イサヤが界王様の元で修業して一か月が経とうとしていた。もともと戦闘力が高めであった彼はすぐにバブルス、グレゴリーとの試練を乗り越えてまだ完成8割であるが界王拳も習得していた。その間たったの2週間。
何せ原作知識持ちの彼にとって、見たことのある修業は余り苦戦しない。そもそもカリン塔や、神様の修業がすぐに終わったのもどうすればいいのか?どういった修業なのかを知っているからというのが最もな理由なのだ(本人は気づいていないが)。それ故に一週間で終えることが出来たのだ。ここまでは...
「ぐぐぐぐ...」
「駄目じゃ。お主がやっておるのは周りの気を感じてるだけ。自然そのものを感じ取るにはまだ至っておらん。」
彼の知らない修業が、彼を苦戦させていた。
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「くそ!駄目だ!」
今俺がやっている修業は外部から自然の気(俺は自然エネルギーと呼んでいる)を感じて自分の体に取り込むというものだ。これが全くと言っていいほどわからない。
界王様曰く、周囲の気を感じ取ることとは違うらしい。それにこれを発動する条件がまた厄介であった。
『いいか、動いたら駄目じゃ』
そう、絶対に動いたら駄目なのだ。曰く動いた場合蛙になったまま石化してしまうとかなんとか...恐ろしい話だ。兎に角俺は焦っていた。こんな所でもたもたしている場合じゃない。半年と少ししたらあいつが地球に来てしまうんだ。
「お主には焦りが見えてとれる。」
「...わかってますよ。そんなこと。」
「お主は確かに上達するのが早い。界王拳だって、あと数日したら完全に習得できるじゃろう。だが一生無理じゃろう。その技を習得することh「わかってますよそんなこと位!!」
...はっ!俺は今なんて..
「す、すいません!?つい声を荒げて...」
「気にせんでいい。良いか、この修業のコツは『動くな』じゃ。一度リラックスして考えてみるといい。」
そう言って界王様は家に入り、夕食の準備をしていた。そうか...ずっと修業ばかりして気付かなかったけどもうそんな時間か。
「...考えてみるとここに来てから俺は焦ってばかりだな。」
究極ドラゴンボールを使わせまいと急いで修業を終わらせようと努力して、駄目だったら次は力になろうと技の習得に躍起になっている。そんなんじゃないだろ。
強くなろうと躍起になるために俺はこの世界に来たのか?力が無かったらこの世界じゃ駄目なのか?!違うだろ!!ポポさんも言ってた。無駄な事なんて何もないって!わかってるんだ...このまま焦ったって駄目なこと位俺が一番わかってるんだ。
「...リラックス、か。」
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イサヤは今、厨房にて料理の手伝いをしていた。その腕前であっという間に料理を完成させる。後は調味料である。今回はこの星に生えてる木からなる実を使うらしい。
因みにこの実、見た目は緑色の小さな蜜柑の様で味はすっぱい(イサヤ曰く、レモンとはまた違う酸っぱさ)。鍋料理には欠かせないものだ。イサヤはその実を取ろうと外に出る。
「さて、と。スボカの実スボカの実...!」
そんな時だった。瞬時に実のなってる木の元へ移動するイサヤ、その数秒後に木の実は自重で落ちるのだった。前世が料理人である彼にとって、食材が無駄になることは避けたい。それ故に地面にぶつかる前にキャッチすることで阻止することに成功したのだった。
「今...何故か落ちることが予測できた。」
気を読み取るとも違うこの感覚。まるで喋る筈のない木が自分に話しかけるような感覚であった。気を張り詰めていた時にはわからなかった感覚。彼はすぐに確信した。
「こいつが...!」
自然エネルギーなのだと。試しに動かずにその場で座禅をするイサヤ。
「...」
周囲のエネルギーが集まってくるのを感じる。イサヤの体に異変が起こる。目元に隈が出来始め、気がみるみるうちに上がっていく。何よりも以前の焦った様子は見られず、落ち着いた雰囲気を漂わせている。
「帰りが遅いから様子を見てみれば...まさかいきなり成功するとはの。」
「...あ。そういえば料理!?」ピキピキキ..
途中で動いたせいで、蛙石化してしまうイサヤ。
「まだまだ若いの...詰めが甘い!」ゴチン!!
そういって木槌で叩く界王様。叩かれた彼は無事元に戻った。失敗こそすれど、習得のコツを掴んだイサヤであった。
奴の襲来まであと7か月と22日
To be continued...
イサヤが今習得しようとしてる技...NARUTOのあの技でございます。何となく元気玉に近いかな?(周りのエネルギーを利用してる点で)という理由で出してみました。正直作者はNARUTOをあまり知らないので何となくこんな感じかな?という風に書いています。間違ってたらすいません。