フランドールの日記   作:Yuupon

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 最近、日が経って何月に何のイベントがあったかすら定かではなくなって来ました。


 


ナナシの日記11

 

 

 

 一月九日

 

 

 今日はまた一段と不幸な日だった。

 いや……なんつーか人里に見慣れない女の子がいてさ。

 白い髪の小さな女の子。やけに無表情で、ぼんやりしてた。

 で、人里なんて狭いコミュニティに見慣れない幼女がいるとなると妙に気になってしまって、つい話しかけたんだよ。

 それで一言か二言か話して、どうやら彼女の名前が龍神ちゃんというのが分かったけど明らかに偽名で笑うしかない。

 というかこの時点であっ……って少し察してたんだから手を引けば良かったんだよな。

 うん、暫くの間。その女の子と交流して茶屋で団子食べたりしてたら、なんかいきなり空間が裂けて、変な腕に捕まって異空間に放り込まれた。

 意味わかんねぇ。いや、真面目に。

 どこもかしこも真っ暗な世界なんですが……。

 ともあれ意気消沈しても仕方なし。あちこち歩き回り、飛び回り出口を探した。

 それから体感で数時間。どこに脱出口があるか分かんないし、魔力消費も激しいしで一旦落ち着くことにしたんだ。

 ……んで、休憩中についでにションベンしたかったから適当にそこらでやろうと俺の息子を露出させて、出した瞬間にいきなり目の前の異空間が開いてでかい竜の顔が見えた。

 ……俺のションベンが飛ぶルート上に。思いっきりビチャビチャと。竜の顔にションベンが掛かる。

 

「…………」

「…………」

 

 下半身露出してションベンする俺と、それを顔に浴びた巨大竜。

 いや、無言だったね。正直死んだかと思ったわ。

 というかよく殺されなかったもんだよ! とんでもなくデカかったぞ! つか今思えば龍神ちゃんはともかく、あの巨大竜って幻想郷の最高神たる龍神様だったり……しないよな?

 とんでもない不敬をやらかしたぞ! いや、まぁションベン終わって、ズボンのチャックを閉めたあたりで思いっきりぶん殴られた覚えあるけどさぁ! ついでに頭からグシャッ!! ってトマトが潰れた時みたいな音と赤い温かい何かを全身から感じたけど!

 ともかくだ。

 そんで、目が覚めたら外でした、と。

 意味分からないだろ? 正直夢かと思ったわ。

 でも、不幸だったのはここからだった。起き上がった俺はまず、今自分がいる場所を確認したんだ。ゆっくりと頭をもたげて、左右上下と首を動かして。で、見えたのは悪趣味なくらい真っ赤な館。

 ……前にも来たことあるけど、スカーレットの家。

 紅魔館だった。

 

「……なんでここに居るんだよ」

 

 ポツリと呟いて。とりあえず状況確認しようと立ち上がったその時だった。急にバチバチバチ! という炸裂音が聞こえたんだ。

 突然のことだ。

 何が起こったのか分からなくて、立ち止まったのが悪かったらしい。

 結論から言おう。

 

 紅魔館が爆発した。

 

 うん、なんでさ。

 で、とんでもない大爆発から退避しようと反射的に空に飛び上がったところ、爆風で遥か上空へ吹き飛ばされ、ついでに退避しきれず爆発内に巻き込まれる始末。

 空中できりもみ回転しながら全身を(いぶ)される貴重な体験をしたよ。死ぬかと思った。

 落下も首からゴキって感じだったし。

 ……竜の顔にションベン掛けたせいかなぁ。でも、でもだ。俺は悪くないだろ! むしろションベンしようとした時に空間開く方が悪いだろ! 

 永琳さんに全治一週間って言われた。

 全身の骨と首の骨が完全にイッてるのに、全身燻されて美味しく食べれそうなほど変色して焼けただれてるのに。

 ……実はあの人ヤブ医者じゃねーだろうな? これだけの大怪我が一週間で治るわけないだろ!

 

 

 #####

 

 

 

 一月一五日

 

 

 ごめんなさい、永琳さん。

 俺が間違ってました。一週間経たずにほぼ完治しました。

 

 えっ、貴方は人間だけど人間じゃない?

 哲学ですか。すいません自分無学なもんでよく分からないっすね。ちょっと人より回復速度が早いだけなんじゃないかなぁなんて。

 

 えっ、なんですか。貴方が人間なら医学がぶっ壊れる? 頼むから例外枠にさせて、考えたくない?

 いやいや俺は人間ですから! 誰か何と言おうと人間ですから! ほら、人体の奇跡とも言いますし、例え全身を爆砕されても一週間で治る人間が居ても良いと思うんですよ! 

 

 えっ、普通の人間はまず、生還出来ない?

 いやいや誰だって気合があればなんとかなりますって。中級妖怪レベルまでと何とか戦えるだけの一般人枠ですって。何でそんなにも俺を人外扱いしたいんですか。

 

 ……こんな感じに永琳さんと一日中押し問答を繰り広げた。

 輝夜さんにも笑われるし、踏んだり蹴ったりだ。

 つか病院はやっぱ暇だな。輝夜さんとゲームしたりしてもあの人めっちゃ上手くて勝てん。

 鈴仙は最近、なんか俺のこと避けてるっぽいし、てゐはてゐで俺に罠の試しをさせてくれと命を張らせようとしやがる。

 というか鈴仙は何で俺のこと避けてるんだ?

 何もした覚えはないんだがなぁ……前にやたら顔真っ赤にしてて、もじもじしてたけど。

 

 と、思ってたらなんか部屋に輝夜さん来たわ。

 話を要約するとなんつーか、鈴仙は今、発情期らしい。

 それで男を見ると発情するもんだから離れるようにしてる、と。

 ウサギの習性か何かか? 難儀なこった。

 まぁあの人美人だから、迫られたら断れる気がしないし、離れてもらった方がありがたいかもしれん。

 

 ……自分で書いててアレだけど、俺ってまだ寺子屋通う年齢だよな。すぐにエロというか下の発想が出てくるあたり穢れてるのだろうか、とふと思う冬の夜。

 

 

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 一月十六日

 

 

 ……大人になるって、まだ早いな。

 しみじみと思う。というかフラグって存在したんだな。

 とりあえず端的に昨日、俺の身に起こったことを語ろう。

 

 鈴仙に、夜這いされた。

 

 うん、夜這いされた。

 夜中に布団で寝てたら、ふとずっしり重さを感じて、目を開けたらハァハァ言って顔真っ赤にしてる鈴仙が俺の上に跨ってた。

 一月の夜でも興奮で暑かったのか、薄着で。谷間がもろに見えた。

 ……うん、童貞卒業を覚悟したよ。

 まぁギリギリで踏みとどまって、もしこれでやった場合、鈴仙さんが後悔すると考えて、耐えて、理性を押さえつけて、ようやく耐えて……泣きながら当て身して気絶させたけど。

 

 据え膳食わぬは男の恥とは言うが、あれは酒に酔ってるみたいなもんだし……正しいことをしたんだ。したはずなんだ。

 というか明らか、寺子屋通いで童貞卒業は不味い! 慧音先生に殺されるわ! 貴方の家の性教育はどうなってるんですか、的な意味で。

 そしたら親父が母さんに殺されるわ!

 俺の知識なんて大体親父の秘蔵コレクションだし! うふふふふと笑顔の母さんがヤンデレじみた笑み浮かべながら親父ににじみよる姿が思い浮かんでゾッとしたわ!

 ……と、ともかくこの件は忘れよう。

 きっと、夢だと思った方が幸せだから!

 

 

 #####

 

 

 

 一月十七日

 

 

 やっと寺子屋に復帰だ。

 最近はなんか濃い日々ばかりで疲れるぜ。

 とか思いつつ登校。んで、あれだ。元々俺が怪我した理由ってスカーレットの家の大爆発に巻き込まれたからなんだよな。

 ……なのでその件について尋ねてみた。

 

「お前んち、爆発してたけど大丈夫か?」

 

 そしたらなんか放課後に校舎裏に来てとのご要望。

 あ、一応相手に変に気を遣わせるのもアレだし見た理由とかは適当に誤魔化したけどさ。

 で、放課後に所定の場所に行くと内緒にしてほしいとお願いされました。

 まぁ良いけどさ……と、思って、止まる。

 というかスカーレットってほら。デバイスの開発者じゃん。俺ももっと強くならないと本格的に死にかねないし、良い機会だからこっちからもお願いしてみようと思って、修行つけてくれね? と言ってみるとまさかのオーケーを頂けたよ。

 

 というわけで早速明日から修行付けてくれるらしい。

 楽しみだ。精一杯頑張ろう。

 

 

 

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 一月十八日

 

 

 やばい。なんつーかやばい。

 死ぬ。冗談じゃなく死ぬ!

 昨日、スカーレットに修行の依頼をしたのは良かった。でも、まさかその初めての修行場所が太陽の畑ってどういうことだよ!?

 流石に大妖怪相手で勝ち筋ねーから! つか花一輪散らしたら俺の命が散るから!

 

「あら、見慣れない顔ね」

 

 と、色々突っ込んでいたら風見幽香さんことゆうかりん参上でござる。

 でもなんか思ってたよりは良い人だったな。マスタースパークとか見せてくれたし。

 ……まぁ、組手は死ぬかと思ったけど。

 阿求がまとめてる資料には鈍足とか聞いてたけど普通に速いし。

 腕力勝負なんて話にならない上、ありとあらゆる要素で上回られている。

 強いてこちらに分があるといえば体術くらいなものだ。

 でもそれすら素の戦闘能力で覆される始末。拳一発で死にかねない。

 

 多分、花を操る程度の能力なんて嘘だと思う。

 というかむしろパンチで人を殺す程度の能力と言われた方がよほど納得がいく。

 ……本人の前では言わないけど。

 

 それとだ。

 前々から思ってたけど、どうもスカーレットのやつ無防備なのか天然なのか、期待をさせるような発言するのが気になったな。

 ……いやまぁ、そういう性格なんだろうけど。

 

 

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 一月二十二日

 

 

 スカーレットのやつが風邪を引いたらしい。

 もしかして俺の修行に付き合ったからだろうか。そう思ってお見舞いの品を持って紅魔館に行ったら、美鈴さんから咲夜さんに取り次いでもらえてスカーレットに会わせてくれることに。

 うん、なったんだけどなんか様子がおかしかった。なんつーか妙に他人行儀で、初めて会ったような顔してたな。

 まぁ病気で滅入ってただけなのかもしれないけど。

 お見舞いも早々に帰ったけど、なんだったんだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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