レナの兄貴に転生しました【完結】   作:でってゆー

1 / 88
梨花

俺の名前は竜宮灯火。

生後8ヶ月の赤ちゃんだ。

 

正直意味不明だが俺は転生をしたらしい。

不思議だね。俺死んだ記憶ないんだけど。

 

納得いかないが赤ん坊になっていることから俺になにかあったのは間違いないだろう。

 

心当たりを赤ちゃん用のベッドで転がりながら考えたが、全く思い浮かばない。

 

代わりにわかったことは父と母のことだ。

 

父の名前は竜宮保典

母の名前は竜宮礼子

 

特に異常もない普通の両親だと思う。

 

ただ気になるのは

 

竜宮って苗字、どこかで聞いたことがあるんだよな。

 

でも思い出せない、ここまで出かかってはいるんだが。

まぁ思い出さないってことは大したことではないさ。

 

この4ヶ月後、俺は忘れていたことを思い出し頭を抱えることになった。

 

 

 

 

 

生まれてから1年が経ち、俺は1歳になった。

1歳かぁ、自分で言って笑えてくるな。

 

さて実は2週間前に俺に妹ができた。

 

名前は竜宮礼奈。

現在俺の横に新しく設置されたベッドの上でスヤスヤ眠っている。

 

綺麗な顔をしていて、将来はきっとすごい美人になるに違いない。

というか俺の予想通りなら確実になる。

 

なぜわかるかって?

それは礼奈の将来の姿を知っているからだ。

 

 

礼奈って名前を聞いてもしかしてと思ったんだ

いやでもまさかなって現実逃避してた時に、父と母の会話から聞きたくない単語が耳に入った。

 

『雛見沢』

 

赤ちゃんの俺はその単語を聞いた瞬間、ムンクの叫びのような顔をして泣き叫んだ

 

気持ち的には嘘だぁぁぁぁぁぁ!!って感じに

 

どうやら俺は、あの「ひぐらしのなく頃に」の世界に、しかもあのレナの兄として転生してしまったようだ。

 

そこからもう落ち込みまくって3日間寝込んだ。

いや赤ちゃんだから寝てるのは当たり前なんだが。

 

雰囲気的はズーンっという効果音がつく感じで落ち込んだ。

 

だってひぐらしだよ?登場人物が疑心暗鬼になって人を殺す世界なんだよ?

 

そりゃ、キャラクターはみんな大好きだけどさ。

 

でもその世界に行きたいか?っと言われたら、それはごめんなさいってなるよ。

 

ああ‥‥俺の人生終わった。

 

そんな感じで1歳の俺はベッドの上で落ち込んでいた。

 

その4日後

 

よし!なんとか立ち直ったぞ!

 

4日間落ち込みまくった俺は落ち込みすぎて逆に吹っ切ることに成功した。

 

死亡フラグがなんだ!こうなったら死亡フラグを全部ぶちのめして幸せに暮らしてやる!

 

バブー!! っと間抜けな声を出しながらベッドの上を転がり回る。

 

暴れていたせいで父が慌ててやってきて漏らしたと勘違いしてオムツを取り替えられた。死にたい。

 

とにかく俺はこの死亡フラグだらけのひぐらしの世界で笑って生き抜いていくことを誓った。

 

 

 

 

 

 

あれからあっという間に5年が経って6歳になった。

 

6歳になりだいぶ顔つきもしっかりしてきた。

美人な礼奈の兄なだけあり俺も結構なイケメンに成長している。

たぶん礼奈が男だったらこうなってたんじゃないかってくらい俺と礼奈は似てるし。

 

そんな俺は現在雛見沢村の古手神社に向かって走っている最中だ。

 

ひぐらしの世界で生きていくのはいいけど、今の俺に何が出来るかを考えた。

 

原作ではレナが小学校に入る前に雛見沢を出ることになるみたいだから、あとだいたい2年くらいの猶予がある。

 

その間に俺がすることはひたすら原作キャラに関わっていくことだ。

 

俺はこれからどんな悲劇が起こるかを知っている。その悲劇を防ぐために折れるフラグは片っ端から折っていくつもりだ。

 

「相変わらず、ここの階段は長いな!」

 

階段の長さに愚痴をこぼしながら駆け上がると目的の場所である古手神社が顔をみせる。

 

息を整えて神社に近づき、父からもらった5円玉を賽銭箱に入れる。その時にこっそりと手紙を賽銭箱の中に入れるのも忘れない。

 

この手紙が何かって?

 

簡単に言えばラブレターだ。

 

俺は1年前から古手神社に着くと5円玉と一緒にこの手紙を賽銭箱に入れている。

 

宛先はこの雛見沢村の守神であるオヤシロ様、つまり羽入だ。

 

雛見沢にいる間に会えるキャラにはできるだけ会っていようと考え、羽入にも会いたいと思った。

しかし羽入はオヤシロ様の生まれ変わりと言われている古手梨花にしかその姿を見ることは出来ない。

 

しかし将来訪れる悲劇を防ぐためにも接触はしておきたい。

 

そこで思いついたのは手紙を書くことだった。

俺からは姿が見えなくても羽入からは俺を見ることが出来る。

ならば俺が羽入に向けて手紙を出していることを向こうが知ってくれればいずれ読んでくれるはずだと考えた。

 

内容は初めの頃は自己紹介。

日頃見守ってくれていることのお礼。

今日会った出来事。

オヤシロ様は祟り神なんて言われてるけど本当は優しい人だって知ってるよ!とか愛してる、大好きだぜ!!

 

みたいな内容をこの1年、毎日書いて賽銭箱の中に投入している。

 

最初の頃は、これ効果あるのかな?っと思いながらやっていたが、前に梨花ちゃんのお父さんにいつも手紙を賽銭箱に入れていることを謝ったのだが。

 

『手紙?何のことだい?』

 

っと疑問顔をされた。

お母さんの方にも確認したが知らないとのこと、2人以外に賽銭箱を見れる人はいない。

 

つまりは

 

「やぁ灯火君。おはよう」

 

俺が手を合わせて拝んでいると梨花ちゃんのお父さんが箒を持って現れた。

 

「おはようございます!」

 

笑顔で元気よく挨拶をする、笑顔の挨拶は好かれる近道だ。

 

「今日も来てくれたのかい?いつもありがとうね」

 

梨花ちゃんのお父さんは柔和な笑みを浮かべながらそう言う。

 

「はい、梨花ちゃんに会っていいですか?」

 

「もちろん。家の中にいるから上がっていいよ」

 

梨花ちゃんのお父さんの了承を得たのでさっそく梨花ちゃんのいる古手家に向かった。

 

元気よく挨拶しながらドアを開ける。

玄関でそのまま待っていると

はーいっと返事をしながら梨花ちゃんのお母さんが現れた。

 

「灯火ちゃん。いらっしゃい」

 

梨花ちゃんのお母さんは突然の俺の訪問にも笑顔で歓迎してくれる。

というか毎日この時間に来てるからもはやお決まりだ。

 

「ふふ。そろそろ来ると思ったわ」

 

向こうもわかってるから笑顔で対応してくれる。

 

靴を脱いでお邪魔する。

お母さんによると梨花ちゃんは居間にいるようだ。

 

「梨花ちゃーん!」

 

そう言いながら居間に行くと

 

「トウカ!!」

 

俺の声に反応してこちらを向くと満面の笑みでこちらにトテトテと走ってきた。

 

「おっと」

 

走ってきた梨花ちゃんを怪我をさせないように優しく受け止める。

 

「走ったら危ないぞ?」

 

「えへへ。ごめんなさーいなのです!」

 

俺が注意すると笑顔で謝る梨花ちゃん。

 

梨花ちゃんが可愛いすぎてやばい!

 

何回か本気で『お持ち帰り〜!!』しそうになった。

 

俺は礼奈の兄で間違いないようだ。

 

「トウカ!一緒に遊ぼうなのです!!」

 

俺の手を掴んで上目遣いでそう言ってくる梨花ちゃんは反則だと思う。

 

「いいよ。何して遊ぶ?」

 

「えっとねーおままごと!」

 

そう言って俺の手を引いて居間に座る梨花ちゃん。

こうして梨花ちゃんと遊ぶのはいつもの流れだ。

 

「梨花?あまり灯火ちゃんを困らせたらダメよ?」

 

俺たちが遊んでいると冷たい麦茶の入ったコップを盆に乗せた梨花ちゃんのお母さんが現れた。

 

「困らせてないもん!ねぇトウカ?」

 

「ああ、すごく楽しいよ」

 

「ほらお母さん!!」

 

「もう!わかったわ。灯火ちゃん、梨花をお願いね」

 

「任せてください!じゃあ梨花ちゃん続きしようか」

 

「はいなのです!!」

 

梨花ちゃんのお母さんは俺と梨花ちゃんが遊ぶのを微笑ましく見ていた。

 

 

梨花ちゃんのお母さんが買い物に出かけ、現在梨花ちゃんと2人っきりでおままごとの真っ最中。

 

「そろそろ別の遊びをしようか」

 

おままごとが飽きてきたので別の遊びを提案する。

 

「うん!じゃあ次はえっとねー」

 

梨花ちゃんはどんな遊びにするか悩んでいる。

俺がおとなしく待っていると梨花ちゃんが急に横を向き

 

「もう!羽入うるさい!!今はトウカと遊んでるの!あっちいってて!」

 

何もない空間を怒った顔で睨みながらそう言った。

 

「羽入?」

 

 

 

え?羽入いるの?

 

 

 

「うん!羽入がね!私もトウカと話したいってうるさいの!!」

 

プンプン!といった様子で頬を膨らませながら怒る梨花ちゃん。

 

一瞬、梨花ちゃんの横ですごく焦った顔で手をバタバタさせている羽入を幻視した。

 

「じゃあ羽入も入れて3人で遊ぼうか。」

 

「え?トウカは羽入が見えるのですか?」

 

梨花ちゃんが不思議そうな顔で聞いてくる。

 

「ううん、見えないよ。だから羽入と3人で遊ぶには梨花ちゃんに羽入が何を言ってるのか教えてもらいながらになるけどいい?」

 

「だいじょうぶなのです!」

 

「よし!じゃあ遊ぼうか!」

 

「はいなのです!」

 

こうして俺と梨花ちゃんと羽入の不思議な遊びが始まった。

 

「あ、トウカ」

 

「なに?」

 

「羽入がいつもおてがみありがとうって言ってるのです。にぱー☆」

 

梨花ちゃんが嬉しそうに俺に羽入の言葉を伝えてくれる。

どうやら俺の手紙は、きちんと届いていたようだ。

 

「そっか、じゃあ羽入にお返事を楽しみにしていると伝えてくれるかい?」

 

俺の言葉に梨花ちゃんは笑顔で頷いたのだった。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。