フランドールの日記   作:Yuupon

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五月編終了、おつおつ。


 


五月編END『サイコパス寺子屋』

 

 

 

 五月二十八日

 

 

 今日はアリスさんの家に行った。

 いやぁ凄いね。人形が一杯あった。全部手作りらしい。

 一部の人形なんかは半分自立しているみたいで私を見て「コンニチハ」って挨拶してきてビックリしたよ。

 アリスさん曰く大切なパートナーなんだって!

 良いなぁ、私もこんな人形欲しいなぁ。

 

 それとさそれとさ! アリスさんの家の本も凄かったよ。

 目ぼしいのだとあの有名な『ネクロノミコン』の原本があった。あとこれは初めて見たんだけど『夜天の書』ってのもあった。

 あとは魔法効率とか弾幕理論の本が傾向として多かったかな。

 聞いてみると、

「弾幕は(パワー)より頭脳(ブレイン)だと私は考えているの」

 とのこと。だから魔法効率とかの本が多かったんだね!

 私も魔法は嗜むので色々と会話が弾んだ。

 あ、そうそう。帰るときにまたおいでって言われた。今度『人形の作り方を教えてあげる』ってさ。

 すっごく楽しみだ!

 

 #####

 

「……あの霊夢さん。なんか、アリスさんがフランちゃんを頭脳(ブレイン)タイプの魔法使いにさせようとしているって私の中の奇跡が囁きかけてくるんですけど」

「……巫女の勘的にもそんな感じはするけど別に良いんじゃない? 結局は本人の為になることだし」

「そういえばフランは魔法使いとしても優秀な子なのよね。だからパチェもよく魔法の考察なんかにフランを呼んだりしてたわ」

 

 うーんと首をひねってから何かを思い出したようにポンと手を叩いたレミリアがそう言った。

 と、そこで早苗がボソリと呟く。

 

「……というかサラッと流してましたけど夜天の書まで幻想入りしてたんですか」

「何よ夜天の書って」

「魔理沙さんみたいにドカーンって極大ビーム放つ女の子のアニメに出てくる魔道書です、ちなみにその主人公の女の子は魔王って呼ばれたりしてます」

「ほう、魔王……良い響きね。私の心が疼くわ」

「中二病ですね」

「中二病だわね」

「ステレオチックに言うのやめてくれない? 不愉快なのだけれど……」

 

 額を押さえて呟き、レミリアは次のページをめくる。

 

 #####

 

 

 五月二十九日

 

 今日の午後はなんかお姉様に「出掛けるわよ!」と引っ張られた。

 どこに行くんだろうと思ってたら案内されたのは何故か『太陽の畑』。

 どういうことか分からなくてお姉様に何の為にここに来たのと尋ねると「リベンジよ!」としか言わなくて正直意味不明だった。

 で、そんなこんなしてるうちに幽香さんが出てきてさ、なんかお姉様が指先を突きつけてこんな口上を述べた。

 

「以前はよくもやってくれたな花畑の主よ。あの借り、今こそ返すときが来た! 見よ、横にいるのは我が血を分けた妹のフランドール! 二人で掛かれば貴様などに負ける道理など――――」

 

 正直どうでも良かったのでここまでしか聞いてなかった。

 とりあえず挨拶だよね。お世話になってるし。

 どうもこんにちは幽香さん。

 

「こんにちはフラン。ちょっと久々ね? 最近向日葵はどう?」

 

 上々です! この感じだと夏には綺麗な花を咲かせてくれます!

 

「フフッ、そう。私も花達の噂を聞いて知ったのだけどちゃんと育ててくれていて嬉しいわ。それにメディスンとも仲良くしてくれているみたいだし」

 

 いやいやこちらこそ! メディスンちゃんすっごく良い子だしお花にも詳しいから助けられてばっかりで。

 

「――――つまり、貴様に勝ち目はない。って、聞いてるのかしら二人とも?」

「ふふ。それでも、よ。メディスンは元々人間に捨てられた人形の付喪神でね……あまり人に良い感情を持ってないから。貴女と友達になってーー今では人間の友達も出来たって聞くし」

 

 そうですか。お役に立てたなら嬉しいです!

 

「えっ? ね、ねぇ、聞いてる?」

「あぁそうだ。また今度いらっしゃい? 三人でまたお茶会しましょ?」

 

 いいですね! じゃあまた今度お伺いさせてもらいます!

 

「えっと、あの……お願い! 私の話を――――」

「えぇ。楽しみに待ってるわ。ところで横で喚いてる子なんだけど……」

 

 あ、それうちの姉です。ちょっとうるさいですし帰しましょうか。

 

「う、ううう!! いい加減に――」

 

 ほい、お姉様を瞬間移動(テレポート)。紅魔館のお姉様の部屋に位置して送るとたちまち静かになって、木々のざわめきや花のそよぎが聞こえてきた。

 それからしばらく幽香さんと談笑してから帰ったんだけど、そういえばお姉様は何の用で太陽の畑に来たんだっけ?

 

 

 #####

 

 

「……お、おのれ風見幽香。私の妹を懐柔するなんて、卑劣な!」

 

「いやいや姉様? これ単にアンタが妹にも風見幽香にも相手にされてないだけよ?」

「霊夢さん、言わないであげてください! レミリアさん、この虚勢が壊れたら最後、泣きながら部屋から飛び出すくらいギリギリの状況だって奇跡が囁いてますから!」

「……いいや、駄目よ早苗。現実をちゃんと認識させないと歪んだまま大人になるわ。ここで優しさを見せるのはこいつにとって『逃げ道』を与えることになるもの」

「だ、駄目です! うわああああん咲夜あああっ!! って言いながら部屋を飛び出す姿が容易に想像出来ますから!」

「…………、いや。待ちなさいそこの風祝! 貴女私を愚弄してるのかしら? どんな目で私を見てるのよ! 私は誇り高きスカーレット家のレミリア・スカーレットよ! こんなことで折れたりしないわ!」

「……その誇り高きってのがまるきり無いっつってんのよ」

 

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 五月三十日

 

 

 そういえば明日で日記を書き始めてから二ヶ月か。

 思ったより早いもんだね。毎日があっという間だよ。

 で今日は月曜日、寺子屋の日だ。

 今日は慧音先生の歴史の授業に特別ゲストとして『藤原妹紅』さんって人が来てくれた。

 どうやら妹紅さんは不死らしく、平安時代から今までを生きているのでその当時当時の真実の歴史を知っているらしい。あまり人に慣れていないのか戸惑った感じの声色だったけどそこも萌えポイント(最近ネットで知った言葉って使いたくなるよね)ってやつだね。

 で、そんな妹紅さんの見た目を軽く言及しておこうか。

 腰くらいまである純白のような白髪で、赤いモンペのような服を着ている。顔はまぁ美人だね。胸は普通サイズかな?

 ともかくその人慣れしていない態度が見ていて楽しかったよ。

 で、歴史について語ってくれたんだけど。かなり面白かった。

 特に竹取物語で有名な輝夜姫のくだりがさ。

 実際の輝夜姫ってどんな人だと思う? って妹紅さんの質問に皆は「絶世の美女!」「傾国の女!」「大和撫子!」「なんかエロそう」「黒髪黒目の美少女。性格は温厚で部下思いで、一見すると完璧に見えるがその実オンラインゲームやったり家に引きこもってたりとインドアーーというかオタク的な印象を併せ持つ。迷いの竹林で藤原妹紅とよく殺し合いをしているらしい。彼女の持つ能力『永遠と須臾を併せ持つ能力』は完璧な停止と極限の加速を操るもので、簡単に言えば時間停止能力。日がな一日家にいるのでかなり暇そうにしている。一言でまとめるとオタク趣味のある陽気で心根の優しい箱入り娘……と予想します」

 って答えてたりといつもは真面目過ぎて寝ている生徒達が今回は全員起きてた。

 私的には輝夜さんはどうだろ? お姫様って位だしやっぱりお淑やかな美人さんかな?

 そんな感じで歴史の授業が終わる頃には妹紅さんもすっかりクラスに馴染んでいた。むしろ帰ることに生徒達が不満を言うくらいだ。

「また来てよ!」「慧音先生つまんねーからさ!」「妹紅先生、厨歴史狩り講座頼んます!」「また今度も教えて!」「アタイもアタイも!」「その、妹紅先生の教え方分かりやすいですし」「あっ、私もです! 妹紅さんまたよろしくお願いします」「この空気なら言える――俺は慧音先生が好きだ!」「なんで妹紅先生帰ってしまうん?」「慧音先生ェ……」

 

「そ、そう言われてもだな。私はゲストとして来ただけだし……」

「いや、また来てくれよ妹紅。子供達がこんなに懐くとは、お前教師の才能あるぞ? …………私より」

「い、いや! 慧音は立派な先生だからな! ……ま、まぁ考えとくよ」

 

 わぁって群がられた妹紅先生はちょっびり困った顔だったけど、最後にはほんのり赤らめた頬をかきながらそう言った。

 私としてもすっごい分かりやすかったしまた来て欲しいな!

 

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「あの、霊夢さん……」

「言わないで早苗。分かってるから、ツッコミ所が多いのは」

「……無理です。どうしても一つだけ言います」

「………………、」

「……輝夜さんってどんな人? ってところに出てくる一人の答えなんですかコレぇっ!!? ストーカー通り越してもはやサイコパス感じますよ!! なんか恐怖感感じますよッッ!!?」

「わ、分かってるわよ! なんか怖いもん! だから触れないようにしてたのに!」

「フフ、これが純愛というものか。興味深いわね」

「純愛でたまるか! こんな犯罪めいた――それこそいつでも貴女のことを見てますよ――みたいな話が純愛であってたまりますか!」

「……早苗、本当にこの寺子屋大丈夫なの? 博麗の巫女として色々精査した方が良いんじゃない?」

「わ、私の目の届く限りではこんな事ありませんよぅ! き、きっとアレです! フランちゃんが誇張して書いてるんです!」

「……? いや、さっき咲夜が言ってたけどフランは事実だけを書いてるってーーーーッ!!?」

「それ以上言ったら夢想封印撃つわよ。さぁ、事実が何かしら?」

「………私より貴女達の方が現実から目を背けてるじゃない」

 

 呆れたように言ってレミリアは次のページをめくる。

 

 

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 五月三十一日

 

 

 今日で日記も二ヶ月かー。

 我ながらよく続いてるもんだよ。アレかな、毎日が充実してて楽しいから自然と筆がのってるのかな?

 あ、ちなみに今日は橙ちゃんと遊んだ。

 橙ちゃんと私って案外話が合うのよね。お互い家事とかを覚えようとしてるからかな? 意外と掃除の話とかで盛り上がる。

 ……多分だけど幻想郷中探しても、どのあたりに塵が残りやすい? なんて話題で盛り上がれる子供は私達だけな気がする。

 橙ちゃんは将来、八雲紫の補佐をやることになるから掃除一つとっても真面目にやっているようだ。それだけじゃなく他のことも一生懸命に。

 見てて凄い子だなって思う。目標に向かってひたむきに頑張るって中々出来ることじゃないよ。普通ならすぐに中弛(なかだる)みするからね。

 私も見習わないとな!

 

 

 #####

 

 

「……あの、前ページの衝撃が強過ぎてあまり内容が入って来ないんですけど」

「奇遇ね、早苗――私もよ」

「……色んな意味で頭が痛いわ」

 

 ――――上から早苗、霊夢、レミリアの言であった。

 

 

 

 




 


 今回出てきたネタ
・夜天の書(魔法少女リリカルなのはより、魔道書)
・極大ビームを撃つ魔王と呼ばれてる女の子(魔法少女リリカルなのは主人公の高町なのは。詳しくはアニメ見てください)
・中二病ですね、中二病だわね(Re:ゼロから始める異世界生活よりレム、ラムのセリフを改稿)
・厨○○講座(ゲーム実況者もこうより)
・途中の「セリフ」連打。ニコニコ動画を意識
・掃除の話で盛り上がる(少年メイドより)

 あっ、次回は多分閑話無しか、六月編の一話目の中に閑話と本編ぶち込む感じになると思います。

 

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