BLEACH/Excalibur〜約束された勝利の剣〜   作:ザイソン

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闇の聖剣

———ここは何処だ。

 

空は紅い。地は焼けていて僅かに残る草木も燃えている。

 

ふと、後ろを見た。

 

セイバーがいた。しかし、普段のセイバーではない。

 

黒い鎧に身を包み漆黒のエクスカリバーを持つ。瞳は碧から金に、肌は白い。

 

セイバーとは似て非なる存在。

 

———お前は誰だ?

 

「私はセイバー・・・いや、貴様にとってはそうではないのか。私は、内なる虚。名は、そうだな。セイバーオルタと名乗っておこう」

 

———セイバーはどうした?

 

「私がセイバーだ。今はな。虚の力が剣を犯し、その斬魄刀(カラダ)を乗っ取った」

 

———お前を倒せば、セイバーはまた出てこれるってことか?

 

「ほう・・・やるのか?」

 

二つの相反するエクスカリバーを向け合う。

 

その刹那、

 

「・・・邪魔が入った」

 

焼けた部分が少しずつ緑に覆われていき、セイバーオルタの金の瞳が徐々に碧に戻っていく。

 

「仮面が割られたか・・・仕方ない。しかし、またすぐに会える(殺せる)

 

 

 

望月が目をさますと、布団の中にいた。枕の横にはいつも通りの姿に戻ったエクスカリバーがあり、少し安心する。

 

何故か義骸に入っているが。

 

辺りを確認するため身体を起こすと、

 

「おはようさん」

 

倉庫のど真ん中に寝せられていた事に気付いた。

 

瓦礫の上には八人の人がいる。

 

「・・・おやすみなさい」

 

「うおぉぉい⁉︎」

 

望月はめんどくさい空気を感じて二度寝に入った。

 

 

 

叩き起こされて渋々起きた望月は取り敢えず八人の自己紹介を受け、自らも自己紹介した。

 

「ところで・・・俺を助けてどうするつもりなんですか?」

 

「何って・・・分かってんやろ?その身の内にあるモノを」

 

平子真子は親指で自分の胸を指差す。

 

望月は胸に手を当てる。

 

あの黒いエクスカリバーとセイバーオルタ。即ち、内なる虚だ。

 

「これ、なんやと思う?」

 

真子は顔に手を当て、白い、虚の仮面を取り出した。

 

「オレらは、死神から虚の領域に足を踏み入れてしまった者、"仮面の軍勢(ヴァイザード)"」

 

「俺の、同類?まさか藍染の手によってですか?」

 

「なんや、オマエもそういう理由か?」

 

「まぁイロイロと・・・」

 

次あったらワンパンチ、ワンキック、テンエクスカリバーしなければ気が済まない。

 

「オレらの仲間になれ、望月。そしたら抑え方、教えたるわ。もう、戻られへんのやろ?」

 

「・・・確かに」

 

どうせ死んだことにさせられてるだろう。戻ったら藍染から狙われて今度こそ死ぬだろう。

 

「一つ、条件があります」

 

「・・・なんや?」

 

真子を含めたメンバー全員がじっと望月を見つめる。

 

「1日3食食べ放題で間食自由がいいです」

 

ズココッと全員ずっこける。

 

しかしこればかりは絶対に譲れない。

 

メンバーの中で最も早く起きた拳西が頭を掻きながら聞いた。

 

「一応聞くが、どれくらい食うんだ?」

 

「・・・尸魂界では"海賊潰しの海賊(バイキング・キル・バイキング)"と呼ばれてました」

 

「頼むから自重してくれ」

 

ちなみに、時々卍解習得のためにセイバーを呼び出すつもりなので更に食費がかかる予定なのは内緒だ。

 

さっきから少し不満そうな顔をしているひよ里が立ち上がった。

 

「ハッチ、結界何枚か張りィ」

 

ひよ里は斬魄刀を背負って望月の前に立つ。

 

「うちは、まだ認めてへんのや。見た目弱そうやし、自己紹介で五席にいたと言ったやろ?ウチらは全員元隊長か元副隊長や。あんたをホンマに仲間にしたいかどうか、試したるわ!!!!」

 

ひよ里は虚化して望月に斬りかかる。

 

「えっ、ちょっ、エ、エクスカリバー!」

 

望月らエクスカリバーを最初から風王結界を解除して刀を防ぐ。

 

凄まじい霊圧がぶつかり地面にヒビが入る。

 

(重い・・・!開放したエクスカリバーでここまでのダメージがあるなんて!)

 

「虚化しィ、はよせんと死ぬで?」

 

「やり方とか分かりませんからッ!」

 

望月は風王結界の風を巻き起こしてひよ里を吹き飛ばす。虚化しても体重は変わらないようでよかった。

 

風王鉄槌(ストライク・エア)!」

 

暴風がひよ里を狙うがそれを刀の一振りで払う。

 

「その程度なんか?じゃあ、死ねや」

 

まずいと感じた望月は早くも奥の手を使う事にした。

 

束ねるは星の息吹よ。輝ける命の奔流(卑王鉄槌。極光は反転する)———」

 

(なんや?ノイズがかかって、声が二重に———)

 

最大開放!(光を呑め!)

 

その刹那、望月の虚化が一気に進行し、獅子の意匠を施した兜のような仮面が現れた。

 

約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)!」

 

「あかん」

 

真子はそう呟き、腰を上げた。

 

闇に落ちたエクスカリバーの闇がひよ里に迫る。が、その闇は結界を破るだけに終わり、ほかのメンバーに望月は取り押さえられ、仮面を割られた。

 

「やれやれ、"逆撫"使わんかったらひよ里、死んでたわ」

 

真子の斬魄刀、逆撫の能力は相手が認識する上下前後左右及び、見えている方向と斬られる方向の感覚を逆にすること。つまり、望月は逆方向に闇を放ったのだ。

 

「流石にあれはあかんやろ・・・まさか、一気に進行して斬魄刀まで乗っ取るとかそうとうや。ま、合格や。教えたるで、虚の抑え方を、骨の髄までな」




この作品でのアヴァロンは任意発動です。常時発動では無いのでバッチリ逆撫の効果を受けます。

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