フランドールの日記   作:Yuupon

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 七月七日が意外に遠い件。
 アイドル関連ばかりやるのも飽きがくるので、次回あたりから本格的にフランちゃんの睡眠時間を削るかと考える作者です。


 


六月編5『決めゼリフを決めよう(提案)』

 

 

 

 六月十七日

 

 

 ダンスダンス! 回れ回れ回れ回れ回れ回れ、マワレ!

 うん。疲れるね。ダンスしながら歌うって。なんだかんだ私って吸血鬼だから対応出来てるけど人間だったら絶対歌の方が掠れるよ。

 息が長く持たないともいう。激し過ぎるダンスもどうかと思うけど、出来ちゃうからついついプラスしてしまうとこころさんが嘆いてた。

 あとポーズ? あざと可愛いのお願いって言われた。

 あざと可愛いって何? 可愛いは分かるけどあざとい? リリカさんに上目遣いでお兄様! って言えば効果抜群だよって言われたけどよく分からない。

 まずは瞳を潤ませて、次に両手を胸の前で握り締めて、ちょっと上を見上げるように相手を見て、甘い声で「おねがぁい♡」……。

 よく分からないけどそれはやり過ぎじゃない? 見て分かる演技って逆に嫌悪感あると思うけど。

 ともかく試しにやってみてって言われたからやった。なんかスタッフさんが増えてて、大分前にファンですって言ってくれた罪袋さんが相手だ。彼はファンクラブとか言って私の知らないところで三〇人くらいスタッフとして集めてきてたらしい。

 で、結果だけど罪袋さんが倒れた。口からゴハァ! って血を吐いて。「……我が生涯に一片の悔いなし」とか言ってた。

 ……相手を吐血させて倒す――『あざと可愛い』って凄い危険な武器だね。やっぱりライブでやらないほうが良いと思う。

 

 

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「……何そのあり得ない勘違い」

「ですよね霊夢さん。勘違い属性がプラスされたって感じですかね」

「……お兄様、ね」

 

「ん、何々? レミリアもお兄様とか言ってみたいの?」

「べ、別にそんなこと言ってないわよ!」

「む、なんか奇跡が降りてきました。普段は頼れるお姉様をし続けているけど、でも最近不安だから頼れるお兄さんに甘えてみたいなー……ってどっかの神様が私に語りかけています!」

「……違う! 違うから! そんな妄言私は認めないわよ!!」

「レミリアさん。いえ、レミリアちゃん。私のことをお姉ちゃん♪ って呼んで良いんですよ?」

「おねっ……呼ばないわよ! つか迂闊にそんな事言える状況じゃなくなったわ!」

「早苗早苗、今言いかけたわね」

「霊夢さん霊夢さん、言いかけましたね」

「アンタらそろそろグングニルの味を教えてやろうかしら……?」

 

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 六月十八日

 

 最近忙しいせいで自由な時間が夜くらいしかないよ。ぶーぶー。

 あんまり夜更かしは良くないけど、アイドル業だけって訳にもいかないし色々やってみないとね!

 というわけで今日の夜は、かなり前に永遠亭に行くってこと書いたと思うけどそこに行くことにした。

 思えば幻想郷の夜って綺麗だよね。紅魔館はともかく一般家庭に電気なんて無いから夜は月明かりと満天の星空が広がる。流れ星も見えるくらい綺麗だし、偶に観察すると感動しちゃうな。

 で、迷いの竹林まで着きました。最近ちょっと暑くなってるけど夜はまだマシだね。風が心地良いよ。

 それで永遠亭なんだけど、この迷いの竹林の中にあるらしい。なんでそんな場所に居を構えているかといえば元々永遠亭の人達は月に住む人々で、月に無断で幻想郷に来てるらしいから――だとか。

 迷いの竹林は異様な成長スピードの竹林らしく、いわゆる天然の要塞と言われるくらい迷いやすいとか。

 まぁ私の場合は最悪、瞬間移動で帰れるし問題無いけど。

 

 で、夜の散歩なんて久々だからルンルン気分で歩いてたら良い匂いがしてきた。焼き鳥? そんな感じの匂い。

 気になって行ってみたら女将姿のミスティアちゃんがいた。〜♪〜♪って楽しそうに歌いながら屋台を引いてる。

 寄ってみたらどうやら彼女は夜な夜な八目鰻(やつめうなぎ)の屋台をやっていたらしい。折角なので食べて行った。うん、美味しい。

 前にやった家庭科でも料理上手だったし流石だね。

 で、適当なところで別れてまた竹林の森に入ったんだけどさ、なんかやたら罠が一杯あった。申し訳ないけどモノを破壊する力を持つ私にとって、モノの場所は目で分かっちゃうから作動する前に破壊するかスルーするかで殆ど意味無かったけど。

 それでZUNZUN進んでいくと、大きな音が聞こえた。ドガーン! とかズガーン! とか。

 行ってみたら妹紅先生が居た。それで誰かと戦ってた。黒髪黒目の超絶美人さんと。

「死に去らせえええっっ!! 輝夜あああッッ!!」「それはこっちの台詞よ! 闇の炎に抱かれて消えろ!」「うぐッ!? 私は何度でも蘇るさ!!」「まだまだぁッ! SSVD主席異端審問官――蓬莱山輝夜、これが最後の刃だ!!」「そんなもの効くか! 知ってるか、マンダの流星群は強い!」「なっ、炎の岩が降り注いでくる!? だが、無意味だ!」「無意味なんかじゃない! 弾けてーー混ざれえええっっ!!」

 

 なんか楽しそうだった。勿論殺し合いだったのは間違いないけど。

 とりあえず止めたことは書いておく。燃える流星群だとかあれこれは全部破壊して。なんだろう、自分のことでしかもサラッとやってるけどもうこれなんだか分からないね。

 とりあえず喧嘩の理由を聞いたら、どうやら黒髪黒目の超絶美人さんは本物の輝夜姫で妹紅さんが、輝夜さんに求婚して五つの難題の一つを与えられた藤原不比等って人の娘さんだったらしい。それで千年以上いがみ合っていると。

 もっと平和的に喧嘩すれば良いのに。ゲームとかで。

 まぁ良いけどね。

 あ、そうそう。輝夜さんは永遠亭に住んでいるらしいので案内してもらった。これで何かあっても安心だね!

 

 

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「……どこから突っ込めば良いんでしょうか」

「そんなの放置よ早苗。構ってたらキリないわ。大丈夫、幻想郷は全てを受け入れるから。とりあえず永遠亭の話題にしときましょ」

「永遠亭といえば八意ダブルエックス、よね。年中……その、えっちぃことに関係する薬を作ってるっていう」

「何だその知識は!? レミリア、誰から聞いたのよ? あとアレはダブルエックスじゃねぇから! 単に本名が発音できないから『八意XX』ってなってるだけだから!」

「霊夢さん霊夢さん、なんか奇跡が舞い降りてきたんですけどーーメタい話はやめろ、いくら二次創作でも! って」

「黙れ! これを放置してられるか! レミリア、そのえっちぃの下りはどこで聞いたのよ!?」

「えっ……その、前に会った罪袋って袋をかぶった人に」

「……前言撤回よ、幻想郷は過度な変態を受け入れないわ。ついでに世界観をぶち壊す奴らも。まとめて今度退治しとかないと……」

「――その通りね、でも安心してちょうだい霊夢。既に私が仕留めておいたわ」

「咲夜!? いきなり出るな心臓に悪いわね!」

「失礼。でも私好みに育て上げ――もとい、お嬢様の健やかなる成長を妨げる輩は何人たりとも許さない。それがメイドとしての心得だもの」

「アンタ今、私好みに育て上げるとか言わなかった?」

「言ってない☆」

「言ったでしょうが! そんなの聞き逃すか! コイツこそ危険じゃないの!?」

「失礼、噛みました」

「完全に失言したって感じだったのに!?」

「失礼、噛みまみた」

「それはわざとでしょ!? つかはぐらかすな!」

 

「……ねぇおね……。守谷の風祝、え、えっちぃ薬ってどんなのがあるのかしら?」

「興味あるんですか? でも駄目です。教えません」

「でも、そういうことも知ってるのが大人の淑女ってものじゃないの?」

「無理に知らなくても良いんです。完全に無知なのも困りますけど、やるならエロスレか一八禁でやれと奇跡が舞い降りてますから」

「??? どういうことかしら」

「さぁ、私も分かりませんけど……」

 

(……なんにせよ、次のページに行きましょうか)

 

 これ以上尺を使うのは不味いって、奇跡が言ってますし――と早苗は次のページをめくる。

 

 

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 六月十九日

 

 

 今日も雨だ。

 四月から毎日色んなことやってそろそろ私も弛んできた頃かもしれない。何かやるにしても怠いと思う日も増えてきたし。

 雨だれ石を穿つ(軒から垂れる雨だれも、長い間続けば石に穴を開けることもできるということ。根気良くコツコツ努力すれば最後には成功するという意味)ともいうし、頑張らないといけないんだけどね。

 さて、今日は歌とダンスとピアノの練習だ。

 喉も足も手もクタクタだよ。あと、最近は罪袋さんが持ってきたマイクとかで練習してる。何故か知らないけど罪袋の人達はこういうことに慣れてるみたいだった。やたら気合入ってて、「いずれは例大祭にサークル参加だ!」とか「いや、コミケ参戦だ! 壁サークルのコネ使って割り込めてやる!」とか「戦争だ! オタクの底力見せてやろうぜ!」とか叫んでた。

 皆暑くないのかな、罪袋って書かれた袋。

 ともかく会場の入りとか運営とかも出来るらしい罪袋さん達はとっても頼りになる。後でお礼がてらジュースでも配ってこよっと。

 

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「レミリアさん、今更ですけどこれだけやってたのにフランちゃんがアイドルになることに気付かなかったんですか?」

「だってこの時期の私は夜に起きてたもの。騒霊たちはいつも誰かしら起きてたし。それに夜の方が昼より過ごしやすいしね」

「成る程。納得です!」

「それよりもお礼がてらジュースって、さぞ喜んだんでしょうね。だってファンって言うくらいだし」

「当たり前よ。私の妹が直々に渡すのだもの」

「嬉しいでしょうね。私も外の世界で好きだった歌手の人からもらえたら嬉しいですし」

「それにフランは天使だもの!」

「吸血鬼ーー悪魔が何言ってんのよ……」

 

 ガスッ、とレミリアにチョップ入れてから霊夢は次のページをめくる。

 

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 六月二十日

 

 

 皆さん、にっこにっこにー!

 最近皆から決めゼリフみたいなのをやたら提案されるフランです。

 やっぱりそういうのあった方が良いのかな?

 Hey! てーとくぅ! 帰国子女のフランデース! んー、なんか違う。

 私の歌を聞けえぇぇぇぇッッ!! これも違うか。

 難しいね。決めゼリフって。

 あったらここぞという時にそれ使えば良いだけだから楽なんだけど。

 ちなみに上に書いてるやつは全部罪袋さん達の提案のセリフだ。

 何か良い案ないかなぁ?

 

 

 #####

 

 

「決めゼリフですか、私は間違いなく『この幻想郷に常識は(ry』ってやつですよね」

「そうね……で、私は『夢想封印!』かしら」

「そうなると私は『スピア・ザ・グングニル』ね」

「いや、レミリア。アンタは『ぎゃおー食べちゃうぞー!』の方をチョイスすべきだと思うわ」

「なんで今出した!? それおふざけで言った言葉だから! 断じて決めゼリフじゃないわよ!!?」

「いや、可愛いからそっちにしましょう」

「そうね、可愛いもんね」

「いや何勝手に決めてるのよ!? 認めないわよ!? こんなの絶ッ対認めないから!」

「となるとフランさんは……『レーヴァテイン』か『アンタはコンテニュー出来ないのさ!』ですかね」

「そうね、アイドルで使うなら後者になるけど」

「あれ、スルー? 私のカリスマなツッコミをスルー?」

「可愛くアレンジすると、『皆コンテニューさせないからっ!』になりますかね」

「いやいや、それよりも『お兄様達はコンテニューさせないよ♪』の方が良くないかしら?」

「おぉ! 名案ですね」

「…………もういいわ、ハァ」

 

 もういい加減叩き出してやろうかしら――と、ちょっと真剣に考えてしまうレミリアだった。

 

 

 

 




 


 今回出てきたネタ
・回れ回れ回れ回れ回れ、マワレ(雪月花という曲より)
・我が生涯に一片の悔いなし(北斗の拳、ラオウの台詞)
・闇の炎に抱かれて消えろ!(元ネタはテイルズだが馴染み深いのは中二病でも恋がしたい! だと思う。中二病が発する台詞)
・何度でも蘇るさ!(ラピュタより、ムスカの台詞)
・SSVD主席異端審問官(うみねこのなく頃に、のPCゲーム。黄金夢想曲より)
・マンダの流星群は強い(ポケモンの王と呼ばれし男の台詞、名前繋がりより)
・だが、無意味だ(仮面ライダーディケイドより)
・弾けて混ざれ!(ドラゴンボールより、ベジータの台詞)
・八意ダブルエックス(東方儚月抄より、えーりんの名前がXXと伏せられていた為)
・えっちぃ薬(コミケとか見てるとどこかしらで永遠亭の薬が使われているので)
・言ってない☆(この素晴らしい世界に祝福を! よりアクアの台詞)
・失礼噛みましたの下り(物語シリーズより)
・罪袋さん達(歴戦の戦士。コミケなどでも壁サークルを務める、要するにハイスペックなお前らのこと)
・にっこにっこにー!(ラブライブより矢澤にこの台詞)
・Hey! てーとくぅ!(艦隊これくしょんより金剛の台詞)
・私の歌を聞けえぇぇぇぇッッ!!(マクロスより)


 ……ネタ多い(確信)


 

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