異世界料理店越後屋   作:越後屋大輔

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久し振りの神回ならぬ神様回です。神様が登場するという意味です。
サラダの具材はおくら、山芋、納豆、なめこ、モロヘイヤ等になります


第83話四腕女神とネバネバサラダ

 大輔はルカに

 「異世界(こっち)で稼いだ金が数千万円相当ある、金塊に変えたから女房に届けてくれねえか」と頼まれ日本に来ていた。待ち合わせた蕎麦屋で彼の元妻、長岡初美に文庫本にカモフラージュしておいた金塊を渡す。その帰りに2号店へ立ち寄り冴子に頼んで購入しておいたあちらで手に入らない野菜や味噌、醤油を受け取り本店のある異世界に戻った。

 

 天界では一柱の女神がリュートで美しい音色を鳴らしていた。4本の腕を使って奏でる曲は文字通り神秘的である、そして自分の演奏に酔っていると誰かが住まいを訪ねてきた。

 「何かしら?せっかくいい気分に浸ってたのに」不機嫌に出迎えると二柱の同僚が手土産を持って門前に立っている。

 「アイチュクリーム、一緒(いっちょ)に食べまちぇんか?」

 「俺の世界の連中が再現したトンジルだ、旨ぇぞ」この言葉に苦虫を噛み潰したような顔になる。神になる前、俗世にいた頃から徹底した菜食主義者(ベジタリアン)だった彼女は肉や乳製品を極度に嫌う、相手がよかれと思っても当事者にしてみれば鬱陶しい事この上ない。

 「お気持ちだけ頂くわ、(わたくし)地に実るモノしか口に合いませんの」できるだけ丁重かつ嫌みにならないように断る。

 「そうか、でも今度の会合はどうするんだ?一柱だけ出席しない訳にも行かんだろう」

 「ちょれならワタチの世界(ちぇかい)に来まちぇんか?会合もちょこで行いまちゅち」

 

 越後屋にやってきた四腕の女神は体を隠す黒いローブを着込んでいる、いかにこの世界でも四本腕の亜人は流石に存在しないのがその理由だ。

 「いらっしゃいませ。カウンターとテーブル、どちらになさいますか?」

 「テーブルでお願いしますわ」四腕女神はやや緊張気味に椅子へ腰かける。メニューを見ても特に心惹かれるモノは見当たらない、しかし最後のページには

 『メニューに載せてないモノでも可能な限りご用意します、詳しくは従業員に』それを見た彼女は自分の一番近くにいた大男を呼び寄せる。

 「何か目新しいサラダはありまして?後お酒を何かお一つ頂けるかしら?」大男は一瞬だけ考えて

 「あ、主に聞いてきます、し、しばらくお待ちく、下さい」パックスは厨房でお客の要望を伝える。大輔は日本で購入した野菜でサラダ作りに取りかかる、あの日このサラダを従業員に試食してもらったら意外に好評だったのでそのお客に出しても差し支えないと判断していた。

 

 「お待たせしました、ムチンサラダです。お酒はアツカンをご用意しました、添えてあるワフードレッシングはお好みでどうぞ」女性ウェートレスに小さく例を述べる、見た目は普通のサラダに思えたがフォークを指して顔に近づけると野菜からでている粘液が糸を引いていた。

 「これは…!確かに体にいいと聞いてるし私の要望通り目新しくはありますが」とにかく食べてみる。

 「星形の緑の野菜はコリコリ、白いモノはシャキシャキしててユニークな食感です、茸はツルリと喉を通って行きます。豆は匂いが多少気になりますがコクがあっていいお味、これは体調の悪い日にもってこいなサラダですね」ワフードレッシングとかいう液体もサッパリしながらも彼女の苦手なバター等とは違う植物由来の油を含んでいて食べ応えがある、アツカンという温かいお酒もサラダで冷えきった口内や胃を程よく暖めてくれる。

 「ふぅ、ご馳走様でした」満足した四腕女神は支払いを済まし正体を悟られる事なく天界に戻った。

 

 「ありゃ腐ったヒスピじゃないのか?」四腕女神が帰った後ヴァルガスに問われる大輔はこう説明する。

 「正しくは発酵させたヒスピです、材料こそ違えどカッセやワインと大まかな作り方は同じです。焼酎にも合うと思いますがいかがですか?」

 「イヤ、遠慮しとこう。お前さんを信用しちゃいるがあいつはどうもな」

 「まあ、向こうでも好みは分かれますけどね」2人だけでなくこの会話を聞いていた全員が笑いの渦に包まれた。

 




サラダを美味しそうに伝えるのって難しいですね、我ながら表現の下手さに悲しくなってきます。
※神々のフルコース
・前 菜→和洋中の盛り合わせ3品
・スープ→豚汁
・魚料理→鰹のたたき
・肉料理→牛タンねぎ塩焼き
・ソルベ→未定
・メイン→未定
・サラダ→ネバネバ健康サラダ
・デザート→大学芋
・ドリンク →未定

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