異世界料理店越後屋   作:越後屋大輔

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前にもチラッと書きましたがラターナ王国はエクレア大陸というところにあります
今回は一部ワンピースのアラバスタ編のパロがあります


第67話ケンタウルスとエクレア

 ラターナ王国王女付きメイドのケイティがケンタウルスの脚力を最大限に活かし必死に森を駆け回る、第二王女ミアが散策中に迷子になったのである。

 「ミア様ーっ!どちらにいらっしゃいますかぁ?」いくら走っても見つからない、仕方なく一旦城へ戻り宮廷魔術師コーリャンの力を借りて魔法で探してもらう。

 

 森の中で楽しそうにはしゃぐミアが魔法の鏡に映る。脚の疲れも忘れてその場所へ一目散に走り出す、事情を知ったミアの祖父アルバートと姉シャーロットも従者と共に後へ続く。

 「あ、ケイティ」暢気に自分を名を呼ぶミアの頬に平手を食らわすケイティ、泣きじゃくるミア。

 「ケイティ!貴様ミア様に何を…!」

 「お待ちなさい!」激昂する従者をシャーロットが制する。

 「全く、貴女は。どれだけ心配したと思ってるんですか?」自分も泣きながら優しくミアを抱き締めるケイティ、アルバートは彼女に労いの言葉をかける。

 「ケイティ、よくミアを叱ってくれた。あの娘も少しは反省するじゃろう」ともかく一安心して全員で城へと帰る。

 

 その夜、ミアは寂しいので一緒に寝たいと姉のベッドに潜り込んできた。シャーロットは誰より愛しいこの年齢(とし)の離れた妹に幼い頃の話を寝物語に聞かせてあげた。

 「それじゃお姉様もケイティに怒られた事があるの?」シャーロットは笑顔を浮かべ話を続ける。

 「そうよ、あなたくらいの年齢だったわ。よくイタズラをして頬どころかお尻を叩かれたりもしたのよ」目を丸くするミアにシャーロットは言い聞かす。

 「それもみんな彼女が私達を大切に思ってるからなの、ミアが悪い娘にならないためよ。わかるかしら?」

 「はい、お姉様」返事をするとそのままミアは寝付いてしまった。シャーロットはお休みと小さく囁きミアの額に口づけ目を閉じた。

 

 翌日、ミアはケイティにエチゴヤに行きたいと言い出した。情報源は先代陛下か姉君か、しかし話には聞いた事があるがケイティはその店がどこにあるか知らない。それに幼子には距離がありすぎる。

 「だったらワシが連れて行こう、勿論ケイティも一緒にな。あそこには身分を隠していくからの」ミアはケイティの背中の鞍に乗りアルバートの馬車に先導されて彼にとって通い慣れたその店にきた。

 「いらっしゃいませ、ご隠居さん。ザシキをご利用になりますか?」ケイティを見たウェートレスはカウンターやテーブルは使いづらいと判断したのか一行を奥の個室へ案内する。

 

 注文を受けた大輔は牛鍋の下拵えをして仕上げをマティスに任せると食後にと頼まれたお菓子を作り出す。今回は4人用の大きい鍋で作ったのでパックスが座敷まで運んでいった。

 牛鍋とオリゼの食事を楽しんだ4人にこの日のデザートが運ばれてくる。

 「お待たせしました、エクレアです」メニューを見ていたアルバートが菓子の項目にこの大陸と同じ名のモノが載っているのを目にして問い合わたところ

 「ある国で[雷]という意味らしいです、偶然ってあるんですね」

 『異世界語か』得心したアルバートとシャーロットは話のタネにたべてみようと注文した、一方?顔になっていたミアとケイティ(2人は大輔が異世界人だとは知らされていない)だが運ばれてきた目の前の菓子は明らかに美味しそうだ。

 「ホォ、上にかけられたチョコレートとやらが雷光を模している。周りの皮の部分は敢えて甘さを抑えて全体のバランスを整えとるのか」

 「中に入っている白と黄色のクリームというのが口の中で溶けてフワッと広がって、最高ですわ」ミアとケイティも最初の一口こそ恐る恐るだったがそこから先は美味しさに感動するあまりニヤケ顔で涙を流す。

 「先王陛下、おそれ多くもお食事に同席させていただき恐悦至極にございます」平伏するケイティにアルバートは首を降り

 「畏まる必要はない、ここではワシは只の隠居爺いじゃ。これからも孫達をよろしく頼むぞ」

 その後、ケイティは夫の宮廷料理長、ジョルジオにお土産としてエクレアを振る舞ったが

 「越後屋店主め!ウチの女房の舌まで虜にするとはますます侮れん」変にプライドの高い夫に呆れ返る、次にあの店へ訪れる時は夫には内緒にしようと思ったケイティだった。

 




あれほど気を付けてたのにまた「だった」で話を締めてしまいました

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