ジータちゃんが闇堕ちしたら……   作:もうまめだ

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更新遅れて申し訳ないです(毎回言ってる気がする、すいません……)

もうまめだです、11話にも足を運んでいた(ry

更新一週間ぶり&10話終わった、ということで前書きでこれまでのあらすじをまとめようと思います、その分本文は短めです

別に要らない方はそのまま本文までお進みください


~あらすじ~

 グランとジータの2人が団長を務める騎空団は、多才な団員たちに恵まれ数々の依頼をこなし、名声がうなぎ上りの団である。しかし、ある時からジータは自分の中に焦りが芽生えていることに気づく。悶々としたなか古戦場を迎えたジータだったが、その最中に自分が団長としての役目を果たしておらず、自信を失っていることに気づく。

 一度は気持ちを切り替え立て直したジータだったが、心の奥底にはいまだ黒い感情が渦巻く。そんな中、よろず屋から依頼をもらったジータたちは目的地、再興の島へと向かう。その島は、一度何かにつまずき自信を失ったが、自らを再興せしめんという強い意志を持つ人々が集まる島だった。けれども一年前から、その島で島民を支えてきた星晶獣アネバルテに異変が起き、今では島全体が重い空気に包まれているのだった。

 再興の島に着いた一行は依頼主と島の長老から、島民となるための条件を聞き、それがまさしく自分に当てはまることにジータは気づく。グランの計らいもあり、無事にアネバルテと出会うことのできたジータとルリア。アネバルテと会うことで自らの迷いを振り払い、自信を持ち直すことに成功したジータ。またアネバルテも心にあった悩みを、二人によって解決する。しかし、すべてがうまくいくはずだった三人の元に凶刃が襲い掛かる。自身が崩壊するまでの精神的ダメージを負ったアネバルテ、ルリアを助けるために自らにある誓約を課したジータ。目覚めるとそこは、今まで仲間だと思っていたがジータを傷つけることに喜びを覚える世界だった。

 一方、目を覚ましたルリアとアネバルテに事件の記憶がなく、またジータが目覚めないのに不安を感じながらも任務を果たしたグランは再興の島を出発する。向かうはエルステ帝国。黒騎士からの連絡があり、それは近くフリーシアが目的を果たすために行動を開始する、というものだった。移動中にルリアの助けもありジータの目を覚ますことに成功したが、それは今までのジータとは全く異なる人物だった。戸惑いながらも仲間として迎えようとするルリアとグランだがジータにはすでにある目的があった。

 アガスティアについた一行は黒騎士たちと合流し、離反した大将アダムの助けもあり軍の施設に侵入する。そこでフリーシアの計画のすべてをアダムに聞かされた一行だったが、侵入を察知した軍の兵士らに見つかり、一度は艇まで戻ることにする。しかし、ジータはただ一人施設の奥へと進んでいく。ジータを探すグラン、ルリア、ビィの前に立ちはだかったのは、ジータ本人だった。

 圧倒的な戦力差の前に敗れたグランの武器を奪い姿を消したジータは、直接フリーシアと対面していた。フリーシアに協力を申しでるジータ。ジータの計画を聞き、共同戦線を張ったフリーシアは自らの悲願へ向けてリアクターを起動する……


嵐の前の静けさ

 帝都アガスティアは裏道でさえも明かりが灯り、多少の人でにぎわっている。すでに夜も更け、早めに仕事を終えた人々が夕食を楽しむ店を選定すべく歩く街並みを、俺はルリアの手を握り、無表情で息も切らさず走るこの国の元大将アダムの後ろを追っていた。幸い、軍の兵にはまだ見つかっておらず、ゆっくりと時間が流れる街を必死に走る3人の姿に目を向ける人が数人いるぐらいだ。

 

 

 ジータが去り部屋に残された俺とルリアは茫然としたまま動くこともできず、視線はジータの後ろ姿の幻を探そうと宙を彷徨ったままだった。生まれたときから一緒だった、人生の目印ともいえる存在と、直前まで命をかけた戦いをしていたことに頭が混乱し、しかし体にはその時に負った鈍い痛みが今だに残っていた。

 

 

「グランさん……一度アガスティアを出ましょう、今ここにいては危険です」

 

 背後から声が聞こえ、振り返るとアダムが扉の所に立っていた。

 

「アダム……あぁ、そうだな……。そういえばビィは?」

 

「ビィさんには艇の集合場所を教え先に向かってもらえました。いくらあなた方が強くても軍の施設に準備もなしに侵入するのは危険なので、それならば私一人で助けに向かおうと思ったのですが……遅れてすみません」

 

「いや、アダムが謝ることはないよ。それにこれはうちの団の問題だし」

 

 

 俺は腰に掛けてある鞘の軽さに戸惑いながらも立ち上がる。剣は……奪われたんだ。剣の納まっていない鞘は、相棒を失ったかのように弱弱しく見えて、からっぽで、その様子がなんとなく今の自分と重なる。取り戻せるだろうか、この鞘に剣を、俺の隣にもう一人の団長を……

 

「ルリア、行こう」

 

「はい」

 

 弱弱しいながらも返答をし立ち上がったルリアはその小さな手を伸ばし、俺の掌を力強く握る。

 

「グランは……私の元から離れないでください、絶対に……!」

 

「ルリア……うん、約束する。だからみんなであのバカ団長を取り戻そう!」

 

「はい!」

 

「フリーシアの元にはすでに、我々の侵入に関しての連絡が届いていると思います。後続の兵が来る前に、行きましょう」

 

ーーー

 

 できるだけ人通りの少ない道を進み艇を目指す俺たちだったが、街には異変が起こり始めていた。それに最初に気づいたのはルリアだった。帝都の街並みが少なり、もうすぐ目的地の艇の近くまで着くその時に、ルリアが疲労に息絶え絶えになりながら俺に声をかけてきた。

 

「グラン!、なんだか街の様子がおかしいんです……」

 

 その言葉にアダムは走るのをやめて歩き始める。星晶獣を操れるルリアの言葉だから、興味があったのだろう。俺も走るのをやめて歩きながらルリアに話しかける。

 

「どうした、ルリア?」

 

「リアクターが起動を? けれどフリーシアの作戦だと決行はもう少し状態が安定してからだったはずなのですが……」

 

「アダムが抜けたことで俺たちに情報が伝わったと考えて、作戦を前倒しにしたのかもしれない……。ルリア、どんな感じ?」

 

「再興の島の時と似ているんですけど、一つの星晶獣の小さい気配が街のいろんなところにいて……それぐらいしかわからないんですけれど……」

 

「たぶんリアクターを起動したということで間違いないと思います。これからさらに被害は大きくなることでしょう。気を失ったかのように倒れる人が増え、街は混乱に飲み込まれると思います。精神を抜き取られても短時間で戻せば、後遺症などの影響はないことがわかっていますが、」

 

 アダムが小走りになり、それにつられて俺とルリアも走り始める。

 

「精神と身体が離れている時間が長いほど、戻したときの後遺症が発生する確率が大きくなります。よく見られるのは記憶障害、意識混濁、頭痛、そして最悪植物状態のままとなります。また、ある時間を越えて別々となった状態が続くと、精神をもとに戻すことができなくなることも確認されています」

 

「そうなると……やっぱり」

 

「はい。先ほど施設にいた被検体のような状態のまま戻ることはありません」

 

「そんな……」

 

「だから急がなければならないのです。幸い、リアクターを停止し、街の混乱を防ぐための人員は十分にいます」

 

「えっ?、でも俺の団の団員たちだけじゃ数が足りないんじゃ……」

 

「軍の施設で皆さんを逃がすときに、ドランクさんが耳打ちしてくれました。詳細は艇に着いてからわかることでしょう」

 

 

 グランサイファーは無事に俺たちを待っていてくれた。一目に付かないところに艇は停泊していて、カタリナらいつもの面々が俺たちのことを待っていていた。そして驚くべきことに、秩序の騎空団の騎空艇や、その他どこか見覚えのある艇がいくつか並んで泊まっている。

 

「これは……」

 

「グラン、それにルリア! 無事でよかった。ん、ジータは……」

 

 カタリナの瞳がここにいないジータの姿を探す。そう、ジータはいない。俺は先ほど起こったすべてを説明する気になれず、気の乗らないまま事実を少し改変して告げる。

 

「ジータはしばらく艇を離れることになると思う」

 

「そうか……」

 

 カタリナの言葉、そしてその後ろにいる仲間たちの表情にどこか安堵した感情が含まれているように思われ、俺は複雑な気持ちになる。この一週間、何も知らされないままジータの異変と付き合ってきてくれたみんなが、少なからずジータを厄介者と感じはじめていることはわかっていたが、それでも俺には悔しかった。今までは一緒に戦ってきたじゃないか、それなのに……。思考が停止しかけた俺の掌が強く握られ、みるとルリアもうつむいている。

 

 それだけで、ルリアが俺と同じ気持ちでいるってことが分かったそれだけで、救われる。

 

「……ジータも必ず昔の明るかったジータに戻して、団にもう一度迎えるよ……約束する。それで、ほかの騎空艇は?」

 

「あぁ、フリーシアの行動を止めるために集まってきてくれたようだ、それも皆私たちが一度会っている方々だ。誰かが秩序の騎空団に依頼を出し、モニカ殿が仲介となってほかの地域に救援依頼を出してくれたらしい。バルツやアウギュステから飛んできてくれた。にしても誰が呼んでくれたのか……」

 

 後ろのほうで、飄々とした姿のエルーンが俺にウインクをする。

 

「誰であってもありがたいな……これだけいれば十分だと思う。でも、どうやらリアクターはもう起動されたらしくて、すぐにでも止めに行かなくちゃいけないんだ」

 

「なんだと?」

 

「はい。ルリアさんが街の各地に散らばる星晶獣の気配を確認しました。リアクターを起動したことにより、デウス・エクス・マキナが人々の精神を抜き取り始めたと考えて間違いないでしょう、直接の被害は確認していませんが……」

 

「けれどどうする? 騎空艇を動かそうにも、エルステ帝国の軍艦の監視を避けることが至難の業だし、いやそれ以上にタワー近くの港に停泊することは不可能だろう」

 

「フリーシアがすでに主要な港には兵を配備しているでしょうから、それは不可能です。しかし、国の文献にも載っていない隠し港がいくつかあります。浮力消失高度でそこまで進んでいかなければ、帝国の軍艦に見つかってしまいますが、もし隠し港までたどり着けばタワーまでの一番の近道となります」

 

「操縦士の腕が試されるってわけだな」

 

「はい。また意識を失う方が増えるため街が混乱に陥る可能性が高いので、それの対処として多くの人員が必要です。隠し港はあまり大きくないので、艇は一隻が限界でしょう。また大人数でタワーに侵入するのは発見される危険性を増やすだけですので、少人数での侵入がよろしいかと思います」

 

 アダムはさらに帝都への侵入、そしてリアクター停止作戦の内容を続け、それに俺やカタリナが訂正を加えていく。数分後には、全員が役割を確認し、ある者たちは艇を出航させ、ある者たちは走って帝都へと向かっていく。

 

ーーー

 

「……これがリアクターです」

 

「なんか不格好だね。ここに帝都の住民の精神が運ばれて、魔晶を作っていくわけ?」

 

「ほかにも方法はありますが、ここでも魔晶を作ることもできます」

 

「そっか……、ねぇ私にも魔晶をくれない?」

 

「別に構いませんが。あなたはあれなしでも十分強いから必要ないのでは?」

 

「私のいた団は強い人多かったからね、安全策をとってね」

 

「そうですか。どのくらいの大きさのものにしますか、もちろん大きいほうが効果は大きいですがその分苦痛も大きくなります」

 

「あぁ、私には苦痛とか関係ないから、できるだけ大きいのをくれるといいな」

 

「わかりました」

 

 リアクターが微かに振動し点滅していく。そして一瞬光輝いた後、受け皿のような場所に禍々しい雰囲気を醸し出す漆黒の結晶が置かれていた。

 

「今の技術ではこれ以上の大きさは不可能です。魔晶が自己崩壊を起こしてしまうので。……けれどこの大きさは」

 

「問題ある?」

 

「いいえ。ただし忠告しておきますが、被検体に何度かその大きさの魔晶を使わせましたが、全員が苦痛のために死亡しました」

 

「そう。じゃあ私作戦の場所であいつらが来るの待ってるから」

 

「……」

 

ーーー

 

 静かな夜空をグランサイファーは進む。満月は上空の帝国軍の軍艦に隠れ、また見つからないために艇の明かりをすべて消しているため暗闇の中を進んでいるような感覚に襲われる。けれども、見下ろすと遠くのほうで月明かりに輝く雲が泳いでいるのがはっきりと見えたり、見上げれば人工物の塊ともいえるアガスティアが悠々と浮かんでいるのが見えたりと、幻想的な風景が広がっている。

 

「いい眺めですね」

 

 隣にいたルリアがふとつぶやく。夜風になびく蒼い髪が眼下の雲に反射した月光で淡く輝いている。

 

「寒くない?」

 

「大丈夫です。……ねえグラン?」

 

「ん?、なに」

 

「ジータは、戻ってくるんですか……」

 

「……約束したじゃん、信じててよ?」

 

「……はい」

 

 艇は静かな夜空を、帝都アガスティアに向けて進んでいく。

 




どうでしたか

あらすじ書くために一度読み返しましたが、ずいぶんと文の書き方みたいなのが変わってますね


あらすじ長めに書いたし、キリがよかったので今回は短めです

というわけでありがとうございました!、次話もよろしくお願いします

あと評価くれた方ありがとうございます!

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