魔法少女まどか☆マギカ ~狩る者の新たな戦い~   作:祇園 暁

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今更ですがこの話に出てくるケータイはTV準拠でガラケーになってます

追記:今更ながらようやくここでのスペースの空け方が分かったので第1話とこの話以降から修正していきます。他の話は手間と時間的に難しいのでそのままになると思います;


第14話【繋がる手と手】

 空が夕暮れに染まる頃、セブンスエンカウントの扉が開き来店を知らせる鈴が小気味いい音を鳴らした。

 

「いらっしゃいませ・・・ってなんだ、アキオか」

 

 店へと入ったアキオを出迎えたのは、ウエイトレス姿のサトリの拍子抜けしたような顔だった。

 

「なんだとは失礼だな。まあいいや、また今日もこの前のやつ頼んだよ」

 

「キリマンジャロね」

 

 この前のというのは初めてこの店に来た時に出されたオススメで、どうやらあれ以来アキオはキリマンジャロにハマってしまったようだ。

 

 サトリに注文を伝えるとアキオは待ち合わせをしていた人物を見付け、その席へと向かった。

 

「お待たせ、ほむほむ♪」

 

 すると待ち合わせの相手、ほむらは呆れたような視線をアキオへと向けた。

 

「だいぶ待たされたのだけど。それとほむほむと呼ぶのは止めて頂ける?」

 

 そう言うほむらの前には既に空になったカップが置かれていた。それを見て流石にアキオも時間を掛け過ぎたとほんの少し反省した。

 

「悪い悪い、ちょっと悩める青少年へアドバイスをしてたら、な」

 

「言い訳はいいわ。それよりも早く話してもらおうかしら」

 

 おどけたアキオの言葉をバッサリと切り捨てほむらは本題を持ち出した。だがアキオは相変わらず余裕のある表情だ。

 

「まあそう慌てんなよ。これはあくまでも話し合い。勿論隠し事をするつもりは無いが、ほむほむにもちゃんと俺の疑問に答えて欲しい」

 

「ええ、分かったわ」

 

 ほむらが了承したのを確認すると、アキオが先に質問を投げ掛けた。

 

「俺達は君達魔法少女の力になりたいと思ってる。だから魔法少女や魔女について知ってる事があれば教えて欲しい」

 

「いいわ。けどこの話し合いに誘ったのはそちら。ならまずは私の質問に答えてもらえるかしら?」

 

 だがほむらはアキオの質問をかわすように切り返した。その切り返された言葉ももっともなもので、アキオはひとまず先程の質問はおいといてほむらからの質問を待った。

 

「単刀直入に聞くけど、あなたは何者?」

 

 言葉通りドストレートにほむらは疑問をぶつけた。だがほむらとしてはそれは譲れない質問である。

 一方のアキオはそれを聞いてどう答えようか迷っている様子だった。

 

「答えに悩むという事は都合の悪い質問だったかしら?それとも上手い嘘でも考えているの?」

 

 無表情で追撃を掛けてくるほむらに、「分かった」と言って意を決したようにアキオは口を開いた。

 

「俺達はこの世界とは別の異世界からやって来た」

 

「ちょっと待って!」

 

 だがすぐにほむらに止められてしまった。

 

「あなた、もっとマシな嘘をつけないの?」

 

 残念なものを見るような目で言ってくるほむらは、全く信じていない様子だった。その態度に不服そうな顔をしながらアキオは抗議の声をあげた。

 

「最初に隠し事する気は無いって言ったろう?さっき言うのを躊躇ったのは信じてもらえる自信が無かったからだよ!」

 

  実際に信じてもらえなかった訳だが。

 

「・・・分かったわ。なら異世界人のあなたが魔女と戦えるのは何故?」

 

  だがほむらは今のアキオの言い分に少しは話を聞く気になったのか、続きを促した。

 

「俺達の元いた世界には魔女はいなかったが、代わりにドラゴンという人類の敵との戦いがあった」

 

「ドラゴン?それってゲームとかに出てくる?」

 

「まあだいたいそんな感じかな。もっともそのドラゴンは宇宙人な訳だが」

 

「!?」

 

  宇宙人というワードにほむらは驚いたような表情を見せた。だがアキオはそれを別段気にする事はなかった。

  普通ドラゴンと聞いて思い浮かべるのはファンタジーに出てくる伝説の生き物で、宇宙人なんて発想は無いだろう。ほむらの反応はただ単に予想外の言葉につい反応してしまっただけだとアキオは結論付けて話を続けた。

 

「それで俺達はなんでもS級能力者とやららしく、まあ人より色々と優れていてドラゴンとの戦いに駆り出された訳よ。そんな訳で戦いには慣れているし、実際に魔女とも戦ったけど十分君達の力になれると思うぜ」

 

  ほむらは今聞いた話の真偽について考えているように黙るが、しばらくしてふと口を開いた。

 

「異世界から来たというならあなたの目的は何?何故この世界に来て、何故魔法少女を助けようとするの?」

 

  ほむらは真っ直ぐにアキオの顔を見て問い質した。

 

一片の嘘も見逃さない。

 

  まるでそう言っているかのような視線をアキオも真正面から受け止め、真剣な表情で返す。

 

「ほむほむ・・・」

 

  アキオの声が耳に入りゴクリと唾を飲み込む。ほむらにとってアキオ達はイレギュラーな存在。自分の目的を阻害する可能性があるのなら排除する覚悟もできていた。

 

「今のほむほむ、ハシビロコウさんみたいだぞ?」

 

「ふぇ?」

 

  意味不明な解答に思わず間抜けな声を出してしまったほむら。その直後にアキオは堪えきれないといった様子で先程の真顔を崩して大爆笑を始めてしまった。

 

「はしび・・・何?ちょっと笑ってないで説明して!」

 

「ああ、ほむほむハシビロコウさんを知らない?」

 

  クククと笑いを堪えきれずに声を漏らしながら、アキオはケータイを操作し始めてその画面をほむらへと見せた。

 そこには何とも眼力の凄まじい鳥が写っていた。これはさん付けせざるをえない威圧を放っている。

 

「さっきのほむほむはこんな顔してたぜ?」

 

(・・・この男、失礼にも程がある。こんな事で笑うなんて小学生か!)

 

  未だに笑いこけるアキオに苛立ちながらも、ほむらは冷静になろうと必死にその膨れ上がろうとする苛立ちを抑えた。

  そんな時、突然ガシャンとあまり耳にしたくない陶器が割れるような音がしてアキオの笑いは止まった。ほむらも同様に思考が停止してしまっている。

  そんな二人の前には先程の音と共に置かれたティーカップと、かなり乱暴に置かれたのかソーサーの外にまで零れたコーヒーがあった。

 

「お客さまぁ?」

 

  その妙にゆっくりな発声の仕方に青ざめながらアキオが振り向くと、そこには眉をぴくぴくと動かしいかにも怒ってますと言いたげなサトリがいた。

 

「主にアキオ、店内では他のお客さまの御迷惑になられますので静かにお願い致します」

 

  怒りを隠しきれていない笑顔から発せられる普段では有り得ない丁寧語を聞いて、アキオの脳はその裏に隠された言葉を翻訳した。

 

『アンタ店の中で馬鹿笑いしてうるさい。仕事中だから今はこれで退くけど後でお説教だから』

 

「すいませんでした」

 

  最早謝るしか無い。それでお説教を免れられるという訳ではないが、彼に出来るのはそれだけだった。

 

(すごい・・・あの男を一瞬で大人しくさせた)

 

  一方ほむらはその光景を見て素直に感心してしまっていた。

  無意識の内にサトリを見詰めていると、ふと彼女と目が合った。するとサトリは再びゆっくりとアキオへと向き直る。

 

「ア・キ・オ~?どうしてアンタはそうまた新しい女の子を連れて来るのかな?しかも中学の制服着てるし、アンタはロリコンなの?」

 

「今日これで二回目なんだけど!?何だよこっちは真面目な話をしてるっていうのに、ロリコンちゃうわ!」

 

  その真面目な話の途中に眼力で人を殺せそうな鳥扱いしたのは誰だよと思いつつ、流石に話が進まないのでほむらは助け船を出すことにした。

 

「あの・・・私は彼に口説かれてこうして一緒にいる訳ではないので。真面目な話というのは本当です」

 

  その言葉にサトリは再びほむらを見て、一度考えるような間を空けてから「あっ」と声を出した。

 

「ごめん、ひょっとしてアレ関連?」

 

「それ以外に何があるんだよ?たく、思い込みにも程があるぞ?」

 

「アンタが普段から女の子にちょっかい出してるのが悪いんじゃない」

 

「今はミオがいるからそんな事無いぞ!」

 

「あの!」

 

  再びヒートアップしそうな二人をほむらの声が止めた。どんどん話のペースが乱されている事を感じほむらはこのままろくな情報を得られないのではないかと内心焦っていた。

 

「話の続きを良いかしら?」

 

  本当は焦りを隠すためだが、本人が思っている以上に低くなった声と険しくさせた顔にアキオとサトリは怒らせてしまったかと思い今度こそ黙った。そして

 

「「ごめんなさい」」

 

  二人同時に謝った。

 

「じゃあとりあえずお詫びにココアでも奢るよ。サトリ、頼んだ」

 

「いや、私は・・・」

 

「この子さっきコーヒー飲んでたよ?」

 

「ませてんな~ほむほむは。俺はコーヒー飲んでる女の子よりココアをふーふーしながら飲む女の子の方が好きだぞ?」

 

「あなたの好みなんて知らないわ!」

 

「まあアキオの奢りだしココアにしとくね」

 

「ちょっ・・・」

 

  ほむらの意志を無視してサトリはカウンターへと下がってしまった。終始ペースを乱されたほむらは要注意人物としてアキオだけでなくサトリも加える事にしたのであった。

 

「それで、なんだっけ?」

 

「あなたがこの世界に来て魔法少女を助ける理由よ」

 

  「ああ!」と思い出したように声を出したアキオの顔は真剣なものへとなった。それを見てほむらは、またふざけた事を言うようなら魔法を使い何かしら報復してやろうかと思うが、残念ながらそのような事にはなりそうになかった。

 

「俺達がこの世界に来たのは完全に事故だ。来たくて来た訳じゃないし、今の目標は元の世界への帰還だ」

 

「それで、その元の世界に帰るために必要なモノが魔女退治の中で手に入るって事かしら?」

 

  続きを予想してほむらは言うが、アキオはゆっくりと首を横に振った。

 

「そうじゃない。君達に協力したいってのは単純に君達を助けたいからだ」

 

「は?」

 

  思わず間抜けな声が出た。

 

「それで何のメリットがあるの?」

 

「まあ本来戦う必要の無い子達が傷付くのを防げれば俺も嬉しいってだけだ。言うなればただの自己満足かな?」

 

(本気なの?そんな都合の良い話ある訳が・・・)

 

  だがアキオは至って真面目な顔をしている。口元はにやけているが目が本気だ。

  しかし

 

「残念だけど、それを信じる事は出来ないわ」

 

  ほむらは否定の言葉を口にした。

  彼の目を見れば本気で言っているという事は分かるが、今まで独りで戦ってきたほむらには無条件で助けてくれるという言葉を簡単には受け入れられなかった。

 

  そんな簡単に手を差し伸べてくれるなら何故もっと早く現れてくれなかった?

 

  そんな事をアキオに言っても仕方ないと分かってはいるが、何度挑んでも勝てなかった宿敵の姿が脳裏に浮かぶとそう思わずにはいられなかったのだ。

 

「まあただより怖いものは無いって言うしな、それでいいと思うぜ?だからこっちは行動で本当だって事を示していくよ」

 

  一方のアキオはほむらの答えを予想していたのか、大して気にした様子を見せずにそう言った。

 

「・・・そう、なら期待させて貰うわ。けど、もし私を騙そうとしている事が分かったら」

 

「OK、そん時は遠慮無く背中から撃ってもらって構わないさ」

 

  このやりとりではっきりと言葉が出た訳ではないが、二人とも協力を結ぶ事になったのを理解していた。

  アキオは無事にほむらを味方に付けられた事にホッとし、ほむらは本来の目的のためにアキオの言葉に納得した訳では無いが出来る限り利用してやろうと頭を回転させる。

 

 そこへココアが運ばれて来て一旦話は変わる事になる。

 

「それじゃ今度は俺の番だな。最初の質問に答えてもらおうか」

 

  魔法少女と魔女の情報。

 

「私から言えるのはこれ以上魔法少女を増やしてはいけないという事かしら。鹿目まどかに美樹さやか、あなたの連れも。契約してしまったらもう後戻りは出来ない、待っているのは絶望だけよ」

 

  初めから用意していたかのようにスラスラと答えるが、ほむらの顔は真剣そのものだった。

 

「絶望っていうのは?」

 

「それはあなたが信頼に値するか見極めてから言うわ。ひょんな拍子に情報が漏れたら最悪の事態になりかねないから」

(そう、美樹さやかの契約は突拍子も無い。止めるのは難しいし、契約した後で真実を知れば・・・それにまどかも・・・あの子は優し過ぎるからきっと)

 

  ほむらが話せない事情を考える中、アキオも彼女の言い様に魔法少女には何か恐ろしい秘密があると感じ取った。

 

「それと、あなたはキュウべえの事をどう思っているのかしら?」

 

  突然話がキュウべえに向いて、アキオは先程感じたものを一旦横に置き、魔法少女を生み出す白い小動物の今までを思い出した。

 

「俺の仲間は胡散臭いって言ってるけど、俺はそんなに言う程悪い奴だとは思ってないかな」

 

「そう。ならば認識を改めなさい」

 

  自然と語気が強くなり、ほむら自信自分でも若干驚いたが構わず続けた。

 

「あいつは何も知らない子達に契約という代価で奇跡を売って歩く悪魔よ・・・!」

 

  普段よりも強い語気と、憎しみすら感じられる瞳にアキオは息を飲んだ。そして今になって、事態は自分が思っていた以上に複雑なのだと気付いた。

 

  するとほむらはココアをこくこくといっぺんに飲み干すと席を立った。

 

「今日はここまで。これから行く所があるから失礼するわ」

 

「分かった。何かあったら何時でも呼んでくれよな!」

 

「ええ、一応協力関係ですものね。だから私からは、くれぐれも鹿目まどかを魔法少女にしないようお願いするわ」

 

  そう言ってほむらは髪を掻き上げると、セブンスエンカウントから出ていった。

 

  一人残されたアキオはすっかり冷めてしまったコーヒーを口に含み、先程話した内容を思い出す。

 

「魔法少女、キュウべえ、絶望・・・か」

 

 

 

 

 

 

 

 

  夜の廃工場では、まどかとダイスケ、そしてさやかが魔女の結界から無事に帰還した。

  すると真っ先にまどかはさやかに疑問をぶつけた。

 

「さやかちゃん、その格好・・・」

 

「あはは、まあ何?心境の変化って奴?」

 

  笑いながら言うさやかだが、どこか何かを誤魔化すような雰囲気があった。

  一方二人のやり取りを見たダイスケも口を開いた。

 

「なあまどかちゃん。これはいったいどういう」

 

  しかし言葉はそこで途切れた。ダイスケと、魔法少女になって感覚が敏感になったさやかはその場に突如現れた気配を察知して振り向いたのだ。その人物はさやかも知る人物。

 

「転校生!」

 

  ほむらだった。

 ほむらは魔法少女化したさやかを睨むとまではいかないが少しキツい目付きで見詰めていた。

 

「美樹さやか、あなたって人は・・・!」

 

「あ~、いやさ、まあ今回はまどかや仁見も危なかったんだし大目に見てよ。はは・・・」

 

  まるで母親に悪戯がバレた子供のように苦笑いしながら言い訳をするさやか。

  しかしそんなおどけた様子のさやかと違いほむらは真剣そのものだった。

 

「"今回は"?一度なったらもう後戻りは出来ないのよ?・・・まあ、せいぜい後悔だけはしないようにしなさい」

 

  ため息を吐くと、ほむらは髪を掻き上げ踵を返した。そのまま立ち去ろうとするほむらをさやかは呼び止めた。

 

「待ちなよ転校生!」

 

「何かしら?」

 

  さやかの言葉にピタリと止まる。そのままほむらは振り返らずさやかの言葉を待った。

 

「アンタは・・・その、後悔してるの?魔法少女になって」

 

「後悔していたら、この場に私はいないわ」

 

  それを聞いたさやかはフッと笑い明るい彼女らしい笑顔で言った。

 

「アンタが後悔しないでいられるんなら、このさやかちゃんも後悔なんてする訳無いでしょ?この見滝原の平和は魔法少女さやかちゃんが守るから、アンタも力を貸してよね!」

 

  そう言いながらさやかはほむらへと右手を差し出した。一方ほむらは先の言葉に驚いたように振り向き、差し出された右手を目を丸くして見詰めた。

 

(嘘でしょ!?あの美樹さやかが・・・有り得ない!)

 

「違うよさやかちゃん。まず言う事あるよね?」

 

  ほむらが混乱している間にまどかがさやかへと声を掛けた。その言葉を聞きさやかは「やっぱり言わないと駄目?」と困ったようにまどかへと訊ねるが、まどかは強い視線でうんうんと頷いた。そして観念したようにさやかは言葉を口にした。

 

「ああ・・・何て言うか転校生?その、最初の頃アンタの事勘違いしてキツく当たったりしてごめん!」

 

  言いながらさやかは思いっきり頭を下げた。その光景に自分の目を疑うほむらだが、それは本当の彼女を知らないだけの事だ。

 

  確かにさやかは一度思い込むとその考えを変えず、ハッキリ過ぎる程良いことも悪いことも言葉に出してしまう節がある。しかしアキオに言われ、実際にほむらの表情を見て、マミが信頼したという事実を見て、さやかなりにほむらは思っていた程悪い人間ではないという答えを出したのだ。

  そうなれば一方的に悪だと決め付けた自分は悪いことをしたと認めるし、まどかに促されながらではあるがちゃんと謝る事も出来る良識を持っている。

 

「まさかあなたがね・・・いいわ、私もあなたの事を勘違いしていたし、おあいこね」

 

「ええ!?それってどんな感じに?」

 

「自分の考えを何としても押し通そうとして周りが見えなくなり、自ら墓穴を掘る愚か者だと思っていたわ」

 

「ちょっ・・・完全に悪口じゃんかそれ!」

 

「ええ、だから初めから諦めていたわ。あなたと手を取り合うなんて。でもそれが私の勘違い。あなたは自分の過ちを認めて私に頭を下げてくれた。なら、私にあなたを拒む理由は無いわ」

 

「転校生・・・それって」

 

  ほむらは照れ隠しのように再び長い黒髪を掻き上げ、体をさやかの方へと向けて言い放った。

 

「巴マミが安心できるようあなたの面倒を見てあげるわ」

 

  その様にさやかは「ぷふっ」と思わず吹き出しながら言い返した。

 

「何でそんなに偉そうなのよアンタは?見てなよ、すぐに追い越してやるんだから!」

 

「あなたに出来るかしらね?」

 

「なにい!?」

 

(どういう訳か今回は今までに無い程美樹さやかとの関係が良好にいきそうね。もしかしたら最悪の結末は回避出来るかも知れない。なら近くに置いておくのが正解)

 

 そう、あくまでも目的の為と自分に言い聞かせるほむら。だが気さくなさやかの態度と安心するようなまどかの顔を見るとそれ以外の感情が湧いて来るのを感じていた。

 

「まあ話に全く着いていけなかったけど、要するにニューヒーローの誕生な訳だな」

 

  今まで蚊帳の外だったダイスケが一人頷きながら言った。何と言ったら良いか、とりあえず苦笑いするまどかだが、さやかは逆にその言葉に拳を握って答えた。

 

「ええ、その通り!さっきも言った通りガンガン魔女を倒して見滝原を守るからね!」

 

「おう!その意気だ、応援するぜ!」

 

「・・・何だかやっぱり不安になってきたわ」

 

  まだお互いの名前も知らないのに何故か意気投合するさやかとダイスケ、そしてそんな二人を見て悩ましげに頭に手を当てほむらはため息を吐き、まどかはその様が可笑しくて笑ってしまった。

 

  そんな四人を遠くから眺める赤い双眼。その闇夜に不気味に浮かぶ瞳の持ち主は誰に言うでも無く一人呟いた。

 

「あの魔女には本当はアキオかサトリに接触してもらいたかったんだけど、まさか彼等と同じ存在がまだいたとは驚きだよ。まあラッキーだったね」

 

  そう言うとじっとダイスケを見詰めた。

 

「彼の記憶から大体の仮説は建てられる。さあ、君達は僕達の役に立ってくれる者達なのかもうしばらく観察させてもらうよ」

 

  その一点に視線を向けられたダイスケは瞬時に振り返るが、そこには既に何もいなくなっていた。




今まではアニメ通りの筋書きでしたが、今回でほむらとさやかが協力関係になりました

話は変わりますが一応アキオが主人公ですが未だに見せ場が無いですね・・・
という訳で格好良く活躍させる為に映画とかでガンアクションを目に焼き付けようとしましたが、どれも対人アクションで魔女やドラゴンに応用出来なさそうなのが最近の悩み

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