ヤジロベー...確かアニメの方での絶望への反抗で死んだ風な描写だった様な...まさかスタッフは忘れてるのだろうか?
...まあ、今更そんな事を気にしてたらアレですけどね。
シュババババ!!
カリン塔のてっぺんにて、2人の人物が壺を巡った追いかけっこをしていた。追いかけっこと言っても、そのスピードはとても常人には目視出来ない程のスピードである。
「デリャアアアア!!」
シュン
「ほいっ!!」
シュン
狭い塔の中で、2日間続いた一つの壺を巡った攻防は終わりを迎えようとしていた。未熟であった男は、最初とは違い無駄な動き無しの超スピードで壺が引っかかっている杖に手を伸ばして
ガシィッッ!!
壺を掴み
「オラァ!!」
杖ごと奪っていったのであった。
「おっとっと...まさか杖ごと奪われるとは思わなんだ。」
「す、すいません!? つい力が入ってしまって?!」
そう言って、男は仙猫に謝る。
「気にしなくて大丈夫じゃよ...それにしてもまさか2日で試練を合格するとはのう...」
嘗て、孫悟空という男にはたった3日で超聖水を取られてしまった。その仲間も、同じ位の期間で取られてしまった。
「そして今や...若きサイヤ人にたった2日で試練を突破されるとはのう...武術の神様と呼ばれた頃が懐かしいわい。」
「...俺がサイヤ人って、知ってたんですね。」
「伊達に長く生きておらんからのう...おっと、そうじゃった。」
そう言ってカリン様は鈴と豆が3粒入った袋をを男に渡す。
「これは...」
「もし神殿に着いたらその鈴を見せるといい。儂がお主を認めた証じゃ。それとそいつは先程収穫したばかりの仙豆じゃ。もしもの時の為にとっておくといい。」
「何から何までありがとうございます!!」
「いいのじゃよ。久しぶりに儂も楽しませて貰ったからのう...」
そう言って、カリン様は笑いながら昔の事を思い出していた。純粋に強くなろうとこの塔を登ってきた者達の事を。
「ほっほ...」
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「これが...」
嘗て悟空さんが使ってたとされる如意棒か...それにしても天界とカリン塔を繋ぐ為のものだからか、触ってみると頑丈だな。
「縮め! 如意棒!!」
するとどうだろうか?天まで高く伸びていた赤い棒はみるみる縮んでいく。
「よし来た!!」
縮み切ったそれをつかんであの言葉を言う。
「伸びろ!! 如意棒!!」
ギュオオオオオオオン!!
縮む時とは段違いのスピードで伸びて行く如意棒。あっという間にそれに捕まっていた男の姿が見えなくなってしまったのだった。
「カリン様! ヤジロベーさん! お世話になりました!!」
「...行っちまったな、あいつの飯美味かったのによぉ。」
「お前は食う事しか頭に入っておらんのか。」
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「凄い...こんなに速く伸びるなんて!!」
さっきまで見えてた塔のてっぺんが、もう見えなくなった。
「しかし...ん?」
なんか尻がムズムズするな...
「というよりチクチクして気になる...痒くてしょうがない。」
というより、何か生えてきてないか?
「まさか...」
両手は如意棒に捕まっているので確認は出来ないが、この時俺は確信した。
「(尻尾かよ?! 最初生えてなかったからずっとこのままかと思ったけどよりによってこのタイミングで生えてくるんじゃねぇよ!?)」
今、少しでも手を離そうとしたら地上へと真っ逆さまであろう。舞空術の使えない俺はその瞬間、ジ・エンドである。
「痒い痒い痒い痒い...痒いぃぃぃぃぃぃ!?」
必死に尻を掻きたくなる衝動を抑えながら、俺は神殿へと向かうのであった。
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「こんな所に客人...珍しい。所でお前、何で蹲っているんだ?」
「本当...本っっっ当にすいませんが、穴が空いたズボンか道着ありませんか?」
神殿に着いた俺は開口一番、穴開きズボンを所望したのであった。
本編開始まであと3日
To be continued...
因みに現在の主人公の戦闘力は500
カリン様の戦闘力は400程となっています。
カリン様だって初登場よりかは強くなってるだろう...という淡い期待と共にこの戦闘力にしました。