感想で多かったけど別にfateのランスロットを意識したわけではないんですよね。
むしろこのすばのベルディアがモデルだったり……(ランスロットじゃないけど
四月九日
……ランスロットをゲットした翌日。
彼が使い魔になったわけなんだけど最悪だよ……使い魔って基本常に私の近くにいるからさ。
……お風呂覗かれた。着替えも、日記も全部だよ!? 信じられる!? いくら形式的な使い魔って言っても私ご主人様だよ! それなのにお風呂覗くとか最低だから! 何が騎士なのっ!?
「い、いやフラン嬢。別にやりたくてやったわけじゃ……あと俺を椅子にするのやめてくれない!? ロリっ子の尻に敷かれるって一部の人々にとっては寧ろバッチコイな人も居るかもしれんが俺にはそんな趣味はない!」
今も私の下でブー垂れてるけどこれは正当な罰なんですぅ!
いっそ投げ捨てて放置しないだけありがたいと思いなさい! しかも私の体を見てその感想が「あっ、すまんな」だよ!? ついでに裸見られて気持ち悪いものを見る目でランスロットを見て震えてる私に対してなんて言ったと思う?
「あぁフラン嬢。俺は別に幼女趣味じゃないから安心しろ。お前の裸を見たところで何も思うところはない。それともし体型気にしてるなら安心しろ。あと数百、数千年経てば美人になるだろう。俺が保証してげぶふぉっ!? ごふっ! げふううううっ!?」
「最低っ! 死ねっ! 死ねええええええっ!!」
殴ったよ。迷いのない右ストレートだ。めーりん直伝の本気のラッシュだった。というか女の子に対して体型の話をすんな! ついでにマジマジと裸を見ないでよ! もう本当最低!
こいつに対してだけは暴力系で居ても許されると思う。どうせ死なないし! 何が「俺には既に命より大事な女性がいるから」だよ! だからって私の裸を覗いて良い理由になるかっつーの!
まったく腹が立つ。本当に奴隷にしてやろうかしら。
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読み終えたレミリアは静かに中指を立ててこう述べた。
「ファッキュー、ランスロット」
瞬間だった。
ゴンッ、とレミリアの頭上に軽く拳が振り下ろされたのは。
「お嬢様、そのような所作はしてはなりませんよ?」
「あう……っ!!? 〜〜〜〜っ!?」
相当痛かったのだろう。笑顔で説教されたレミリアは顔を歪めて歯を食いしばり、目尻が濡れていた。ついでに痛みに堪えるようにブルブルと震える様を見た三人は、
「……お母さんですね、本当」
「いや、でも一応従者よねアイツ? 仮にも主ブン殴って良いの?」
「れ、霊夢の言う通りよ咲夜! 暴力にうったえるなんて私許さないから!」
「畏まりましたお嬢様。では言葉でご説明致しましょう。まずあのポージングについてですがお嬢様はどうお考えなのですか? あのような行為は本来どことも知らぬ低俗な輩が相手に対し『殺すぞ』と言う為のものです。状況がシリアスならある程度見過ごす事はありますがそうでないのであれば私は苦言致します。ついでに先程の拳は暴力ではありません。お嬢様自身が仰られたではないですか。『咲夜、私が間違えたらその命をかけても止めなさい!』と。私はそれを忠実に遂行したに過ぎません。また私の感情から致しましてもこれは躾です。私はお嬢様のメイドでありますがそれと同時にスカーレット家のメイドでもあります。その立場から私はお嬢様はスカーレット家の人間、しかもその当主にまでお育て致します使命があるのです。しかし私だって貴女に暴力なんてふるいたくはありません。これはいわば愛のムチなのです。聡明なお嬢様ならここまで言えばその意味を分からないとは言わせませんよ? もしくはこれ以上言われても何か反論すると? 私の行った行為がただの暴力行為だと本当にお思われですか?」
「ぐっ……ぬ! で、でもそれなら言葉や態度で言えば良いじゃない!」
「承りました。では本日のお嬢様のデザートは抜きに致します……折角いちごパフェを作ってみたのですが仕方ありません」
「す、ストップ! 分かったから! ごめんなさい! ……幾ら不快だったからってあんなポーズ二度としないから! だからデザート抜きはやめて!」
(……うわぁ)
咲夜の一言で態度が反転したレミリアを見て早苗は絶句する。
「……どう思います、あれ?」
「……いや、どうって言われても」
「お母さんですね、間違いない」
断言して一同は次のページをめくるのだった。
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四月十日
昨日の思いは懲り懲りだから、今日一日かけてランスロットの活用法を考えてみた。
で、修行に活かせないかと思って剣術で挑んでみたけど超強かった。流石そこはランスロットだけの事はあるらしい。
ただ一々剣を弾いた後に首元に剣先を当てて上からドヤ顔で見下ろすのはやめて欲しい。いや、甲冑だから顔は分からないんだけどさ。あと「勝負アリだな。良い線だが俺には通じん」とか言うのもうざい。ハッキリ言おう、うざい。
レヴァ剣で燃やしてやろうかと思ったけどヤバイと思えばすぐに態度変えるし。
「ちょっ!? それは反則だろう! 神の力とか本物のレーヴァテインとか! それに水魔法で聖水を出すな! 俺はアンデッドだぞ! 殺す気か!?」
本気の声色で叫ぶランスロット、うん情けない。
で、ここからが問題なんだけどさ……。
「世界の歪みの正体は貴女達ね。『貴女達は私に迷惑を掛けた』。ただそれだけの理由で私は貴女達を試す」
そんな具合に相手してたら急に世界が裂けて、現れた見たことない女の人になんか攫われちゃいました。
なんかヘカーティアとか言ってたけど……。
確かクラウンピースちゃんに聞いたことあるなぁ。クラピちゃんのご主人様だっけ? 周りに地球儀とか月とか変な紫っぽい玉が鎖で連結して、全部一つの首輪に繋がってたよ。
いずれの玉もとても大きな『目』が有ったよ。途方もなく大きな『目』が。
「私はヘカーティア。私の世界にようこそ。ランスロットとフランドール」
そうやって出会ったヘカーティアさんは……うん。なんていうか独創的なファッションセンスの人だった。
「……ダサっ」
「ランスロット。思ってても言っちゃ駄目だよ」
「ださっ!? ふん、所詮ちっぽけな存在の貴女達にこのファッションセンスが分かるわけないもの……えぇ」
「自分に言い聞かせてません? なんか……ごめんなさいね?」
思わずそう言っちゃうくらいだった。だって文字入りTシャツだよ。どこのおみやげ屋さんで買ったんだろう。超レアだ。
なんにせよ外に出る時に着ようとは思えない服だった。寧ろあれを着て大真面目にすること自体が恥ずかしいレベルだった。
凄い精神力だ、切にそう思う。
で、私達を連れてきたヘカーティアさんに何の用か聞いてみると、
「交わらないはずの世界が交わっているの。『それを元に戻したい』。けれど私がただで働いてやるのはごめんなの。だから私を楽しませなさい、つまるところ余興をして欲しいの」
よく分からない。もしかしてお姉様と同じ中二病患者ってやつだろう。服装からして頭がおかしいしもしかしたらそうなのかもしれない。
ランスロットとヒソヒソそんな事を話して「……多分精神疾患だろう」と結論付けた私達は可哀想なものを見る目でヘカーティアさんを見た。
それから、
「……あの、私、良い医者知ってるんですけど」
「待ちなさい。なんで医者を勧めたの貴女?」
「いや、それはその……言動が明らかに病人のそれでしたから」
「病人っ!? ……喧嘩なら買うわよ?」
「いや、大真面目に心配してるんですよ」
うん。良い歳なんだからいい加減目を覚まさないとヤバイよ?
就職とか……それに社会的常識とか。いきなり人を連れてきて「世界に狂いが生じている」とか妄言を吐いた挙句、「余興を見せろ」って相当頭がアレな人だからね?
そんな具合に話していると、また空間が裂けた。そこから現れたのは龍神ちゃんだ。
「……ヘカーティア・ラピスラズリ。貴女、ふらんに何の用?」
「龍神の一部か。別に、こいつらが世界の歪みの原因だから正そうと連れてきただけよ。隣の甲冑男を見りゃ分かるでしょう。あいつはこの世界に存在するものじゃないわ。地球でも月でも異界でもない。もっと別次元の存在よ。だからそれを元に戻そうって話よ」
「……嘘。ふらんに何かする気だった」
「……だったとしたら?」
「ゆるさない」
「は、貴女ごときが? 傲慢もいい加減にする事ね。私を相手にしたいなら龍神本体を連れて来なさい」
「お父様の手を借りるまでもない。私でじゅうぶん」
「いや、何喧嘩しようとしてんのさ」
二人とも険悪ムードは駄目だよ。
ほらほら笑顔笑顔。仲良くしようよ。話をするにも興奮状態じゃ話にならないよ?
そう語りかけると「……ふらんが言うなら」と龍神ちゃんが引いてくれた。
で、それから詳しい話を聞くとどうもランスロットの存在が不味いらしい。本来存在しないものが存在する事によって生じる誤差から考えられる世界の運命のズレが……とかヘカーティアさんが言ってた。
そこで「どうすればいいの?」と聞いてみたところランスロットを元の世界に返せば良いらしい。ただ、無償ではやらないらしい。余興をして楽しませろ、というのがヘカーティアさんの言だった。
余興ねぇ……、今年の東方M-1でやろうと思ってたネタでもやってみる? いやでも相方いないや……。
となると、
「じゃあ、弾幕ごっこでもします?」
「安直ね」
速攻即答だった。
でもやってくれるあたり少しでも余興になれば、と思っているのだろうか。でも弾幕ごっこって喧嘩の武器なのよね。異変でも分かる通り意見を押し通す手段なのよ。
だからちょっとでもお楽しみ頂けるようルールを工夫してみました。
「これから私が放つ弾幕を全て食べて下さい」
「……はぁ?」
疑問符を浮かべるヘカーティアさんに対しまず放つのは二月のライブイベントで余った豆だ。
「……なにこれ」
「豆です。鬼は外ー、福はうちーってやつ。余ったんで食べて下さい」
「いや、それは知ってるけれど……というかそれていの良い在庫処分なんじゃない!?」
「次は唐辛子スープいきますよー」
「はぁっ!? ちょっとやめなさい!」
「地面に落としたら怒りますよー? それと美味しさは保証します」
咲夜が作ったものだもん。まかり間違っても不味いわけがない。
と、そんな感じで次は酒、その次はコーラ、メントス、おはぎ、チョコレート、カレーライス、パスタとどんどん撃ち出すと意外と真面目な性格なのか全部落とさずに食べてくれた。
「美味しいですか?」
「味はね! ただ次々撃ち出すから味を楽しめない!?」
「……いや、なんだこれ。本当なんだこれ」
ランスロットが絶句してたけど私としてはノリの良い人はありがたい。途中から龍神ちゃんも食べるのに参加してヘカーティアさんと争奪戦になってたし。
で、そんなこんなでヘカーティアさんも満足してくれたみたい。
なんかメントスコーラが体内で爆発する感覚が楽しいとか言ってた。絶対頭がイカれてると思う。
あと何の感慨もなくランスロットは帰った。
最後の一言の時に、
「なんだかんだ……その、助かっ」
で、消えた。うん。最後までなんかアレな人だったねランスロット。
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「なんだこれ、本当なんだこれ……」
「さっぱり意味が分からないわ!」
「……ま、まぁ幻想郷ならこんなことも……」
「無いと思います(断言)
ただただカオスだと感じた。
それが一同の感想だった。