七聖剣使いの航海日記   作:黒猫一匹

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初めての日記形式だけど、うまく書けてるかな?


1ページ目 アスカ島と七聖剣

 ○月×日 晴れ

 

 

 オレの名前はヒスイ。昨日誕生日を迎えたので歳は今年で15歳。アスカ島在住の男だ。

 そしていきなりだが、今日から日記を書いていこうと思う。

 というのも幼馴染のマヤから昨日誕生日プレゼントという事で日記帳を貰ったからだ。せっかく貰ったのに使わないというのもアレなので、暇な時間を見つけては日記を綴ろうと思っている。

 しかしあれだな。いざ日記を書こうと思っても、そもそも日記って何を書けばいいのだろうか? とりあえず今日起きた出来事でも適当に書いておけばいいのだろうか?

 …まぁ、考えても仕方ない。とりあえずなんか眠くなってきたし、日記は明日から本格的に書いていくという事で。じゃあおやすみ

 

 

 ○月○日 曇り

 

 

 今日も今日とて海賊の襲撃もなく、無事に一日を終えた。

 あの海賊王ゴールド・ロジャーが処刑されて早19年。

 海賊王が残したと云われる「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」を手に入れるべく腕に自信を持つ者はこぞって海へと出る大海賊時代。

 全く以て嫌な時代になった。10年前にも一度海賊の襲撃にはあったけど、あの時はマジで生きた心地がしなかった。村は燃やされるわ、両親は殺されるわ、金品は盗まれるわで、その時はまだ子供だったから余計に怖かった記憶がある。

 …うん、やめよう、あの時の事を思い出すのは。何だか鬱な気分になる。

 

 

 さて、話は変わり。

 オレは今日もいつも通り居候中のマヤの家で朝食を取った後は、自警団と共に日課である剣の鍛錬や、実戦訓練をして体を鍛える。

 因みにこの自警団は10年前の海賊襲撃事件を切っ掛けに作られたものだ。もう二度とあの様な悲劇が起きない様にと村の男達全員が参加している。

 オレはその中でも剣の才能がそれなりにあるらしい。もう同世代ではオレの相手になる者は一人もおらず、今は自警団のまとめ役でもあるラコスさんと剣の鍛錬をしている。とはいえ、同世代最強であるオレでもやはり自警団最強のラコスさんに勝つというのは当然の事だが無理であった。

 最初の頃はそれこそ手も足も出ずに負けていたが、最近では漸くラコスさんの剣戟の速度やフェイントにも慣れてきた為にそれなりに打ち合える様になってきたが、そこは年長者の意地か経験か、そう簡単には勝たせてもらえなかったぜ。

 これで0勝88敗だよ、ちくしょう。

 くそっ、少しは手を抜けよなオッサン。子供相手に本気出すなんて恥ずかしくないのかアンタは!?

 息も絶え絶えに大の字で倒れるオレにラコスさんはフッと笑みを浮かべるながら「やはり筋がいい。100戦目の頃には俺を超えるだろう」というお褒めの言葉を頂戴した。

 厳格なラコスさんがこうして褒めてくれるのは稀だ。明日はまさかガレオン船でも降ってくるんじゃないか? ってくらいラコスさんが人を褒めるなど珍しい。

 とはいえ、嬉しかったのも事実。そのせいでつい調子に乗って「それよりも前にアンタを超えてやるよ」的な事を言ってしまったのがマズかった。

ラコスさんは「よしその意気だ! しかし、マヤ様達を守るにはまだまだ力が足りん。これからは俺がみっちりお前を鍛えてやろう! さァ立て! いつまで休んでいる!」などといい笑顔で宣いやがった。

 …ありがた迷惑だよ、ちくしょう。

 あと、笑顔で刀を振り回すのやめてくれないっすかねぇ…。普通に怖いんで。

 そして遠目でこちらを見てる奴ら、笑ってないで早く止めてくれ…。

 

 

 それから結局、マヤが昼の弁当を届けに来るまで休む間もなく扱きは続いた。

 

 

 ○月■日 曇りときどき雨

 

 

 いつも通り日課となりつつあるラコスさんとの実戦訓練が終わったあと、今日はマヤと共に家でマヤの祖母さんであるイザヤさんからこのアスカ島にまつわる話を聞かされた。

 もの凄く長ったらしい話であったが、要約すると、

 

 この島には「偉大なる航路(グランドライン)」一美しいと云われる「七聖剣」という宝刀が眠る島らしい。そして太古の昔からこのアスカ島には百年に一度だけ「赤い月」がこの島を照らすという。原因は今でもよく分かっていないが当時の人々はこれを災害や異変を招く不吉な月と恐れていたそうだ。

 そんな中、アスカ七星という神々が災いから人々を守るためにアスカの王に盾として3つの宝玉を、矛として七聖剣をもたらしたという言い伝えがあるそうだ。

 そして、かつての一人の美しい巫女をめぐり、3人の王子が七聖剣で殺し合いをし、多くの血と憎しみを吸った七聖剣は呪われた妖刀となり、その呪いはアスカ島だけでなく、周りの海をも争いに巻き込むほど勢いを増していき、このまま放っておけば、それこそ世界全土にまで七聖剣の呪いが届き、世界中の海で争いが巻き起こる事になる。

 そんな血と憎しみの連鎖を止めるために巫女は自らの命を投げ打ち、3人の王子の目を覚まさせる。その後、王子達は無事に和解し3つの宝玉を使い七聖剣の呪いを封じたそうだ。だが、封じただけで呪いは今も尚、七聖剣に宿っているとの事。

 

 …要約した筈なのに、少し長ったらしくなったなスマン。

 とまぁ、そんな話をオレはマヤと共に聞いていたのだが、七聖剣や宝玉の存在は知っていたけど、正直、呪いとかなんだとか言われても胡散臭いというのが本音だ。

「赤い月」は百年に一度、実際に起こるそうだが、それ以外はどこまでが作り話なのか分かったもんじゃない。

 そういえば、確か村の端にある湖には七聖剣が封印されている神殿があったな。

 …呪いとやらが本当なのか今度少し確かめに行こうかな。

 

 

 ○月△日 雨ときどき嵐ときどき呪い…?

 

 

 その日、オレは村の友人達と共に七聖剣が封印されているという神殿に向かっていた。

 因みになぜ、友人達と共に行動しているのかと言うと、どうやら彼らも先日祖母さんからアスカ島にまつわる歴史を聞かされた様で、オレと同じく祖母さんの話がどこまで本当なのか真実を知りたいからだそうだ。

 

 雨がポツポツと降る中、オレ達は森の獣道を歩いていき、ついに七聖剣が封印されている神殿にたどり着いた。

 階段を上り神殿の中に入ると、うまく言葉に言い表せない妙な感じがした。

 だが、友人達は何も感じないのか、何の迷いもない足取りでどんどん神殿の奥に進み石で加工した封印蔵の場所までたどり着く。

 そんな友人達の姿を見て、先ほどの妙な感覚はただの気のせいだと割り切る事にした。数秒遅れてオレも七聖剣が封印されている封印蔵まで急ぎ足で歩を進めると、信じがたい事が起こる。

 突如、封印蔵から薄緑色のオーラの様なものが溢れてくるではないか。

 その光景に皆「えっ!? 何事!?」と驚いていると、封印蔵がなぜかいきなり爆発する。もうホントいきなりの事だった為、皆盛大に後方へと受け身も取れず大きく吹き飛んだ。

 唯一出遅れていたオレだけが、何とか爆発の余波に巻き込まれずにその場に留まれた。友人達が何やら後ろで騒いでいるが今はそんなのは最早どうでもいい。

 なぜならオレは目の前の「ソレ」から意識が離せなかったからだ。

 

 そこには緑色の細長い刀身。そしてそこに埋め込まれた7つの宝石と刀身に刻まれた天文が、まるで星の様に妖しく輝き、柄頭には赤い房飾りが捲かれている。

 そして何より目が離せないのが、先ほどから刀身から溢れ出している謎のオーラの様なものだ。

 ていうかなにこれ? なんだか気持ち悪いんだけど。

 なんというかこのオーラから憎悪やら破壊やら復讐心といった負のエネルギーの様なものを感じるんだ。いやマジで。

 そうかこれが祖母さんの言っていた呪いか。

 うむ、どうやら呪いは実在していたらしい。

 

 

 …これヤバくね?

 

 え? とういうかこれ、マジでどうするんだ。七聖剣の封印が解けたなんて村の皆に知れたら大ごとだよね。しかもそれが祖母さんやマヤに知れたら……。

 ………。

 ………。

 ……、ま、間違いなく折檻ものだな、いやそれだけで済めばいいけど(震え声)

 そして先ほどから外の雨風が激しさを増している上に雷がゴロゴロと尋常でないほど光ってるんだが、これももしかして呪いの影響だったりするのかしらん? だとしたら、呪いさんアンタ仕事早すぎ。もうちぃっとゆとりを持とうぜよ。なんなら少しサボってもいいんだよ?

 

 …とオレが現実逃避を行っていると、爆発によって派手に吹き飛ばされた友人達が何やら青い顔をしている姿が視界の端に移った。

 あ、そういえば居たね、君達。すっかり忘れててた。

 そうしてオレが彼らの方へ視線を向けると、目の前にある七聖剣の輝きがより一層増す。

 何事だよと思い急いで振り返ると、刀身から溢れていたオーラ……いや祖母さんの話だと妖気だったか……が、オレの左腕にいつの間にか纏わりついてい―――ってギャアァァ嗚呼ァァアァアッッッ!!!??

 ちょっ、なんぞこれっ!? なんだかすごく気持ち悪いんだが!?

 反射的に左腕を全力で振り回し、纏わりつく妖気を霧散させようと努力するも何の意味もなくそれどころかさらにオレの体へと侵食していく。

 オレはすぐさま友人達にSOSの視線を向けて振り返ると、そこには悲鳴を上げて一目散に逃げ出す友人達の姿が――いやオマエら助けろよ(激オコ)

 え? オレら友達だよね? なのにそんなあっさりとオレを見捨てるの? もう少し助ける様な素振りだけでもあってもいいんじゃないの(泣)

 

 そんな中、オレの左腕に纏わりつく妖気が輝き出すと、それに共鳴するかの様に七聖剣の宝石や天文が一際妖しく光る。

 すると、七聖剣が文字通りオレ目掛けて飛んできた。かなりの勢いで飛んできたそれをなんなく左腕で受け止めたオレ……というか完全にオレの意志とは関係なく体が反応したんだが…。

 そしてオレは改めて七聖剣に目を向けると、刀身から発せられる妖気が不気味ではあるものの、輝く宝石と天文は綺麗だなぁと思う。

 ……そんな事を考えていると、オレの意識は徐々に薄れていき、数秒後には完全にオレの意識は途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして次に意識が覚醒した時、オレはなぜか海の上にいて、海賊船の甲板の上に倒れていた。

 いきなり何を言っているのか分からないと思うが、安心してほしい。オレも何が起きたのか全く分かってないから。

 周囲には血の海をつくって倒れている全身血達磨な者達。彼らの身なりや容姿からおそらくこの海賊船の船員達と思われる。うわぁ~エグイなこれ。

 因みにそんな彼らと違いオレは多少の傷を負ってはいるものの、限りなく軽傷だ。

 少し体が濡れているのが気になるが…、これ水だよね…まさか返り血って事はないよね? 状況的にはなんだかそっちの方がしっくりくるけど…。

 …そして右手に握られた七聖剣。

 ……うむ、これもしかしなくてもオレがやっちゃった系?

 誰か大至急説明プリーズ!

 

 




次回にオリ主の身に何があったのか判明します。

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