お久しぶりです、もうまめだです
先週は忙しくてほとんど手が出せず、やっと続きが書けるって思って途中まで書いてみれば
なんか違くね?
なんか説明ばっかでつまらなくね?
なんかジータちゃんあんまり闇堕ちしてなくね?
て思って書き直すことにしました…orz
説明なんてそんないらねえよな!!
ただ今週もちょっと忙しくてこのまま日があいてしまうのもあれなので、おまけという形で投稿させていただきます。この作品の世界観が壊れるということはないと思います。
正式な14話をちゃんと投稿するのでそれまでの暇つぶし感覚でお読みいただけると幸いです。
途中までなので短めです。それではどうぞ
「それにしても、流石って感じか……」
「ん、シエテのこと? やっぱ十天衆ともなると私たちとは強さの次元が違ってくるよね」
「……まぁいい。クラリス、もう傷は大丈夫なのか?」
「うん、フュンフが完全に治してくれたんだ! さすが十天衆だよね、治癒力がすごい! 私もこういう魔法のほうがよかったなぁー。 そりゃあ爆発でどっかーんもいいけどさっ」
「そんなことはいいからここはオレ様とシエテの任せて、クラリスも行ってこい。まだまだ意識不明になってぶっ倒れる奴は増えるんだから。そのためにオレ様たちはここにいるんだろ?」
「うん、そうだね。それじゃあクラリスちゃんがんばっちゃうよぉ! 気を付けてね、カリちゃん!」
「お前もな」
「あとね……さっきはありがと」
「……」
クラリスが路地に入り姿が見えなくなった。ジータとの戦闘で気づかなかったが、今でさえ街のあちこちで悲鳴や騒音が聞こえ、混乱はまだまだ収拾できていないことがわかる。オレ様達を救援しにきたソシエ、ユエル、そしてフュンフは、シエテの指示によりすでにここを離れ、元の任務にあたっていた。広大な領土をもつエルステ帝国の都市を数百人の人間がどうこうするなんて土台無理な話だと思っていたが、そうわかっていても行動してしまうのはグランの性格が移ったからか。くそ、昔は人のためなんて考えたこともなかったが……
いや、街はほかの奴らに任せて、目の前の状況をちゃんと把握しねぇと。
シエテとジータの戦闘はまだ続いていた。素人目に見ればジータの圧倒的不利がずっと続いている。なにしろシエテは戦闘開始から一歩も動いていない。その代りに奴の周りに漂う剣を模した光るエネルギーの塊、-たしか剣拓っていう名前だったか-、が高速でジータへと攻撃を仕掛けていた。それも一本二本ならまだ話は分かる。だが目の前で蜂の群れのように騒がしく飛び交っているのは数千本という単位だった。
もちろんそんな大量の数の武器が一度にジータを狙えるわけではなく、一度に攻撃するのは数十本程度。けれどもその数十本が何段にも待機しており、手を休めることなく攻撃を可能にしている。
それにもかかわらず、シエテの表情は厳しかった。一見圧倒的な戦力差に見えるこの戦闘は何の意味も持たず、ただの時間稼ぎでしかなかった。なぜなら、ジータはそのすべてをいなしているからだ。
一度に全方向から自身に向かってくる剣先を避けるっていうのは不可能に近い。いや理論上無理だ。密閉された部屋の中で高速で壁が近づいてくるようなもので、避けるという思考がまずおかしい。
物理的な壁なら破壊することもできる。剣士ならば己の力で粉砕できる奴はいるだろうし、オレ様のような錬金術師なら構成要素を原子レベルまで分解することで避けられる。でも今ジータの周りを囲っているのはエネルギーという物質でも魔法でもない何か。力で粉砕することもできず、魔法でさえ干渉できない。
けれども数千本の剣拓そのすべてがジータに致命傷を与えることはできていなかった。無数の剣拓のせいでジータの姿を確認することはできていないが、シエテが攻撃の手を緩めないということはそういうことなのだろう。
だがどうやって……
不意に剣拓が消滅していき、残ったのはシエテの周りに漂う数十本だけとなった。表情は厳しいまま、シエテは微動だにしない。その視線の先には、激しい戦闘をしたにもかかわらず、疲労を見せず静かに微笑んでいるジータの姿だった。
「あれシエテ~。もう終わりにしちゃうの? 久しぶりに楽しかったんだけどな。思い出したよ、シエテはその剣拓で私の身体を切り刻んでくれたよね、あの時の経験が生きたのかなぁ、かすり傷は作っちゃったけど一応全部避けられたよ! それともシエテ的には全部避けないとダメなのかな?」
ジータがひらひらと手を動かしながら、シエテに向かって話す。そしてオレ様の姿に気づいたのか、一瞬氷のように冷たい視線を向けて、私に話しかける。
「カリオストロまだいたんだ。その様子だとフュンフに治癒してもらった感じ? あ、そういえばクラリスはどうしたの? ミスったな~、遊ばないでさっさと仕留めればよかった……。狐二人と、フュンフももういないのね、ふふ、あとで見つけないとね、借りは返さないと……」
「ジータ、お前何で立っていられるんだ? あれだけの攻撃を受けて」
「その答えはカリオストロとシエテの知識を合わせれば解けると思うよ。ほら団長命令だ!、二人して答えを出してみなよ」
「どういうことだ? オレ様が思いつくのは強制回避の……だがあれは……」
「おぉ~、カリオストロ正解! あとはシエテだね!」
「ちょっと待て、だってあれは……」
体にもともと備わった刺激に対する反応、反射。信号が脳を介さないで筋肉に伝わるため刺激に対する反応速度が通常よりもずっと速くなる。遥か昔にそれに目を付け、魔法で攻撃を感知し、それを伝える信号を直接筋肉に伝えることで、半自動的に攻撃を回避できる自己強化魔法を考え、実際に作った。錬金術をジータに教えたとき、半ば遊び感覚でこの魔法もジータに教えたのは覚えている。
しかしこの魔法には何が何でも回避しようとするという絶対的な弱点がある。一対一なら影響はないが、複数対一でさらに一度に攻撃が来て、そのすべてを回避しようとした結果、身体が骨や筋肉といった枷を忘れて無理に動こうとすることがあり、最悪の場合骨折や筋肉の切断、そして血管や心臓への圧迫により死ぬことも考えられる。反射は反応の後に感覚が追い付いてくるため、痛みなどで前もって対処することもできずたちが悪い。
さっきのジータの状況でこの魔法を使ったのならそれはもう自殺行為だ。不回避の攻撃を躱そうとした結果、身体が勝手に動いていき、それでも避けられないためさらに動きねじれ、結果的にどうあがいても死ぬだろう。改良して武器を持っているときにそれを使って攻撃を回避できるようにもしたが、それでも……。
「ふふっ、何を考えてるかすごい分かる。そうだね、あれはカリオストロにしては珍しく失敗作だったからね。でもさ、ほら、今私武器持ってるじゃん」
「剣拓の長さか」
不意にシエテが口を開く。それを聞いたジータは満足そうに頷いて。
「そう、正解。シエテの剣拓は実在する剣からとったものだから、一本一本長さが違うわけ」
「それでもなぁ……」
「はぁ、どうして二人とも分からないのかなぁ……」
あきれたようにため息をついたジータは、正解はねぇ、と顔をあげる。
「すこしカリオストロの魔法を改良したんだけどね。一本一本長さが違うわけだからさ、弾く剣拓の順番をちゃんと考えれば全部避けられるじゃん? そりゃあ長さが違うって言ってってほんの少しだけどさ、この回避魔法はものすごく攻撃に対して敏感だから、その少しの違いでも役に立つんだよね」
「それで全部避けたってわけか?」
「そうだね。 この剣拓、魔法とか効かないからそれ以外避けようもないしね。信じなくてもいいけど、他に避け方ある?」
「……」
「まぁいいや。随分と時間とられちゃったね。そろそろグランたちもつく頃だろうからさっさと、終わらせないと……!」
お読みいただきありがとうございます。
次話は今週の日曜か来週の月曜に出します! 公約です!
(公約は破られるためにあるとか言ってはいけない)
正式な14話では上の話みたいな説明がなく、ただジータちゃんがシエテ君の攻撃を華麗に避けたとしか書かないので、こんな背景があったんだなと思っていただけるとありがたいです。
というわけでありがとうございました。ちゃんと次話も投稿するので……!