フランドールの日記   作:Yuupon

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今日はこれ以上書く時間が取れないので短めです。








九月編4『弾幕鬼ごっこ』

 

 

 

 九月九日

 

 

 今日は妖忌さんと修行だ。

 今回は妖夢さんも一緒だった。それぞれ竹刀を渡されて、二人で打ち合いをしろとの事だったので本気で斬りかかる。

 スペカとか弾幕とか剣技以外は禁止というルール。となれば分身も無しだし先手必勝だよね。

 でも流石先輩。軽く避けて突きを入れてきた。でも私も避けることに関しては負けない。ひらりと回転して回避するとそのまま突きをお返しする。

 

「――チィッ!」

 

 でも、外された。

 突きを放った竹刀の横腹を蹴飛ばされて切っ先がブレる。

 だけど妖夢さんもまだ竹刀を突き出したままの状態だ。直ぐに斬りかかることは出来ない。と、思った瞬間に彼女は竹刀を地面に突き刺すと体ごと宙に跳び上がった。一瞬、彼女の姿を見失う。

 

「魂魄流――飛天!」

 

 直後だった。

 宙に跳び上がった妖夢さんは地面に突き刺した竹刀を抜くと上段に構え振り下ろす。ちょうど背後から私の頭から胴体までを切り裂く位置だ。しかもそれだけじゃない。刃から覇気のような力が漏れている。恐らく斬撃剣だろう。回避は不可能ーーならば。

 

「レーヴァテイン!!」

 

 受け止める! 私は振り向きざまに灼熱の炎剣で上段振り下ろしを正面から受け止めた。

 放たれる斬撃剣と灼熱の一撃がぶつかり合って火花を撒き散らす。

 でもどっちが有利かは明白だろう。方や地に足をつけていて方や体が宙に浮いている。暫しして妖夢さんが不利だと悟ったのか後方に飛び退った。

 そして互いにまた構え合う。

 

「…………、やるね」

「…………こちらのセリフです」

 

 私の苦手な近接とはいえ吸血鬼とタメを張れる動きってのも中々だと思うけどね。お姉様は近接が得意とか言ってたけど、お姉様相手でも良い勝負出来る気がするよ。

 と、間合いを見極めるのもこれくらいにしようか。

 

「じゃあ次いくよ」

 

 一度剣を振るって纏っていた炎を消散させた私は剣をぐるりと回転させる。妖忌さんには通じなかったけど妖夢さんはどうかな?

 

「――――九頭龍閃!!」

 

 神速の九連撃。

 目にも留まらぬ速さで繰り出されるーー罪袋さん考案の技。妖忌さんには九回斬ってくるなら十回斬り返せばいいじゃない、という無茶苦茶理論で防がれたけど、弟子の妖夢さんならどうだろうか。

 一閃、二閃。防がれる、流石にそれは容易いらしい。でも三、四閃するとその動きが徐々に鈍くなってくる。

 

「……ッッ!!」

 

 五、六閃。辛うじて防いだ。だが腕に痺れを感じらしい。顔が苦痛に歪んでいる。

 七閃、八閃。今度は体を捻って回避した。けど無理な体勢になってしまっている。剣を振れる体勢ではなく、また避けるのも不可能な状況だ。

 そこにーー最後の一撃を叩き込む!! 

 竹刀が的確に妖夢さんの鳩尾を貫いた。

 

「……え?」

 

 竹刀が妖夢さんの体を突き抜けた。

 その事実が私の思考を一瞬止めた。直後、目の前に居た妖夢さんがドロンと半霊に変わる。いつも妖夢さんの側にくっついている半霊だ。入れ替わったの? いつ――?

 

(……跳び上がった時、か!)

 

 そうだ。妖夢さんが宙に跳び上がった瞬間、私の視界から一瞬彼女の姿が消えたんだ。

 その時入れ替わったんだろう。でももう一つ疑問はある。

 

(本物の妖夢さんは何処に――――!?)

 

 そう、首をぐるりと回して妖夢さんの姿を探そうとした瞬間に。

 

「これで――勝負アリですね。少しは先輩としての分を見せれたのではないでしょうか?」

「っ!?」

 

 背後から声がした。横目で見ると、首筋に竹刀を押し当てられている。そして妖忌さんの声が飛んでくる。

 

「試合終了じゃ、互いに離れい」

 

 ――負けた。

 大体こんな感じだったと思う。最後の分身だけど魂魄流の奥義の一つらしい。半霊の私もほぼ剣技に関しては私と変わらない力を持っていますので、真正面から九頭龍閃を受けたら打ち負けていただろうって妖夢さんがフォローしてくれた。

 やっぱり先輩は強いなぁ。

 ……もっと精進あるのみ! 頑張らないとね!

 

 #####

 

 

「まだまだ精進って書いてあるけどなんで初めて数ヶ月そこらで何年もやってたやつと互角にやれるのよ……私はそこを言いたい」

「霊夢さん霊夢さん、この中で一番の天才肌である貴女だけはそれ突っ込んじゃダメです!」

「というかこのメンバー全員同じ速度で出来るでしょ。霊夢と私は才能で、風祝は奇跡で。それから、白黒魔法使いから聞いたけど地底のアンタも『想起』って言って他人のスペルを真似ることが出来るんだろう? なら白玉楼の半人前の技も出来るんじゃない?」

「……そうですね。可能とだけ言っておきます」

「じゃあ普通のことじゃない」

「……あの、それを言ったら妖夢さんが才能無いみたいに聞こえるんでやめません? この話。身近で見た時ありますけど剣技、本当に凄いですよ?」

「……仕方ないわね」

 

 妖夢と知己な早苗が抑えめに言うと三人もそれに従った――。

 

 #####

 

 

 九月十日

 

 今日は皆で遊んだ。

 メンバーはチルノちゃん、大ちゃん、リグルちゃん、ミスティアちゃん、ルーミアちゃんのいつものメンバーに加えてサニーちゃんルナちゃんスターちゃんとクラピちゃん。

 結構大所帯だね。

 で、弾幕鬼ごっこをやった。

 ルールは最初に一人が鬼になって、全員を追い掛けながら弾幕を撃つ。当たった人は鬼グループに加わっていって、最後の一人になるまで弾幕を撃つ。

 ただもう一個ルールがある。最初に鬼の人は一度誰かに当てたら逃げる側のグループに入れるのだ。そうしないと鬼の子が優勝出来ないからね。

 で、最後に残った子が優勝!

 

 というわけで早速開始だ!

 最初のジャンケンで負けたのはチルノちゃん。毎回グーしか出さないもんね、仕方ないね。

 それから一時間くらいする間に私とルーミアちゃんとクラピちゃん……あと大妖精ちゃん以外が鬼になった。

 大妖精ちゃん、意外だなぁ。弾幕ごっこ得意なのかな?

 他はまぁ妥当だよね。ルーミアちゃんは中にEXがいるし、クラピちゃんは地獄の妖精とかいうくらいだからかなりの実力者だと思う。私は私で種族的に皆と差が付いてるし。

 で、ここからがかなり酷かった。

 

「おりょ、フラン発見!」

 

 クラピちゃんが私を見つけて何をしたと思う?

 

「悪いけどあたいの優勝のための餌食になれ!」

 

 弾幕を撃ってきたよ。当たり前のように。ついで能力で幻惑まで掛けてきたよ。酷くないこれ?

 全部破壊したけどさ。

 

「いや文句言ってるけどフランちゃんも大概チートだよ!?」

 

 そのとき大妖精ちゃんのツッコミが聞こえたのは気のせいだろう。

 うん、気のせい気のせい。叫んだ直後にクラピちゃんに撃たれて悲鳴を上げながら落下する大ちゃんの姿なんて見てないから、うん。しかも鬼チームに追撃されるように弾幕ぶち込まれる姿なんて見てないから……。

 ともかくだよ!

 ただやられっぱなしってのは性に合わないからさ。クラピちゃんを追い掛けていくと視線の先にルーミアさんが見えた。

 ルーミアさんだった。ルーミアちゃんじゃなくて。

 

「見事な腕ね。でも残念♪ 幻覚、この子には効いても私には効かないの。ほら、自分の技を受ける気分を味わいなさい」

「なっ……!? わばばばば!」

 

 あっ……私がやる前にクラピちゃんが倒れた。

 というかえげつないことするねルーミアさん。クラピちゃんがルーミアさん見るの初めてで戸惑っているところで一気に技かけるとか……。

 私も初見だったらやられるよ? 多分。まぁ破壊するけど。

 

「おっ、クラウンピース発見! とりゃー!」

「ぬわーーーーッッ!!?」

 

 あっ、チルノちゃんにクラピちゃんが撃墜された。

 というか幻惑で動けないクラピちゃんをルーミアさんが盾に使った。なんて酷い……これが大人のやることなの!? 

 とか思ってたらいつの間にかルーミアさんの姿が無い。

 

「フラン、まだルーミアが動けないから私が相手するわ」

「――――!?」

 

 と思ったら後ろにいた。最近私、背後を取られすぎな気がする。

 今度人里にいるっていう狙撃手(スナイパー)に弟子入りしようかな? 「俺の後ろに立つな」って感じのこと言って背後を取らせない人とかいるって聞いたし。

 

 ともかく結果だけ言おうか。

 負けたよ! 普通に負けたよ!

 大人って卑怯だしエグいよ! なんか暗闇を使って自分だけ隠れて私対全員の形を作るし! 能力の副次効果で破壊対象が見えるからそれで判断して弾幕を避けてたら物理攻撃(ダイレクトアタック)仕掛けてきて集中を削ぐし!

 最後にはなんか自分の影に拘束されて動くことすら出来なくされたよ! もう大人なんか嫌いだー!

 

 #####

 

 

「……あらら」

「これは……」

「……酷いですね」

「エゲツないわね……」

 

 上から霊夢、早苗、さとり、レミリアの言であった。

 




 


 二日しか進んでない……。
 次回あたりサラサラと日にち進めます。
 

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