フランドールの日記   作:Yuupon

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 紅楼夢行ってきました。
 今年で三年連続かな。楽しかったです。


 


八月編2『幻想郷ぶらり旅2』

 

 

 

 八月四日

 

 

 妖怪の山に着いた。

 朝の山って良いよね。まぁ夏ってことで蒸し暑さがあるけど、何となく涼しさを感じた。

 

 ともかく、昨日も言った通りにとりさんの工房に行こうとしたらなんか邪魔された。

 白狼天狗? 友人に会いに来たと言っても聞く耳持たないし、刀背負って襲いかかってくるし礼儀がなってないよ礼儀が。

 仕方なく気絶させたけど困るよ、本当に。

 本気で斬りかかってきてたし常識を考えてよ常識を。

 そんなこんなで全員力の差を見せつけた上で正座させてぐちぐちと説教してたら上級天狗っぽいのが来た。

 射命丸文(しゃめいまるあや)さんって人らしい。何故か私の名前を知ってたのでどうして知っているのか尋ねたら、「私、新聞記者ですから!」と名刺を突き付けられた。彼女は前々から私のことを取材しようと思ってたらしく、いつにしようかと考えているうちにこのような邂逅になってしまったと話して笑っていた。

 にしても射命丸さんは話のわかる人で良かったよ。

 にとりさんとか早苗さんとかあの辺りの名前を出したら「なら問題無いですね通ってどーぞ」って道を譲ってくれたし。

 でも、その代わりちゃっかりと取材許可を私から取っていった。抜け目ないね……むむむ。

 

 ともかくにとりさんのところに行ってみるとにとりさんは将棋をしていた。

 対戦相手は見覚えのない人だ。見る限りにとりさんは負けているようだった。

 

「やぁ、久しぶりだねフラン!」

「……にとりさん、大将棋で負けてる時に都合よく人が来たからって有耶無耶にするのは許しませんからね?」

「うっ、そんなことしないよ!」

 

 彼女は白狼天狗の(もみじ)さんと言うらしい。なんか見覚え……あるような無いような彼女だが向こうは私を見て頰を引きつらせていたので多分かなり前にレーヴァテインで薙ぎ払った時の白狼天狗の中に彼女もいたのだろう。

 改めて自己紹介と挨拶をすると平静を保とうと必死な顔でそう名乗っていた。

 それから、にとりさんと椛さんと私の三人で話をした。

 将棋を教わったり、機械を教わったり、夜は泊まっていかないかという話をもらったのでそれを受けたり――そして夜通し話をした。

 椛さんも今日は休暇らしく一緒だった。

 楽しかったなぁ。

 

 

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「夜通し友達と遊びまくる……良いですねー」

「早苗もやってたの? 外の世界で」

「はい、よくやってましたよ。奉仕部って部活の人と小学生のサポートキャンプに行ったり、隣人部の人達と温泉旅行に行ったり。あとはけいおん部の皆とホテルに泊まって、それからSOS団もそうですね。あとは極東魔術昼寝結社の夏の皆と、囲碁サッカー部の皆と」

「待って! 殆ど意味不明の部活だらけだし、極東魔術昼寝結社の夏とか意味分かんないけどそれは呑み込むわ……でも、囲碁サッカー部って何?」

「囲碁サッカー部は囲碁サッカー部ですよ? 囲碁サッカー連盟が行う正式なスポーツで」

 

「……ねぇ、誰か早苗の言ってること理解出来る?」

「いや、全く」「……むしろ理解したら頭がおかしくなります」

「………………、」

 

 辛辣だがさとりの言う通りかもしれない、そう霊夢は思った。

 

 #####

 

 

 八月五日

 

 

 にとりさん達と別れ、また今日から新しい旅だ。

 次は何処に行こうか。また棒切れを拾って放り投げるとなんか奇跡的に立った。いや、突き刺さったというべきか。

 おかしいな……岩の上でやったのになんで突き刺さったんだろう。

 妙な奇跡が起きたけど、上って事は山の頂上だよね。

 つまり守矢神社か……まぁ近場で良いけど。

 そうと決まれば山登りだ。山の標高はそこそこ高いけど登り切るのに三時間も掛からないだろう。

 飛べば数分も掛からないけど味気ないし歩く。

 でもやり過ぎると足に筋肉ついて太く見えるからやり過ぎないよう見極めないとなぁ。

 で、お昼頃に着きました。守矢神社。

 

「来ると思ってましたよフランちゃん。前向きになれましたか?」

 

 着いたら早苗さんが待ってた。なんだろう、絶対さっきの棒切れが立ったのこの人の仕業だよね? 絶対奇跡起こしたよね?

 まぁ早苗さんのお陰で元気が出たことに間違いはないけどさ。

 ともかく今日は守矢神社に泊まることになった。

 早苗さんと神奈子さんと諏訪子さんと私。夜通し宴会をして気付いたら寝てた。朝起きた時に早苗さんに抱きしめられてて、乳圧で息出来なくて窒息死するかと思った。

 ……羨ましいはずなのに殺意すら湧いてくるよ。

 にしても少し呑みすぎたかな、何十リットル呑んだっけ?

 ちょっと頭が痛いや。というか日記書くの翌日の朝になってるし。

 ……とりあえず朝食だしここらで締めておこうか。

 bye-bye。

 

 追伸

 PSO2の☆サナ☆さんが早苗さんだった。

 

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「……流石姉妹。乳圧で死にかけるってまんま同じ目に遭ってるわね」

「……う、反省してますよ!」

「ほんと腹立たしいわね、この乳」

「……凄いですもんね、羨ましい」

「ホントよね。ちょっとくらい分けて欲しいものだわ」

「いや、あの……皆さん? 私の胸を揉みながら言わないで下さいってきゃあっ!? ちょ、ちょっと!?」

「この感触、張り、艶。紛れもない一流の証」

「大きさ、柔らかさともに問題ないわね」

「……すばらです、しかしおもちマスターの道へはまだ足りません」

「いや喋るか揉むかどっちかにして下さい! 私はおもちゃじゃないんですよっ!?」

「「「…………」」」

「あっ、いや揉まないで下さい! やめて!」

「このまま次のページ行くわよ」

「「了解(です)」」

「わ、ちょ、ええっ!? んっ、やめて下さい! それと誰か追伸にも触れて下さいよ!」

 

 しかしそれで止まるような三人では無いし追伸にも触れる三人ではない。

 振り払おうと思っても三人相手では振り払いきれないので、早苗はそのうち考えることをやめた。

 

 

 

 #####

 

 八月六日

 

 

 今日は守矢神社のさらに上に行くことになった。

 天界。有頂天と呼ばれる場所が守矢神社の上空にあるらしい。飛んでいけば届くとの事なので飛ぶことに。

 そういえば飛び方も色々あるよね。私は二パターン出来る。

 一つはスタンダードな飛び方。ふわっと浮き上がって速度を上げたり下げたりしながら自在に飛ぶーーまぁ普段使っている飛び方だ。

 もう一つが気を使った飛び方。身体に気を纏ってブワッ! って気を撒き散らしながら飛ぶ迷惑極まりない飛び方だ。

 今回はあたりに人もいないので後者を選択。気を撒き散らしてバシュゴォ!! と飛ぶ。

 なんかお姉様が「うわあああッ!!」って脳内で悲鳴を上げた気がしたけど気のせいだよね☆

 ともかくしばらく飛ぶと目的地が見えた。

 巨大な岩の塊? うん……うん? 最近こんな感じのやつをネットで見た覚えがある。確かバルス……スタジオジブリ……。

 あっ。

 

「ら、ラピュタだ!!」

 

 そうだラピュタだ! そっかラピュタは幻想郷にあったのか。

 という冗談はさておいて。冗談ついでに本当に「バルス!」って叫んだこともさておいて、有頂天に着いた。

 要石ってやつかな。空に浮いてるって凄いね。

 というかおかしくない? 浮いている石は見たところ大理石で、島の直径は2.2キロくらい。

 重さにして推定2億4000t。

 あれ……これよく考えなくてもヤバくない? この岩の島が浮いてるのって積乱雲があるあたりだよ?

 もし落ちてきたら幻想郷終わらない? これ。

 高度約7キロから落ちてくる物体の速度はおよそ1300キロ。マッハ1.1。破壊力は爆薬に換算して390万t分。

 

 外の世界の東京大空襲で落とされた爆弾が1783tだったらしい。

 つまり万が一この有頂天が落ちてきたら地上はその2200倍の被害を被るわけで……あっ。

 

 ……何かの拍子に落ちてこないことを祈ろう。

 ともかくその危険極まりない空中大陸に降り立ってみたけど、何もない。いや、綺麗だよ。花とか咲いてて綺麗だけど何も無かった。

 とりあえず散策してみると鬼がいた。

 伊吹萃香(いぶきすいか)さん。天界の一部は彼女の領地だそうで、今は一人酒盛りをしていたらしい。

 

「お前も呑むかー?」

 

 と言われたので呑む。渡された酒を呑まないのは仮にも鬼と付く種族としては無礼にあたるし。

 ごくごくごくん。

 うん、アルコール何度よ。これ酒じゃねぇだろ。ただのアルコールに味付けした酒と言う名の別の何かだろ。

 ……と、思わずそうツッコミを入れてしまう味だった。

 うわへへー、と萃香さんは笑ってたけどこれじゃただの酔っ払いの相手だよ! 何が悲しくて浮遊大陸にまで来て酔いどれ鬼の相手しなきゃならないんだよ!

 とか思ってたら別の人がやって来た。比那名居天子(ひなないてんし)さんというらしい。バチバチと電気を放つ剣を持つ人で、天界の責任者のご令嬢だとか。

 紆余曲折あって、彼女の屋敷に泊めてもらうことになった。

 で、宴会。毎回宴会になるのはなんでだろうか。いや歓迎は嬉しいけれども! ともかく今日も書いてるの朝だよ! 気付いたら寝てたよ! またかよって思うけど私自身がビックリだよ!

 

 追記

 

 天子さんがPSO2の天使さんだった。

 

 

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「な、なんだってーッ!」

「なに? 天子という名前は元から天使ではないのか!?」

「……あの、そのお二人とも……」

 

 全力でボケていく二人(霊夢とレミリア)だが、対照的にさとりは妙におどおどしていた。

 その視線の先には体操座りしてシクシクと泣く早苗が居る。

 

「ぐすん……結局読み終わるまでやめてくれませんでしたぁ」

「……えっと、その。ごめんなさい早苗さん」

 

 そう、この日の話を読む間、彼女はずっと胸を揉まれ続けていたのだ。

 シクシクと泣く彼女は「汚されちゃいました……」と呟く。

 が、いちいち対応してやるのが面倒な二人(霊夢とレミリア)は見向きもせずにこう言った。

 

「さて、次を読みましょうか」

「そうね、そうしましょう」

「……お二人の外道感が私の中で上がり続けてるんですけど」

 

 さとりはジト目でそう呟く。

 

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 八月七日

 

 

 さて、天界ともサヨナラバイバイして今日からはまた新しい場所へ向かう。

 どこになるかなどこになるかな、全ては木の棒さんの言う通り♪

 そう言って放り投げると人里の方向を向いて棒が倒れた。

 人里かぁ、よく行くけど……まぁいっか。

 早速行こう。

 天界からホップステップジャンプで飛び出して落ちて行く。

 ああ風が気持ち良い。

 とりあえず山の麓に着地して、後は歩きだ。

 人里までは遠いけど夕方頃には着くかな。

 と、思ってたけど予想が外れて今日は野宿になった。

 うん、まぁ旅の醍醐味ってやつだけどね。

 で、今日は調理をすることにした。

 作っている間は鼻歌を歌いながら楽しく作れたよ。腕も向上して来たおかげで美味しいしね。

 ほんと、咲夜様々だよ。

 さて、今日はそろそろ寝ようかな。おやすみ!

 

 

 #####

 

 

「思う通りにいかないのを楽しめるかどうかで旅が好きになるか変わって来ますよね」

「……アクシデントは避けたいですけどね」

「私はそもそも面倒だから旅なんてしない派よ」

「ピクニックならするけど、紅魔館の当主として余り家を開ける真似はしないわ」

 

 四者四様の反応だが、レミリアの言葉に霊夢がツッコミを入れる。

 が、それが地獄の始まりだった。

 

「月に行ってたくせに何を言ってるんだか」

「つ、月!? ……う、うわあああっっ!!」

「あ、トラウマが再発した」

「いやサラッと言ってますけどなんでそんな冷静なんですか!? というかレミリアさん待って! 冷静になって! 私の胸なら貸しますよ! ほらほら!!」

「むぎゅ!? むぐぐぐごご……ごふっ」

「……早苗さん早苗さん! 抱きしめ過ぎてレミリアさんの意識が落ちてます!」

 

 なお、落ち着くのに十分の時間を要した模様。

 

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 八月八日

 

 

 人里に着いた。

 さてどうしようか、と思ってたらふと書店が目についたので寄ってみる。

 新作の本がいっぱいあった。とりあえず気になるのをリストアップしてみよう。

 とりあえず一冊目、

 

 『妖怪になってはいけない。 著者.博麗霊夢』

 

 ・巫女が明らかにする幻想郷の真実がここに! 

 ・易者さん絶賛! 「もっと早く教えて欲しかった……」

 

 

 ………………………うん。

 霊夢さん何やってるの? あと易者さんって人間だったけど妖怪になって退治された人だよね。何勝手に絶賛させてるの?

 死人にくちなしってやつ?

 じゃあ次の気になったやついこうか。

 

 

 『全世界ナイトメア 著者.レミリア・スカーレット』

 

 ・あの紅魔館の王、レミリア・スカーレット出版!

 ・「こんなに月が紅いから……本気で殺すわよ」永遠に紅い幼き月が放つダークファンタジー巨編、第一章!

 

 

 ……いや、お姉様何やってんの?

 なんか隅に積んであったけど明らかに売れてないよねこれ。

 新刊なのに店の端の目立たないところにあったよこれ。

 というか執筆してたのお姉様!? 初めて知ったよ!

 

 ……この時点でだいぶ疲れてきたけど次の本いこうか。

 

 

 『よく分かる幻想郷史 著者.上白沢慧音』

 

 ・スィッと頭に入る読みやすい歴史書がここに!

 ・寺子屋の父兄が絶賛! 「夜更かししたがる子供を寝かしつけるのにこれ以上最適な本はない」

 

 

 それ適切な用途じゃないから!

 子供を寝かしつける為って分かりにくいって遠回しに言ってるから! 慧音先生が可哀想だから!

 ……うん、次行こう。次のは一冊だけポツンと置いてあったのでかなり人気な本だと思う。

 

 

 『東方酒材録 著者.ZUN』

 

 ・「東方」を生み出した足跡と肝臓の軌跡。

 ・酒呑童子、戦慄! 「恐ろしいものを見た。外の世界はいずれ深刻な酒不足に瀕するだろう」

 

 

 なんかやたら気になる内容だった。

 うん、これは普通に売れそう。

 次が最後に気になったやつだ。

 

 

 『帝王学 著者.レミリア・スカーレット』

 

 ・世界初公開! 紅魔館の主が語るカリスマの秘訣!

 ・フランドール・スカーレットが絶賛! 「お姉様また私のプリン食べたでしょ」

 

 

 いやそれ絶賛じゃねぇから! というかそんなコメントした覚え……は、あるか。ともかくお姉様、絶賛の意味絶対に履き違えてるから!

 ……なんか猛烈に恥ずかしいよ。

 とりあえず今日は人里に泊まるけどお姉様の本は見なかったことにしよう……うん、そうしよう。

 

 

 #####

 

 

「いや、霊夢さんもレミリアさんも本出してたんですか!?」

「そうね、私の場合は幻想郷のルールを改めて教える為だけど」

「私の描く物語と帝王学は完璧よ! ……売れないのは、本屋のせいよ」

「…………」

 

(……私、実は本書いてて結構売れてるんですけど言わないほうが良いですよね)

 

 三人を見て、さとりはその事実は心の中だけに留めておくことにした。

 

 

 

 




 

 今回出てきたネタ
・奉仕部(やはり俺の青春ラブコメは間違っている、より)
・隣人部(僕は友達が少ない、より)
・けいおん部(けいおん! より)
・SOS団(涼宮ハルヒの憂鬱、より)
・極東魔術昼寝結社の夏(中二病でも恋がしたい! より)
・囲碁サッカー部(日常、より)
・気の飛び方(ドラゴンボールの飛び方)
・ラピュタ(天空の城ラピュタより。また重さなどの考察はラピュタの空想科学より)
・本について(幻想郷の住民が出しそうな新書を考えてみる、スレより)


 

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