フランドールの日記   作:Yuupon

59 / 141
 


 いつもより長めに書けました。


 


十月編END『外の世界との邂逅』

 幻想は現実と表裏一体である。

 常識と非常識の結界は曖昧であり、構造は理解不能だ。

 ――だからこそ少女は意図せず迷い込んだ。

 

 

 #####

 

 その日記を読んだ時、ハッキリと空気が変わるのを早苗は感じた。

 

 

 十月二十二日

 

 助けて。

 

 

 #####

 

 三文字。血で描かれた文字にそれまでのほのぼのした空気が全て壊れ果てた。

 

「こ――、これっ……!?」

「なっ……?」

「なに、が……起きたの?」

 

 明らかに只事では無かった。

 だって血文字だ。しかもたった三文字しか書かれていない。

 間違いなく緊急事態だ。

 フランの身に何が起こったのか。四人は神妙な顔つきで頷きあい、次のページをめくる。

 

 

 #####

 

 

 十月二十三日

 

 正直頭が混乱してる。

 とりあえず分かることを書いてみようと思う。

 昨日、私は博麗神社に行って、何かのものの目が見えたんだ。亀裂……というのかな。見慣れないものをみてふと手を伸ばしたらその亀裂が大きく口を開けて私を呑み込んで……それから分からない。

 気が付いたら私は、ボロボロの博麗神社に倒れていたんだ。

 その場所が博麗神社なのは間違いないんだよ。でも霊夢さんは居ないし、何より人が暮らして居た形跡がはるか昔のようだった。

 妙だな、と思ってあたりを調べて居て……一つ気づいた。

 どうにもあまり力が入らないんだ。気とかも思うように使えないし魔法も低級がやっと。身体能力こそ鍛えているおかげでそこそこあるけどかなり力が弱くなってた。

 それに気付いた時、私もう混乱しちゃったんだ。訳が分からなくて、軽く指の先を切って日記に『助けて』って書いて……それで寝ちゃったんだ。

 今はもう大丈夫。

 なんとか落ち着いて、改めて博麗神社を調べてみるとタンスの中から古びた巫女装束が出てきた。

 ……霊夢さんの着てた巫女装束が。

 それから外に出て軽く飛んで景色を眺めてみたんだ。そうしてようやく気付いたんだ。ここが幻想郷じゃないことに。

 ……いや、今も幻想郷の可能性は残ってるか。

 とりあえず私が考察するに可能性は二つ。

 ・一つは現代入り、つまり何らかの事故で私が外の世界に出てしまった可能性。

 ・もう一つは未来に飛んだ。霊夢さん達が死んださらに未来にタイムリープしてここに存在している可能性。

 

 ……気配を調べてみた感じ近くには妖怪は居なくて、人間ばかりに感じたのでこれから暫く羽をしまって、人間と同じような見た目で暮らしておこう。明日は現地住民とコンタクトをとってみるつもりだ。

 あと一旦私の服がホコリで汚れてしまったので、能力で汚れを破壊してるけどどうもそっちの力も弱くなってるんだよね。

 それで他の服が無いかと思ってあの巫女装束を見たけど、どうにも思ってるより汚れていないようだったので軽くホコリをはたき落して着ることにした。

 ……おやすみ。

 

 #####

 

 

「……外の世界? そういえばオカルトボールの時、私達も出たわね。博麗神社に外の人間が迷い込んでくることは珍しいことじゃ無いしその逆パターンかしら?」

「……そんな事に巻き込まれたなんて聞いてないわよ、フラン」

「嘘、レミリアさん知らなかったんですか……。これ、大事(おおごと)なのに」

 

 口元を押さえて早苗が言うと、横からさとりが口を出す。

 

「……でも咲夜さんなら知っている筈です。彼女はフランさんの日記を添削していたんでしょう?」

「あっ、そうね! 咲夜、これはどういうこと!?」

 

 ハッ、と気づいてレミリアが声を上げると咲夜が現れ、答えた。

 

「勿論、存じ上げておりましたわ。ですが、申し訳ありませんお嬢様。この件に関してお話ししなかったのは妹様の御意思であり、私はその意を汲みました。また私個人としても話すべきでは無いと判断した次第です」

「……咲夜、言い訳は聞いてないわよ」

「お嬢様がもしお怒りであれば私はどのようにでも御処分を。ただ、その前に妹様の日記を読んで欲しいのです」

「……()()()()()()()()()()

「御意に」

 

 珍しく冷や汗をかきながら礼をする咲夜に、明確な覇気を持ったレミリアの会話であった。

 怒りを纏う彼女だが、それでも物に当たりちらす真似はせず、震える手の力を抑えながら次のページをめくる。

 

 #####

 

 

 十月二十四日

 

 

 眼が覚めると目の前に二人の女の子がいた。

 ……驚いた。うん、まさか触られるまで私が誰かが近づいてきたことに気付かない程に力が弱くなってるとは思ってなかった。

 女の子達は私を見て「メリー! 起きたよ、ねぇあなた大丈夫!?」「……蓮子、気を付けて。この子普通じゃない」と口々に呟いていた。

 私はよく分からなくて目を丸くしてたと思う。

 でも、なんかあれよあれよと話が進んで気付けば私は今、二人が住んでいるという京都のマンションに居た。

 なんでこうなったんだろ。

 改めて自己紹介して名前が分かったんだけど、宇佐見蓮子さんって人がなんか強引に私を連れて行く宣言をしたらしい。で、メリーさんことマエリベリー・ハーンさんは逆になんか妙に私を怪しいと気にしているみたいで否定的な感じだった。

 でも蓮子さんの考えに従うあたり多分蓮子さんの方がアクティブなんだろうね。色々と。

 ともかく、話を聞いてみると二人はオカルト研究部(秘封倶楽部というらしい)のメンバーで、マエリベリーさんがどうやら境界が見える能力を持っているとかで博麗神社にオカルトを探しにきたらしい。

 で、神社内で丸まって寝ている私を見つけたんだとか。

 ちなみに蓮子さんは星を見るだけで時間が分かり、月を見るだけで今いる場所が分かる能力を持ってるらしい。

 

 なんにせよ三日ぶりにお風呂に入れると気持ちいいね。ご飯も三日ぶりだし。

 あと、私の力に関してだけど多分弱まってるのは私の心が不安定だからなんだと思う。なんというか妙に力が制御出来ないんだ。

 こんなことに巻き込まれたからかもしれないけど、ちょっと自分にガックシだよ。とりあえず二人の話を聞く限り外の世界に来た方向で確定っぽいし問題はどうやって幻想郷に帰るかだよね。

 それで帰ったらメンタルトレーニングしないと。

 

 #####

 

 

「幻想入りならぬ現代入りってやつですか……」

「珍しい話じゃないけど……、運が悪いわね」

「……ともかく保護してくれる人は見つかったようで一安心ですね」

「…………次、めくるわよ」

 

 上から早苗、霊夢、さとり、レミリアの言葉であった。

 

 #####

 

 

 十月二十五日

 

 

 外の世界に関しての情報を入手したので書く。

 どうやら私は近未来の日本に居るらしい。宇宙旅行なんかも一般化していて、車はもう古いと言われるような時代なんだとか。

 なんだろう、私の知っている外の世界と違ってた。早苗さんの話だと車とかは当たり前のように走ってて、宇宙旅行なんかまだまだ先の世界って聞いてたのに。

 もしかしてパラレルワールドってやつ? それとも立体世界平行理論ってやつ?

 ともかくこっちから幻想郷にコンタクトを取れないかと思ってテレパシーを送ったり、瞬間移動を試みたりしてるけど今の所成果はない。

 でも一つだけもしかしたらってアテを思い出したんだよね。

 ほら、かなり前の話だけどさ。外の世界から幻想郷に遊びに来た人と会ってるんだよ、私。

 イエスさんとブッダさん。私のやってるゲームでよく一緒に遊んでる人。確かあの人たちは外から来たんだよね。だからもしコンタクトを取れれば帰れるかなって思って、パソコンを借りてログインしてみたけど運悪く出会えなかった。

 でもとりあえず私のアカウントでログイン出来たのは良かったよ。他のゲームもログインは問題無かったし、ちょっとは希望が出てきた。

 あと蓮子さん達に連れられてちょっと外に買い物をしに行った。

 私の服を買うらしい。それでもう一個思い出したんだけど、この世界の通貨はどうなんだろうって思って聞いてみた。すると私の知ってる外の世界と同じらしい。

 ……じゃあこれ使えるよね? 少し前に競馬で稼いだ171万円。

 とりあえず服は自前で買った。

 白いワンピースに紅のカーディガン。蓮子さん達セレクトの外の世界のコーデってやつも教えてもらったよ。

 うーん、やっぱり外の世界って服とかは種類多いなぁ。ちょっと羨ましいなぁ。

 

 

 #####

 

 

「イエスさんにブッダさんですか。確かに彼らなら帰せますね」

「というか宇宙旅行ってあまり思い出したい話題じゃないわね」

「……というかまさか競馬のお金がこう繋がるとは予想外でした」

「……そこそこ、順調になってるのかしら、ね?」

 

 まだレミリアの顔色は固い。

 が、ともかく四人は次のページをめくる。

 

 #####

 

 

 十月二十六日

 

 

 蓮子さんとメリーさんの二人が通う大学に行った。

 で、中々濃い人に会ったよ。岡崎夢美さんって人。

「あら、貴女妖怪じゃない!?」

 というか一目で見抜いてきたよ。話を聞くと彼女は秘封倶楽部の顧問にしてかつて幻想郷を訪れたこともある超天才科学者らしい。あと北白河ちゆりって人もいた。「私は助手だぜ」って言ってたのが妙に魔理沙みたいな言い方で覚えている。

 で、岡崎さんはやたらフレンドリーな人で私の体をぺたぺた触っては、「へぇこれ吸血鬼?」とか「羽は完全にしまうことが出来るのね。興味深いわ!」とか楽しそうに話していた。

 ともかくこれは渡りに船ってやつだよね。

 折角幻想郷に渡る手段を持つ人に会えたんだもん! 早速私が帰ることが出来ないか聞いてみると、

「あ、ごめん無理」

 何故えええっ!?

 と思ったけど事情を聞くと面倒な事情があるらしい。

「幻想郷に渡る機械……可能性空間移動船なんだけど、あれ使うと並行世界間のエネルギーバランスに歪みを発生させるのよ。で、それって犯罪行為でね、すぐに平行警察に捕まっちゃうわ」

 よく分からなかったけど使えないらしい。

 その代わり、と色んな機械を見せてくれたけど……。

「これがお掃除ロボットこと、る〜ことよ!」とか「ICBMミミちゃんよ!」とか見せられてもよく分からないんだよね。

 活路が開けたと思ったけどまた振り出しかぁ。

 あ、ちなみに帰りに皆でタコ焼き食べた。美味しかったなぁ。

 

 #####

 

 

「普通に探しつつ満喫しだしてるわね」

「良い傾向ですね。気を張ってばかりだと疲れますし」

「……フランさんは精神的に不安定ですから、とても良い判断だと思います」

「……でも、咲夜が私に話さない理由にはならないわ」

 

 #####

 

 

 十月二十七日

 

 

 今日は三人で京都観光に行くことになった。

 京都のお寺とかを見て回ったよ。金閣寺とか清水寺とかを回って、あと京都料理を食べた。

 それから午後は観光に飽きたのでボーリングをやって、それからゲームセンターに行って遊んだ。

 かなり気晴らしになったよ。というか初めてのことばかりでとっても新鮮だった。

 ほら、四九五年も生きてると大抵のことはやったことあるし、最近四月からチャレンジしていることはやろうと思えばやれることだったから、こういうやれなかったはずのことがやれるのはとても新鮮で楽しい。

 でも、今日は途中でやたら人に声をかけられて写真を撮られたなぁ。なんでだろ?

「フランちゃんそっくりだ」とか言ってたけど私のこと知ってるの?

 なんか『東方』って書かれた袋を持ってたけど。

 気になったので聞いてみた。

 

「フラン?」

「あぁ、近くで東方Projectって作品のイベントをやってるんですよ。そのキャラに似ていたもので」

 

 キャラねぇ? まぁ偶々名前が同じなだけだよね。フランなんて外国じゃ結構あるだろうし。

 ともかく今日はそれで家に帰ったよ。

 あと、ようやくいえっささん……イエスさんに連絡がついた!

 なんでも立川に住んでいるらしい。もしすぐ帰りたいなら明日にでも予定を付けてくれるとか。

 良かった、これで帰れるね!

 

 

 #####

 

 

「お」

「これで帰れますね!」

「……そうですね!」

「……とりあえずフランは傷付いてないのね」

 

 レミリアは小さく呟いた。

 

 #####

 

 

 十月二十八日

 

 

 二人がお別れ会をやってくれた。

 この数日間ですっかり仲良くなったんだよね。

 日記には書いてないけど皆でオカルト探したり、買い物したり楽しかった。

 最初はどうなるかと思ってたけど今じゃ良い思い出かもしれない。

 パーティも本当に楽しかったよ。

 それに約束もした。またいつか修行して今度は自由に外に来れるようになったら遊びに来るって!

「元気でね!」「フラン、貴女のこと忘れないから!」

「こっちこそ二人のこと忘れない! 必ずまた会いに来るから!」

 そして最後に三人で写真を撮った。最高の思い出だ。

 

 ……で、今はもう二人と別れて東京行きの夜行バスの中。

 少し物悲しいけど、また会うって約束したもん。

 その日のためにまた頑張ろう。

 じゃあ、おやすみなさい。

 

 #####

 

「別れ、か」

「……私も辛かったですよ。幻想郷に来るとき」

「……でも、フランさんならいつか会える気がします」

「……私の妹だもの。当然よ」

 

 #####

 

 

 十月二十九日

 

 

 東京都立川市に着いた。

 で、駅前で集合して会えました。イエスさんとブッダさん。

「お二人ともお久しぶりです」

「こちらこそ久しぶりです」「どうもお久しぶりですね」

 やっぱりとても物腰の柔らかい人達だった。

 私の服を軽く褒めてくれたよ。えへへ、嬉しいな。

 で、早速帰してもらう件だけど。

 

「じゃあやりますか。良い、ブッダ?」

「うん。それよりもフランさんは大丈夫?」

「はい、大丈夫です。お願いします!」

「じゃぁ……えっと確かこのあたりだった……これかな?」

 

 むむむ、とイエスさんが念を結び始める。

 そして。

 そしてそしてそして。

 

「……あれ?」

 

 気がつくと、月にいた。

 

「イエスーっ!? 座標ズレてる! ちょっと座標ズレてる!?」

「あ、あれ? 計算間違えたかなブッダ」

「そんな言ってる場合じゃないよイエス! ただでさえ大勢の人の罪を背負っている僕らが穢れを嫌う月に居るのはアウトだから!」

「――――っ」

「あぁっ、フランさん呆然としてるし! ちょっと大丈夫?」

 

 いやー、地球って青かったんだね。

 というか宇宙には空気が無いとかそんな問題は多分二人の力でなんとかなってるんだろうけどそれは良いや。

 月ってあれだよね? バシュゴォだよね? 餅スパークだよね?

 最終兵器吉田さんがいるところだよね?

 ……oh。

 とか思っていると早速地平線の彼方から何かがマッハで飛んできた。

 

「月にこれほどまでの穢れを持ち込むとは不届き千万――――?」

 

 桃色の髪をポニーテールにして剣を担いだ女の人、だけどなんか様子がおかしい。しきりにイエスさんとブッダさんを見ては目を白黒させている。

 

「……おかしい、神が使役出来ない。それにこの大いなる穢れを一つ足りとも余すことのない清浄なる気配は何ーーーー!?」

「す、すいません! すぐに出て行きますから! い、イエス、まだ掛かるのかい?」

「も、もう大丈夫! 今度こそ飛ぶから! 本当にすみません月の守護者さん」

 

 とか思ってると気が付いたらまた瞬間移動していた。

 今度は無事に着いたらしい。

 森の中に私達は着地した。

 二人に話を聞くと、今度こそ幻想郷に着いたらしい。このまま道沿いに真っ直ぐ行くと博麗神社があるそうだ。

 

「本当にありがとうございます!」

「いえいえ……むしろ失敗してしまってすみません」

「いえ、こちらこそ助かりました!」

 

 そんな感じで二人とはお別れして、道沿いに進むと博麗神社があった。

 ……やっと帰ってきたんだね。

 なんだか不思議と嬉しくなった。

 それから、紅魔館に帰ってからお姉様に抱き着いて数日間のお話をしたよ。

 多分適当に聞き流してたけど、とても気分がスッキリした。

 

 

 #####

 

 

「…………」

「…………」

「…………いや、フランさん話してるじゃないですか」

「………………(汗)」

 

 レミリアは冷や汗をかいていた。

 だって、仕方ないだろう。話を統合すれば、実はフランがいなかった理由はフラン自身からレミリアは聞いているはずで、それを知らないということは彼女がその時いい加減に聞き流して綺麗さっぱり忘れてしまったことに他ならないのだから!

 

「……そんなのでよく咲夜を威圧出来たわね、アンタ」

「はうっ!?」

「……というか姉として最悪ですよね」

「うぐっ!?」

「えーとえーと、ポンコツな所も可愛い……です、ヨ?」

「う、ううううう!! うわあああああっっ!!」

 

 堪らずレミリアは悲鳴をあげて逃げ出した。

 が、

 

「お嬢様。みっともないですよ?」

 

 扉のところで突如現れた咲夜に抱きしめられ止められる。

 

(……あ、終わった)

 

 これ無かったことに出来ないわ。まぁフランが無事だったしこのポジションに収まってやろう。

 ーーレミリアは死んだ目で諦めた。

 

(……というかサラッと月に行ってるけど、うっ。依姫、頭が)

 

 ーー色んな意味で。

 

 #####

 

 

 十月三十日

 

 今日は疲れたので休んだ。

 ただ昨日までの思い出グッズの整理もしたよ。

 皆で撮った写真を額に飾って部屋に置く。思わず頰がほころんだ。

 あと力もしっかり戻ってたよ。

 

 #####

 

「最終的に良い思い出になったみたいで良かったですね」

「そうね。最初は血文字で助けて、から始まったから本当に良かったわ」

「……本当ですね」

「……まぁ、そうね。本当に、本当に良かったわ」

 

 色んな意味で正論のナイフで滅多刺しにされたレミリアだが、それでも姉としての思いをそっと口にした。

 

 #####

 

 

 十月三十一日

 

 

 今日はハロウィンだ。

 トリックオアトリート(お菓子くれなきゃイタズラするぞ)

 試しにお姉様にやってみたら何の用意もしてなかったようなので悪戯してあげた。

 ふふ、ハロウィンの日だからって喜んで中二病コスしようとしてるところ悪いけどお姉様にはそんなの似合わないからね。

 精一杯お洒落させて可愛くさせてやったよ。

 私も私で外で買ったコーデに、カボチャの仮面を頭の側面に付けて里に出た。

 可愛らしさを重視したせいか悪戯されたお姉様がやたら恥ずかしがってたけど人里じゃ人気が高かった。

 というかやたら里の男の人ってお菓子の用意してないよね。

 トリックオアトリートって言っても半分くらいの人は持ってないもん。思う存分悪戯したよ。爪にマニキュア塗ったりね。

 ともかく今月も楽しかった。

 また来月もこんな風に楽しくなると良いなぁ。

 

 #####

 

 

「ハロウィンですか。私もコスしましたよ」

「サキュバスを?」

「違います! 諏訪子様をイメージしてケロケロ〜ってやりました。何故か本人には胸を凝視されて睨まれましたけど……」

「……同じ衣装でも差が出ますからね、そりゃ妬みますよ。神様でも」

「気付いてないあたり奇跡みたいな頭してるわよね」

「む、なんか分からないけど馬鹿にされてる気がします! レミリアさんこそ悪戯されてるじゃないですか!」

「べ、別に良いじゃない! 私はどうでも」

「ずるいです! 私にも見せてください!」

「そっち!?」

 

 読み手側もそんなこんなで雰囲気は悪くない。

 皆疲れもないようなので、このまま次の月も行ってしまおう。

 そう話をまとめ、四人は次のページをめくるのだった――――!




 


 前からやりたかったネタが書けて楽しかったです。
 モチベも軽く回復出来ました。
 では、明日からちょうど十一月編です!

 

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。