アラガミ転生記〜ザイゴートからの成り上がり〜   作:トイレの紙が無い時の絶望を司る神

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※少し長めです。

........あ、そうだそうだ。
今回で最終回です( ^ω^)ニコッ
それとわざと有耶無耶な終わり方にしています。

番外編の予定は少しあります。
視点変更が激しいので注意です。


最終話 いい加減、決着付けようぜ?:後編

「キィヤァァァアアアアア!!!!(最後も俺の糧となれぇぇぇぇえ!!!!)」

 

俺の咆哮を口火に、正真正銘こいつらとの最後の戦闘が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

side:三人称視点 in コハ

 

 

4人のゴッドイーターがカーリーに襲いかかる。

 

しかし、そのうち2人は乱入者に阻まれる。

 

「イタダキマス!!」

 

「どけぇ!!人間の言葉わかるからって容赦しねぇぞぉ!!」

 

「そうだよ!!引っ込んでてよね!!」

 

コハはギルバートの放ってくる槍を華麗に避け、ナナが振るったハンマーを足場に飛び上がる。

 

「ハイヤァ!!」

 

上空からの振り下ろし攻撃は、ギルが受け止める。

 

「なんなんだよこいつ!!目で追えないくらいに速いぞ!!」

 

鍔迫り合いを中断してお互い距離を取る。

 

「貰ったぁぁぁぁあああ!!!」

 

その時、コハが距離を取るのを読んでいたのかそうじゃないのか、ナナが追撃にはベストな位置でハンマーをブーストさせて待っていた。

 

ナナはそれを思いっきり振り回し......。

 

「トリャァァアア!!!」

 

コハなんとそのハンマーを足場にして、ブーストの勢いを利用し、逆にギルバートに猛スピードで追撃をかました。

 

「うおっ!!」

 

ギルバートはとっさにシールドを張って攻撃を防ぐ。

 

キィン!!と耳障りの良い音がした瞬間.....。

 

「モラッタ!!」

 

ギルバートは後ろから蹴りで吹き飛んだ。

 

コハはカーリーに前した様に、音が収まる前に動き、相手が安心した隙を狙った。

 

それは見事命中。ギルバートはナナを巻き込んで吹っ飛んだ。

 

「痛っ!!ギル、大丈夫!?」

 

「俺の前にお前は大丈夫か?

ったく、音より速く動いたってことか......!?」

 

その気の抜けた会話は命取り以外の何物でも無かった。

 

2人の目の前には、既に白い刃が迫っていて........。

 

 

 

 

 

 

 

 

side:主人公

 

 

あっちもなかなか接戦してるみたいだな。

 

俺でも最初はあのスピードに付いていけ無かったのに、あいつらは初見で受け止めていられるとは.....。

 

「どこ見てんだ?」

 

そんなことを考えていると、ブラッドの隊長がブレードを振ってきた。

 

俺はそれを手で受け止め、いつもの様に酸で溶かそうとする。

 

しかし、同じ手は通用しない様だ。

 

「読めていますよ。」

 

ズガン!!とシエルの貫通スナイパー弾が俺の両手を上手く貫く。

 

同時に力が抜けてしまい、隊長のブレードで切り裂かれてしまった。

 

「これでお得意の酸攻撃が防げた訳だ。」

 

「えぇ、以前から考えていた対策がやっと役に立ちましたね。」

 

2人は大きな事を達成したかの様な清々しい顔をしていた。

 

俺はと言うと、危機感を感じて冷や汗を掻いていた。

 

どうやら、俺は勝ち続けていた故に相手を侮っていた様だった。

 

そんな俺に悪口を言いたくなった。

 

.......こりゃいかんな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side:三人称 in コハ

 

 

2人は迫っていていた刃に..........。

 

「ギル危ない!!」

 

キィン!!貫かれることは無く、ナナがとっさにコハの武器をハンマーで弾いた。

 

武器を手放してしまったコハ。

 

「アァ!!」

 

慌てて武器を拾おうとすると.....。

 

「甘い!!」

 

ギルバートはコハの武器の前に立ち塞がり、ナナはコハの後ろでハンマーを構える。

 

「アウ......。アウゥゥゥ!?」

 

混乱しだすコハ。

 

戦闘には慣れているが、どうやらこういう状況には慣れて居ない様だった。

 

「さっきの仕返し、たっっぷりさせて貰うぞ!!!」

 

「そうだね!!行くよギル!!」

 

混乱していたコハはギルの槍に対処できず、貫かれたまま後方に押し出された。

 

「どりゃぁぁぁあああ!!!!」

 

そして、そのままナナのハンマーに吹っ飛ばされ、壁まで飛んでいった。

 

「ア、ウゥゥゥ......。」

 

そしてそのまま、気絶した。

 

「ふぅ、危なかったな。じゃ、トドメだな。」

 

今度は立場が一転、ギルの槍がコハに向けられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

side:主人公

 

 

俺は2人の対応に追われていた。

 

腕が塞がれてもブレードがあるから大丈夫だろ。体術もあるし。

 

そう思っていたが。小さなブレードだし、しかもそこまで速い訳でも無いので簡単に避けられてしまう。

 

そこをシエルのスナイパー弾が突き刺さり、オラクルが切れたかと思うとOアンプルで回復してまた撃ってくる。

 

防ごうとするのだが、なにせ隊長の攻撃が異様に重いしバカ速い。

 

どれくらいかって?俺の体術を余裕で防げるくらいだよ。

 

なので、シエルに手が出せないでいた。

 

こんなに強くなっていたとは.....。

 

コハは大丈夫なのか?

 

ふとコハの方を見ると、ギルバートの槍がコハに向けられていた。

 

コハは、気絶している様だった。

 

俺の体は、考えるよりも速くコハの方に向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side:三人称視点 in 主人公

 

 

ギルバートがトドメにとコハを突き刺そうとした所を、カーリーの飛び蹴りが突き刺さった。

 

「グハッ!!」

 

不意をつかれたギルバートは何度かバウンドしながら飛んでいった。

 

カーリーはすぐさまコハを抱えて、手首から先が無い腕でコハを抱いた。

 

「ギル!?大丈夫!?」

 

「俺は大丈夫だ......。少し響いたけどな。」

 

ギルバートは槍を杖がわりに立ち上がる。

 

以前はそれだけで死にかけたが、彼らも相当強くなった様だ。

 

カーリーも、それを改めて痛感した。

 

「皆さん大丈夫でしたか!?」

 

「大丈夫だって言ってるだろ....。それより、速くこいつ倒しちまおうぜ。」

 

「そうだな。こいつを倒せば、俺たちはまた1歩先に行ける。」

 

「うん、速く帰っておでんパン食べるんだ!!」

 

余裕の声でそんな事を言うブラッド達。

 

4人は、カーリーに各々の神機を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side:主人公

 

 

俺の腕の中で、コハが小さく息をしている。

 

死ぬ心配は無いだろうが、それはここから敵が居なくなってからの話だ。

 

正直に言おう。舐めていた。

 

どうせ今回も勝つんだろと思っていた。

 

苦戦はしても、それはそれで経験になる。

 

そんな風に思っていた。

 

実際は、こんなふうに追い詰められるというのに。

 

相手の実力を見誤っていた。

 

何が糧になれだ。何が『荒神』になるだ。

 

そんなの、俺の独りよがりじゃないか。

 

こうやって、家族まで巻き込んで......俺は.....!!

 

『オカーサン!!』

 

ふと、頭にいつもの元気な声が響いた。

 

それ以外にも。

 

『キュゥゥウウン!!』『グルゥ!グルルゥ!!』

 

他の家族の声も、頭に響いてきた。

 

これが走馬灯ってやつか?

 

ごめんな?百鬼、マキナ......。

 

俺は.....お前らの家族なのに.....!!!

 

家族は、守らなきゃダメなのに.......!!!

 

俺は.....!!!!

 

 

 

 

 

何を、諦めてんだ!!!!!!

 

 

 

 

 

そうだ、認めるよ。

 

俺は家族の中で、いつの間にか1番弱くなってしまった。

 

マキナや百鬼は、もう俺が居なくたって充分やっていけるだろう。

 

コハだって、いつか俺を追い抜くのは目に見えている。

 

家族を守るべき俺が、逆に守られてしまっていた。

 

そんな情けなくて仕方ない現実から、俺はいつの間にか目を背けていた。

 

でも、もうそんなのはごめんだ。

 

俺はこいつらの家族だ。

 

こいつらは、俺が寂しい時も、苦しい時も、ずっと一緒に居てくれた。

 

それこそ、こうやって転生する前の家庭より暖かいと思っている。

 

俺が撫でると気持ちの良さそうに目を閉じてへにゃっとするマキナ。

 

俺がボーッとしてたりすると、いつの間にか近くに居て擦り寄ってくる百鬼。

 

そして、俺をオカーサンと慕って無邪気に抱きついてくるコハ。

 

俺は、家族を守らなければいけない。

 

こんな情けない俺を支えてくれた恩は、そうやって返すべきだろう。

 

だから俺は諦めないぞ。

 

俺は、死んででも、家族を!!

 

 

 

『護る』!!!

 

 

 

 

その瞬間、光が俺の中から溢れ出た。

 

 

 

 

 

「な、なんだ!?」

 

「どうなってるの!?」

 

「わかりません。しかし、警戒しておいてください!!」

 

「くそ!!光で何も見えない!!」

 

ブラッド達は光で何も見えて居ないようだった。

 

だが、俺は見えていた。

 

今まで黄色かった体が全体的に白くなり、左腕からは鏡の様な盾が生まれ、右手からは槍が生まれた。

 

髪は長くなり、黄色かったドレスは純白のワンピースの様になった。

 

光が収まり、失っていた手首から先も再生した。

 

不思議と、自分が何ができるかというのが理解出来た。

 

「こ、こいつは.....!?」

 

「まさか、ここまで来てまた進化を!?」

 

「嘘でしょ!?」

 

「またかよ.....また俺達は負けるのか!?」

 

動揺している様だ。

 

だが、俺は家族を護ると決めたんだ。

 

もうお前らに構ってる暇はない。

 

だが、言った通り決着は付けるぞ。

 

もう二度と、俺の家族に手を出そうとは思わない程に、打ち負かしてからな。

 

ここで説明だ。俺が今回進化して手に入れた能力についてだ。

 

俺は槍で地面を叩いた。

 

すると同時に、地面が崩れ、白い発光体になった。

 

それは形を変え、次第に数を増やし、5本の槍の形になった。

 

そう、俺の能力は、『槍から放った感応波で非生物をオラクル細胞に変化させ、それを自由に操れる』という能力だ。

 

槍を指揮するように振るって、ブラッドの方向へ飛ばす。

 

「皆んな避けろ!!どんな能力かわからないぞ!!」

 

隊長が言うと、全員受け止めようとせずに避ける。

 

それが狙いだと知らずに。

 

オラクル細胞の槍は地面に刺さり、刺さった地面をまたオラクル細胞に変え、槍に姿を変え、それを放ち、今度は受け止められるも、弾くようにしたせいでまた地面に触れ、分解され、オラクル細胞と化し、槍となってまた襲う。

 

何度か俺に神機を向けて来たが、それを盾で受け止めて槍で突き飛ばした。

 

以前と比べて身体能力も動体視力も判断力も馬鹿みたいに上がっている。

 

それを延々と繰り返し、遂には.....。

 

「た、隊長ぉぉぉ.....。」

 

「隊長.....。」

 

「おい、どうすんだよ!!隊長!!」

 

「........くそ!!」

 

槍の数は千を超え、ブラッドを取り囲む様にして回っていた。

 

俺はその時点でその場を去り、コハを背負って飛んでいた。

 

そして、もう追いつかないだろうと思った所で、槍を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キ、キュゥゥウウ!?」「グルゥ!?グラァ!?!?」

 

俺は帰ってきた。家族の元に。

 

俺はすぐさまコハを下ろして、自らのワンピースを引きちぎって口に入れた。

 

その瞬間、コハの傷が目に見えてわかる勢いで治って行った。

 

少しして傷は完全に塞がったが、未だ目を覚まさない。

 

俺たちは三日三晩看病した。

 

看病と言っても傷は塞がっているので近くにいて撫でるだとか、俺のワンピースをまた引きちぎって口に入れて食べさせてあげるとか、それくらいしかできないのだが。

 

そうして居ると、4日目に目を覚ましてくれた。

 

「オカー.......サン?」

 

それと同時にコハに抱きついた。

 

「オカーサン?ドシタノ?」

 

恥ずかしそうに照れるコハ。

 

百鬼やマキナもコハに擦り寄る。

 

良かった。本当に良かった。

 

俺は、コハを力いっぱい抱きしめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから1ヶ月。

 

特に誰かが侵入してくるとかは無くなった。

 

あと残念なことに、俺の得意能力であった酸が消えてしまった。

 

黒蛛病は依然として使えるのだが、そうそう使う機会は無い様に思う。

 

代わりに追加された能力は、何もしていないのにバンバン強くなって行った。

 

1度に出せる槍の量が5本から10本に増えていた。

 

それに呼応する様に、槍も固く鋭くなって行った。

 

今やマキナの本気の砲撃を真っ二つにして防げるくらいには強くなっていた。

 

盾も、なにやら光ると思ったら光に触れたアラガミ細胞の活動を少しの間無効化する事がわかった。

 

.......規格外にも程がある。

 

コハが目覚めてから一週間程は、何故か上手く体が動かせないでいたコハのリハビリを行なっていた。

 

今じゃまた元気に走り回っている。

 

「イケー!!」

 

「ガウー!!」

 

百鬼に乗ってな。

 

マキナは俺の頭に乗って髪を弄っている。

 

変わった俺の髪がどうにも気になる様だった。

 

そんな風に、少しずつ俺達は調子を取り戻していた。

 

こんな日々を俺は幸せだと思う。

 

他にも気にしないといけないことがあるのにはあるのだと思うが......。

 

「グルゥ!!ガウー!!」「オカーサン!!ギュー!!」「キュゥゥン!!」

 

こうやって家族と接していると、なんだかそれ以外どうでも良くなってくる。

 

難しいことは考えずに、俺はこの家族を護って行きたい。

 

そう思いながら、俺は今日も家族と暮らしている。




番外編を読んで初めてスッキリして終われるようにしていますので、呼んでくださいね?( ^ω^)ヌフフ
番外編ではやっとあのバーサーカーが再登場します。お楽しみに!!

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