「デリャアアアア!!」
「ほっほ...それじゃあこの超聖水を奪う事など出来んぞ。」
この掛け合いだけで俺が何をやっているのかわかるだろう。そう、俺は今カリン様から超聖水を奪う修行をしているのだった。
「これならどうだ!!」
俺はウパにやって見せた例の突進を使う。狭い場所だから余りやりたくは無かったが...背に腹は代えられない!!
「よっ」
やはり真横に避ける。そう来るのを待っていた!!
「これで...何!?」
「残像拳じゃよ。それより危ないぞ。」
「グッ!?」ガシィッッ!!
言われた俺は飛んだ先が外だということに気づき、咄嗟に手すりに掴まった。危なかった...勢い余って落ちたりしたら幾らなんでも死んでしまうからな。
「ほれほれどうした? もうギブアップかの?」
「はっ...まだまだ行けます」
シュン
「よ!!」 「ほ」
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Side カリン様
そいつの第一印象は、未熟であった。塔のてっぺんから見ていたが、気も技も体力もまだまだ未完成...じゃが
「気迫だけは一人前じゃのう。」
ほっほ...彼奴を思い出すのう...誰よりも純粋で、誰よりも強さを求めていた彼奴...孫悟空に。
「ほれほれ、このままじゃあ神の神殿に行く事など夢のまた夢じゃぞ。」
「わかってますよ!!」
しかし、焦りが出ているのう...何を急いでいるかはわからぬがそれでは三年はかかるぞ。
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「はぁ...はぁ...」
やはり解ってはいた事だが、この人?の動きを捉えるのが難しい。というより俺の動きが捉えやすいのだろうか。どう動いても最小限の動きで躱されてしまう。どうフェイントを入れても直ぐに読み取られ、フェイントを返されてしまう。
「(クソ...こんな所でもたついている場合じゃないってのに)」
どうする...我武者羅に突っ込んでなんとかなる相手でもない。かといって小手先のフェイントじゃあ躱される。何せ相手は数百年もこの塔で武術の神として君臨してる仙猫。武術に関しては全くの素人の俺が考えてる事など全てお見通しだろう。
「(一体どうすりゃあ...)」
「それじゃあ駄目だぎゃあ。もっとリラックスしとかんと!!」
「あっ!? こらヤジロベー!!」
リラックス...そうか!! そうだった。俺は焦り過ぎてたんだ。だから動きも単調で硬くなって...よし。
「ふぅー...行きます。」
「(こやつ...先程の焦りが消えた。普通は言われても中々直る様な事では無いのに...面白い)」
「...こっからは」
俺は左足と左手を前にして、前傾寄りに構えた。そう、悟空さんがベジータさんと最初に戦った時のあの構えだ。俺みたいなド素人がする構えだから、端から見ると似ても似つかない様な不完全なものかもしれない。だが
「俺のターンです。」
「!」
この世界に来てから一度はしてみたかった構え
どんなキャラクターよりも俺が憧れていた人物がしてた構え
今はまだ...未熟なサイヤ人かもしれないけど
「俺は...いつか通り越して見せます!!」
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先に動いたのは男であった。
「ちぇい!!」
瞬時に間合いを詰める男、後もう少しで届くかどうかといった所で
「ほっ」
躱されてしまう。だが...
「(今...ほんの少しだけ手応えがあった。ほんの少しだけだけど...この人の動きがわかってきた!)」
男は嬉しそうである。
「余所見してる暇があるかの?」
シュン シュン シュン シュン
突如、仙猫の姿が増える。多少ぼやけていることから、本体はただ一つの様だ。
「なっ...残像が...」
「多重残像拳じゃ。どれが本物か解るかの?」
「(慌てるな...心を空にして...)」
「(こやつ...まだ完成には程遠いが気を読み取ろうとしておる)」
「...そこだ!!」
手を伸ばす男
「!」
怯む仙猫
「...掠っただけか。捉えたと思ったんだけどな...」
「まだ1日も経っておらんのに、そう簡単に捉えられる訳にはいかんからのう(あと一瞬反応が遅れたら...危なかったのう。本当にこやつは孫悟空に似ている...なんとも不思議なものじゃ)」
「まだまだ行きますよ!」
「こりゃあ久しぶりに面白い奴が登って来たのう!!」
超聖水の争奪戦はまだまだ続く...
本編開始まであと5日
To be continued...
書いてて気付いた。主人公の名前決めてねぇ!?