今回はパロディ多めです。
十月三日
台風だ。しかもとんでもない台風だ。
人里でもボロい家の屋根が吹き飛んだ。
……で、だ。そんな台風の日に限ってお世話になってる隣の家のじっちゃんが倒れて、俺は永遠亭に行くことになった。
うん、でも台風なんだ。今までみたいに妖怪とかじゃないから余裕だと思ってた。
……舐めてたよ。
家の外に数歩出た瞬間物凄い突風で体が浮き上がった。
うん、空を飛んだんだ。それから付近の家の屋根と一緒に数十メートル上空に吹き飛ばされて破片やらで身体中ズタズタにされた挙句地面に叩きつけられた。
……なんか台風の中で『ほう、この
ともかく起き上がると血がべったり……何だろう。普通に生きてるあたり最近俺が人間なのか疑わしくなってるな。いや、死ぬほど痛いし意識も朦朧としてるけど。
とりあえず永遠亭に着くと俺は入院で、じっちゃんの薬は鈴仙が持って行ってくれることになった。永琳さんに「貴方……どんな体してるの?」と真面目に言われたよ。
俺も分からん。まぁ生きてたのは受け身取れたお陰じゃないかな。妖怪に襲われる頻度が高いことでパルクールを始めたから、その甲斐があったと思っておこう。
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十月四日
病室になんか来た。
風を纏った人だ。やたら神々しい。
その人が来た瞬間にざあざあ雨が降り出して驚いたよ。
少し話をしたら帰って行ったけど何だったんだろうな。
霊力も持たず我に挑むか、とかいったあと大笑いしてた。あとちょっと怒られた。貴様のせいで風水害を防ぐ邪魔をされた、とか何とか。俺は何もしてないのに。
なんつーか変な客だったな。
あとその人が帰ってから永琳さんに「
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十月六日
今日は球技大会だ。
寺子屋でドッジボールをするらしい。
でも一つ言わせろ。妖怪連中本気出し過ぎだろ。
なんで豪速球が飛び交ってんだよ。死ぬぞ! しかもチルノとかボールを凍らせたりしてるし、三妖精はボールを見えなくしたりとか超次元サッカーじゃねぇんだぞ!!
スカーレットもスカーレットで物凄い豪速球に加えてボール燃やすのやめろ! キャッチ出来るかぁ! 燃えるわ!
それに加えてルーミアは暗闇で視界を奪ってくるし、リグルは大量の蟲をボールに付けてきやがる!
必然的に避けまくる羽目になった。というか最後は足元を蟲に拘束されて四肢をチルノが凍らせて、動けない俺の視界を奪った挙句ど真ん中にスカーレットが投げ込んでくる鬼畜仕様。
……残機が無ければ死んでいた。いや、残機無いけど。常に残り0だけど。
でも天国は見えた。
目の前に四季映姫さんが居て「また貴方ですか」って呆れた声で言われてさ。「どうしたらそんな不幸に巡り合うんです!?」ってキレられた。理不尽だ。俺は悪くない。悪いのはその不幸とやらを持ってくる連中だろう。
と、そんなわけでしばし会話したら現実の体が覚醒したのか映姫さんと「じゃあまた」「次来るのは死んだ時にお願いします」と簡素に別れを告げて目覚めるとグラウンドの端に倒れてた。
……慧音先生、生徒が倒れたらせめて保健室に運んでくれませんかねぇ?
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十月十九日
……今日はスカーレットの様子が変だった。
なんか周りを気にしてるみたいでさ、チラチラ見回して慎重に歩いてるみたいだった。
何かあったのかと思って見てたら、通りがかったルーミア(大人バージョン)にぶつかって服の内側に……胸のあたりに顔を突っ込んだりしてた。
純粋に羨ましさを感じた、うん。ま、まあそれはともかく。
どうしたのかと思って声を掛けようとしたらあいつ急に階段を踏み外して落ちてきてさ。受け止めようとしたけど階段の幅的に踏ん張れなくて、巻き込まれる形で俺も一緒に階段から落ちたんだ。
……さて、ここからその時起こったことをそのまま描写するぞ。
『
勢いよく倒れ込んだせいでパチン、と火花が散ったように視界がはじけた。激しく背中が痛む。かなりの衝撃が掛かったのだろう。チカチカして定まらない焦点を合わせつつ、ともかく状況把握しようと手を動かすと小ぶりの柔らかいものに触れた。
「……?」
思考に空白が生じる。頭も打ったらしい。何がどうなって自分は倒れてるのだろう? と考えて、とりあえずチカチカしていた目を閉じて、ゆっくり開く。
「……え?」
目の前に肌色が見えた。視線を動かすと上の方に可愛らしいピンクのブラジャーも見える。そして己の手は迷いなくその胸を鷲掴みしていた。
…………黙り込む。いや、何も言えなかった。
と、その時だった。ふと上に乗っかっている人物が「ひゃ……」と小さく悲鳴っぽい声を聞こえた。
叫ばれでもしたら俺は社会的に死ぬ。慌てて俺は小声でやめるように言ったんだ。
「ま、待てスカーレット! これは事故だ!」
「ひぇっ!? 待って、喋らない、っで! くすぐった……」
「悲鳴上げないでぇ!?」
「んっ……そんなっ、こと! 言われ、ても!」
上ずった声だが高いから余計に辺りに響く。
……これはヤバい。冗談じゃなく。そう判断して俺は服の内側に入り込んだ頭を強引に抜いたわけだ。
そしたら……ビリッと音がした。
破れた服の隙間からチラリと見えるピンクの……。
』
これ以降の記憶はない。ぶん殴られたらしい。後で話をして忘れるという方向で話は収まった。
でも忘れられないよなぁ、あれ。
手に残った感触が……うん。とりあえず貧乳もアリだと思った。
……ちなみにスカーレットは突発性ハレンチ症候群なる病気に罹っててあんな変な事になってたらしい。
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十月二十日
幻想郷にとんでもない細菌がばら撒かれた。
その名も
人里もパンデミックみたいになってた。
実力者も多数感染してて逃げるのが命懸けだったよ。
というかどいつもこいつもいくら攻撃しても「痛ぇなこの野郎!」で無傷だし、すぐに銃を抜いてバキュンバキュン反撃してくるからどうかしてる!
これじゃゾンビの方が幾分マシだ! とか思ってたら逃げてる最中に青娥さんに拉致された。どうやら助けてくれるらしい。
それで神霊廟で話をしてたらこの細菌をばら撒いた犯人に話が移っていった。人里がパンデミックになるほどの細菌だ。理由もなくやるとは思えない。きっと犯人は何か両Ⅱ菌でやりたいことがあったんだ。
そんな具合にな。そしたら青娥さんが神妙な顔でこんな事を言ってた。
「……うちの芳香ちゃんも感染してるの。どう料理してやろうかしら」
言われて部屋の端を見ると両腕を縛られ猿轡をされてむーむー唸るM字の眉毛の芳香が倒れている。
……ゾンビも感染するのか、両Ⅱ菌。危険度パネェな。
と、そんなわけで犯人探ししてたら見つかったよ。
病原菌の元。人里の広場に見た事ない小さな泉が出きてて、近くにあるプレートに『こち亀連載お疲れ様でした』という文字が書かれている。
「……これは」
「待ちなさい!」
思わず近寄ろうとすると上空から声が響いた。青娥さんと二人、そちらを見ると博麗の巫女が浮いている。
お札を持った彼女は言った。
「……これが元凶ね。滅するから退いてなさい」
そんなわけで霊夢さんが何やら術式で消滅させてた。
消える瞬間に1663兆2928億5903万8850円という金額が見えたが……あれは一体何だったんだろう。
……負債? 誰かの借金かな。
もしかしてその負債を押し付ける呪いとか? まさかな。