少し間が空いたけどもう少し続くんじゃ。
一月一日
日記を久々に書くか。
いや、なんつーかサボってたわけじゃないんだけどさ。
霊力とか魔力を練り上げる練習してたらまた暴発したり、なんか人里で盗人が現れてるとか言われて夜警に出たら、徒党を組んだ妖怪犬に襲われたり、腕貪られたり、鈴仙さんに間違えた薬を投与されて死にかけたり……あぁうん、色々あって書く暇無かったんだ。
まぁともかく、今日は一月一日。
新年明けましておめでとう。と、そんな挨拶を親戚郎等に交わし、おせちを食べ、お年玉をもらい、という毎年の流れをこなして、お年玉を入れた財布をスられそうになる不幸な俺だ。
まぁ防いだけどさ。最近不幸度合いが増し過ぎて、そろそろ本格的に死ぬんじゃないかと不安になってくる。
と、そんな前置きはともかくだ。
一二月にスカーレットが作ったらしいデバイスなる商品が出た。
で、買った人に色々反応を聞いてみたら驚くほど簡単に霊力や魔力のなんたるかが理解できるとか。練習のたびに毎度毎度爆発している身からすれば信じられない話だが、ほぉそうなのかと思うのも事実。
というわけで今まで貯めてきたお年玉を使い買うことにした。
うん……まぁ楽すると考えると微妙なところもあるけどな。
ともかく魔法の森に足を踏み入れ、香霖堂へと向かう。
それから数歩、クマ型の妖怪と目の前でエンカウント。「死ねクマー!」とかいう罵声を浴びせかけられつつ襲われ、辛くも撃退。
……不幸だ。なんかもう一連の流れに慣れてしまった自分が悲しい。
というかこれ、明らかに日常の一コマじゃないよな!
「……クマぁ……」
とりあえず鳩尾当てて、伸びてしまったクマ型妖怪は放置して、また歩みを進める。
とまぁ些細なハプニングはあったが、無事香霖堂へと着いたわけだ。
いらっしゃいという金髪美人のお姉さんの声がとても癒しになる。なんかスカーレットに似てるけどお姉さんか何かだろうか。聞いてみると、『あぁフランの同級生の方かしら? 初めまして、姉のリアラです』と丁寧な挨拶をくれた。
物凄く絵になるなぁ。というか発育すげぇ。いや、初対面相手にその判断基準はどうかと思うけど。
で、デバイス購入しましたよ。そして、杖持ったら、『問おう。あなたが私のマスターか?』という声が脳に直接聞こえてきたような気がしたが幻聴だろう。インテリジェンスデバイスじゃないって聞いたし。
で、家に帰って早速使用してみた。
杖を持って使用法通り、起動する。すると、確かに体の中をぐるぐると何かの力が回っているのを全身で感じた。
うん、知らん力だった。今まで操ったり練り上げてた力じゃない。これが魔力か! って気付いて愕然とした上に、今までの俺の努力はなんだったんだと死にたくなったわ。
その上で試しにその力を動かしてふんっ! と力を込めると驚くほど簡単に出てくる魔力弾。
飛び上がるように使用すると、勢いよく飛び上がり、バビューン!! と天井に頭をぶつけて、落下。
頭からグチャッという音が聞こえた気がしたけど気のせいだ。気のせいったら気のせいだ。タンコブのできた頭をさすりながら呆然とする。
「……」
絶句。
嘘だろおい。信じられない思いを胸に次にいつものやり方でやってみる。
すると爆発。うん、爆発。吐血して酷いことになった。
いや、さっきのが霊力&魔力ならこれはなんの力なのか。魔力でも霊力でも無いとかなにそれ怖い。疑問に思い、杖を握って再度トライしてみる。
するといつもより遥かに強く爆発四散して、杖が消えた。
……バラバラと、鉄屑どころか灰みたいになった。
「……は……?」
悲報、俺のお年玉。ゴミになる。
とりあえず飛び方と魔力と、諸々は分かったけど。
……なんなんだろう。意味が分からない。
とりあえず壊れた時の保証サポートか何かはあれば良いなぁ、と思いつつしめやかに気絶した。(と、聞いている)
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一月二日
いやぁ、昨日は酷いことになった。
せっかく買ったデバイスが原型すら残さずぶっ壊れるとは。
まさに想定外! うん、というか今まで俺、めちゃくちゃ危険な力を扱おうとしていたことに気付いて、ちょっと怖い。
というかあれは何の力なのか。はて、魔法を使うたびに爆発とは? ちょっと分かりかねますね。
原因不明の、正体不明の力、かぁ。
ちなみにぶっ壊れたデバイスは俺の今まで貯めてきたお年玉やらほぼ全額である。正直泣きたい、割と真面目に泣きたい!
原型すら残ってないとなると壊れた時の安心サポートやらも適用されないだろうしな。というか開発側もデバイスそのものを消し飛ばすとか想定外だろう。
とりあえず飛び方と弾幕の出し方は覚えたから良いけど。
……と、そうだ。今日の俺は昨日までの俺とは一味違う!
空を飛び、弾幕を打ち出せるのだ。
前向きに行こう。前向きに。
とりあえず『かめ◯め波ぁああああッ!!』って叫びながらレーザー撃ち出せたし結構満足もしている。
まぁ新しいことが出来るようになっても修行内容はいつもと変わらないけどな。
毎日、腕立て腹筋背筋を100回! 10キロマラソン!
冷房や暖房なんて使わない。毎日やっている様子を見て、母さんから「
んで、それらが一通り終わってから空を飛ぶ練習。
霊力を体に纏い、望んだ動きが出来るよう何度も微調整を繰り返し、体を慣らしていく。
しばらくはそんな感じかねぇ。
時折、野良妖怪に絡まれるけど良い練習台だ。全力で空をかっ飛ばし、敵に肉薄し、拳をお見舞いする。
俺自身が弾幕となるのだ!
これを、『弾幕拳』と名付けた。
うん、弾幕撃つより早いんだよな。決着が。弾幕ごっこってルールあっても結局そこらの野良妖怪相手なんてそれこそ殺し合いだし、ご丁寧に弾幕で相手してもなぁ。
まぁ練習がてら弾幕縛りも良いけど。
とはいえまだまだ動きは鈍いし、まずは慣れるよう頑張ろう。
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一月六日
大分空飛ぶのも慣れてきた。
思い通りに動けるようになってきたし、ある程度までは速さも出せるようになってきた気がする。
……まぁまだ慣れてなくて、全力で迷いの竹林飛んでたら竹に体ごと突き刺さって臓物零れるハプニング……というか軽くスプラッタを演出した挙句、永琳さんに説教されたけど。
ま、まぁ慣れてきたはずだ!
というわけで一つ気になってたことを実行することに。
それが、何なのかというとこの世界ってどこまで高く飛べるんだろう? という疑問へ終止符を打つことだ。
調べた限りだと宇宙があると聞いたが、それも見てみたい。紅魔館の主、スカーレットの姉も月に行ったと聞いたことあるしな。
というわけで早速飛んでみた。高度をぐんぐん上げ、加速する。
高く飛べば飛ぶほどに息が苦しくなるのは酸素の関係か。あとは寒い。どうしようもなく寒い。
だが我慢だ。更に飛び上がる。
もはや人里も遥か眼下に塵のようにちっこく見える。妖怪の山も下方だ。ふと周りを見渡すと空に岩の塊が浮いている。あれは、確か天界だったか?
凄い気になる。が、今回の趣旨は高度限界まで飛ぶことなので我慢。
そして更に飛ぶ。
しばらくはまだ順調に。だが、ある境から急に意識が薄くなってきた。
高度10,000メートルだったか。外の世界から流れてきた本で読んだことがある。
『民間航空機は高度10,000メートルぐらいを飛行する。
12,000メートルを超えると、肺が酸素を供給できなくなって意識を失い、18,900メートルを超えると血液が体温で沸騰して気化してしまう。気圧が低くなるためである。
もし飛行機の窓が割れたら、吸い込まれるように外へ投げ出され、シートベルトをしていても酸素マスクをすぐに着用しないと、30秒で意識を失う。
高度12,000メートルを飛ぶ戦闘機パイロットは、加圧スーツを着用しないと、脱出時、肺が破裂する危険性がある。』
だったか。
となると約10000メートルくらいだろ。
更に飛び上がると急に息が出来なくなった。がくん、と意識が途絶しそうになる。
これくらいが限界か? いや、まだだ!
今まで受けたダメージはこの程度ではない! まだいける!
そんな思いで更に飛び上がって、うん。
ふっと体に力が入らなくなって落ちたよ。
というか馬鹿か俺! これ、自殺志願者かな? ってレベルの行為だからな!
……あ、一応生きてます。
とりあえず人類最高度で紐なしバンジーやって生還しました。
もう俺自身自分の体は人間じゃない気がしてならないけど、永琳さんから『貴方はギャグ世界の人間だから死なないわ』と匙を投げられてしまったので、まぁ体が頑丈でよかったと思うべきか。
あと、『少し前の両津菌に掛かってるんじゃない?』とか言われたけど失敬な。こちとら健康です!
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一月七日
……結構強くなってきた気はしてるけどまだまだだなぁと痛感させられた。
やっぱ中級妖怪以上はキツイわ。輝夜さんと妹紅さんの喧嘩に参戦したら両者からフルボッコにされたよ。
燃やされ、蹴散らされ、散々な目にあった。
弾幕の扱いはやはりまだまだど素人らしい。
殴り合いならまだ分が……無いな。あの人ら何千年も生きてるだけあって古武道大体修めてるし。
当たりさえすれば一回残機飛ばせるけど。最終的には正体不明の力を練り上げてからの自爆コンボで挑むことになるんだよなぁ。
回避もまだまだだし。
そもそも弾幕密度が高えわ。空飛ぶ時の動きの微調整もまだまだだし、もっと頑張らなきゃな。
次回から、やっとフランと本格的に修行できそうです。
これまで出してなかった東方キャラも出していければ良いなぁ。