投稿が一日の終わる二分前。
もっと……もっと早く書く技術を磨かねば。
十月十六日
お姉様がロボットが見たいと言い出した。
外の世界ならともかく幻想郷でロボット? うーん、思い当たる節があるとすればやっぱり守谷神社か香霖堂、それか無縁塚だよね。
命令されて咲夜が探しに行ってたけど見つかるかなぁ?
まぁとりあえず私は副メイド長としてお仕事しないとね。最近やっと思考加速が出来るようになってさ、現実時間の中を二倍速で行動出来るようになったからお掃除もすぐに終わる。ホフゴブリン達もかなり有能になってきたしさ。
それに妖精メイドも最近はそこそこ使えるんじゃないかな? 死んでも一回休みって良いよね。心行くまで躾が出来るから。大ちゃん達にも妖精の扱いを聞いたし多分それが効いたのかもしれない。
ともかくそんなわけで屋敷のお仕事も終わってお姉様のご飯も作ったので私も外にロボットを探しに行くことにした。
ふふん、今日の私はメイドだからね。ばっちしメイド服装備です!
「……それで僕のところに来たのかい」
香霖堂に行くと森近さんが私を迎えてくれた。
それで「まぁ探してみよう」と森近さんが奥に入って数分。奥からいくつかのボタンやおもちゃのロボットを抱えて森近さんが出て来た。
「とりあえずこれだけ見つかったよ」
「じゃあロボの名前とか教えて?」
「はいはい、えっと……じゃあ近いところからいこうか」
呟いて森近さんは手前に置いたロボットを指差して言う。
そのロボットは、まあ見た目からしてザ、ロボットって感じだった。
「これはファミリーコンピュータロボットだね。前にゲーム機を見せた時にファミコンってあっただろう? あれの周辺機器らしい」
ふーん。じゃあこっちの犬みたいなロボットは?
「そっちは
へぇ。それは良いなぁ。個人的に欲しいや。
森近さんそれ売ってくれる?
「構わないよ。まぁそれは後にして次のロボの説明をするかい?」
「ううん、もう良いや。どうせお姉様のワガママだし、それにこのワンちゃんである程度満足すると思う」
そもそもお姉様のワガママを毎回毎回完璧に叶え続けてたら増長するもん。ほどほどにするのが一番。
それで帰ったんだけど。
「何これ可愛い! これがロボットなの?」
「うん。話しかけたりすると少しずつ学んで行くんだって」
「なるほどね。クク、AIBO……お前に名を授けるわ! お前の名は……『
「趣味悪っ」
ともかく買ったAIBOを連れ帰りお姉様に見せてみると思ったより良い反応をもらえた。
ついでに命名。ブラッディイーター。
うん、お姉様とお話しして最終的に略してディータって呼ぶことにした。いくらなんでもペットに血塗れとか付けるもんじゃないよ。
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「レミリアさん。血塗れってブラッディじゃなくて真紅って意味のスカーレットじゃ駄目だったんですか?」
「駄目よ。所詮ペットに私達の名をそう簡単にはやらないわ」
「あとレミリアさん。捕食者ってイーターじゃなくてプレデターなんですけどそのあたりどういうことか説明して下さい」
「プレデターってなんか宇宙人みたいじゃない? それよりなら直接的に食べる意味があるイーターの方が犬って分かりやすいかと思ったのよ」
サラリと説明するレミリアだが、そこで霊夢がチョンチョンとレミリアの肩を叩いて振り向かせてこう言い放った。
「レミリアレミリア」
「何かしら?」
一泊。
「趣味悪ッ!」
「!!?」
レミリア は 黙り込んだ!!
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十月十七日
今日は橙ちゃんの家に遊びに行くことになった。
寺子屋が終わってから橙ちゃんの家、マヨヒガへ。場所は妖怪の山近くの小山にひっそりとあるらしい。
周囲には認識阻害の術が掛かっていて、迷い込んでくる人以外は基本訪れないらしい。
屋敷には猫が一杯いるんだって。
というわけで行ってみた。認識阻害の術を乗り越える為にパチュリーから魔道書を借りて向かう。
「エム×ゼロ!」
今回借りた魔道書はなんでも自分の周りに丸い結界みたいなのを貼って、魔法を無効化する内容らしい。
パチュリーが「まぁ簡単に言うと丸い
で、結界を突破して着きました! マヨヒガ。
「フランちゃん待ってたよ!」
見た感じ廃村って感じだった。森に囲まれていて、いくつかの古びた家々が連なっている。その中に一つだけ今もなお人が暮らしていそうなお屋敷がポツンとあった。
外にも猫が沢山いて思い思いに暮らしていたよ。ごろにゃ〜って鳴きながら寝転がってたり、警戒心なく私に近づいて来て私の足に顔をこすり付けたり。可愛いなぁ。
そしてしばらく戯れてから、改めて屋敷に足を向けると橙ちゃんが出迎えてくれた。
「お待たせ〜」
「ううん。今更だけどよく来れたね? 結界があるから最悪、紫様にスキマを借りようか考えてたのに」
「あはは、結界の存在を知ってたらちゃんと対策して来るよ」
確かこんな感じの会話だったかな。
それから屋敷内にも沢山の猫がいた。
白に黒に茶色に灰色。一杯だ。種類も一杯。あっ、喧嘩してる猫もいる。別の方向ではハシゴを器用に登って屋根に上がってた。
「ここは猫の隠れ里なんだ。実は外の結界は猫を誘き寄せる効果もあってさ」
だから猫はしょっちゅう迷い込んでくるの、と橙ちゃんは笑う。
橙ちゃんは猫又だもんね。言ってしまえば猫の妖怪だから仲間が増える感覚なのかも。
私的に言えば
とか思ってるとわらわらと何匹かの猫が近づいて来た。
「わっ」
「それ甘えてるんだよ。撫でてあげて?」
「う、うん」
猫って警戒心高い動物じゃなかったっけ?
こんなにグイグイ来るものなんだ……、ともかく近づいて来た一匹を抱き上げて撫でてみる。毛がモフモフしていた。
ぎゅっと抱きしめるとあったかい。手の中の猫がにゃあ、と鳴いているのを見て思わず笑顔が溢れた。
優しく頭と喉を撫でると気持ちよさそうに目を細める。
あとこうしていて一つ気付いたんだけどさ。
「にゃ〜にゃ〜」「にゃ〜」「ぎにゃ〜」「にゃ〜ご」「お゛お゛ん゛!!」「ニ゛ャ゛ア゛ア゛ア゛ン゛!!」「ニャーンてニャ!」「にゃ? 多磨は猫じゃないニャ」「ハローキティ」「飲むか、超神水を!」
猫の声ってよく聞いてみると違いがあるんだよね。
というかニャーンてニャ! からは普通に声に聞こえたけど気のせいかな? もしかしたら疲れてるのかもしれない。
今日は早めに寝よう。
とにかく猫と戯れながら橙ちゃんと楽しく遊べました!
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「友達との遊び、良きかな良きかな」
「達観してる風に言ってるけどレミリア、アンタも見た目子供も中身もじゃない」
「ちょっと待ちなさい霊夢!? 見た目はともかく私、中身はもう子供じゃないわよ! レディよ!」
「……えっと、レミリアさんの思考を読むと……『一人前のレディーとして扱ってよね! ぷんすか!』ってなってますね」
「いやさとりさん、どう考えても背伸びしたがる子供じゃないですかそれぇッ!」
「う、嘘よ! そんなこと考えてないもん!」
「レミリア、語尾にもん! とか言ってる時点で化けの皮が剥がれてるから」
「うーん、子供としてみるとレミリアさんって可愛いですよね。所々ポンコツで抜けてるし」
「……いや、早苗さんもかなり抜けてる方だと思いますけど」
そう突っ込んでから、改めてさとりはレミリアの頭の中を覗いて思う。
(……子供な見た目を最大限利用するって意味で言えば彼女は完璧ですよね。言動も、表面上の思考も幼く留めている。風に噂によると彼女が起こした異変はスペルカードルールを広めるためのものという話も聞きましたし、その上で八雲紫などとも繋がりを持つはず。だからこそ妙ですよね。ここまで彼女が自然に幼い様子を見せているのが。これをもし計算でやっているとすれば……やはり彼女は相当なやり手かも――――)
「霊夢、私はポンコツじゃないわ!」
「本当にポンコツじゃないなら三回回ってワンって言ってみなさい」
「え? えっと三回回ってって誰が言うか! 誘導したわね!」
「いや……半分回りかけるまで気付かないんですか、それ?」
(いや、やっぱり気のせいですね)
アレだ。咲夜さんが凄いんだ。
余りにも自然過ぎるその姿からさとりはそう判断した。
そして次のページをめくる――――!