ジータちゃんが闇堕ちしたら……   作:もうまめだ

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お久しぶりです、もうまめだです

しばらくの間書けていませんでしたが、いろいろとめどが立ちましたので再び投稿を開始します、といってもあと少しで完結ですが。


というわけでどうぞ

一応11話目ぐらいからのあらすじを……




 タワーに潜入したグランたちはリアクターとフリーシアを止めるべく内部を捜索するが、帝国兵の急襲、抵抗や内部の複雑な構造に苦戦を強いられる。そして突然のトラップにより、分断されてしまうのだった。

 黒騎士を含む6人は隠し扉を通り近道をすることを選択。途中ロキによる助言に従い進んだ先はフリーシアのいる執務室だった。オルキスを人質に取られ、召喚された星晶獣らに道を阻まれるが、黒騎士の圧倒的な戦力を武器にフリーシアに立ち向かう。

 一方、グランたちもタワー内部を進んでいた。途中交戦した帝国兵からフリーシアによる「星晶獣狩り」の話を聞き、そこから星晶獣アネバルテに異変が起きた原因を知る。怒りを目の前の帝国兵にぶつけようとするグランだったが、仲間の声もあり踏みとどまる。

 その後、道中に出てくる強敵の相手を仲間に任せ、リアクターの捜索をするグラン、ルリア、ビィ。そして、リアクターの気配を感じある部屋に入る三人だが、そこで待っていたのは……


というわけで本編どうぞ


捕獲

 手に感じるのは地面の硬く冷たい感触。目の前にいるのは俺を殺そうとする一人の家族。グランサイファーの居心地良さも、穏やかに立ち上る湯気も、わがままで不機嫌そうな少女の顔も今はない。でもここには現実があって、ジータがいる。

 

「そうか、俺はジータを……」

 

「どうしたのグラン、さっきまでの全部忘れちゃったの? それはちょっとむかつくなぁ。あんなに苦しそうで狂おしいほど可愛かったのに。もっと私に、苦痛に歪むあなたの顔を見せてよ」

 

 

 ジータが挑発するように声を上げるが、俺にはそれがうれしかった。ジータの存在も俺がそれを知っているという事実も心を震わせた。未だ心配そうに覗いてくるクラリスに小声で大丈夫と言い、地面に膝をついて上体を起こす。視線の先の薄暗い部屋の奥が、微かな明かりを伴って見える。

 

「ジータがいなくなった世界の夢を見ていたんだ」

 

「……そう。それで?」

 

「俺にはずっと違和感があった。何かを、誰かを忘れているって。でも、どこを探してもそれは見つからないし、世界はそれが事実のままに進んでたんだ。ちょっと先の、未来の話だった」

 

 リアルな夢は別の世界線で別の自分が体験した事実。どこかの島のどこかの村の村長が話していたのを唐突に思い出す。

 

「でもたった一人だけ覚えていたんだ。そして教えてくれた。俺やみんなが忘れてたその誰かは教えてくれなかったけれど、もっと大事なことを教えてくれたんだ。単純だけど、とても大切なことを」

 

 部屋の奥におぼろげな力を感じ、俺は確信する。この部屋の奥にはアーカーシャがいる。歴史をも改変させる強大な力の片鱗が、俺の知らないところで生きている別の自分が体験した事実を、俺に夢見させたということに。

 

「夢の中で教えてくれたんだ。いつもの不満げで気の乗らない声だったけど、その目には期待が込められてて。何度も何度も、無にしちゃいけない、0にしちゃいけないって。俺も目が覚めて気づいたんだ、疑いなく知っていたことを忘れるそのつらさは、一時的な痛みなんかよりもつらいって。だから残念だけど、ジータの望みは聞けない。死なせないし、歴史から存在を消すなんて、そんなことはさせない」

 

「それが私の望みとは正反対で、私がさらに苦しむことを知っていても?」

 

「あぁ。俺が君から、昔のジータを取り戻してみせる」

 

「今の私が、過去に隠していた本当の私だとしても?」

 

「それは……えっ、どういうこと」

 

「だから、グランたちと仲良くやっていたのは本当はただのごっこ遊びで、本当の私は昔から死にたくて仕方がなかったジータちゃん。もしそうだったらどうするのってこと」

 

「そんなはず……」

 

 俺はジータの顔を覗き込むように見る。その顔は昔のジータのような、まっすぐで温かみのある顔だった。透き通るような瞳は嘘をついているとは思えず、一瞬元のジータに戻ったように錯覚する。

 

「違うよ、これが本当の私なんだよ」

 

 心の中を見透かされたかのように、ジータが返答する。

 

「だって……いやそんなはず……。俺の知っているジータはみんなに優しくて、真面目で、俺のことを支えるって約束してくれた……」

 

「そんなこともあったね。あの時は義務感でそんなこと言っちゃったけど、今ではすごく後悔してるんだ。弟の夢に付き合うなんて奴隷みたいで……、ほんとバカみたい。それに星の島に行く?、なにその適当で子供みたいな夢は。勝手にやってろって感じだよね」

 

「俺が魔法の才能に悩んでた、ときだって……」

 

 昨日のことにのように記憶が蘇る。あの言葉にどれだけ助けられたか……。

 

「だって単純に体力差を考えれば私が剣術でグランとかに勝てるわけないじゃん? あの時にはもう限界が見えてきてたから魔法でも学ぼうかなって思い始めててね、タイミングが良かったからあんなこと言っただけだよ? それを何?、かわいいグラン君は優しいお姉ちゃんの言うことに感動して涙が出ちゃった?」

 

 鼻で笑うジータの手には、どこからともなく現れた縄紐が握られている。またあれが始まるのか、そんな恐怖感よりも、俺にはジータを失ったかのような虚無感が押し寄せてきていて、正常な思考が働いていなかった。

 

「かわいそうなグラン。私に構わなければ、死ぬこともなかったのに」

 

 ジータの手から放たれた紐が蛇のように俺の首に絡みつき、締め上げる。目に見えない力が重力をものともせず俺の身体を空中へと押し上げ、全体重が首にのしかかる。身体が苦痛を思い出し、意図せず俺は震えだすが、それに抵抗するように精一杯つま先を立てて、のどの奥に力を込める。叫びたかった。大声で反論したかった。でも心の中には冷静な自分もいて、本当にジータはそうだったんじゃないかと、そう思う自分がいて。思えば古戦場前日の夜にジータの部屋を訪れたときも、いつもとは少し違った雰囲気だった気がする。あれが本当のジータだとしたら。中途半端な決意が出すのはくぐもった声だけで、ジータに投げつけられたのは返答変わりの短剣だった。

 

 緩やかな速度で俺の腹に突き刺さった短剣から、ジータの魔法で増長された痛みが伝わる。耐えようとするも、こらえきれない痛みが肺の空気と共に身体から吹き出し、痙攣する足は地を離れる。酸素の供給が絶たれ、点滅する視界は左右にゆっくりと揺れる。

 

「もう、もうやめてよジータ! こんなになって、もう私、グランの苦しむ姿を見たくない……ねぇ……」

 

「あ、ごめんねクラリス。グランへのお土産がグランの後に死ぬなんておかしかったね。はい、これでどう?」

 

 ジータが片手をあげそこから魔法が放たれる。身体の自由を奪われ倒れこむクラリスが苦痛に声を上げるが、すぐにそののど元には縄紐が襲い掛かり、引きずられるようにして俺の目の前に吊られる。俺とは違い、足をどんなに伸ばしてもぎりぎり地面に着かないようだった。身体が左右に揺れ、その顔はゆっくりと赤みを失っている。

 

「これで大丈夫だね。ほらグラン、死ぬ前に仲間の苦しみながら死ぬところを見れるなんて運がよかったね。私に感謝してくれないと。そうだ、あとさっき言ったのは全部う……」

 

 

 突然耳をつんざいた衝撃音は幻聴か。音のする方向に視界が赤く点滅する顔を向けると、2対の短剣が、空色の刀身を淡い紫色で覆いながらまっすぐに飛んでくる。質素な壁と金属の扉があった背景には、土埃しか見えない。ジータも最後の最後まで痛めつけるなんて容赦がないなと頭が回らないまま、首元に近づいてくる剣を、剣に刻まれた模様を垣間見る。どくんと高鳴る心臓。のどのすぐ横をかすめた得物は、見事に縄紐だけを切り裂き、俺の身体はどさりと地面に落ちる。慌てて手をついた俺は自由に身体を動かせることに気づき、同じように目の前で膝をついているクラリスと目を合わせる。

 

 俺とクラリスを解放した2本の短剣はそのままジータをめがけて飛んでいく。不意のことにも驚かずにジータは魔法を放つが、耐魔法用の武器なのかそれらを反射してなおも突き進む。すぐに武器を構えたジータは剣と剣の応酬に火花を散らす。

 

「戻れ」

 

 聞き知った声が部屋に響く。土埃が晴れ、二対の短剣は持ち主の元へと戻る。

 

「そろそろ誰か助けにくるかなと思ったけど、まさかシエテとカリオストロとはね。あの帝国兵たちとはどうなったの?」

 

 意外そうな声色で剣を鞘にしまいながらジータが問いかける。二人がいつジータに会ったのか、あの帝国兵とは何のことなのか、そして何よりもまず市街地で市民の救援を行っているはずの二人が何でここにいるかが分からず、返答に耳を傾ける。

 

「それはさすがにオレ様を舐めすぎじゃねぇか? 開闢の錬金術師様がそこら辺の帝国兵に遅れを取ると思うか?」

 

「ふーん、結構手傷は負わせたと思ってたんだけどな。シエテは? ガンダルヴァはどうしたの?」

 

「一国の中将に負けてたら、全空を統べる騎空団の長なんてやってられないねぇ」

 

「そっか。はぁ、流石に私も甘く見すぎてたかな。ここの帝国兵がそんなに強いわけないもんね。でも、人数が増えたところでどうって話だけどね、私にとっては逆に楽しみが増えてうれしいって感じかな」

 

 ジータが両の掌に小さな光球を浮かべる。その独特の色合いを見て、俺は声を上げて警告する。

 

「シエテ、カリオストロ、あれに当たっちゃダメだからね。身体を拘束されて……俺の二の舞になるから」

 

「おい、チャンスは一度だからな」

 

「あぁ」

 

 

 俺の言葉に耳を貸さず、シエテは剣を構え、カリオストロはジータを見たまま動かない。ジータも笑顔のまま、光球を宙に漂わせたまま様子をうかがっている。

 

 光球が放たれるのと、二人が飛び出すのは同時だった。高速で襲い掛かる魔法をシエテは剣で弾き、カリオストロは寸前のところで避ける。そのまま俺のすぐ横を走り去る少女の声が俺の耳に微かに残る。

 

「じゃあなんでグランは今動けるんだ?」

 

「えっ?」

 

 

 

 ジータの掌から第二波の光球が放たれ、その全てを前に出たシエテが剣で薙ぎ払っていく。あとを追うように背中につくカリオストロが何かを呟くとともに腕の周りに魔法陣が浮かぶ。機械的な音が部屋に響く。

 

 

 シエテが振り降ろした双剣を、ジータは抜刀した両手剣で受け止め、そのままシエテを身体ごと後ろへと斬り飛ばすべく剣を振るう。軽い二本の剣は重い一本の剣には敵わず、弾かれたシエテの上体は崩れるが、その懐から光り輝く剣拓が二本煌めきを放って飛びだし、一瞬反応が遅れたジータの手から剣を弾き飛ばす。

 

「カリオストロ!」

 

 後ろへ倒れこむシエテと位置を変えるようにしてカリオストロが飛び出す。両手に浮かび上がらせた魔法陣は回転しつつ、得物を失い態勢を崩すジータに触れようとするがあと一歩届かず。勝ち誇った表情のジータから特徴のある色をした魔法が放たれ、カリオストロの腹部に命中する。

 

「あともう少しだったけど、残念だっ……」

 

「油断するなといつも言っていただろ?」

 

 動けるはずのないカリオストロの足が地を蹴り、両の掌がジータの身体を捕らえる。一瞬の発光後、驚きを浮かべたジータの服の上に古代文字で刺繍された魔法陣が刻まれる。手足の自由が利かなくなったのか、ジータは力が抜けたかのようにそのままの態勢で地面に倒れこむ。

 

 

「これで一件落着か?」

 

 俺の方を振り向くカリオストロの顔はいつにも増して満足げだ。

 

 

 

 




あまりうまく書けてない……


文章を書くこと自体久しぶりなので違和感は否めませんね、、、


どっかで加筆と修正を行いたいです、

さて、ジータちゃんも捕まりほんとのほんとでラストスパートですね、今のところは忙しくないので何とか書き切ってしまいたい……


それではありがとうございました。

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