五十話目です。
いつも感想、評価、誤字報告ありがとうございます。
これからも拙作をよろしくお願い致します。
九月二十二日
身長が伸びた。
今日、寺子屋で身体測定があって測ったんだけど身長が伸びてたんだよ! たった一年の間に三センチも!
それから去年よりウエストが短くなってた。少しだけだけど運動して体が引き締まったのかもしれない。
えへへ、嬉しいな。
それとバストサイズも……その、ちょっぴり大きくなってた。
今はともかく最初は女の子らしさっていう目的で早寝早起きとめーりんの修行を始めたから嬉しい。あんまり大声で言うと恥ずかしいけどね?
でも効果が出るって凄いなぁ。吸血鬼って数千年以上生きるから、普通一センチも伸びないのに三センチも伸びるなんて。成長期かな?
ともかくこれからも運動を続けようと思ったよ。
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「美鈴の修行効果……かぁ」
「早寝早起きって凄いですねー、私は巫女として早起きしてはいましたが寝るのは少し遅くて……」
「……遅くてそのサイズなんですか」
「本当よね。嫌味かしら」
「え、いやいや! 嫌味じゃないですって! もー、なんでそんな目の敵にするんですかぁ!? 大きいのは大きいなりに悩みあるんですよ! 肩凝りとか目線とか!」
「持つものの余裕ってやつね」
「余裕じゃないです! なんで胸の話題になると親の仇を見るかのように接してくるんですかぁ!?」
「ん? ネタとして使いやすいから」
「はぁ? ネタ?」
「そう、ネタ」
……………………………。
「……え、霊夢さん今までネタで私のこと目の敵にしてたんですか?」
「そうよ?」
「え……えっ?」
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九月二十三日
口癖って面白いよね。
寺子屋の先生とかの話を改めてよく聞いてみるとそれぞれ口癖があったりするのよ。
「ここ注意な。これ教えないやつはモグリの教師だ」
「はいっ、えー、これはですね」「はいっ、えー……これは」
「実に面白い」
「アーーッ! なるほど!!」
「あいや、しばらく」
「あきらめたらそこで試合終了だよ」
「絶望した!」
「ヌルフフフ……そうですねぇ」
ほら、面白いでしょ。変な口調が多くて授業中つい笑っちゃいそうになるのよね。
逆に慧音先生みたいな先生が異端に見える不思議。
うーん、本当はそっちの方が正しいんだろうけどなぁ。
まぁ面白いしいいや。
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「明らかに口調ってレベルじゃない!?」
「というか人外居ません? コレ」
「……早苗さんの頭の中のイメージ、なんですか? これ。黄色い触手の化け物?」
「ふぅん寺子屋って思ったより個性的な先生が多いのね」
「いやレミリア! これ個性的ってレベルじゃないから! 色んな意味でおかしいって気付きなさい!」
「いや、そんな変な口調かしら?」
「え?」
「えっ?」
(……レミリアさんは話し方が時折中二病になるから多分感覚が麻痺してるんだろうなぁ)
霊夢とレミリアの問答を見て早苗はそう思った。
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九月二十四日
人里には鶏を飼ってる飼育場があるんだけど、寺子屋で一つ実験をさせてもらうことにした。
お店で買う卵ってあるよね。無精卵の卵。あれを鶏達の巣に置いたらどうなるのかって実験。早速分かりやすいように色ペンでマークした卵を鶏小屋に放置すると、一匹の鶏が近寄ってきて温め始めた。
近くに何羽か生まれて数日もたってないヒナ鳥も居て、ピヨピヨ鳴きながら卵のそばに寄ってた。
「実に面白い」の人の生物の授業だけどこういう実地に行っての授業も面白いよね。
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「生物ですか。私はメダカの採血とかやりましたね。あとタンポポ。最近の日本って西洋のタンポポばっかりで日本のタンポポをあまり見かけないので、理科の授業で近くの草原に行ってクラスの皆で探しました」
「へぇ、そんな授業があるのね。というかメダカの採血ってあの大きさなのに大丈夫なの?」
「ちゃんと適量ですから大丈夫です。死なせることもないよう事前に注意は受けますから」
「……良いですね。私も受けてみたかったです」
「さとりさんなら寺子屋に入学してもおかしくない感じですけどね」
「まぁ見た目的にね」
「……いえ、でも私は地底の主人ですから遠慮しておきます」
そう、曖昧な顔でさとりは笑った。
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九月二十五日
人里でスナック菓子を売っている店があるらしいので行った。
偶に咲夜が買ってきてくれるけど、案外美味しいよね。
ポテチは塩味とパリパリ感がたまんないし、コンポタスナックとかはサクサク感がたまらない。グミも噛み応えあって美味しいし、チョコレートとかも甘くて良いよね。
で、行ってみるとお店は本で読んだ駄菓子屋って感じの店だった。
シカダ駄菓子。駄菓子を逆読みしたのに似た名前ってちょっと安直だけど分かりやすい。
まぁそれはともかく。
駄菓子って色んな味があるよね。例えばうまい棒だとハンバーガー味とかチーズ味とか。
で、一つ疑問なんだけど。
「バーベキュー味ってなに?」
謎だ。疑問だ。
いや、例えばさ。焼肉味なら分かるの。でもバーベキューって言葉の意味的に考えたら食べ物じゃないよね?
料理法……というかパーティ、というかそんな感じだよね?
「あ、確かに。考えたことなかったな……」
駄菓子屋の店番をしてた男の子もそう言ってた。
すると奥から店主のおじさんが出て来て、「バーベキュー味か」と話し始める。
「お嬢ちゃん、そりゃあ良い着眼点だな。バーベキュー味といえばまずサッポロポテトのバーベキュー味を思い浮かべるが、それは置いておいて。実はあの味って元は『カレー味』なんだよ」
「カレー味?」
「え、なんで? カレー味ならそう書けば良いじゃん」
私と男の子が首をかしげると店主のおじさんが私達にクエスチョンを投げかけてくる。
「確かにそうだ。ただカレー味にすると一つ問題が起こるんだ。何か分かるか?」
「うーん……」
「カレー……あっ、もしかして味ですか? 家庭ごとに作り方違うし」
「流石女の子! 正解だ。そう、カレー味にしなかった理由は家庭ごとに味が違ってイメージし辛かったからなんだ。だから玉ねぎ、にんじん、じゃがいも、肉といった同じような材料を使うバーベキューとネーミングした方が消費者がイメージしやすいって理由でそうなったらしい」
へぇー、やっぱり会社も考えてるんだね。でもやっぱりバーベキューよりカレーの方がイメージしやすいと思うけど。
ともかく一つ勉強になった日でした!
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「へぇそんな由来があったんですか。知らなかったなぁ」
「……企業も大変なんですね」
「私はバーベキュー味に疑問を覚えたことなかったわ」
「……つか当たり前のように食べてる前提だけど私食べたことないんだけど」
「あっ、じゃあ今度博麗神社に遊びに行くときに持って行きますよ!」
「あぁ、うん」
お土産にしては少しな、と曖昧な返事を返す霊夢であった。