BLEACH/Excalibur〜約束された勝利の剣〜 作:ザイソン
流魂街の外れの森で望月は事件のことについて調べていた。
(事件当時の事を知る人達に聞いても結果的に犯人が浦原喜助に行き着く。矛盾も何もなく)
事件現場は
とはいえ、流石に時間が経ち過ぎており解決もしているため人々の記憶から忘れ去られている。故にコッソリ侵入する必要がなかった。普通なら捕まってしまう。
今まで発見したのは、各地の流魂街の虚化事件現場と隊長格らの虚化事件現場に、三人の同一人物の指紋と毛髪。浦原喜助のは隊長格らの虚化事件現場にしか無かった。
浦原喜助のデータは事前に書類で確認済みである。犯罪者のデータ開示は
「そうなると、浦原喜助は犯人では無いのか?この毛髪の持ち主は、四番隊の知り合いに聞けば分かるかな・・・?」
そう言って望月はそこを立ち去ろうとエクスカリバーを背に担いで座っていた岩から立ち上がる。その刹那、巨大な霊圧を感じた望月は本能的に霊力放出でとっさに横に跳んだ。すると、
「破道の九十"黒棺"」
黒い直方体のような物が現れ、座っていた岩を重力の奔流で押しつぶした。
望月は霊圧の発生源を見て驚愕した。
「九十番代の詠唱破棄・・・⁉︎いや、そんなことより・・・何故・・・ですが・・・藍染隊長、市丸隊長、東仙隊長?」
三人の隊長が望月の前に現れた明確な殺意を放っていた。
特に藍染の発する霊圧は他の隊長格を軽く超えている。
「何故か?そうだね。君が邪魔になったからだよ。百目木望月」
藍染はいつもの笑顔でそう答えたが目が笑ってない。
「・・・このタイミングでやってきたという事は、あんたら三人が虚化事件の真の黒幕ってことか」
「そうなるね。どうやって鏡花水月の完全催眠を解いたか気になるな。どうやったんだい?」
「・・・」
望月は辺りを見た。三方を三人の隊長に囲まれている。逃げれないと感じた望月は、エクスカリバーを鞘から抜いた。
「なんや?まさか徒手空拳で隊長格三人とやる気なんか?」
「とりあえず・・・四肢を潰す。清虫二式・紅飛蝗」
東仙の刀の刀身が無数の針状の刃に増え、望月に向かって襲いかかった。
「エクスカリバー、風王結界開放!」
エクスカリバーの輝く刀身が現れ、
「
暴風で刃を全て吹き飛ばした。
「射殺せ『神槍』」
市丸の刀の切っ先が高速で喉元に迫って来るのをエクスカリバーで弾いた。
が、背後から再び東仙の無数の刃が飛来し、数本弾いたがその殆どを受けてしまった。
「私の一撃を受けてまだ生きているのか・・・中々に強いのか、しぶといのか」
「一撃っていう数じゃないだろッ」
望月は刺さった刃を抜きながら東仙に切り掛かるが、それは浅はかであった。
「敵に背を見せたらあかんやろ」
市丸の刀に腹部を貫かれた。
どちらかを攻撃しようとすれば背後から襲われる。もう手詰まりであった。しかも隊長格。一対一でもない限り望月に勝利などありえなかった。
このまま戦えば死ぬことは必須である。
(とりあえず、ここから逃げて隊舎に・・・そして、浮竹隊長にこのことを進言すれば・・・リーダーは・・・今まで一度も攻撃してない、藍染か。なら———頭を潰せば一瞬位は隙を作れる!)
望月はわずかな希望を持ち、エクスカリバーを構える。
「束ねる星の息吹よ。輝ける命の本流———」
エクスカリバーが光り輝き、霊圧が上昇していく。
「———最大開放!"
霊力を光に変換、集束・加速させることで運動量を増大させ、光の断層による望月の最強の斬撃が藍染を襲う。
それを、
刀一本の一振りで軌道を逸らした。
「・・・かなり強い斬撃だったけど、まだ届かない」
藍染は瞬歩で望月の懐に入り、肩から脇腹までを斬りつけた。
「ゴフッ・・・」
望月は片足をついて口から血を吐き出す。
「このまま殺しても面白くない・・・だから、アレを仕込んだ」
「何・・・がッ・・・⁉︎」
突如、望月の口から白い何かが噴き出し、顔を仮面の様に覆っていく。
精神が別の何かによって犯され、苦痛が望月を襲う。
「これは、虚化というやつだよ。しかも、数十年前とはまた違ってね。より、強力にしてある」
「・・・虚・・・化・・・?」
望月はエクスカリバーが黒く染まっていくのを目撃し、なんとかしようと必死で鞘に戻した。
「・・・なるほど。斬魄刀にまで影響が出るのか」
「藍染様、斬りますか?」
「いや、
そうして、望月は鏡花水月で隠されながら穿界門に連れて行かれ、現世に落とされた。
恐らくこの後藍染は鏡花水月で誤魔化し、大方現世での任務中に死亡とでもするつもりだろう。
望月は現世の道路で寝そべりながら虚化の汚染に必死に耐えていた。
だんだんと自分が自分で無くなっていく感覚。
しかし、苦痛とは感じていなかった。既に、脳が考えるのを止めてしまっていた。
顔の大部分を仮面で覆われ、意識が無くなっていく。
「ア・・・イゼ・・・ン」
そうつぶやいて意識は消えた。
しかし消える寸前に長髪の男を見た気がした。