異世界料理店越後屋   作:越後屋大輔

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 こっち側からのキャラ出してみました。登場の詳しい話は「転生したら女獄卒になってしまった」という短編として独立させてます。設定がかなり苦しいです、ハイ。
 


第19話元カノとチャプスイ

 ある日の朝、開店準備をしてるとスマホが鳴った。電話の相手の声には聞き覚えがあった、

 「大ちゃん?久しぶり」十代の頃付き合ってた元カノ朱 白夜からだ。そういや6年前、偶然再会してケー番交換したんだっけ。彼女は結婚してたし大輔も彼女に未練はなかったのですっかり忘れてた。

 「私、あの後離婚したの」突然そんな事僕に語られても困る、どないせぇっちゅーんじゃ。

 「それでね、これからお店に行ってもいい?」いい訳がない!来られたら大変なことになる。

 「ゴメン、今日は無理!また日を改めて違う場所で会わない?」できるだけ平静を装う。

 「実はもう来てるの。今、越後屋の入口の前」だったら聞くなって…入口?確か日本からは入れないはずだぞ。扉の方を向くと…いた。

 「来ちゃった」どーやって?

 

 越後屋は午前11時の開店から2時くらいまで主に労働者のお客がランチ目的で訪れてごった返す。10合炊きの炊飯器5台が瞬く間に空になる、その為大輔は少しでも時間を短縮しようと毎朝お米10キロを事前に研いでおく、そのお米やパスタやラーメン類に使う乾麺は定休日ごとに日本の問屋に裏口前へ配達してもらう、パンも同様だが足の早いので余り多くは注文できない。だから足りなくなれば裏口へ出て近所のスーパーで買い占める。この日もパンの在庫が少なかったので今から買いに行こうと思ってたところだ。そこへ白夜が表れた次第である。

 「夜9時過ぎにもう一度来て、話はその時に」大輔の提案を白夜は受け入れた。

 「わかった、でもランチは食べてくね。普通にお客として。それならいいでしょ?」

 

 「ネェ大ちゃん、いつ死んだの?」閉店後、言われた通り本日2度目の来店を果たしていた白夜は一番疑問に思ってた事を聞く。これまで色々ありすぎて間隔がマヒしたと自負していた大輔もあまりに予想外な質問に手が滑りそうになる。

 「死んでないよ!つーかいつでも日本に帰れるし食材は殆どあっちで仕入れてる。神様とかも逢った覚えがない」裏口を手で差す大輔。その戸を開けてみた白夜だがやはり見えない壁に押し戻される。その後お互いの近況を語り合いながらも大輔は手を休ませる事なく料理を作る。

 「ハイできた」お皿に注がれたのはキャベツとホウレン草を中心に沢山の野菜と金華ハムが泳ぐスープだ。一口啜ると、とうの昔に白夜が頭の片隅へ追いやった記憶がよみがえる。

 「これってチャプスイだよね、大ちゃんが初めて私に作ってくれた料理…」

 「うん、もう10年以上前か。あの日僕は初めて人に料理を振る舞ったんだ。だから君が僕のお客さん第1号なんだよね、今日は初心に返るいい機会になったよ、ありがとう」その台詞にタメ息をつく白夜、唐変木は相変わらずかぁ。ま、そこも含めて好きだったけど、違う今でも好き。ヨシ、覚悟を決めろ私!

 「大ちゃん彼女は?結婚の予定とかある?」

 「いないよ。2つの世界を行き来しながらこの店経営するのに精一杯。そんな余裕ないよ」

 「ヨッシャー!」越後屋を後にして思わず大声をあげる。恋人さえいなけりゃ私にだってチャンスはある。今度こそ大ちゃんと幸せになってやる。

 同じ頃金物屋の自室でロティスは不機嫌そうに頬を膨らましていた。

 「なんなのよ!あの女、(〇。〇#)マスターとあんな親しげにして。負けるもんか、彼を射止めるのは私なんだから!」余りに珍しい次女の荒れた様子に母は何があったのか長女に訪ねる。

 「恋のライバルが表れたのよ。でも母さん、ロティスも変わったわね」

 「あぁ、以前のあの子なら戦わずして諦めていたろうからね、ちったぁ成長したじゃないか。でもマスターはどっちを選ぶのかねぇ」2人はこれから面白くなると顔を見合わせほくそ笑んだ。

 

 

 

 

 




実は朱 白夜のキャラ付けをしてたら話が二転三転して全く別の物語になってしまいました。
 そこで外伝というかもう一つのストーリーとして別枠で書きました、もし宜しければそちらも併せてご覧下さい。
 10/4タイトル変更します。「異世界料理店越後屋」とします、ご理解、ご了承のほどお願いします。

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