雪風と風の旅人   作:サイ・ナミカタ

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本日2話目の投稿です。


第51話 軍師 対 烈風 -INTERMISSION-

 ――ルイズの姉カトレアには、幼い頃から不思議な『声』が聞こえる。

 

 彼女がその〝力〟に目覚めたのは、両親から杖をもらい、契約を終え、生まれて初めて魔法を使った時だった。ごくごく簡単な汎用魔法の〝光源(ライト)〟を成功させたとき母がこう言ったのを、カトレアは今でもよく覚えている。

 

「初めてなのにきちんとやれましたね。ですが、これが始まりです。これからもしっかりと勉強を続けて立派なメイジになるのですよ。わかりましたか」

 

 彼女の母親であるカリーヌ夫人が、実際に口に出したのはこの言葉だけであった。しかし……カトレアにはもうひとつ、やわらかな声が聞こえていたのである。

 

『まあ、こんな簡単にできてしまうだなんて。本当に素晴らしいこと! 今日は初めて魔法が成功した記念に、この子が好きなものをたくさん用意して、家族みんなでお祝いしましょう』

 

 カトレアは目を見開いた。ちょっと怖くて苦手だった母が、こんなに優しい声で褒めてくれるだなんて、彼女は思ってもみなかったのだ。

 

 幼いながらもそれが本当に嬉しかったカトレアは、素直に礼の言葉を口にした。

 

「母さま! ありがとう。カトレアは、これからもがんばりますわ」

 

 これを聞いたカリーヌ夫人は、カトレアが自分の教えに対して礼を言っているのだと思った。なんてけなげな子だろうと、彼女は思わず娘を抱き締め、頬ずりをした。

 

「ええ、ええ。わたくしといっしょに、頑張りましょうね」

 

『わたくしの娘! かわいいカトレア。あなたたちは母の宝物です』

 

「はい、母さま。カトレアに、いっぱいおしえてください」

 

 

 ――ところが、それからしばらくして。突如カトレアの身に悲劇が襲った。

 

 それは原因不明の病に罹ってしまったことだ。魔法を使うと激しく咳き込む。特に、強い呪文を唱えたときに症状が現れやすい。

 

 最初のうちは、少し身体が弱いくらいだと考えられていた。そのうち、魔法を使わなくても体調不良を訴え始めたカトレアは日を追うごとに弱ってゆき――ついには、一日のうちのほとんどをベッドの上で過ごさざるを得なくなった。

 

 そして、大勢の水メイジが彼女を診るために屋敷を訪れた。

 

「すぐに良くなりますからね、カトレアお嬢さま」

 

 それが彼らの決まり文句。しかし、カトレアは彼らの『本音』を『聞いて』いた。

 

『いったいなんなんだ、この症状は!?』

 

『病巣がどこにあるのかすらわからないとは……。だが、原因を見つけ出せねばクビだ』

 

(もしかすると、わたしは死ぬまでこのお城――ラ・ヴァリエール公爵領から外の世界へ出ることができないのではないだろうか。普通のひとと同じように、ただ生きていくことすら叶わないのかもしれない……)

 

 カトレアの心は、それを思うたびに酷く乱れた。

 

 そんな己の心情を表へ出したように寒々とした真冬のある日。ベッドの中で、今まさに絶望の淵へと飲み込まれそうになっていたカトレアは、唐突に……庭に面した窓の外で、ふたつの『声』が飛びかっていることに気が付いた。

 

『もっとごはんがたべたいな』

 

『たべたいねえ』

 

『はやく春にならないかなあ』

 

『ならないかねえ』

 

『お花が咲いたらごはんがふえるのになあ』

 

『ふえるのにねえ』

 

『たのしみだなあ』

 

『たのしみだねえ』

 

 窓の外には、今は誰もいないはず。では、あの声はなんだろう? そっとベッドから起き上がり、窓を開けたカトレアは『声』の正体を知って驚愕した。

 

『ヒトが出てくるよ』

 

『こないよ』

 

『どうして』

 

『あのヒトはいつもそうだ』

 

 それは窓の外にある木の枝に止まっていた二羽の小鳥が出していたピチュチュチュ……という声。なんと、そのさえずりと共に『声』が聞こえていたのだ。

 

「小鳥さんたち。わたしの言葉がわかる? わかったら、お返事をして」

 

 カトレアは彼らを驚かさないよう、窓からそっと声をかけてみた。それは、まだ幼い彼女なりのちょっとした冒険心。

 

(通じるわけないわ。でも、もしも彼らとお話ができたら……なんて素晴らしいことかしら)

 

 そんな儚い願望から出た声だった。

 

『うん、わかるよ』

 

『わかるに決まってるじゃないか』

 

『わたしたちの言葉もわかるのかい?』

 

『わかるのかしら』

 

『めずらしいヒトだね』

 

『そうだね』

 

 端から聞いていたら、ただの小鳥のさえずりにしか聞こえない。たが、カトレアはしっかりと彼らの『声』を受け止めることができたのだ。

 

 ――その日をきっかけに、カトレアの世界がほんの少しだけ広がった。

 

 しばらくの刻を経て――彼女はこの〝力〟について、おおよそのことを理解するようになった。これは人間でも動物でも関係なく、彼らが発する「外の声」と『中の声』が、感覚的に理解できるというものなのだと。

 

 その後、魔法の本を読んでいた時に〝召喚〟(サモン・サーヴァント)によって呼び出された使い魔は人間の言葉を理解し、話すことができるようになることがあるという記述を発見したカトレアは、もしかすると自分に聞こえている『声』は、これに関係しているのではないかと考えた。

 

 そのため、最初はメイジであれば誰にでもできることなのだろうと思っていた。しかし、それを両親に話した直後。病弱なカトレアには妄想癖があるのではないか、もしや心の病に罹っているのではと不安視され、ベッドに縛り付けられてしまった。

 

 こうして彼女は知るに至った。これは自分だけに在る特別な〝力〟なのだと。

 

 カトレアはそれ以降この〝力〟について、誰にも話すことはなくなった。話しているつもりのない『心の声』が聞かれていると知れば、周囲の人々が自分のことを畏怖し――離れていってしまうかもしれない。それが何よりも怖かったから。だが、いつしか彼女はこの〝力〟がゆえに、家族から

 

『非常に勘の鋭い娘』

 

 という認識を持たれるようになった。さらに彼女は時を経るにつれ、相手の気配や本質にも敏感になった。たとえば〝変相〟(フェイス・チェンジ)で顔を変えた者の正しい姿をイメージで見破ったり、心の動きに敏感になり、嘘や悪意を直感的に見抜けるなど、どんどんその〝力〟が強まっていった。しかし、それと比例するかのように身体の具合も悪くなっていった。

 

 

 ――そして時は現代へと移り……ラ・ヴァリエール公爵家で執り行われた歓待の宴の当日。彼女は出会った。とても面白い人物に。

 

 父に案内されてやってきた蒼い髪の少女の側に控えている、黒髪の小柄な従者。どう見てもルイズと同じ年頃だとしか思えないその少年は、カトレアの姉であるエレオノール曰く、なんと二十七歳なのだそうだ。

 

 そんな彼が母と挨拶を交わしたときに聞こえた声が、彼女の興味を捉えた。

 

「『太公望』呂望と申します。わたくしめのような者にこのお気遣い、感謝致します」

 

『ルイズを十倍キッツくして無理矢理瓶詰めにしたような雰囲気を持つ母親だのう。瓶口から威圧感が溢れ出しておるわ』

 

 カトレアは思わず吹き出しそうになるのを必死に堪えた。これまで自分の母親を畏れ、怯える人間は大勢いたが――このひとは怖がるどころかあっさりと受け流した上に、とんでもなく面白い評価を下している。

 

(わたしとの挨拶では、どんなことを言われるのかしら?)

 

 カトレアは期待した。ところが、その時に聞こえてきた『声』は彼女にとって完全に想像外のものであった。

 

「ルイズお嬢さまの姉君ですか。どうぞ、よろしくお見知りおきを」

 

『この娘が纏う〝気〟は、いったいなんだ……? 〝仙気〟の類とは似て異なる、これは?』

 

(なんだろう、このひとは。何を言っているのかわからない。〝センキ〟って一体? ひょっとしてわたしの〝力〟について、何かを感じたのかしら?)

 

 これをきっかけに、カトレアはこの面白い従者さんに興味を持った。

 

 その後、カトレアは太公望の言葉へ特に注意して耳を傾けるようになっていた。

 

「この桃は王や高位の貴族に対する貢ぎ物として、部下が献上する品です」

 

『本来は国王の座にある者ですら、まず口にすること叶わぬ超貴重品だ。わしはしょっちゅう師匠の隠し棚からパクっておるがのう。ケケケ……』

 

 カトレアはもう笑いをこらえるだけで精一杯であった。少なくとも――たとえそれが心の内側だとしても、こんなに面白いことを言うひとは今まで自分の近くにはいなかった。

 

 それに嘘をついてはいるけれど、悪気は全く感じられない。本気でワルド子爵の身体を気遣い、妹の成功を喜んで、あれを使おうとしてくれていることが……彼女独特の勘で理解できたから。

 

 そのひとがくれたお酒も本当に美味しかった。飲むたびに自分の身体が羽根のように軽くなっていくのを感じた。今なら、どこまでも飛んで行ける……そう感じられる程に。

 

 父も母も、いや、家族みんなを笑顔にする魔法。たった一晩の夢かもしれないけれど、この時間をくれた彼にカトレアは心から感謝した。

 

 そんな彼女がより彼に注目するようになったのは、ルイズにどうして魔法を教えてくれたのか、その理由を話してくれた時であった。

 

「いや……まあ、お恥ずかしい限りなのですが。人ごととは思えなかったのですよ」

 

『あんな涙を見せられてしまっては、いくらなんでも無視できるか!』

 

「小石ひとつ、まともに動かすことができなかった『おちこぼれ』としては」

 

『小石どころか、砂の粒すら動かせなかったのう。修行を始めたばかりのころは』

 

(本当に魔法ができなかったのだ、このひとは。だから、ルイズの涙を見て余計に放っておけなくなったのね)

 

 そう考えたカトレアだったが、彼女は次の言葉で驚愕した。

 

「生まれ落ちたばかりの赤ん坊が、いきなり魔法を使えるわけではありません」

 

『まったく。わしがいったい何年修行したのか知らぬからのう、このガキどもは。六十年と言ったらさぞ驚くだろう』

 

(六十年? 彼が!?)

 

 思わず太公望の顔を見つめたカトレアであったが、どう見てもそんな年齢には見えない。ならば、彼は亜人なのであろうか。しかし、そういう感じもしない。彼はある意味『人間らしい人間』だと感じる。〝変相〟でもなさそうだ。なら、どうやって?

 

「そこに至るまでの『道』を歩んでいるからこそ、彼らはそのように語り継がれるのです」

 

『自分より遙かに格上の化け物どもと何十年も戦い続けておれば嫌でも腕が上がるっつーの。弱いから命だけは助けてください、なんて話が通用するような甘っちょろい世界ではなかったからのう』

 

(母さまは学者のようだと仰っていたけれど……ひょっとして軍人さんなのかしら。少なくとも、学校を卒業してから何十年も妖魔討伐を経験していらっしゃるのね。と、いうことは、もうかなりお年を召しておられるんだわ)

 

 カトレアはこっそりと頭の中で計算してみた。八十? もしかすると、九十歳をとうに越えているのかもしれない。

 

「魔法面に関しては全く期待されていなかったのですよ」

 

『わしはハルケギニアでいうところの『ドット』か? 現時点で。周りがとにかく化け物だらけだったからのう。我ながら、よくもまあ挫折せずにいられたものだ』

 

(素晴らしい風のメイジだと聞いていたのだけれど……実は『ドット』? もしかして、周りが『スクウェア』ばかりだったから、自分がおちこぼれだと思い込んでしまったのかしら……)

 

 カトレアはそのように受け取った。

 

 その後、師匠から魔道具をたくさんもらったという話を聞いたカトレアは考えた。

 

(もしかすると、それを使って子供のふりをしていらっしゃるのかしら。確かに、そのほうがお年寄りの姿よりもミス・タバサの側に仕えやすいわよね。特に、魔法学院にいる間は)

 

 だが、次の発言が彼女にさらなる驚愕をもたらした。

 

「三千年以上前の話でございますから。ただ、その功績は我が国の歴史に記されております」

 

『はあ……三千年か。まったくブリミルのやつめ、よりにもよってそんな離れた時代から〝召喚〟(サモン・サーヴァント)なんぞでこんな異世界まで引き寄せおって! そういえば、あの炎の勇者や他の仲間たちは、あのあとどうなったのであろう……』

 

 ――三千年前から〝召喚〟で喚ばれた? しかも、異世界!?

 

(ということは……彼はミス・タバサの従者ではなく使い魔だというの? いえ、そんなことよりも……今から三千年前から喚ばれただなんて。しかも別の世界の……勇者さまの仲間! まるで、絵物語に出てくる神話時代の英雄みたいだわ!)

 

 こうして聞こえてくる『声』には決して嘘がない。カトレアはこれまでの経験で、それを嫌というほど実感している。つまり、これは絶対の真実なのだ。彼女の胸は、期待によって高鳴った。

 

 もっと続きが聞きたい。そう思って身を乗り出したところへ、侍従が迎えに来たために席を立たざるを得なくなった。薬を飲んでベッドへ戻る時間になったからだ。ある意味これは彼女だけでなく、その場にいた全ての者たちにとって、幸運なことだったのかもしれない――。

 

 

○●○●○●○●

 

 ――そして練兵場……現在よりも、少しだけ前に戻る。

 

 そんな神話時代から来た英雄に叩き付けられた、母の『語り合い』。少なくとも、申し込まれた時点での彼は本気で戦いを嫌がっていたように感じた。姉や母が学者だと評したように、実際彼は勇者さまの補佐をするような役割をしていた人物なのだろう。そう思って母を止めようとしたカトレアだったのだが……。

 

『娘を魔法に目覚めさせてくださった人物がどんな方であるのかを見極める。これは、親としての責任です』

 

 母の言葉は内外共に全く同じで、一切の迷いがなかった。いったい何が母さまをここまで駆り立てているのだろう? 悩んでいるうちに、昼餐会場の壁が消失した。

 

 そして、彼の名乗りを聞いたカトレアは本気で仰天したのだ。

 

「中国大陸同盟国軍・周国〝崑崙山〟所属、元同盟軍参謀総長リョ・ボー陸軍元帥。二つ名の由来は『大公より知恵を望まれし賢者』。『太公望』呂望」

 

『さらに詳しく述べるならば! 〝崑崙山教主〟元始天尊が一番弟子にして最高幹部十二名を束ねる総軍司令官だ。さあ、これを聞いてもなおわしに立ち向かってくるか? カリーヌ夫人よ。たとえやるとしても、全力を出すことなど絶対にできぬであろう? フハハハハハハッ!!』

 

 ……彼は、名乗りよりもずっと上の地位にいる。領内に閉じこもりきりで世間知らずのカトレアにもそのくらいはわかる。何かの理由があって、全てを明かさないようにしているのだろう。

 

 それから、彼の『ご主人さま』であるミス・タバサの言葉にも衝撃を受けた。

 

「大公の地位を『そんな面倒くさい地位など不要』とあっさり蹴って旅に出てしまったのです」

 

『おまけに彼の世界で次期教皇の座まで約束されていたのに、それまで蹴ったとんでもないひと』

 

 カトレアはここまでの情報を整理した。彼は三千年も前の、しかも異世界から〝召喚〟で呼び出された勇者さまの仲間で、六十年以上修行を積んだ『ドット』メイジ。とても偉い軍人さん。

 

 魔法を教えてくださった先生から離れてから戦いに赴いているから……少なく見積もっても、現在八十歳以上のお年寄り。おまけに、ハルケギニアでいうならロマリアで教皇の座に就いていたかもしれない大神官さま!

 

(いきなりこんな突拍子もない話をされても、信じてくれるひとはいない。だから、彼はわざと自分を低く見せようとしているんだわ。わたしが自分の〝力〟を隠しているのと同じように)

 

 なのに、わざとそれを名乗ることで母さまを止めようとしている。やっぱり彼は、できることなら戦いたくなんてないんだわ。だって、本当はかなりのお年なんですもの……無理したくないのは当然のことよね。カトレアは、そのように結論した。

 

 だからこそカトレアはその『お年寄り』が次に放った言葉に居ても立ってもいられなくなった。

 

「ささ、いざ尋常に勝負!」

 

『ま、どっちに転んでもかまわぬ。あれだけの名乗りをした後なのだ、戦いになってもさすがに手加減してくるであろう。ハルケギニアの伝説とやらがどの程度なのか、見てみるのも悪くない』

 

 カトレアは焦った。なんて無茶をするおじいさまなの! そういえば、エレオノール姉さまにもこういうところがあるわ。すごく知りたいことがあると、無理を通してしまう……これが研究者気質というものなのかしら。でも、このおじいさまは、母さまの『強さ』を全く知らない。このままでは、絶対に怪我をしてしまうわ。なんとか止めなくては!

 

 そして、カトレアは声を上げた。それが、戦いどころか周囲全ての時を止めてしまうことも気付かずに。

 

「どうやって姿を変えていらっしゃるのかはわかりませんけど、本当はもう、80歳をとっくに越えたお年寄りなのでしょう?」

 

 

○●○●○●○●

 

 ――彼が、八十歳を越えたお年寄り!?

 

 それを聞いたとき、タバサは一瞬頭の中が真っ白になった。だが、さきほど馬車の中であった出来事やこれまでの事件などが彼女の頭の中でパズルの欠片(ピース)となり、瞬時に組み上がった。

 

 それから、タバサは太公望を見た。完全に硬直してしまっている。

 

(これは、彼が絶対に隠しておきたかったことだった)

 

 そう推測した。そんな中、タバサはふいに思い出す。以前、才人が〝夢の部屋〟で語った太公望に関する伝説の一部を。

 

『まさかあの太公望が、こんなに若かったなんてなあ。肖像画とか伝説の中だと、爺さんの姿で描かれてるし。俺、最低でも七十歳は越えてると思ってたんだぜ』

 

 彼は太公望という人物は老人だと考えていた。だからこそ、見た目とのギャップに戸惑っていたのだし、彼の名前を知っていたのに子孫や関係者という結論に辿り着けなかったのだ。

 

(そう、タイコーボーは一度たりとも自分を二十七歳だと断言してはいない。わたしたちがそう思い込んでいただけのこと。このカトレアというひとがどうやってそれを知ったのかはわからない。けれど、彼の真の年齢を感覚で見抜いてしまっている。下手な嘘をつくのは逆効果。なら、わたしの役目を果たすまで。そう……今こそ彼を守るために動く。いつも彼がそうしてくれているように)

 

 ――チェックメイト寸前。『聖なる女王(クイーン)』から『邪悪な魔王(キング)』を救うために颯爽と立ち上がったのは『雪風の騎士(ナイト)』タバサ。

 

「彼は時と空間を駆ける能力を持つ伝説の妖精の〝力〟によって、子供に戻されてしまったのです。だから、今はこんな姿をしています。わたしは彼が本当は七十代の老人であると聞いております。決して嘘ではありません。お疑いでしたら、トリステイン国内の『ジャコブ』という村に問い合わせてみてください。彼と全く同じ『祝福』を受けた人物がいますから」

 

 カトレアは口を半開きにして、タバサを見つめた。それから、にっこりと笑みを浮かべる。

 

「まあ、まあ、まあまあ。やっぱり! わたし、妙に鋭いみたいで、そういうことがわかってしまうんです。ええ、ええ、あなたが本当のことを言っているのも確かだわ。世界には不思議なことがあるものなのね!」

 

 そこまで言ったカトレアは、くいっと首をかしげてこう呟いた。

 

「でも、七十代ってことは……まあ、いやだわ。わたしったら計算を間違えたのね。あのかたは六十年間魔法の修行をして、それから何十年も妖魔討伐をなさっておられたみたいだから、最低でも八十代だとばかり」

 

(わたしはそこまで聞いてない)

 

 思わず太公望を見てしまいそうになったタバサだったが、考え直した。

 

(このひと相手にタイコーボーが何かを伝えていたことなどなかった。さすがに、深夜まで彼と一緒にいたわけではないけれど、いくらなんでもそんな時間帯に女性のところへ行くような真似はしていない……はず。たぶん)

 

「それで彼を止めてくれたのですか?」

 

「あ! ええと、あの、ごめんなさい。これって秘密にしていたことなのね? それなのにわたし、つい……」

 

 心底申し訳なさそうにしゅんとしてしまったカトレアに向け、タバサは小さく首を横に振った。

 

「いいえ、カトレア殿は彼の身を案じてくださったのですから、気に病まないでください。よくあんなふうにわたしの心臓に悪いことをするので……かえって助かりました」

 

 タバサは心の底から感謝した。実際問題、太公望の行動は本気で心臓に悪いのだ。

 

「本当にごめんなさいね。従者のおじいさま……あ、今は若返っていらっしゃるのだから、おじいさまなんて言ったら失礼ね。彼にも悪いことをしてしまったわ」

 

 ――いっぽう、そんな彼女たちのやりとりを聞いていた太公望はというと。

 

 ようやくブルースクリーン表示の完全フリーズ状態からOS起動画面まで戻り、現在までの情報を精査する作業に取りかかっていた。

 

 当初は、かつて彼に『太極図』を授けてくれた――カツアゲして奪ったと言ってはいけない――老子のように、相手の心を読む〝読心術〟の使い手なのかと思い、警戒した。

 

 しかし、それならタバサが『七十代』と言ったことに対して『計算を間違えた』などという返答をするのはおかしい。それに、カトレアが本当に相手の心を読めるなら、八十どころか伏羲の来歴――それこそ億をゆうに越えた数値が出てくるはずなのだ。

 

 おまけに、普通なら質の悪い冗談としか思えないような胡喜媚の話を完全に信じているようだ。

 

(相手の嘘を見抜く〝力〟を持っておるのか? いや、違うな……だいたい、わしは自分が六十年間修行をしていた話など出しては――む、ちょっと待て。これはもしや――?)

 

「あ~失礼、お嬢さまがた。ちょっとよろしいですかな?」

 

 相変わらず時間停止から立ち直れない一同を尻目に、太公望が一歩を踏み出した。

 

「カトレア殿。わたくしの推測が間違っていたら誠に申し訳ないのですが。ひょっとして、あなたは『声』を聞き分けることができる『聴覚』をお持ちなのではないですかな?」

 

『もしもそうなら、聞こえますと答えてください。この声が聞こえていればですが』

 

 カトレアは驚いた。目の前の『少年に戻った老人』は、自分の〝力〟を知っている。

 

「ええ、聞こえます」

 

 太公望は思わず手で顔を覆った。

 

(なるほど、やはり彼女は『読んでいる』のではなくて『聞き分けている』のか? ならば、もう少し実験させてもらおう)

 

 そして今度は十秒ほど無言でじっと彼女の目を見つめた。

 

『この声は聞こえていますか? 聞こえているならば、はいと答えてください』

 

 だが、それには無反応であった。

 

「なるほど、だいたい理解できました」

 

『他人の表向きの声と、心の声の両方が同時に聞こえるのですな? ひょっとして、動物と話すこともできませんか? 正解なら、どうしてわかるのですか? と、答えてください。違うのでしたら、それ以外の言葉で教えてください』

 

「どうしてわかるのですか?」

 

 やはりそうかと太公望は納得した。カトレアの能力は〝読心術〟などではない。「外に出す声」に付随してくる思考を、表の声と同時に特殊な『感覚』で掴み取り、その上で理解することができるという〝力〟なのだ。

 

「知り合いに『聞ける』『話せる』人物がおったのですよ。どうやらカトレア殿はルイズお嬢さま以上に鋭い『感覚を掴む』能力をお持ちのようですな。ひょっとして、聴覚だけではなく他の感覚も極端に鋭くありませんか? ひと目見ただけで、相手の持つ雰囲気を完全に察してしまうような?」

 

『嘘をついているかどうか、姿を偽っているかどうか。そういったものも含めて』

 

 この問いにカトレアは目を見開いた。家族の誰にも話していなかった事を、ほぼ完璧なまでに理解されている。

 

「え、ええ……その通りですわ」

 

「それは自分の意志でコントロールできますか? 探りたくないものがあった時、つまりですな……あえて、それを止めることはできますか? それとも、常に鋭いままですか? わたくしには後者のように感じるのですが」

 

 難しい顔をして問うてきた太公望に、カトレアは困惑した顔で答えた。

 

「ある程度方向を絞ることはできますけど……止めるというのは考えたことがありませんでした」

 

 自分はずっと部屋に閉じこもったまま一生を過ごすのか。そんな切ない思いが、彼女の〝力〟の範囲を広げていたのだ。そうすれば、世界に溢れるさまざまな『声』が聞こえるから。たとえ、外へ出ることが叶わなくても。

 

「なるほど、やはりそうでしたか! 初めてお会いした時に、お身体から不思議な〝力〟が漏れ出しているのを見て、何事かと思ったのですよ」

 

 太公望はまっすぐにカトレアを見据え、断言した。

 

「もしも自分の意志で止めることができるなら、すぐに止めたほうがよろしい。そうでないと、全身から〝生命力〟と〝精神力〟が漏れ出すことによる影響で、どんどん身体が弱っていきますぞ」

 

 その言葉に、これまであまりにもあまりな展開が続いていたがため停止した時の住人となっていた人々のうち、ヴァリエール公爵家の者たちが再起動を果たした。中でも特に大きな反応を示したのはカトレアの父親であった。

 

「ミスタ。それはいったいどういうことかね!?」

 

「はい。あくまでわたくしの見立てで確証は持てないのですが……カトレア殿は、そう。例えて言うならば、何らかのきっかけで、底に穴が開いてしまった湖なのです」

 

 今度はラ・ヴァリエール公爵の目をまっすぐ見ながら答える太公望。

 

「穴が開いているから、どんなに水を注いでも一杯にならない。だから、棲んでいる生き物が減っていく。つまり、衰退していく。逆に、穴を塞げば生命力に満ち溢れる、美しい湖に戻るでしょう」

 

「つ、つまり……病気が治る、そういうことかね!?」

 

 震え声で問うたラ・ヴァリエール公爵。

 

 どんな名医に診せても娘の病名は一切わからなかった。魔法でも、薬でも治してやれなかった。その重大な問題を、今、自分の目の前にいる男が解決してくれるかもしれない。

 

「病気? いや、カトレア殿は健康体ですよ。病人特有の〝気〟の乱れがありませぬから。だから、わたくしも今まで気が付きませんでした。ただ単に〝生命力〟が常に外へ漏れ出してしまっているがために、それが原因で身体が弱っているだけです。カトレア殿は魔法を使うと、息が苦しくなったりしませんか?」

 

「なります! 苦しくて、咳き込んで……熱が出たりします!」

 

 カトレアは思わず声を上げた。

 

(わたしが、病気じゃなくて健康体? どんなお医者さまも匙を投げてしまった、このわたしの身体が……!?)

 

「やはりそうですか。では、その感覚の『網』を身体の中に戻して、使いたいと思ったときだけほんの少しだけ出すようにすればよろしい。それから美味しいものを食べて、一ヶ月ほど養生し、その後改めて外に出て毎日ごく軽い運動をすれば数ヶ月で体力や筋力がつき、元気になれるでしょう。魔法も他のメイジたちと同じように使えるようにはなると思いますが、無理は禁物ですからな。ああ、もしも『網』の戻し方がわからないというのであれば、このわたくしがお教え致しますから」

 

 そう言って笑った太公望に、

 

「おじいさま、ありがとうございます!」

 

 泣きながら叫び、ぎゅっと抱きついたカトレアの姿を見て、思わず杖を抜きそうになったラ・ヴァリエール公爵を〝(ウインド)〟で空の彼方まで吹き飛ばしたカリーヌ夫人と。その、あまりの早業に止める間もなく呆然とするしかなかった様子のエレオノール。

 

「ちい姉さまは、病気なんかじゃなかったのね! これからは、みんなと同じように、外へ出られるのね!」

 

 そんな風に大好きな次姉が弱っていた原因と治療法を知って喜ぶルイズの側で。

 

「あんな美人で柔らかそうなお姉さんに抱きつかれるとか羨ましすぎる……」

 

 などとうっかり呟いて、当然の如くご主人さまから踵落としをお見舞いされた才人、

 

 彼と全く同意見ながらも年の功でそれを表に出さなかったオスマン氏。ラ・ヴァリエール公爵の飛んでいった方角と距離を冷静に観測するコルベールとレイナール。相変わらず事態の推移についていけずに固まっているギーシュとモンモランシー。

 

「タバサって妹どころか、もしかして孫……ううん、曾孫みたいに思われてたわけ!?」

 

 そんなことを考えつつも、

 

(ひょっとして例の女狐さんって、実はエルフみたいな長命の亜人だったりとか? それなら、ミスタと〝力〟の差がありすぎるって意味が理解できるんだけど……)

 

 などと微妙に鋭い感想を持っていたキュルケと。

 

「聞かなければいけないことが増えた」

 

 親友のすぐ隣で、杖をぎりぎりと握り締めるタバサ。

 

 そして、ご主人さまから『事情聴取対象』とされた太公望本人はというと――埋もれて窒息寸前に陥っていた。いったいどこに埋まっていたのかは、あえて言うまい。

 

 もう、正直戦いどころではないほどに場の雰囲気は乱されていた――。

 

 

○●○●○●○●

 

 ――ラ・ヴァリエール公爵が天界(ヴァルハラ)から地上へと帰還し、ようやく場が落ち着きを見せ始めた頃。席についていたオスマン氏が長い髭をしごきつつ、太公望に対しボソッと呟いた。

 

「まったく。妙に枯れたジジイみたいな発言が多いと思うとったら……本物のジジイじゃったのか」

 

「やかましい! 二百歳を越えとるおぬしにジジイとか言われる筋合いはないわ!」

 

 漫才のような掛け合いをしている老爺ふたりを尻目に、才人は頭を抱えていた。ルイズの綺麗な踵落としによって受けたダメージのみならず、新たに判明した衝撃の事実によって。

 

「いやマジで、ショタジジイとか本当に誰得なんだよ!」

 

「ショタジジイって何だい?」

 

 聞き慣れない言葉にレイナールが疑問をぶつけると、才人は律儀にも解答した。

 

「俺の国の言葉で、外見子供で中身が爺さんのこと」

 

「なるほど、ショタジジイ……と」

 

「いや、メモらなくていいからそんなこと」

 

 そんな彼らのやりとりが終わったと見るや、太公望は改めて自分の年齢について語り始めた。カトレアが近くにいるので、うかつなことは喋れない。それを念頭に置いた上で。心からの本音を全員にぶつけた。

 

「これまで黙っていたことについては申し訳ありません。ですが! ここに来たばかりの時に、もしも本当のことを話していたらどうなったと思われますか!?」

 

 最初に答えたのはラ・ヴァリエール公爵だった。

 

「妖魔や亜人の類と間違われていたかもしれないな……」

 

 そこへ、彼の妻が補足を入れる。

 

「誰かがおかしな使命感に囚われて、討伐に向かっていた可能性がありますね」

 

 おそらく、わたくしのような者が。内心でそう続けるカリーヌ。

 

「アカデミーに連れて行かれて、分解されてたんじゃないかしら」

 

 ルイズの指摘に、長姉が目を吊り上げた。

 

「そんなことするわけないでしょう! 貴重な被検体なのよ!?」

 

「実験台にされるのは確定なんだ……」

 

 ぶるぶると震える才人。彼の左手に刻まれたルーンは、今も手袋で隠されている。太公望の助言に従った結果なのだが――そうしなかった場合のことを考えると色々と怖すぎる。

 

 そんな彼らをぐるりと見回した後、太公望は続きを述べた。

 

「ついでに申し上げておきますが。ここにいる生徒たちはわたくしから見れば曾孫ほど歳が離れている、大人として庇護すべき者たちです。そのような存在が、自分の目が届く場所で、一切相手の実力を計ることなく正面突撃するような真似をしでかしたら、その場でパッタリと心臓が止まりそうになるというのはご理解いただけますでしょうか? 特に、完全に無策で『土くれ』が操る三十メイル級のゴーレム相手に特攻かまそうとした者たちのこととか!!」

 

 顔を引き攣らせながら紡ぎ出された太公望の言葉に、該当者三名が顔を赤くして俯いた。なお、タバサはきちんと策有りで動いていたので数には入らない。

 

「主人には散々話しておることなのですが、この機会にラ・ヴァリエール公爵閣下並びにご家族の皆様方、魔法学院の皆へも念のためお伝えしておきます。わたくしは戦争というものが大嫌い……いいや、憎んでいるといっても過言ではないのですよ。軍に所属したのも、元はといえば数百年に及ぶ、我が国周辺の戦乱を終わらせたい。ただ、その思いが強かったがゆえにです」

 

 そう言った太公望は、静かな笑顔でラ・ヴァリエール公爵とその家族を見つめた。

 

「よって、わたくしに杖を向けたから戦争だ! などという愚かな選択は、我が祖国にはございませぬのでご安心を。ガリアについても、いち従者に対して()()を申し込んだ程度で他国の公爵家相手におかしな真似をする程の愚か者はおらぬでしょう。少なくとも、わたくしどもは内密にします」

 

 彼の言葉に、タバサは小さく頷きながら答えた。

 

「わたしも本国へ報告したりは致しません」

 

 そして。そのタバサの発言を受けた太公望はその後……ある意味一同にとって完全に予想外のことを言い出した。まず、彼はラ・ヴァリエール公爵に対して、こう告げた。

 

「カトレア殿がわたくしの真の年齢を察して、試合に耐えられないのではないかと心配なされたがゆえに止めに入ってくださったわけですが……そのおかげで長年不治の病と思われていた体調不良の原因が判明した。これはまさしく僥倖といって差し支えないでしょう」

 

 それを聞いたラ・ヴァリエール公爵は訝しげに尋ねた。

 

「君はカトレアが病に伏せっていたことを前もって知っていたのかね? 宴席では話題に出さなかったはずなのだが」

 

「はい。以前ルイズお嬢さまから、家族に病人がいる。良く効く薬に心当たりはないか、医療技術あるいは知識を持ち合わせていないかと尋ねられたことがございましたので」

 

「なるほど。それで、カトレアの異常な状態に気付いてくれたのだな」

 

「左様でございます。そこで、お礼の代わりと言っては大変恐縮なのですが……公爵閣下にひとつ、お願いがございます」

 

「わしにできることであれば何でもしよう。君はそれだけのことをしてくれたのだ」

 

 太公望は嬉しげに笑うと、言った。

 

「このあと、改めて『烈風』殿と試合をさせていただきたいのです。なに、ご心配なさらずとも肉体年齢に関しては見た目通りですから」

 

 その言葉に一同はどよめいた。さっきまではあきらかに戦いを避けようとしていた彼が、何故に突然このようなことを言い出すのかと。

 

「実際問題、こんな機会は二度とありますまい? かの『烈風』殿と杖を交えるなど! おまけに、年齢がバレてしまった以上、わたくしが長期間修行をし、戦い続けてきたという事実が全員の目の前に横たわっておるわけですよ。つまり『あいつは天才だからあそこまで戦える』などというような、わたくしにとって不本意極まりない評価を受けずに済みますし」

 

「も、もちろんわしはかまわんが、その……本気かね?」

 

「はい」

 

 返事の後、改めてカリーヌ夫人へ向き直ると、太公望はしっかりとした言葉でもって彼女に()()を申し込んだ。

 

「よろしければお相手願えますかな? 『烈風』カリン殿。まあ、わたくしは自力で空を飛べるようになるまで、まるまる十年以上かかった『おちこぼれ』のため、ご満足いただけるかどうかはわかりませぬが」

 

 その申し出に、鋭くも――笑みを湛えた瞳で答えたカリーヌ夫人。それからふたりは改めて練兵場の中央で向かい合うと、名乗りを上げた。ラ・ヴァリエール公爵が行った開始の合図と同時に彼らは揃って杖を構える。

 

「ふふッ……六十年間の修行の成果とやらを見せていただきましょう」

 

 そう言って微笑んだ『烈風』に、異界の『軍師』は不敵な笑みでもって応えた。

 

「その余裕、いつまで続くかのう?」

 

 太公望はその言葉と同時に裂帛の気合いを込め『打神鞭』を一振りした。カリーヌ夫人――いやカリンの真横、数メイルほどの場所目掛けて。

 

()――――ッ!!」

 

 巨大な風刃が超速でカリンの横を駆け抜けていった。しかも、ガリガリと凄まじい音を立てて大地を抉りながら。

 

 そして、彼女は見た。自分の真横にできた長大な地割れを。それは――今、目の前に立つ『少年』が放った〝風の刃(エア・カッター)〟が作った傷跡。その規模は、全長約五十メイル。深さは……わからない。底が見えない。

 

「なっ……!?」

 

 先程までの涼やかなそれとは一変。まるで大蛇の如く絡みつく強き〝風〟を全身に纏った男が、絶句した彼女を見据え――こう言い放った。

 

「おちこぼれが、いつまでも弱いままでおるとは限らぬよ。さあ、本気で来い『烈風』よ!!」

 

 ――こうして。伝説と神話の戦いは幕を開けた。

 

 

 




休日につき二連投。
明日は状況次第で夜になるかもしれません。

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