「おぉ……すげぇ。これが爆裂魔法か。やってくれと言ったのは俺だけど、カエル相手にはオーバーキルすぎたな」

 

「いえいえ。私もモンスターに爆裂魔法を撃てて良かったです。何も無いところに撃つよりは雑魚でもモンスターに撃った方が良いですからね」

 

「何も無いところに撃つ必要なんてあるのか?」

 

「えぇ。私の爆裂欲を鎮めるには必要なんです」

 

 

 爆裂欲……。いよいよこいつもまともな人間じゃ無さそうだ。

 アクアもカズマの言う通り残念だったし、めぐみんも色々とヤバそうだ。カズマが、自分は幸運だけが高いと言っていたが、この様子を見ると全然そうは思えないんだが。

 今だって死んだ目をしながら笑ってるアクアを看病してるし。

 

 

「お、おいアクア。もうカエルは居ないぞー。帰るぞー……」

 

「ふふふふふ……」

 

「だめだこりゃ。……おいヒデオ。どうしてくれる。うちの駄女神が余計駄目になっちゃったじゃないか」

 

 

 カズマが愚痴るように言ってくると、アクアの目に生気が宿り始めた。……?

 

 

「ヒデオ……そうよ、ヒデオのせいだわ! あんたねぇ、女神たる私をカエルにぶん投げるなんて無礼極まりない行いよ!? 懺悔なさい!」

 

「やめろ、近付くな。くさい。わかった、謝りゃあいいんだろ。まじさっせんした」

 

「わかればいいのよわかれば! ……ん? いまくさいって」

 

「言ってないぞ。アクア様マジグッドスメル」

 

 

 いくらカエルの粘液でとてつもなく臭くても、女の子に対してくさいとか言うのは失礼だったな。ヒデオ反省。

 

 

「そ、そう? まぁなんたって私は女神だから……そうよ、私は水の女神アクアなのよ! カエルの粘液くらい浄化してやるわ! 『ピュリフィケーション』!」

 

 

 パッと光ったかと思うと、アクアの身体を纏っていたぬるぬるテラテラの粘液は何故か水に変わり、アクアから悪臭はしなくなった。

 

 ………初めからそれしてりゃあ俺も肩にぬるぬるを浴びなくて済んだんじゃないか。

 

 やっぱりこいつアホだ。


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