メリークリスマス。
今年はクリスマスプレゼントに、5000円持って古本屋に行って30冊くらい本を買ってきました。
読むのが楽しすぎる……ただ止まらなくなるのが難点ですが。
三月十九日
あめちゃんをもらった!
ひとざとであるいてたら、おじさんがおかしもくれるって!
それでついていったけどここどこ……?
くらいよ……こわいよ……。
でも、さくやがたすけてくれた!
ありがとう!
十六夜咲夜です。
申し訳ございません。妹様から数分目を離してしまった間に行方不明になり、妹様を誘拐されてしまいました。
すぐに犯人グループを発見し、しかるべき制裁を与えた上で妹様を抱え脱出致しましたが、妹様を怖い目に遭わせてしまったことは申し開きようも御座いません。
二度とこのようなことの起こらないよう常日頃から目を離さないように致します。(こびり付いた血の跡)
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「誘拐……ですか。というか血の跡って穏やかじゃないですね!」
「お菓子につられて誘拐……かぁ。その年頃なら目を離しちゃ駄目よね」
「自業自得よ。私の妹に手を出したんだもの」
「……まぁ私もこいしが誘拐されたと聞けば殺しはせずとも精神的に壊しにかかりますし分かりますよ」
「そのあたりはやっぱり人間とは感性が違いますよね。いや、私が外の世界出身だからでしょうか? 警察に逮捕してもらって裁判……が先に頭をよぎります」
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三月二十日
……目が覚めたよ。
……うん。恥ずかしい、言葉に出来ないくらい恥ずかしい!
何なのこれ!? お姉様に対してはともかく、気に入った人には抱きついてお姉ちゃん! とか言ってるし……それにナナシ君に対してはナナにいさま! って……しかも頰にキスしたり……。
きゃあああああ!! 黒歴史だよ!
恥ずかしい! 顔真っ赤だよ! うう、明日からどんな顔して会えば良いのぉ……?
それに誘拐されたり、すっごい迷惑かけてるし!
全部記憶があるのが恥ずかしくて堪らない!
外に出れば里の人達から「おや、戻ったのかい?」とか「昨日みたいに抱きついてきても良いんだよ?」とか弄られるし!
う、うー……! も、もう引きこもりになってやるー!!
十六夜咲夜です。
今日も妹様のお世話をさせていただいておりましたが、ふと気になったことがあり、試してみると妹様が元に戻られました。
それは何か、と申し上げますと小さくなった妹様には一本、分かりやすい『アホ毛』が生えておられました。それが妙に気になりまして、頭をお撫で致します時に軽くつまみ上げてみましたところ、ボンッ! と音を立てて元の姿に戻られました。
元に戻った妹様は一瞬、目をパチクリとなされた後に頰を林檎のようにお染めになり、逃げるように紅魔館を出て行かれましたが、やがて半泣きで帰って来られるとそれっきり部屋に引きこもられました。
以前のように元に戻る際に記憶が無くなるのでは、と危惧して書いておりましたがどうやら記憶は残っておられるご様子ですので私が日記に書き込むのもここまでと致しましょう。
……もうすぐ日記も一年、これからも頑張って下さいませ。
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「あ、戻った」
「頰にキスなんて書いてなかったわよ! あの男、グングニルを受けるだけじゃ足りなかったようね!」
「……レミリアさんのその対応がもう一種のネタに見えてきました」
「はぁ? ネタなわけあるかーっ! 私達は誇り高き血筋なのよ? その妹を一般の、しかも人間なんぞの木っ端男にくれてやるものか!」
「……前に博麗神社にきた時聞いたけど、確かあいつ神社の血筋とか言ってたわよ?
「シャラップよ霊夢! それ以上何か言えば私のカリスマパンチが火を噴くわ!」
「理不尽過ぎやしませんかそれ……」
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三月二十一日
……私、引きこもります。恥ずかしくて外なんか出れないもん。
断固として引きこもるから。
絶対だから!
「フラーン! 遊びに来たよー!」
「チルノちゃん、叫ぶのは失礼だよ! あ、これつまらないものですがどうぞ、レミリアさん」
「つまらない? ふっ、つまらないものなど受け取らないわ!」
「はうわっ!? え、いらないんですか? 人里のお菓子職人が作った新作のパフェなのに?」
「前言撤回。貰うわ、寄越しなさい」
「私も来たのかー!」
「お邪魔しまーす」
「邪魔するなら帰りなさい! パフェ以外要らないわ!」
「横暴すぎるよお姉様!? 皆どうぞ上がって! あとお姉様は下がって!」
うん、無理だよ。
こんなの、黙って聞いてられないよ。
引きこもりライフ、一日で終了。
……意志薄弱、うぅ。お姉様が悪い!
このあと頑張って接待しつつ遊びました。
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「放置出来ませんよね……なんか。ある意味レミリアさんの功績ですが」
「引きこもり脱却させるって意味じゃレミリアも役に立つじゃない」
「ふふん、もっと褒め称えるが良いわ!」
「……レミリアさんレミリアさん。褒められてませんよ?」
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三月二十二日
隕石が降ってきた。
いや、ビックリしたよ。
ふと窓の外を見たら巨大な火球が幻想郷に落ちてきてるんだもん。衝撃波も凄かったよ。紫さんがスキマで受け止めてこれだから普通に落ちてたらどれだけの災害になってたことか。
あと幻想郷って外の世界と隔絶されてるのに隕石なんて降るんだね。
いやでも前にお姉様達が月に行ったって話だし私も行ってるから宇宙はあるんだろうけどさ。
……でも宇宙かぁ。魔法使いとしては宇宙って夢だよね。
月に行った時に地球を見たけど幻想的だったなぁ。それに星々がキラキラ輝いていてさ、月にいた時に荒んでいた私の心を潤す唯一の清涼剤だったよ。
ちなみに隕石は妖怪の山のはずれに落ちたみたい。危険性がないか霊夢さんが確認してた。
私も大図書館に持ち帰って分析をしてみたけど……多分石鉄隕石かな。放射線を放ってるみたいでガードしないと危険かも。
それを伝えると霊夢さんが隕石に掛けてた結界を強固にしてた。
パチュリーが欲しがったから一部、キチンと保管することを約束して譲り受けたけど……隕石かぁ。
私の一部貰ったしちょっと調べてみよっと。
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「あー、ありましたね隕石。神奈子様と諏訪子様も落ちる衝撃を和らげるために動かれていました」
「まったく、いい迷惑よね。まともに落ちてたらどんな大災害になっていたか……」
「……地帯が揺れたので驚いたのは覚えてますけど、地震じゃなくて隕石だったのですか」
「あのあとパチュリーが大図書館に篭ってずっと魔法の開発してたわ。途中から白黒魔法使いと人形遣いも混じってね」
「魔理沙とアリスとパチュリー、か。やっぱり魔法使いってのは珍しい素材を見つけたら気になるものなのかしら?」
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三月二十三日
隕石を調べてみました。
で、試しにサイコメトリー(物質の記憶を読み取る)をしてみたらどの位置からきた隕石か、またいつ出来た隕石か判明したよ。
この隕石が出来たのは四五億年前、太陽系が出来た初期のものだ。それで位置としては珍しいことに太陽系のほぼ全ての惑星を掠めるようにしてぐるりと回って、地球に落ちてきたみたい。
だからか知らないけど私の知らない魔力でも霊力でも妖力でもない力がある気がする。知らない力が感知出来るんだ。
仮に『メテオパワー』と名付けよう。これは大発見かもしれない!
まぁどんな効果があってどうすればその力が行使できるかはとんと分からないけどね。
その辺りは専門家のパチュリーに任せよう。いや、まぁ私も専門家ではあるけど魔法はあくまで趣味だからさ。
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「大発見じゃないか!」
「新たなパワーですか。またインフレの予感しかしませんね」
「一時期、異様にパチェが興奮してたのはこういうわけか……」
「……というかサラッと出てくる内容がとんでもないですよね、フランさん」
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三月二十四日
今日は皆でパーティをした。
ドレスを着てお客様を招いて、むむむ……慣れないなぁ。
知り合いも多いけどさ。
「ようこそお越し下さいました。当主の妹のフランドールですわ」
何が慣れないかって口調が慣れないよね。
あと普段からメイドしたり、ごく普通にしてたりとこういうお嬢様口調になれない。
ですの、とか? くださいまし、とか? よく分からないんだよね。お姉様は初対面に対する外面だけは基本良いから問題無いんだろうけどさ。
「ようこそお越し下さった。なに、そう怯えることはない。おっと自己紹介が遅れましたわ。私はこの屋敷の当主にしてツェペシュの末裔の吸血鬼、レミリア・スカーレット。本日は宴の席ゆえ、ごゆるりとお楽しみ下さいますよう」
うん、誰だ。お姉様じゃないだろ。だって私の知ってるお姉様はそんなにマトモじゃないもん。
あ、ちなみにお客さんは幻想郷の有識人を呼んだみたい。あと個人的に私のお客様も多かったなぁ。
「あ、お久しぶりですフランさん」
「こんばんわ。今日はご招待ありがとうございます」
「お久しぶりです、ブッダさんイエスさん! こちらこそご足労頂きありがとうございます! ……で、そちらの顔を隠そうとしているイケメンな方は?」
「あ、アナンダと申します!」
「彼は僕の弟子で、偶々暇が出来ていたようなので連れて来たんですよ」
「ブッダさんのお弟子ですか……ようこそ♪ 歓迎致します!」
「フランちゃーん! 来たわよー!」
「あ、神綺さん! こんばんわ、わざわざありがとうございます!」
「私達も来ましたよ!」
「ご招待ありがとね?」
「どんな料理か楽しみだわー」
「それにエリスさん、イザナミさん、フレイヤさんも! 腕をふるって作ったので是非楽しんでいって下さいね!」
「来たぞ嬢ちゃん! 料理はどこだ!」
「あ、素戔嗚さん! お久しぶりです、料理はあちらですよ?」
「全く、落ち着きを持ちなさい素戔嗚」
「兄者!? どうして?」
「私も招待されたんですよ。全く、小さい頃は泣き虫スサノオと呼ばれていたのに……」
「おいおい昔の話はなしだぜ兄者」
「そちらは……
「えぇ、その節ではどうも。なんて、ははは。気にしないでください。もしお気に触るのでしたら今日の料理をよろしくお願いしますね?」
「はい、気合い入れて作りましたので是非召し上がって下さい!」
「……節分以来だな。にしても随分神が多い……、俺が居づらい空間にわざわざ呼び出すとは流石悪魔だなお前」
「それは褒め言葉ですかルシファーさん……? 本当に居づらいなら別室をご用意しますけど……」
「あぁ気にすんな……余計気疲れするから」
「と、ともかく楽しんでいって下さいね?」
結構皆来てくれた。
ただどうにも、来たのはそれだけじゃないみたいだったんだ。
裏路地の方とかに見知らぬ四人組が居るし。
……全力で感知してようやく薄っすら気付けるって相当凄腕だよね。
……さて、危険な人だといけないので話しかけに行ったんだけど。
「イエス様が悪魔の根城に来るとは……、我々が気合を入れなければなりませんね」
「あの並べられた料理の数々。どれに毒が入っているか……」
「もぐ……味は美味い。だが……もぐ、油断は……もぐ」
「ウリエルぅっ!? いつの間に食べ始めてるの!? というか話してる内容とは裏腹に見たことない満足顔だよ君ィ!」
「どの料理も繊細な味で、もぐ……、祝福されている」
「ミカエルも!? いや二人とも四大天使としての自覚はあるんですか!? っつか祝福されてるっておかしいでしょ!! 悪魔の作った料理ですよ!?」
「あの……」
「「「「!?」」」」
「イエスさんのお知り合いですか? でしたらこんな端ではなくお近くに行かれるのをオススメしますけどっ!?」
「出たな悪魔」
「ウリエルううううっ!? 君何いきなり剣で切り掛かってるのさ! 悪魔とはいえ普通に話しかけて来たのに!?」
「甘言だ。惑わされるな」
「いや目の前で血塗れになってるんだけど!? 回復してるみたいだけど思いっきり切れてるけどっ!?」
「……けほっ……あの、気に障ることをしたならごめんなさい。切り掛かってくるってことは何か不手際があったんですよね?」
「「「喋ったああああッ!!? しかも明らかにこっちが悪いのに相手が謝ってきてるううう!?」」」
「チッ、死なないか」
「いやウリエル! ちょっとストップ! それ以上やったらこっちが悪者になるから!」
話してみたけどなんだろ。悪い人ではない……のかな?
いやでも切り掛かって来たしなぁ……。一応、お客様の可能性があったから甘んじて受けたけど、超痛い。なんか浄化されてる感ある。うう……涙が溢れるくらい痛い。
「ああ泣いてるし! 待ってください! これじゃあ私達、いたいけな女の子に切り掛かって謝罪を要求したクズじゃないですか!」
「堕天する! 冗談じゃなく堕天しますよこんなの!」
「なに、悪魔退治だ。気にすることじゃない」
「「「偶には空気を読めウリエルううう!!」」」
ともかく四人組の皆さんはイエスさんの元に案内しました。
なんだろう、痛みが取れない。涙が出てくる。
ちなみに四人ともイエスさんに怒られてた。気にしないでくださいって言ったら凄い感激された。
……とりあえず丸く収まったから良かった、のかな?
他の人達も皆楽しんでくれたみたいだし。
うん、終わり良ければ全て良しだよね!
……ちなみにお姉様が何故か途中からカタカタ震えながら対応してたのは内緒。
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「こ、怖かったんですよね? 悪魔ですもんね?」
「うう、何よ……この、有識者パーティー! どんな連中が来てんのよ! だって明らかに多くが私より上位の存在だったのよ!? そ、そんなの頑張っても怖いに決まってるじゃない!」
「が、頑張ったのよね? レミリア」
「……そ、そうですよ! レミリアさんは頑張りました!」
「う……うー……」
全員に慰められるレミリアだった。
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三月二十五日
パーティーの翌日。
まだ斬られた傷がズキズキ痛む。治ってるのになぁ……。
聖なる攻撃だったのだろうか。自然回復を待つかぁ。
と、そっちはともかくだよ。今日、外を歩いてたらナナシ君を見かけたんだ。
「ハァッ……ハァッ……!」
「もっと早く走りなさい。後ろからリグルの蟲が迫ってくるわよぉ?」
「ごめん、ごめんねナナシ! 私も逆らえなふぎゃ!」
「さぁ蟲達! 行きなさい」
「うっぎゃーっ!! 幽香さんそりゃ無いですって! 死ぬ! 死ぬううう!!」
「強くなりたいんでしょ? ならやりなさいな」
「限度があるわっ!! ゲホッ……足を止めたら
どうやら修行してるみたい。急に強くなったと思ってたらこういうわけか。でも私も師匠なんだからもっと頼って欲しい!
ちょっとムッとした私はもうちょっと修行を辛くする為に式神を作って追尾するよう命令しました。
「ってうわっ! なんかきた!? なんかきたーっ!? ってこれ、フランの……? ってフランさん、なんでお怒りなんですのん? ちょっ、やめて! 無表情で式神放たないで! 俺何かしたーっ!!?」
「ばか!」
「分かんねえええ! 舌出して可愛らしく罵られても不機嫌な理由が何一つ分っかんねえええ!! あぁもう嫌だ! 暖かい家に帰りてぇなぁ!!」
なんか逆ギレしながら全力疾走のナナシ君は消えていった。
幽香さんが挨拶代わりに私にウィンクしてきたので会釈する。
まったくもう、戦いが知りたいって言ってきたのはナナシ君の方なんだから私に聞いてよね!
ちょっとお怒りなのです! ぷんぷん( ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
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「良いぞもっと(蟲を)やれ!」
「命懸けの修行……平和な時代に、時代錯誤も良いとこですね」
「案外そうでもないわよ、早苗。博麗の巫女も先代までは弾幕ごっこじゃなくて妖怪退治だったし私も時には妖怪を殺すこともあるわ」
「……易者ですね?」
「易者だわね」
「易者ですね」
「あぁもうなんでこうノリが良いのよあんたら……」
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三月二十六日
最近、寺子屋に行くたびにお菓子作ってる気がする(書いてないけど)。
ちなみに今日はプリンアラモードを作りました。クラスメイトに振る舞うと反応も上々だ。
ちなみに今日の授業は忍びについてだった。
例えば手裏剣。手裏剣にも種類があって、そのうち棒手裏剣ってのがあるんだけど、高い技術を要求される代わりにそれをよく忍びは使っていた、だとか
あと忍び刀とか烏の子(煙幕玉)とか
そのあとで誰か着てみないか? と言われたのでやってみたよ!
忍び装束に着替えて忍び刀を帯刀し服の内側に諸々のアイテムを入れる。
そのあと用意された的目掛けて苦無を投げたり忍び刀で切りつけたり、手裏剣を放ったり。
本物の忍びみたいって皆に言われた。ちょっと嬉しい。
あと慧音先生が、
「他にも、忍びは対象に見つかりそうになった時にネズミや猫の鳴き真似をして搔い潜ったという文献もある」
とか言ってたのでそれもやってみた。折角だし魔法で猫耳と尻尾、口を開いた時にチラリと見える犬歯を生やして。
「にゃあ! にゃあにゃあ! どおどお?」
「お、おう……可愛いと思うけど?」
「にゃ、にゃー!」
「引っ掻くな引っ掻くな! 恥ずかしいのは俺も同じだ馬鹿!」
まったく、ナナシ君はデリカシーが足りないよね。
それに勘違いしないでほしい。私が聞いてるのは猫の真似出来てるか聞いてるだけで可愛いかは聞いてないんだから!
もう、ナナシ君のせいで恥ずかしい目に遭ったよ……。
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「きゃー良いですねー! ラブコメってます! 紅茶が甘い!」
「……ギリギリギリギリ」
「……レミリアさん、
「猫の物真似……にゃ、にゃあ! なんちゃって」
「うわきっつ」
「早苗、表に出なさい今すぐに!!」
完結も近いですね。
次作をどうしようか……。