小説家になろうの方で『召喚世界の使い魔』という新作書いてます(隠れてないステマ)
あと番外編のスタンスですがあくまで息抜きに書いてますのでそこのとこよろしく。
(毎日投稿は確約出来んぞ)
五月十九日
骨折した。
鈴仙さんが臨時で来て保健体育の勉強だったんだが妖怪のクラスメイトに試しに包帯巻かせてみたら腕がボキッていった。
痛ぇ、泣きたい。
でも鈴仙さんに「あわわっ、大丈夫ですか?」って優しく治療してもらえたから役得かもしれない。痛みは対価、プライスレスだ。
……いやまぁしょっちゅうやってもらってるあたりは嘆くべきかもしれんが。
……でも、柔らかかったし良い匂いだったな。
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五月二十二日
運動会だけど正直どうなんだろうな。
俺骨折してんのにリレーの選手で出されたんだが。というか弾幕撃つな馬鹿どもめ! 妨害リレーじゃないんだから当たり前な顔して攻撃するんじゃねぇ!
腕庇いながらだから避けるだけでも一苦労だ。
あと運動会で気になったのはスカーレットの姉だな。
すげぇ不憫だった。借り物競争で連れて来られてたけど多分こっそりと家でコスプレ中だったんだろうな。いきなり白昼に晒されて泣いてた。
姉なんだからもうちょい優しくしてやれよ……。
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五月二十七日
日記書くのまちまちだな……まぁいいか。
今日は家庭科で料理を作った。こういう時料理が上手いやつはお裾分けしたり凄いよな。スカーレットの料理食べたけど美味かったわ。
俺は……あんまりだからなぁ。一応一回飯を食いに行ってからトニオさんの店でバイトしたりもしてるけど技術なんざ一朝一夕で培えるものじゃないし。
とりあえず食えるものは作ったけど。
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五月三十日
ようやく体が全快だ。
自由に体が動くのは気持ち良いな!
ビバ健康! ちなみに今日は妹紅さんが臨時講師として来た。
妹紅さんとは個人的にも付き合いあるし凄い楽だったな。それにけーね先生とはタイプの違う美人だし気合が入る。
というか俺の徒手空拳もあの人仕込みだしある意味師匠だな。
妹紅さんが作ってくれる修行のあとの焼き鳥が美味いんだこれが。
ちなみに今日もお相手していただいた。手も足も出んがな。空飛ばれると厳しい。
一応竹を足場にして跳ね上がる事は出来ても直線的な動きじゃなぁ……やっぱ空飛べねーと話にならないみたいだ。
……にしても思い出すなぁ。迷いの竹林で迷子になったとこを助けてもらったんだっけ。それ以来師匠と弟子って関係で……今思えばよく弟子入り志願なんかしたな俺。
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六月二日
今日の寺子屋はアリスさんが臨時講師だった。
あの人、人気あるよなー。まぁ俺も好きだけどさ。
ちなみに授業は裁縫だった。家事関連はあんまり得意じゃないんだよな。一応頑張ってはみたものの見た目が不恰好だった。
……要練習、だな。
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六月一〇日
痛い、割と真面目に痛い。
今日、霊力が無理なら、と思い魔法をやってみたんだよ。
鈴奈庵って本屋で魔本貸し出してるからそれを借りて。
……うん、死に掛けたわ。
本の中に悪魔が入ってるとか想定外だから。偶々低級悪魔だったから物理で倒せたけど中級以上なら殺されてたかもしれない。
……というかまさか殺し合いになるとは。
人里の外でやってて良かった。けど、俺は重症で今は永遠亭で寝ている状況だったり。
足貫かれたからなぁ、肉塊がでろでろと溢れて気分も最悪だ。
母さんには「ナナシもお父さんみたいに怪我し始めた……」って泣かれたし。父さんには叱られた。でも父さんが怒ってるのは俺が殺し合いしたことじゃなくて怪我をした方らしい。「挑戦は自由だが母さんに心配を掛けさせるな」って言われた。
というか父さんは淡白だな。息子が妖怪殺しをしたってのに。
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六月二一日
復活! ナナシ復活!
というわけでリハビリ兼ねて人里まで歩いたらスカーレット達を見かけて、ふと付いて行ったらこんな話が聞こえてきた。
「フラン、人里内をあまり好きに歩き回んない方が良いわよ?」
「なんで?」
「八雲紫の受け売りだけど『人は妖怪を恐れ――妖怪は人を襲う。その関係性が崩壊すれば幻想郷は存在意義を失い消えてしまう。だから幻想郷の為に、互いの均衡を保つ為に、人里で妖怪が過度に人間に入れ込むのは御法度。あまつさえ最近は私達のような人間型の妖怪を怖がる人間が減る傾向にあるのでそれは控えなくてはならない――だからその二つを守ることはいわゆる幻想郷への税金のようなものだ』。つまるところ人が妖怪に慣れたら駄目なんだって」
「それに幻想郷には私達みたいな見た目が子供の妖怪も多いから……」
「親近感とか湧かれて恐怖を感じられなくなると幻想郷が滅びるとか」
妖怪への恐れ……うん。
今の俺はメチャクチャあるわ。そりゃ殺されかけたばっかりだし。
でも相手によりけりな気もするなぁ。
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六月二十二日
昨日の件で色々考えてみた。
人は妖怪を怖がるのが当たり前、それは分かる。
でもなぁ、俺はスカーレットとかを怖がりたいなんて思えないしけーね先生含めて知り合いを怖いなんて思えねーや。
勿論実際力を見れば怖いんだろうけどさ。
でもそれ以上にアレだ。悪魔に殺されかけたのも含めてやっぱ俺、強くなりてぇ。
クラスの妖怪の奴らと喧嘩してるにせよあんなの遊びだからな。
もっと真っ正面からぶつかってやれるくらい強くなりてぇ。
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六月二十三日
また怪我した。
病気のクラスメイトの女の子の付き添いで妹紅さんとの修行で慣れてる竹林の森を抜ける案内をするだけだったんだけどな……。
まさか地面にトラップがあるとは。
咄嗟にクラスメイトは穴に落ちないようつき飛ばせたけど俺は普通に落ちたわ。
で、穴の深さは五メートルくらい。地面には竹槍が無数に突き刺さってるとそういうわけですよ。
串刺しだったね。
命が助かったのは偏にせめて、と飛べないか霊力を全開でやったことに尽きるな。
一瞬、少しだけフワって浮かんだのが生死を分けた。
……とはいえ竹槍も刺さったし無理に霊力出したせいで血管切れてたしで絶対安静だ。
辛うじて利き手は大丈夫だったが、なんつーか不幸だよな。
それとクラスメイトちゃん、「ごめん、私のせいで」なんて謝ることねーよ。悪いのは俺……いや、てゐだな間違いない。仮に俺が悪くても一割くらいだ。残りの九割はてゐだな。
「……ごめんなさい、ウサ」
……でもなぁ。てゐでも目の前で謝られると弱いんだよな。凄いしょんぼりして、泣いてたし。
とりあえず鈴仙用の罠だとしても危険極まりない、もし俺じゃなくてクラスメイトの方が落ちてたら間違いなく絶命してたしって事だけは言ったけど……そう言ったら「なんで私を責めないの?」って返すのはどうすりゃ良いんだ?
普段の「ウサ」って口調すら抜けてるし……らしくねぇ。
「……仮にお前が罠を仕掛けたとしても、俺が罠に掛かったのは俺の選択したルートが普段、妹紅さんとか鈴仙さんしか使わねーようなルートだったから、とも言えるからな。なら俺も悪い。それに俺はお前が思うほど性格は良くなくてな。お前を責めるのは簡単だけど、糾弾されたがってるやつを責めたところで間違った救いにしかならねぇ。だから少しで良いから苦しめ。キチンと考えてくれ。それだけで良い。そのあとどうするかは任せるさ」
ま、俺に言えるのはこんなとこだ。
安易な逃げは許さねぇし、どうせなら真面目に考えて、悩んで、答えを出してくれ。それがお互いにとっても一番良いだろ。
それに俺は不本意ながら怪我して永遠亭に運ばれるのは慣れてるからな。今更入院が延びようが関係ない……あ、いやでも病院費用は……その、大いに関係あるけどな。それに関しても今回は永琳さんが無償で良いって言ってくれたし。
うん、俺もちゃっちゃと体を治さねーとな。
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六月二十四日
てゐはちゃんと答えを出してくれたみたいだ。
「悪戯を止める気はないウサ」って言った時はビビったぞ真面目に。
でも、ちゃんとやり方を変えて大怪我とかそういう方面は無くすようなので一安心といったところか。
なんだかんだあいつの考えてる事読めねーよな。何考えてるか分からん。すげぇあっけらかんとした顔だったのが妙に腹立つ。
それと驚かすと言いつつ抱き付いてくるのやめろ。
死ぬほどの激痛がはしるから。俺串刺しなったんだぞ? 分かってんのか……正直傷口開くかと気が気じゃなかったわ。
……あとてゐが口先で鈴仙さんを騙したのか「こ、これは患者のため……患者のためなんだから……」って言いながら手厚い介護をしてくれた。膝枕とかサービスまで付いてたぜ。
……ぽよぽよであったかくて柔らかくて最高だった。
てゐ、全部許すわ。
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七月七日
完治した。
いやぁ、久々のシャバの空気は美味いな。
それで帰るついでに人里に行ったらライブをやってた。そういやそんな時期だったか。
ふらりとチケット買って入ってみるとスカーレット達がライブに出てた。
……正直見惚れたよ。すっげぇ可愛かった。俺の語彙力が少ないせいで表現しにくいけど物凄い可愛かった。
でも一番盛り上がったのはトリの人達の曲だな。アロハシャツの人で、なんかもう、レベルが違ってた。
『( ゚∀゚)o彡゜えーりん!えーりん!』
「「「「「「( ゚∀゚)o彡゜えーりん!えーりん!」」」」」」
盛り上がったなー。
会場全体が歌ってて楽しかった。
……永琳さんは頭を抱えてたけどな。