フランドールの日記   作:Yuupon

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 今年最後の投稿です。
 年末って忙しい……明日からもゲームのイベントやらで忙しくなりそうです。
 ともかく皆様良いお年を!


 


現代四月編2『お酒は怖い』

 

 

 

 四月二日

 

 

 お姉様が朝帰りしたらしい。

 ……そんなにもエイプリルフールに騙されるのが嫌だったのだろうか。にしたって珍しい話だ。

 咲夜とかめーりんにもお姉様のことを聞いてみたけど、咲夜は「そっとしておいてあげてください」と言ってめーりんは「お嬢様ですか、うーん強いて言えば様子が妙でしたね」という何とも微妙な返事が返ってきた。

 めーりんに様子が変? と聞き返すと「なんというか、怯えていたんです」ということらしいけど……。

 お姉様が怯えていた……? どういうことだろう。パッと頭に浮かぶのは八雲紫とかだけど……。

 お姉様が怖がる相手かぁ……誰だろう。直接聞こうと思って部屋に行ったけど「ひ、ひひ一人にして!」という返事が返ってきたし一旦時間を置こうと思う。

 

 

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 読み終えて、レミリアはあぁ……と懐かしむような声を上げた。

 

「……あの時は怖かったわ。コンコン、ってノックがした瞬間命の覚悟をしたわね」

「おや、随分と吹っ切れたコメントですね」

 

 プライドの高いレミリアが恥も外聞もなく怖かった、と口にしたのを見て早苗が茶化すと「なんか不思議な気分なの」と彼女は答える。

 

「今ならどれだけ恥を晒したところでさっきの事を上回ることはないだろうからって理解したせいかもうなんでも良いや、って。うん、今ならなんでも出来る気がする」

「……それ絶対普通の状態じゃないと思うんですけど……」

「なんでも良いじゃない。ともかく次のページいくわよ」

 

 ハハ、と乾いた笑みを浮かべて言う無表情のレミリアに対して真面目にさとりが突っ込んだ。

 が、どうでも良いやりとりだと感じたらしい霊夢に流されて、一同は次のページをめくる。

 

 

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 四月三日

 

 

 お姉様はまだ様子がおかしい。

 それでお酒でも呑んだら気が楽になるかなって思って鬼の人達に名酒を貰ってきて咲夜に渡してさ、夕食の時に出させたけどお姉様はお酒を呑んだ瞬間に「ゲホゴホガホ!」って吐き出して倒れてしまった。

 ……ビックリしたよ。

 慌ててお酒を呑んで確かめたら何この度数!! アルコール百パーですらないよ! それを更に高くしたような酒だった。味は美味いけどこんなものを一気に呑んだら吸血『鬼』でもコロっと倒れるだろう。ごくって呑んだ私もしばらく頭がクラクラしてそのあと記憶が無いし。

 咲夜とかに物凄く甘えたような……あれでもそのあと視界が真っ赤になってるし夢だよね、多分。

 ……あれ、夢? うん、夢か。

 

 

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「……咲夜ェ」

「というか鬼の人もどんな酒渡したんですかね……」

「確か……スピリタスを改良したものとか言ってたわね。フランが」

「世界一度数の高い酒じゃない、それ」

「……ただでさえそのまま呑んだら死の危険がある酒なのにそれを改良して度数を上げるって……地底に住む私が言うのもなんですが鬼って凄いですね」

 

 

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 四月四日

 

 

 ……頭が痛い。

 こうして筆を取るだけでもズキズキ痛む。

 お姉様も倒れてるみたい。喉が渇いてたのか知らないけど昨日、一気飲みしてたからなぁ……。

 朝少しだけ起きた後にバタって倒れたらしい。

 その後意識不明の無傷だとか……というか私ももうだめ(以下紙が汚れ、少しよれている)

 

 

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「……死ぬかと思ったわ。うん、切実に」

「フランちゃんも倒れたみたいですね、これ」

「というかどんな酒よ! 吸血鬼が揃って倒れるって危険な代物じゃないそれ!」

「……本当鬼ってなんなんでしょうね……?」

 

 

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 四月五日

 

 

 ようやく復活。お姉様も起きたみたい。

 ……うん、酒に身を任せるのは危ないと学びました。というかお姉様急性アルコール中毒だったんだね。そう咲夜に言われた時は衝撃の告白過ぎて思わず泣いてしまった。

 ……うぅ、危うく姉を殺してしまうところだったなんて。

 ……どんな顔で会えば良いんだろ。

 急いで謝りに言ったけどお姉様に門前払いされた。嫌われたのかもしれない。

 ……悲しい。どうすれば良いんだろ。そんな気じゃなかったのに。ただお姉様が怯えてたって聞いて、お姉様に笑顔でいて欲しかっただけなのに。

 ともかくこのままじゃいられない。私、お姉様にちゃんと謝りたい! 何とかしなきゃ……なんとか、なんとか……。

 

 

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「……この時私は暗殺されかけたと思っていたけど……フランの思いやりだったのね。フランはフランでこんな事を考えていたのか……」

「いや急性アルコール中毒ってよく生きてましたね……」

「うん、それは本当に自分でも思うわ。ちょっと起きれた時に『あっ、これ駄目なやつだ』って思ったし。朝起きた時にあれ程『生きてる』って感覚がしたのは久しぶりだったわ」

「……咲夜さんはそれ止めなかったんですかね……」

「最悪の場合は私の体内を切り開いて臓物ぶちまけて、中のアルコールを吸い出すつもりだったみたいよ。それはそれでスプラッタだし死にかねないけど……」

「なにそれこわい」

 

 臓物のくだりでサッと顔色を悪くした早苗は反射的に呟いた。

 

 

 




 



 ……年明けまでお酒を呑む人も居ると思いますが注意してくださいね(ボソッ




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