君と、ずっと   作:マッハでゴーだ!

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瀧くんデート大作戦 ~夜の部~

 瀧くんとのデートは、終始楽しいものだった。

 この日のために色々と下調べをしてくれていたことに、嬉しさからずっとドキドキしていた。

 隣を見ると、そこにはいつも瀧くんがいる。そのことが言葉に出来ないほどに嬉しくで、心をキュッて握られるみたいな感覚だ。

 ……これはもう、末期だ。認めてしまった方が気が楽だと思うくらいに私は――瀧くんに、恋い焦がれていた。

 ……瀧くんと出会ってから日が浅いのにそう断言するのはおかしいかもしれないけど、私の中の心がそう断言している。運命の出会いなんてドラマでしかないと思うけど、もうこれは運命としか思えないほどの出会いだったんだ。

 瀧くんの目が好き。瀧くんの気遣いが嬉しい。ちょっと私を女性として見る目も、好き。

 今の私にはそんな、色々な好きが入り組んでいた。

 そんなデート日和の今日も、そろそろと言わんばかりに日が暮れ始めていた。

 昼間のデートは新宿御苑でのんびりと庭園を眺めたり、話したりした。そこで色々な話をした。

 私の家族のこと、瀧くんの友達のことや先輩のこと。偶に職場の愚痴や、趣味……瀧くんの趣味がカフェ巡りってことで、今度二人でカフェ巡りをしようっていう約束もした。

 ……偶に、おかしな感覚がある。

 瀧くんから聞く話は始めて聞くはずなのに、どこかで聞いたことがあるように感じることが多々あった。

 それどころか、どこか懐かしいとまで思ってしまう。

 ……気のせい、だと思うけどさ。

 ――ともかく瀧くんとのデートはまだまだ終わらない。

 次はいつデートできるかも分からないんだから、楽しめるときに目一杯楽しまないとね!

 

「――三葉は何にする?」

「あ、どうしようかなー……じゃあカシスオレンジで!」

「じゃあ俺は生一つお願いします」

 

 瀧くんが店員の女の子にそういうと、可愛らしい女の子が笑みを浮かべて「かしこまりました!」と掛け声をあげる。

 ……今、私たちは個室型の居酒屋に来ている。

 居酒屋といってもものすごくオシャレな内装をしていて、一見したらイタリアンのお店と勘違いしてしまうほど。

 瀧くんは慣れたようにおつまみや料理を色々と頼んでくれ、ほどなくして飲み物が私たちの席に届く。

 ……誰と良く来ているんだろう、なんて考えてないからね。うん、これっぽっちも!

 

「あの、三葉? そんな風に睨まれる理由が俺には分からないんだけど」

「あ、気にしないで。物凄く逆恨みだから」

「何に対して!?」

 

 瀧くんは私を伺うも、その意味がないと悟ったのか、肩を落としてキンキンに冷えたジョッキビールを片手で持つ。

 ……最初に生ビールを頼むあたりが男の子っぽいというか、なんていうか。

 ともかく私もお酒を持って、瀧くんと乾杯をする。特に音頭とかは必要ないから、カンっとグラスを当てるだけ。

 瀧くんはよほど喉が渇いていたからか、一杯目のビールを一気に飲み干した。……ちょっと羨ましいかも。

 私も最初は生ビールにしたら良かったかな?

 

「瀧くんはお酒強いの?」

「うーん……そこそこ、だな。友達とかと行くときは大体最後まで飲んでることが多いから、強い方だと思う」

「そうなんだ。ちょっと羨ましいかも」

「三葉は弱いのか?」

 

 ……実はあんまり強くなかったりする。

 瀧くんにそう言われて素直に言おうとしたけど、でも――たぶん瀧くん、私が弱いっていったらすごく気を使ってくるだろうな。

 お酒の席で、しかも絶賛恋愛中の相手に遠慮されたくない。

 だから私は嘘をつくことにした。

 

「わ、私も結構飲める方なんだよ? だからこんなお洒落な居酒屋に連れてきてくれて嬉しいなー……なんて」

「そっか……良かった。無理に飲ませたくなかったから気が引けたたんだ。それなら今日はとことん飲もう!」

 

 瀧くんが爽やかな笑みを浮かべて追加のお酒を頼む。

 その時、私はちょっと後悔した――これ、もう逃げ道なくなったよね。でもこんなに嬉しそうな瀧くんの顔、なかなか見れないし……すっごく複雑だよ!!

 

「俺の周り、お酒強い奴がいないからいつも心置きなくは飲めないんだよな。一人で飲んでても詰まらないし」

「あ、あはは――じ、じゃあ今日はいっぱい飲もうねー」

 

 私は完全に棒読みでそう言って、空になったグラスを見つめる――出来る限り度の低いお酒で頑張ろう!

 そう心に決めて、私は次のお酒を頼んだ。

 …………。

 割と序盤で、すごく身体が暑かった。

 まだまだホロ酔いなんだけど、お酒を飲むごとに瀧くんに対してすっごく甘えるような声音になってくるのを、内心自覚していた。

 そして私は――

 

◯●◯●

 

「たべさせてー?」

「あの、三葉さん? これ相当酔ってるよな?」

「よってへーん! みつは、すごくれいせいなんよー?」

 

 ……通算で7杯目で三葉は可愛い甘え口調になり、通算10杯目を越えてからはついに呂律が回らなくなっていた。そんな完全に酔っぱらっている三葉は現在、俺の席の隣に移っている。

 最初に結構飲める方って言ってたけど、たぶんそれは俺に気を遣ってのことなんだろうなぁ、って思う。っていうか、これは完全に悪酔いだ。現に距離が近すぎる!

 たまに注文を届ける店員さん(この店には良く通っているため、顔見知り)が酔いが回っている三葉を見て、苦笑いをしているのがもう心に痛かった。

 ……ちょっと子供っぽいけど、これはこれで有りだなんて口が裂けても言えない。

 

「あれぇ~? タキクン、グラスあいてるん? みつはがたのむんよー。てんいんさん! かるーあみるくひとつー!」

「三葉、ちょっと水を飲め!」

 

 いもしない店員に注文をする三葉に、事前に貰っておいたお水を飲ませる。……も、ちゃんと飲めずに水で服が軽く濡れた。

 

「あぁ、言わんことないな」

「ふいてぇよぉ……」

「はいはい、わかったから」

 

 俺は嘆息しながら、おしぼりで三葉の口元の水滴を拭い、服を軽く拭こうとする――が、固まる。

 三葉のワンピースはフラワーペイントされているとはいえ、素は白の薄い生地だ。白は濡れると透ける――つまり、三葉の青色の下着が、肉眼で確認できるってこと。

 

「ん~? ふかんの~?」

「……この無意識小悪魔め」

 

 俺は三葉の頭をグリグリと撫でまわし、恥ずかしさを紛らわそうとした。

 ――結構、でかいんだな。何とは言わないけど。

 

「ちょ、いじわるせんといてぇよ~……あ、でもやっぱりもっと~」

「三葉は酔うと甘え上戸になるのか……」

 

 異様なほどにくっ付いてくる三葉に対して拒否できないのは、男の性か?

 だけど俺だって男なんだ。こうも密着されたら、やっぱり反応してしまう。それに相手が酔っているからって何かするのは男らしくないからな。

 ……三葉の酔いを冷ますのは勿体ない気もするけど、仕方ない。

 

「ほら、もうこれ以上飲んだらダメだぞ」

「いややぁ~!!」

 

 ……ホント、なんだこいつは。普段の三葉はもっと大人の女性らしさを醸し出してるけど、今の三葉は子供みたいに駄々っ子だ。とりあえず、腰にくっ付くのはちょっと、位置的に危うい……っ!

 

「たきくん、いいにおいするぅ~」

「……嗅ぐな嗅ぐな! 今日は結構汗かいてるから臭うはずだからさ!」

「そんなことないー♪」

 

 俺の腹部を頭でグリグリとしてくる三葉。三葉の髪からトリートメントか、花のような匂いが俺の鼻孔をくすぐった。

 ……もう、一周回って落ち着いてきたな。俺は若干諦めて、三葉の髪の毛を手櫛をするように、すぅっと梳いた。三葉は心地良いといわんばかりの吐息を漏らす。

 ……こんなのただのバカップルだ。付き合ってもない癖に。

 ――予定では、そろそろ店を出て行く場所があったんだけどなー。

 

「三葉の髪、綺麗だよな」

「ていれ、がんばってるんよ~? かみはおんなのいのちやの!」

「……ごめん、あんまり触らないほうが良いか?」

「……たきくんなら、いいよ」

 

 ……お酒のせいなのかは分からないけど、三葉は顔を紅潮させて焦点の合わない目で俺を見つめてそう言った。俺は軽く笑みを浮かべて三葉の髪を梳く。

 糸のようにしなやかな髪はどれだけ梳いても飽きなかった。

 ――やばい、俺も結構酔ってるぞこれ。

 こんなの、普段の俺じゃない。こんな小っ恥ずかしいこと、普段の俺なら絶対に出来ない。

 ……良く考えたら、三葉も結構飲めるって聞いてハイペースで飲んでたもんな。ここまで酔うのは初めてだけど、俺は酔ったら気分が上がるタイプなのか。

 ただまだこう考えることが出来る分、マシではあるか。

 ……三葉との触れ合い?は、それから数十分ほど続いたのだった。

 一つだけ分かるとすれば――俺、しばらくあの店には行けないな。

 

●○●○

 

「三葉、ちょっとは酔いは冷めたか?」

「うん~……でもまた、気分はフワフワやから、たぶんまだ残っとる……」

 

 三葉は少しふらつくから、俺は彼女を支えるように肩を掴んだ。

 あれから店を出て数十分が経ち、今は三葉の酔いを覚ますために新宿から離れた公園でベンチに座っていた。

 流石の三葉も先ほどまでの酔いは幾分かは冷めているものの、普通には歩けないためか俺の腕をギュッと掴んで離さない上に、座ってからもそのままだ。役得って言えば役得だけど――

 

「三葉、それは流石に俺でもわざとって気付くぞ?」

「……あ、あはは。流石にばれるよね」

 

 三葉は俺がツッコムと、少し苦笑いをしてそそっと俺の腕を離す。

 ……居酒屋での三葉の暴走は本気だろうけど、流石に素面に戻ってこれをされるとワザとを疑う。

 大学時代のサークルでどこぞの先輩や後輩にされたことはあるけど……人によってされたら効果は違うもんなんだな。

 ――冷静さ気取ってるけど、結構グッときたりしているんだよな。

 

「ごめんね。私、本当はあんまりお酒強くないんだ」

「分かってるよ。俺に気遣ってくれたんだろ?」

「……うん。それに瀧くんとお酒飲みたかったのは本当だから、頑張ろうかなって思ったんだけど――すっごく暴走しちゃった」

 

 ……腕を離しても、手を繋ぐことだけは止めない。

 俺も三葉も、どちらも繋いだ手を離すことはしなかった。

 ――手の平に三葉の、俺の手の平が埋まるということを、俺は特別なように感じるんだ。手を握っていると安らぐ。俺が触れ合いに飢えているとかそんなことではなくて、根本的な部分で俺が欲しているものの正体が、この手の平にあるような気がしていたんだ。

 それが三葉で埋まって、俺は納得できた――求めていたものを。

 

「でも、あれはたぶん私の本音。瀧くんに甘えたかったんは、私の欲したことやと思う」

「……俺だって、三葉が酔っているのを良いことに髪とかベタベタ触ったから、人のことは言えないな」

「そーねー。お腹に胸当たってちょっとドキドキしとったし」

「え、バレてんの!?」

 

 ――女って、酔ってるのにしれっと気付くもんなんだな。くれぐれも変な視線を送る時はこっそりしないといけないな。

 そんなこと他愛無い会話をしながらも、俺は空を見上げた。

 ……東京の空にはほとんど星が見えない。きっと三葉の田舎は、さぞかし綺麗な星が観られるんだろうな。

 ――星。それで思い出すのは、8年前のティアマト彗星だ。肉眼でも見えるほど地球に接近したティアマト彗星を俺は見ていた。東京の空を覆いかぶさるように目ではっきり見えた彗星は、夢の景色のように、ただひたすらに美しい眺めだった。

 ……その結果で消えた町があることも、決して忘れてはいけないんだけどさ。

 ――その時、一筋の流れ星が空を切った。

 

「……もっと星、見えたら良いのにな」

「意外と、ロマンチックなこと言うんだね」

「意外って失礼な。俺だって偶にはそういうこと言うんだよ」

「……誰にでも?」

 

 ……三葉は少し不安そうな声音でそう尋ねた。

 ――きっとそれは、俺の勘違いではない。そう断言できる。三葉は、きっとずっと俺と同じ気持ちだ。不安な理由は、きっと俺と同じ。自分の知らないところで、自分の知らない顔の三葉がいるって考えたら、心が掻き乱される。どうしようもなく、息苦しいほどに。

 だから曖昧な言葉はいらない。でも直接的すぎるのも必要ない。彼女に伝われば、それでいい。

 

「――そんな殊勝な男なら、今まで彼女の一人でも出来てた」

「――そっか」

 

 俺は表情を見ない。見る必要がないから。

 きっと三葉は笑っている。苦笑しながら、でもどこか安堵の表情を浮かべている。

 ……流れ星は一筋、また流れた。でも叶える願いなんて俺にはもうなかった。

 ――願いは今、手の平の中にあるから。

 

「三葉、俺さ――」

 

 俺は空を見上げている状態から、三葉に顔を向ける。

 表情は真剣なもので、三葉に自分の想いをぶつけるために色々覚悟が決まったんだ。

 それを今から伝え――ようと思ったのも束の間だった。

 

「……すぅ……んん……」

「…………三葉、お前」

 

 ――本当に、見計らっていたんじゃないかと言いたいタイミングで、三葉は俺の肩に頭を乗せて、吐息を漏らして眠っていた。

 本当に心地よさそうに眠っているものだから、俺は不満の前に笑いが生まれた。

 

「ははは。……馬鹿三葉」

「んん……」

 

 俺は三葉の頬っぺたを人差し指で突っつくと、三葉は嫌って言いたいような仕草を取る。

 ……本当に馬鹿野郎。気持ち伝える最高のチャンスって思ったのにさ。

 ――でもちょっと安心した。それではあまりにも早すぎるんじゃないかってとも思っていたから。

 俺は今を、ゆっくりと楽しく過ごしたい。もちろん到達点はいつも一緒にいることだけど、それでは性急だ。

 ……ゆっくりと、三葉ともっと深い関係になりたい。他愛無い触れ合いや会話をして、それから二人でしか出来ないことをたくさんして――ゆくゆくは、さ。

 

「――で、問題はそれじゃないか。ったく、三葉のせいで終電逃した」

 

 俺は三葉を気遣いながらスマフォの画面を見ると、既に終電の時間は過ぎていた。

 ……一応三葉の家を知っているとはいえ、距離はここから結構ある。

 今の所持金は自分の家までのタクシー代ほどしかないし、眠っている三葉の財布から勝手にお金を抜くのも忍びない。

 ……はぁ、手は一つだよな。

 俺は少し億劫ながらも、スマフォを操作してある連絡先を開いた。

 その番号に電話し、その電話主はワンコール目で電話に出た。

 

『――もしもし、瀧くん? こんな時間にどーしたのー?』

「おう、すまんな――四葉」

 

 ……三葉の妹である四葉は、前に会った時と同じようなテンションでそう尋ねてくる。

 もう日を跨いでいるから失礼だとは思ったけど、こうなってしまえば仕方ない。

 

「三葉が酔って、甘えてきて、寝た」

『なんだ、ただの惚気か』

「惚気じゃねぇよ! お前のダメダメな姉が無防備に寝ちまったから、どうしようか対処に困ってるんだ」

 

 俺は四葉にそう事実を言うと、四葉は少し面倒くさそうな声を出しながら応える。

 

『それならもうお持ち帰りしちゃったら~? お姉ちゃんも拒まないだろうしさ』

「お前、実の姉を何だと思ってる!?」

 

 むしろそれを推奨してくる四葉に戦慄を覚えるものの、確かに一番分かり易い解決法はそれだったりする。俺の財布には金はないしな。

 だけど、寝ている三葉を自室に連れ込むのは流石に気が引けるんだ。

 

『そもそもお姉ちゃんがそんなに気を抜くような相手、家族除けば瀧くんくらいだよ?』

「それは嬉しいけど――わかった。それなら責任もって、三葉はうちで預かるよ」

『責任取るって瀧くん大胆♪ これは瀧くんが私のお義兄ちゃんになる日も近いかな? キャッ♪』

「……さぁな」

 

 ……あながち、その未来を否定できないことで曖昧なことを四葉に言ってしまう――こいつにそれは禁句だって理解しながら。

 

『……まぁどっちでも良いけど、私は瀧くんは信頼に足りるって思ってるから、不安はないよ』

「それどこからの情報だよ」

『ふっふっふ。現役JKの観察眼を舐めないでよ? これでも前に会った時に、しっかり査定してたんだから』

 

 ……四葉の言葉に、ぶるっと寒気を覚えた。

 査定って、おい。しかし、四葉は更に会話を続けた。

 

『結構男子ってさ、まず最初に女の子を舐めまわすみたいに全身を見るんだ。顔を見て、おっぱいを見て、お尻を見て、腰を見て、脚を見て。それで基本的に視線はその中でも好みなところに向かうの。お話する時だってチラチラみてるし。まあそれは仕方ないと思うんだけど、問題はここから』

「問題?」

『そ――大抵の男の子って目を見て話してくれないんだ。見てるのはパーツとして整っている顔で、自分のことを想って喋ってくれない。でも瀧くん、お姉ちゃんと話してる時、ずっと目を見て話してたよね。もちろん私とも』

 

 ……まぁ確かに、初対面でじろじろ見るのはあれだと思って、極力目を見て話したけどさ。

 だけど四葉はそれがよかったと言った。

 

『最初は今朝あったばかりで聞いて驚いたけど、お姉ちゃんは結構良い男に目をつけたって思ったよ。だからまぁ、信頼はしてるよ? 瀧くんはお姉ちゃんの嫌がることはしないって』

「ああ、それは誓ってしない」

『――じゃ、オッケーだよ。ゆっくりとお姉ちゃんとおしゃべりしてあげて? ほら、お姉ちゃんって意外と甘えん坊なところあるから』

 

 ……なるほど、四葉も三葉の甘え上戸ぶりを知ってるってわけか。

 ――四葉はそれだけ言うと、お姉ちゃんをよろしくとだけ言って電話を切る。俺はそれを確認すると、少し席を立ってタクシーを呼んできて、そして眠る三葉を背負って自分の家に向かうのだった。

 ……今日はまだ、終わらないようだ。

 ――っと、電話を切った四葉がSNSでメッセージを送ってくる。

 

【あ、それとするならちゃんと避妊しないとダメだよー? 流石にそれだとお父さんとお婆ちゃんが怒っちゃうから】

 

 ――そう書かれた文面を見て、俺はそっとスマフォの電源を切る。

 ……そんなことを一々言われて、意識しない男がいると思うか? これは絶対に四葉の野郎、わざとだ。

 俺はそんな悶々とした気持ちを抱きながら、三葉を支えながら車に揺られ、家に向かった――





夜中に失礼します!
今イチャイチャし過ぎるのは早すぎ?って思って少し控えめに。
自分は今作は現実的な恋愛と非現実的な恋愛のバランス配分を絶妙にしたいので、ちょっともどかしいくらいが丁度良いと考えます。
やはり過程って必要ですよ! 
次回は三人称で書こうかな? こう、色々な視点で書くのも意外と楽しいものですね。
ではまた次回、お会いしましょう!

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